2022年3月8日火曜日

3/6 明治安田生命J1リーグ第3節 VS. FC東京 @ ヨドコウ桜スタジアム


スタジアムヨドコウ桜スタジアム主審今村 義朗
入場者数8,185人副審中野 卓、松井 健太郎
天候 / 気温 / 湿度晴 / 10.4℃ / 35%第4の審判員渡辺 康太
VAR池内 明彦
AVAR野村 修

セレッソ大阪C大阪

 

FC東京FC東京

 
  • 監督
  • 小菊 昭雄
 
  • 監督
  • アルベル

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「20000人以下」)での試合開催


<監督コメント>


<選手コメント>


開幕から始まったルヴァンカップを挟んだ5連戦の5試合目となる明治安田生命J1リーグ第3節、セレッソ大阪が本拠地ヨドコウ桜スタジアムにFC東京を迎えての一戦は0-1で敗戦。FC東京は後半に退場者を出したが、前半の得点を守り切った。

■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーは、第2節の京都戦から1人入れ替え。乾貴士がベンチ外となり北野颯太がリーグ戦初スタメンを掴んだ。ということで布陣は北野と加藤陸次樹が2トップに入る4-4-2。そしてルヴァンカップ鹿島戦からは、松田陸、西尾隆矢、奥埜博亮、中原輝、北野颯太が継続しての先発となった。
また前節同様の清水圭介、舩木翔、山中亮輔、鈴木徳真に加え、新井晴樹、上門知樹、山田寛人の3人が新たにベンチ入り。
山田は今季公式戦初のベンチ入りである。

FC東京は新型コロナウイルスの影響で活動休止期間があったためこれがリーグ戦としては2試合目。スターティングメンバーを活動休止期間前の2月18日に行われた今季開幕戦から比較すると3人の選手が入れ替え。外れているのはエンリケ・トレヴィザン、レアンドロ、永井謙佑で、エンリケ・トレヴィザンとレアンドロはメンバー外。代わりに入ったのが森重真人、紺野和也、アダイウトンとなった。
また活動休止明け初戦となったミッドウィークのルヴァンカップ福岡戦から比較しても3人を入れ替え。中村帆高、岡庭愁人、山下敬大が外れ、木本恭生、松木玖生、ディエゴ・オリヴェイラが加わった。ミッドウィークにはまだ復帰できていなかった選手が戻ってきたという格好である。
またベンチにも、東慶悟、三田啓貴、永井謙佑とミッドウィークには復帰できていなかった3人が戻っている。

■FC東京の立ち位置

お互いロングボールを使う形で始まったこの試合。最初のプレーでディエゴ・オリヴェイラと西尾が身体をぶつけた時にディエゴ・オリヴェイラがバランスを崩して倒れていたので、彼もコンディションは万全ではないのだろうなという印象を受けた。
また開幕戦では松木が右IH、安部が左IHという立ち位置だったがこの試合では逆。自陣で守る時に開幕戦では右WGのレアンドロを前に残す形で4-4-2になっていたが、この試合では左WGのアダイウトンを前に残す形の4-4-2だったので入れ替えたというところか。
片方のWGが前に残る形で4-4-2になれば同サイドのIHは4-4-2でのSHとなり松木に託されているのはこのタスク。「松木が」という部分もあるのかもしれないが、松木を外に出すことでもう1人のIHである安部を中央(CHになる)に置けるので、主語は安部の方なのかもしれない。

■ビルドアップを制限できないセレッソ

この試合の前半は完全に東京ペースだった。そうなったのは攻守ともにセレッソが準備してきたことがはまらなかったから。正確に言うと、最初からセレッソの守備は東京のビルドアップを制限できず、セレッソのビルドアップは15分を過ぎた頃から完全に東京に封じ込まれた。

