2019年7月20日土曜日

明治安田生命J1リーグ 第20節 vs ベガルタ仙台 プレビュー

2019年7月20日 19時00分:ヤンマースタジアム長居

予想スタメン

7月最後の試合となる明治安田生命J1リーグ 第20節。セレッソ大阪は本拠地ヤンマースタジアム長居にベガルタ仙台を迎えての一戦となる。


■前回の対戦

前回の対戦は3月30日に行われた第5節。敵地ユアテックスタジアム仙台で行われ、前半は都倉の加入後初ゴール、後半は田中亜土夢の今季初ゴールで0-2で勝利している。

開幕戦こそ勝利したもののその後3連敗を喫していたセレッソ、開幕戦は引き分けたもののその後3連敗を喫していた仙台という状況での対戦となったこの試合。
両者ともにポジショナルプレーの概念を持つチームで布陣も共に3-4-2-1、ボール保持で狙っているのはハーフスペースの奥にボールを運ぶこと。とボール保持では共通点も多いいろいろな意味でのミラーゲームとなったのだが、試合を分けたポイントはボール非保持の考え方だった。

仙台のボール非保持の考え方は人を捕まえるマン・ツー・マン気味の形。これは前線からプレッシングに行く時だけでなくセットした状況でも同じで、自陣でブロックを作ったとしても迎撃型でマン・ツー・マン気味に捕まえに行く。なのでこの試合の様に同じフォーメーション同士のミラーゲームとなるとその傾向がよりハッキリと出る。
セレッソはこの仙台のボール非保持の振る舞いに対して選手をローテーションさせるという方法をとった。
3-4-2-1の布陣の場合、シャドゥと頂点とし、WB、ボランチ、3バックのサイドで構成されるひし形が左右にできる。この試合では右サイドでは柿谷を頂点に松田、奥埜、片山。左サイドでは清武、ソウザ、丸橋、木本。
セレッソはこのひし形を1辺の距離は変えず、例えば松田が頂点で片山と柿谷が横、奥埜が底と選手の立ち位置をローテーションさせた。
これに苦しんだのが仙台。どこまで捕まえに行くのか、受け渡すのかの部分で曖昧になってしまったことで松田がハーフスペースに飛び出し折返しを都倉が決めてセレッソが先制した。

そしてセレッソのボール非保持の考え方はブロックを作りゾーンで守る形。中央を閉めて中にはボールを入れさせないことを徹底している。
そして前半の仙台はこの守備に対してブロックの中にほとんどボールを入れることが出来ず、可能性があったのはビルドアップのミスを引っ掛けるぐらいだった。
ただし後半になると、セレッソは5-4-1で守るため仙台の3バックの両脇の選手は基本的にフリーでボールを持てるという状況を活用しボール保持率を高めていくと、セレッソのブロックのスライドも遅れ始めボールをブロックの中に入れられる機会も生まれ始めた。
しかしそんな仙台が流れを掴みかけた展開の中でセレッソは奥埜のボール奪取からのショートカウンターで田中亜土夢が決めて追加点。
これで試合の流れを決定づけ、その後は試合をオープンにすることなくコントロールしつづけ、そのまま勝ちきった試合だった。

■現在のベガルタ仙台

前回対戦時は3-4-2-1だった仙台だが4月24日ルヴァンカップ鳥栖戦で初めて4-4-2でスタートすると、リーグ戦でもその直後の第9節ガンバ戦から4-4-2を使用。以降は4-4-2を継続している。
そしてこの変更前、3バックだった時の8試合は1勝1分6敗とかなり苦しい成績だったが、この4-4-2初戦のガンバ戦に勝利すると以降は6勝5敗。直近2試合の浦和、鹿島に連敗を喫したことで5分に近い成績まで下がってしまったが、第14節の名古屋戦から松本、東京、札幌に4連勝しているように一時は最下位まで落ちたチームは目に見えて改善されている。

4-4-2で出場を続けているのは、右から蜂須賀、シマオ・マテ、平岡、永戸の4バック、椎橋、松下のボランチ、道渕、関口の両SH、そして石原直樹、長沢の2トップという11人。前節の鹿島戦は椎橋が出場停止、シマオ・マテが怪我ということでCBに大岩、ボランチに富田が起用されたが、先発は基本的に先に上げた11人に固定されている。

そしてこの仙台の4-4-2だが、純粋な4-4-2ではなくかなり特徴的である。
それまで使っていた3バックのエッセンスが盛り込まれたというか、以前の3バックの延長線上にあるんだなということを感じさせる。「4-4-2にシステムを変えました」というよりも、やりたいこととやらなければいけないことを整理すると結果的に4-4-2になったということなのだろう。

