スタジアム | Shonan BMW スタジアム平塚 | 主審 | 福島 孝一郎 |
入場者数 | 12,821人 | 副審 | 三原 純、木川田 博信 |
天候 / 気温 / 湿度 | 雨 / 26.1℃ / 89% | 第4の審判員 | 大川 直也 |
メンバー
- 監督
- 曺 貴裁
- 監督
- ロティーナ
<監督・選手コメント>
湘南ベルマーレ 曺貴裁監督セレッソ大阪 ロティーナ監督
湘南ベルマーレ 鈴木冬一選手、秋元選手
セレッソ大阪 奥埜選手、清武選手、松田選手、木本選手、瀬古選手
前半戦最後となる明治安田生命J1リーグ第17節、セレッソ大阪は敵地Shonan BMW スタジアム平塚で湘南ベルマーレと対戦し0-2で勝利。8勝2分7敗で前半戦を折り返すこととなった。
■メンバー
湘南ベルマーレの先発メンバーは前節から3人を入れ替え。前節は松田天馬がシャドゥに入っていたが定位置のボランチに戻り第12節浦和戦以降怪我で離脱していた梅崎がこの試合でスタメン復帰。そして右WBにセレッソ下部組織から長崎総科大附高に転籍した鈴木冬一が2試合ぶりに復帰。また最終ラインにはコパ・アメリカから戻ってきたばかりの杉岡が入った。鈴木冬一にとってはセレッソを離れてこれが初対戦となる。一方セレッソの先発メンバーは前節から1人入れ替え。外れたのはデサバトで加わったのは瀬古。メンバー表ではDF登録として木本、瀬古、ヨニッチと並んでいた為3バックか?との予想もあったが、実際は木本がボランチに入るいつもと同じ布陣だった。木本のボランチは今季スタートからは初めてだが、ルヴァンカッププレーオフステージファーストレグの終盤にテスト済み。ソウザが怪我で離脱、奥埜が前線起用となっている中で、ここのところルヴァンカップも含めて藤田・デサバトのコンビが連戦だったのでテストしていた布陣を早速使った形だ。
またロティーナの試合後の会見によるとデサバトは足に違和感があり出場を回避したとの事。
メンバー外とせずにベンチに入れていたのでそれほど大きなものではないと思われるが少し心配ではある。
■セレッソのプレス回避
プレビューでも書いたが湘南はボールを奪いに行くのがチームのスタイルである。マッチアップ |
セレッソのSHの位置、SBの位置はあえて左右でズラしている。
そしてここから湘南は前線の1トップ2シャドゥの3人のうちの2人がCBにアプローチをかけるのだが、どちらが武富と梅崎のどちらが行くのかというのは予め決まっているわけではなく状況をみて判断しているようだった。
セレッソのビルドアップ1 |
しかしセレッソはそうなると松田が下がってくる。松田が3バックの右のようなポジションを取る。
湘南はここに対してアプローチをかけるとすると左WBの小野田がジャンプしてくるかボランチがスライドして捕まえに行くかになるのだが、小野田がジャンプすれば水沼が背後に走る、ボランチがスライドすれば奥埜への楔をちらつかせながらその隙をついて逆サイドに展開と、セレッソが思うように湘南のプレスを回避する。
セレッソのビルドアップ2 |
梅崎はサイドに戻り松田に対応するようなポジションをとる。そしてこの時さらに湘南は鈴木冬一を前に出して丸橋を捕まえさせる。ここに行かないと、簡単に丸橋のところにボールを逃されてしまうから当然だ。
しかしセレッソはそうなると今度はボランチの1枚が最終ラインに下がる。そしてこの動きに対して湘南のボランチもついてくれば今度は清武が下がる。清武は最初から内側にポジションをとることが多いので湘南でマッチアップしているのは山根ということになるのだろうが、下がる清武までついていくことができるかといえば難しい。マン・ツー・マンだと割り切ってついていくこともできるが、そうなると今度は山根の裏にブルーノ・メンデスが走ることもできる。
そしてこのプレス回避は当然ながらパスがズレたりコントロールに手間取ったりすると時間がなくなって上手くいかなくなるのだが、そうなってもキム・ジンヒョンに戻してやり直せばOK。
CBをトップが捕まえられていればボランチやSBへ。CBもボランチもSBも捕まえられていたとしても清武や松田が前にでて内側に入ることで誰が捕まえるのかはっきりしなくなった水沼に直接ボールを入れることができるからだ。
この立ち位置が決まっていて相手の動きを見てそこから逆を取る形になっているプレス回避の精度はかなり高くなっていて、湘南はほぼ前でボールを奪うということが出来ず時間の経過と共にプレスにいけなくなっていた。