まず東京のビルドアップから

4-3-3の東京に対してセレッソは4-4-2。セレッソも立ち上がりは2トップでCBに行く場面もあったが基本的には2トップでアンカーを抑える形で守備がスタート。アプローチに行くにしてもまずここを閉めてから出ていく。
これが最初からセレッソの2トップがCBに行くならアンカーが降りて3バック化と言う形になるのだろうが、行かないので2-1の状態でスタートする。
そしてSBは最初からそこまで高い位置を取らない。もちろん前に出て行く場面もあるのだが、セレッソがやってた様な左方上げの3バックで左SBはオートマチックに前に出ると言う形ではなく、スタートのベースポジションとしては4バック状態。
セレッソの2トップがアンカーを消しながら2CBを監視しているので、この状態だとビルドアップの起点となるのはSB。CBからSBにパスが出る。
SBにボールが出ると大概の相手はSHがアプローチをかけに出てくる。するとIHが斜めに大外レーンに飛び出していきWGは内側へ。SBがWGに対応すればIHでSBの裏を狙うし、SBがWGについて行かずにIHが出てくるスペースを埋めているなら間に立つWGへ。SBにこれを判断する時間がなければCBやGKに戻してやり直す。
ただこれだと最初のCBからの選択肢はSBへのパスだけになるのでここからのバリエーションもある。
その1つがCBが持っているときにSBは最初から前に出て、WGが下がってくるWGとSBの縦のポジションチェンジ。そしてさらにSBは大外レーンを縦に出るだけでなく、1つ内側のインサイドレーンに出ていくことも。そうなればIHが大外レーンに出てWGの前に。同サイドのSB、IH、WGのコンビネーションでボールを運んでくる。
そして、同サイドでの崩しばかりではなく、クサビのボールを使って落としたとことをサイドチェンジという形もある。守備側からすると同サイドでの崩しがある分圧縮せざるを得ないのでサイドチェンジは効果的だ。

開幕戦でもSBやIHが大外レーンとインサイドレーンを使い分けていたりしていたが、WGも含めたこの3人はどのポジションの選手が内側とか外側とかが決まっているのではなく、最初にアクションを起こした選手の動きを見てそれぞれの立ち位置が決まるという感じ。なので大外レーンの一番前にいるのがSBだったり、IHだったり、WGだったりと選手は入れ替わっている。とはいえ人は入れ替わるものの3人の位置関係はあまり変化しないので、動き方と言うよりも位置が決まっていると言う感じだろう。

と言うことでセレッソはこの形に最初から全く対応できていなかった。
ただし東京も、こうしてやりたいことは見えるが現時点ではその途中。判断ミスで詰まってしまう場面も多く、結局苦し紛れのロングボールを蹴らざるを得なかったりして、逆にセレッソにとっては助かるという場面も多かった。

■ビルドアップを封じ込められたセレッソ

冒頭にも書いたが東京は守備のときに4-3-3から左WGのアダイウトンが前に残って4-4-2になるという形がある。

なので試合立ち上がりの例えばセレッソのゴールキックの場面だとこういった立ち位置でスタート。そして清武が内側に入ってくるのでそれでできた時間を使ってキム・ジンヒョンから丸橋に、もしくは中原で東京のSBをピン留めしてその手前の松田にボールを届けると言う形を使っていた。

しかし15分ごろから守備の形を変更。3トップの3人が前に残りアンカーの青木は最終ラインに、そしてIHの2人が中盤に残りそのままセレッソのCHを捕まえる形の5-2-3になる。
CHがCHを捕まえる形になればいつもセレッソが狙っているのはキム・ジンヒョンからCHの背後に入ってくる清武にミドルレンジのパスを入れる形だが、それに対しては一列下がった青木が前に出てくる形で対応。またCHで段差を作ってずらそうにもIHとマンツーマンに近い状態なので厳しい。さらにCBのとこをも3人になった1列目に監視されている。
となるとやはり狙えるのは丸橋か松田の場所。5-2-3の2の脇である。
しかし東京のこの布陣はここに誘導するのが目的。ここが空いている(ように見える)のは「あえて」だった。
例えば丸橋にボールが入れば5-2-3の5の右、右SBの渡邊が一気に前に出てくる。ここで前を塞いでしまうと右WGの紺野、右IHの安部で一気に挟み込む。
これは逆でも同じ、松田にボールが入れば小川が一気に出てくる。前半のスタート時点では小川は中原でピン留めできていたが、青木が後ろに下がることで5バックになったので人数が足りる。そのための5バックである。