実際に仙台の試合を見るとおそらく最初に気がつくのはSHのポジショニングではないかと思う。
まずはボール保持から見ると、SHは幅を作ることはほとんどなく、ボール保持ではかなり中央に入りまるで3-4-2-1の2シャドゥのようなポジショニングを取る。2トップなので3-1-4-2の2インサイドハーフとも言えるか。
その分幅を作るのが両SB。この2枚は同時に前に出てくる。
なのでその分ボランチの2枚は自重気味。ということでビルドアップは2CBと2ボランチのボックスビルドアップ。
2-2や3-1など相手の前線の動きに対応して立ち位置を移動させるが、基本的にはこの4人でビルドアップを行う。
この辺りも以前3バックのサイドに永戸を起用し、右WBに蜂須賀を入れていた形の延長にあるのだろう。
なので、ボール保持で結局行っているのは以前と同じポジショナルプレーの概念を取り入れた形。大外レーンにSB、インサイドレーンにSHを立たせているのだ。

続いてボール非保持だが、ここでもSHに目が行く。
仙台の4バックはできるだけペナルティエリアの幅を維持しようとするのでSBの外側にSHが戻ってきて6バックのような形も取る。
もちろん最初から6バックになっているわけではないが、仙台は基本的に人へのアプローチが強い守備というのは変わらないので、そこに例えば相手のSBが出てきた場合は6バックになることを否定していないようだ。
なので仙台の4バックは4人いるのだが3バックの時の3人と同じようなイメージ。外側はWBならぬSHがカバーするという感じである。
そしてこれにしたことで活きたのがシマオ・マテ。レバンテで何年も主力として出場してきただけあって、前への強さは相当のものである。
しかし以前のボランチで出ていた時は、この前への強さが後ろを空けてしまうことに繋がっていた。しかし4バックのCBとして起用し、4バックをペナルティエリアの幅で固定することで前に出たときのカバーができるようにした。こうすることでシマオ・マテの強さを武器としてチームに落とし込むことができるようになったのだろう。
「5バックで守るから1人食いついてもOK」という主にJ2でよく見られた形を上手く進化させたイメージだ。

ただしこの仙台の戦い方はSHにかなりの負荷がかかっている。
仙台はキックオフでボールを選択した時には常に右サイドの前方に長いボールを蹴り込んでそこからのプレッシングで試合を始めるように、前から捕まえに行くことも多い。そして相手の3バック保持に対してもSHが3人目の選手となる。
それでいて押し込まれるとSBの外側まで守り、ボール保持では中央に入ってくる。まあだからこそ関口がポジションを掴んでいるんだと思うが、それにしてもかなりの負荷である。
そしてこのSHの動きによってSBもどういうポジションを取るか。ここをSHとDFラインをどうリンクさせるかという問題もある。
なのでここを徹底的に狙ったのが前々節の浦和と前節に鹿島。
SHを引き出す、SBを動かす、そしてSBとSHの裏。さらにシマオ・マテの裏。ここを90分間カバーできるかどうか、その時間をいかに減らすかが今の仙台の生命線とも言えそうだ。

■プレビュー

セレッソ大阪の先発メンバーだが、おそらく前節と同じ11人が並ぶだろう。変更があるとすればデサバトが戻ってくるかどうかだが、連勝中ということを考えるとスタートは木本とする可能性も高い。
そして朗報としてはソウザが全体練習に復帰したという情報があるのでベンチに復帰する可能性もある。
まだこの布陣での落とし所が定まっていないのでスタートからは難しいだろうが、攻守における優れた個の力は誰もが知るところだろう。

一方のベガルタ仙台の先発メンバーだが、前節は出場停止となった椎橋、そして怪我で欠場となったシマオ・マテも復帰する見込みということで久々に後ろのメンバーは揃いそうだが、前節鹿島戦で負傷交代した長沢は欠場となりそう。ということで2トップは石原直樹とハモン・ロペスという鹿島戦前半途中からの2人になりそうだ。
また4バックになってからCBやSBとDFラインの欠場者が出るたびに穴を埋めていた大岩もメンバー外となる見込み。
そしてなんといってもシュミット・ダニエルが移籍して抜けたGK。ポーランド代表歴を持つヤクブ・スウォビィクを獲得しており関ではなくこのスウォビィクが初出場となるか。
ポーランドのGKといえばカミンスキーが日本ではおなじみだが、あのカミンスキーですら持っていない代表歴を持っているということで非常に楽しみではある。

試合のポイントとなるのはセレッソのビルドアップからのボール前進だろう。
ビルドアップからの攻撃でSHを動かしSBの背後、そしてシマオ・マテを裏返すこと。得点を奪うにはこの形が絶対のチャンスである。
それを何度できるか、何度シュートまで持ち込めるかが結果につながってくる。
そしてもう1つは深さ。DFラインの背後だ。
仙台の強みを発揮させないためには深さを作ることが重要となる。またGKが新外国人のスウォビィクならなおさらだ。あのカミンスキーですら来日当初はDFラインとGKの間のボールに少し苦労していた。

いよいよトップ5も見えてきた中、ホームの無失点、連勝で勝ち点を重ねチームにさらに勢いをつけたい。

0 件のコメント :

コメントを投稿

新着記事

人気の投稿

セレッソ大阪公式Twitter

楽天

楽天トラベル