ボールを取りに行きたいが行くとそこを使ってボールを運ばれるので取りにいけないという状態である。
セレッソが試合をコントロールしていたと言えるだろう。
■セレッソのネガティブトランジションとボール非保持
とはいえもちろんセレッソがボールを奪われることもある。湘南はボールを奪い返した時、基本的には素早い守備から攻撃への切り替えで前線に速くボールを付けて一気に押し上げ加速させようというのが狙いなのだが、湘南がこういった攻撃を見せることはほぼなかった。ボランチがCBの前に残る |
その理由はボール保持では前に出てしまうと相手も連れて行ってしまうので最終ラインとボランチの間のスペースを消してしまうからというのが1つ。そしてもう1つは攻撃から守備への切り替え、ネガティブトランジションのところでカウンター対策を行う為だ。CBの前のスペースをダブルボランチが埋めることで相手のカウンターの起点を潰している。そしてその結果湘南はカウンターは繰り出せずボールを保持して攻撃を仕掛けることになる。
ちなみにビルドアップで松田が3バックの右に入る形をとった場合、水沼がサイドに開く分ボランチが1つ前に出ていくことが増えるのだが、この場合のネガティブトランジションでCB前を埋めるのは松田。
相手がカウンターを仕掛けようとした時に松田が中央でカバーしている場面が見られるのはその為である。
セレッソのセットディフェンス |
2トップはCBにアプローチをかけることはほとんど無く、は中を締めてボランチへのパスコースを消すのがメイン。湘南のボランチの1人が最終ラインに落ちても、そこに対してアプローチをかけることはほぼ無い。
しかしここから3バックの両サイドの選手にボールが入るとセレッソの守備は一気にスイッチが入る。
この3バックの両サイドの選手に対してはSHがジャンプしてアプローチをかけに行く。
この動きは後ろの連動が出来ていないとただただ芋づる式にスペースを与えてしまうことになるので、もちろん後ろの準備が出来ていることが大前提。なので水沼も清武も前にアプローチに出る時に必ず後ろを確認している。
その後ろの連動とはSBがWBに詰め守備の2列目と3列目が一気にボールサイドにスライドすること。これは同じ3バックの磐田戦でも見せていた形だ。そしてボールサイドにスライドするということは逆サイドを空けてしまうことになる。
なのでこの時2トップ1人は湘南のボランチへのパスコースを消し、もう1人は湘南のボランチを捕まえる。ボランチ経由でサイドチェンジさせないためだ。
試合後のコメントで奥埜も語っているが、もう1度3バックの中央に戻されてサイドチェンジされても全体のスライドは間に合う。しかしボランチ経由だと間に合わない。なのでボランチを消してしまうのだ。
これで湘南はほぼ効果的な攻撃ができなかった。
2トップがアプローチをかけないのでボールを持つことはできる。がしかし中にボールを入れることは出来ない。
30分ごろからカウンターで時々山崎がボールを収める場面が見られるようになり、縦に速く侵入する場面もあったが、セレッソは守備の人数は揃っており、さらに帰陣も早いので問題なし。湘南は攻守において持ち味をほぼ出せなかった前半だった。出せなかったというかセレッソが出させなかった訳だが。
がしかし、セレッソにもそれほどチャンスがあったわけではなかった。オフサイドの判定ミスもあったがボールを運び、相手にはボールを運ばせなかった割には決定機自体はそれほど作れていたわけではなかった。
■奥行き
後半開始〜 |
山崎は30分以降に何度かボールを収めていたものの、セレッソの2CB+2ボランチの中で消されていたので仕方ないところだろう。
そしてセレッソはハーフタイムに指示があったのだろう、ハッキリと背後を狙い出す。
湘南は行けないだけで基本的には前から行きたい。前から行くにはDFラインは押し上げる必要がある。なので背後は空いている。なのでセレッソの攻め手としては当然背後。前半20分ごろからロティーナはブルーノ・メンデスに斜めに背後を狙えという指示を出しているとのレポートもあった。
もしこれでDFラインが下がるようならDFラインとボランチの間も空く。
セレッソの先制点につながったビルドアップ |
松田が3バックの右にいる状態でのビルドアップで梅崎は松田が空いていることは知りながらも小野田が松田に寄せることができると判断しヨニッチにアプローチをかけた。