蹴っ飛ばしても相手は木本と森重、繋いでもハメられる。立ち上がりから東京のビルドアップにうまく制限をかけられず「ミス待ち」みたいな状態だったことに加え、ビルドアップを封じ込まれボールを運べなくなったことで一気に東京のペースになった。

失点は23分。ボールを奪い返した後に松田が再び松木に奪い返されたところから最後はアダイウトンのクロスを紺野が流し込むという形だったが、プレッシャーがくる場所を把握できておらず、逃げ道が用意されていないのでなかなか厳しい。もちろん松田のミスとも言えるが、こうなる可能性が十分ある展開に持ち込まれていた。
前半に2失点、3失点してもおかしくない展開だったが、キム・ジンヒョンのセーブと東京の精度(練度)に助けられていた。
40分には東京のビルドアップのミスから高い位置でボールを奪い返し丸橋のクロスに奥埜が飛び込無という千載一遇のチャンスを迎えたがスウォビィクがセーブ。得点を奪うことはできなかった。

東京もビルドアップの精度(練度)がまだまだなのでこうしてミスからボールを奪い返すことができることを考えると、相手にボールを渡してしまうことも一案ではあるのだが、そもそも守備も上手くいっている訳ではないのでミスをしてくれないと簡単にボールを運ばれてしまうのでそうもいかない。

■セレッソの修正


厳しい前半を経てセレッソはハーフタイムに2枚替え。ボールの奪いどころになっていた丸橋と前線で潰されていた加藤に代えて山中亮輔と上門知樹を後半開始から投入。個人の問題というよりも仕組みの問題だが、その仕組みの修正に合わせて選手を入れ替え、布陣も北野が左SH、清武がトップ下に入る4-2-3-1に変更する。

セレッソの後半の修正。まずは東京のビルドアップに対する部分としては前から捕まえにいくこと。
アンカーを挟む形でスタートするのは変わらないが、そこから前半以上に2トップの1人が積極的にCBに対してアプローチをかける。
すると東京のボールの逃しどころは最初は低い位置にいるSBになるのでそこにもSHがアプローチをかけ距離を詰めることで時間を与えないという形である。もちろん前から行くということは後ろにスペースが生まれるので、後半立ち上がりにいくつかあったように一気にひっくり返される危険性もあるのでが、前半のセットしている状態で全く制限をかけることができていなかったのでもう行くしかない。
東京はSBのところで時間を奪われても例えばIHを使ったりして前向きのアンカーにボールを届けられるとセレッソのこのプランも崩壊してしまうのだが、まだ公式戦3試合目で1週間前まで活動休止中という状態。前半からビルドアップの判断ミスも起きていたように発展途中という感じなので、結果的には一定の成果があった。

そしてセレッソのビルドアップでは、加藤に代わって入ったのは上門なので空中戦という選択肢はない。なので結局は空いているというか空けられているSBのところを使うしかない。しかしここにボールが入るとSBが一気に詰めてきて、IHとWGも寄ってくるしCHは捕まっている。
そこでセレッソはSBにボールが入ったところでトップ下の清武が降りてくる形をとった。もちろん清武には青木だったりがついてくるのだがかなり低い位置にまで下がることで、SBに清武へのパスコースを作って清武に少しの時間を与える。
理想としては後半立ち上がり47分に上門のシュートに結びつけた場面のようにSBから清武が受けたボールをCHに落として逆サイドに展開する形で、これができれば相手のプレスを回避し、かつ人数をかけて押し込む形に持っていくことができる。
しかし最初にこの1回はできたものの相手も一度見れば警戒するし、清武に与えられた時間もそんなにあるわけではない。
なのでここから最も多かったのはワンツーでSBが縦に抜けていく形。これで一応は前半の様に自陣でボールを奪われてショートカウンターを受ける場面は減らすことができた。
そして52分にも逆サイドを使えるところまで持って行けたので松田のクロスに上門が飛び込む形は作ったが、これで一気に同点から逆転だという形だったかと言われると微妙。
SBは縦に抜けれるのでクロスまで持ち込むことはできるようになったが、ボール運びが単調で縦に速すぎる。そして清武は下がるのでクロスに入れるのは上門とSHが間に合うかどうかという状態が多く可能性のある攻撃はそれほど作れていたわけではなかった。
ただ、試合展開はこれによって間違いなく速くはなった。

■速くなった影響が出たのは


東京は59分に安部と紺野に代えて東慶悟と永井謙佑を投入。永井は左に入りアダイウトンが右に移動する。
安部は少し痛めている感じもあったがミッドウィークのルヴァンカップにもフル出場しているのでそこを考慮したか。
永井の投入は守備の強度と速くなっていた展開を使うためだろう。

しかしその直後、61分に青木が北野を倒しイエローカード。30分にもイエローカードを受けていたので2枚目で退場となる。
このイエローカードは先ほどのSBがワンツー裏をとる形のバリエーション。山中にボールが入り渡邊が前に出てきたところで北野が背後に飛び出したところを青木が引っ掛けた。
東京は5-2-3になってIH2枚が前、SBも前というベクトルでのプレーをカバーしていたのが青木。
客観的に見れば無理に行く必要があったかどうかは微妙なところだったが、青木には負担がかかっていたので行かざるを得なかったのだろう。
コンディションの問題もあるだろうが、速い展開になったことで負担がかかる頻度はより増していたということかもしれない。
セレッソが最初からこれを狙って速い展開に持ち込んだわけではないだろうが、思わぬ副産物で数的有利の状況となった。

■圧力をかけるも


青木の退場を受けて東京は4-4-1に。セレッソは64分に北野と奥埜に代えて新井晴樹と鈴木徳真を投入。
北野はミッドウィークのルヴァンカップでも81分までプレーしていたのでここでの交代。方法論としては山田寛人を入れて上門を左に回すという手も考えられないわけではないだろうが、山田は今季初のベンチ入りなので30分超は厳しいという判断があったのかもしれないし、上門の1列目の守備を残したいという意図もあったのかもしれない。

そして71分にセレッソは中原に代えて山田寛人を投入。山田はそのまま右に。同時に東京も渡邊とディエゴ・オリヴェイラに代えて中村帆高と三田啓貴を投入。アダイウトンがFWになる。
東京のこの交代で最初に7番の三田と交代するとボードに出たのは15番のアダイウトンだったので少し混乱も起こっていたが、実際に交代したのは直前のプレーでちょっと足を痛めていて交代してほしいと要求していたディエゴ・オリヴェイラだった。

数的有利になってからは当然ながらセレッソが押し込む展開になる。
特に三田が入ってからは、なぜかボールを取りに前に出てくるのでセレッソはそのスペースを使って左サイドからボールを運んでいくようになるがブロックの外から叩くだけの攻撃なのでなかなか崩すとまでは行かなかった。
ただしボールは何度も運べているので力技で押し切れる可能性もなくは無い。
しかし山中のFKも清武のシュートもスウォビィクがセーブし、89分の鈴木の折り返しに新井がシュートを放つ決定機もシュートは枠を外れた。

東京は84分にアダイウトンに代えて山下敬大を投入。
東京がそのまま逃げ切り0−1でセレッソ大阪はFC東京に敗れることとなった。

■その他

準備してきたことが全くハマらなかった前半が痛かった。相手に退場者がでたことでゴール前に馬でボールは運べていたが、こうなるとなかなか盛り返せないという小菊監督の負けパターンとも言える試合だった。
FC東京はセレッソの戦い方をしっかりと分析して対策を打ってきたというところだろう。
そして試合の運び方、退場者出る前からの交代は現実的。「攻撃的」とも言われる監督だが、以前にも書いたようにリスク管理はしっかりしていいるし現実的である。

セレッソはこれでリーグ戦での未勝利が続くこととなったが、上手くいかない試合もあれば上手くハマる試合もあるので我慢して続けていくことが大切ではないかと思う。


0 件のコメント :

コメントを投稿

新着記事

人気の投稿

セレッソ大阪公式Twitter

楽天

楽天トラベル