そしてこのボールに連動して水沼が右側のインサイドレーンからボールを受けることができるように下がってくる。するとこの水沼に対して松田天馬がついて行った。
水沼に対してボランチの松田天馬がついて行ったということは木本はフリー。ということで一気に小野田の背後のスペースに飛び出す。木本には齊藤がついて行ったが、内側から飛び出した木本の方が当然速い、そこに松田からパスが通る。
これで湘南はボランチ2人がCBの前からいなくなる。なのでDFラインを落とすしかなく、木本から出てきた松田に戻すと松田は完全にフリー。そして松田からのアーリークロスがポストにあたり、これを奥埜が決めた。
松田のキックはおそらくミスで狙ったものではなかったとは思うが、ここまでのボール運びでも完全に後手を踏んでいたので、こうなっても仕方がない。
■クロスに可能性をかける湘南
71分〜 |
湘南の交代だが、湘南はボール保持攻撃でセレッソの4-4-2を前に後半もやはり苦労していた。
中央に当ててスペースを作ってというのがやりたいのだろうが、そこにボールを入れられなかった。
なので失点後あたりから同サイドで縦にボールを運ぼうとする場面が増える。同サイドでシャドゥ、WB、3バックのサイドの3人が絡んで縦にボールを運ぼうという形だ。
この形に対してはセレッソは前半からある程度運ばれてもOKという形の守備を行っていた。
おそらく同サイド縦だとクロスを入れる相手選手にもプレッシャーをかけられるし、クロスに対してもヨニッチ、瀬古のCBコンビで十分跳ね返ることができるという判断だったのだろう。
となると、右WBは左利きの鈴木冬一ではなく右利きの古林の方が良い。
74分〜 |
これは同サイドではボールを運べるので可能性は低いがクロスはある程度上げることができる。なのでその可能性を少しでも上げるためにという事なのだろう。
80分〜 |
尹晶煥は瀬古をボランチとして期待していたそうだが、ロティーナは基本的にCBとして計算しているので今季初のボランチとなる。
これは湘南はクロスを入れるしか無いので山下で対応しようということなのだろう。
すると83分、セレッソに待望の追加点が生まれる。CBとボランチの間でボールを受けると前向きで仕掛け左足でゴールネットを揺らしたのだ。
後半に入りセレッソは何度も背後を狙ったことから、60分ごろからCBのボランチの間がかなり広がるようになっていた。湘南のDFラインはなかなか前に出られなくなっていたのだ。
この得点はそれを見事に突いた形だった。
83分〜 |
ここから湘南はクロス爆撃でなんとかしようと繰り返し、一度イチかバチかのクロスが武富に合うもシュートは枠外。セレッソはカウンターを交えながら決定機があるも決められず。
ということでそのまま試合終了。0-2でセレッソが勝利した。
■その他
試合をコントロールし続けることができた完勝だった。ボールを奪いに来る湘南に対しても狙い通りにプレスを外すことも出来ていた。
これでちょうどシーズン前半戦を折り返し8勝2分7敗の勝ち点26で暫定7位。失点はリーグ最小の11、クリーンシート数9。序盤は勝ち点を稼ぐのに苦労したがACL圏内まで勝ち点差4にまで詰めることができた。
今のチーム状態であれば3位以内は十分狙えるんじゃないだろうか。
課題があるのは得点の部分。
この試合もそうだったが、序盤に点を取ることが出来ない。
例え試合をコントロール出来ていたとしても0-0のまま推移すると、鹿島戦の様に相手にチャンスを与えることになるので、さらに勝ち点を重ねるにはここの改善が望まれる。
これを改善するための方法としては質で叩くこと、判断のスピードを上げることだろうか。
例えばこの試合ではハーフタイムを挟んだことでハッキリと裏を狙う様になったが、これをハーフタイムを挟まずにできるようになりたい。
失礼致します。
返信削除今回も楽しく拝読致しました。
シーズン序盤の苦しみを経て、最近はチームとしての成長を感じさせるような試合が増えて嬉しい限りです。
TwitterでAkiさんがフットボリスタの呉屋選手の記事をRTされてるのを拝見致しましたが、チャンス構築率が高いのにゴール数の少ないセレッソにとって呉屋選手のようなフィニッシャータイプのFWはハマると思われますか?
コメントありがとうございます。
削除返事が遅くなってすいません。
中途半端な答えですが半々でしょうね。
ただいると役に立つことは間違いないのでくれるならほしいです(笑)