2022年3月4日金曜日

3/2 YBCルヴァンカップ グループステージ第2節 VS. 鹿島アントラーズ @ 県立カシマサッカースタジアム


スタジアム県立カシマサッカースタジアム主審御厨 貴文
入場者数3,966人副審大川 直也、船橋 昭次
天候 / 気温 / 湿度雨 / 10.9℃ / 39%第4の審判員蒲澤 淳一

鹿島アントラーズ鹿島

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • コーチ
  • 岩政 大樹
 
  • 監督
  • 小菊 昭雄

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「20000人以下」)での試合開催

<監督コメント>


<選手コメント>


2週連続でのミッドウィーク開催となるYBCルヴァンカップ グループステージ第2節。敵地県立カシマサッカースタジアムでの鹿島アントラーズ対セレッソ大阪の一戦は17歳北野颯太のプロ入り初ゴールが決勝点隣0-1で逃げ切り。セレッソ大阪はルヴァンカップグループステージ2連勝、鹿島アントラーズは週末のリーグ川崎フロンターレ戦に続きホームで連敗を喫することとなった。

■メンバー

鹿島アントラーズのスターティングメンバーは週末のリーグ戦から7人を入れ替え。クォン・スンテ、常本佳吾、関川郁万、樋口雄大、荒木遼太郎、上田綺世、鈴木優磨が外れ、広瀬陸斗、三竿健斗、中村亮太朗、ファン・アラーノ、エヴェラウドが起用された。
ただこの新たに入ったメンバーのうち、三竿と中村は川崎F戦で後半頭から45分間プレー。さらに広瀬とエヴェラウドは24分間、染野は13分間プレーしており、結果的には得点を奪えず敗戦したものの川崎F戦でミスがらみで大混乱した前半からなんとか持ち直した後半にプレーしていた選手が多数出場している。
鹿島は今季から新たにレネ・ヴァイラー監督を招聘したが入国制限のためにまだチームに合流できておらず、チームを率いているのは岩政大樹コーチ。
またルヴァンカップグループステージ第1節は対戦相手の大分トリニータがチーム内で新型コロナウイルス感染症の感染拡大が起こった影響で来週15日に延期となっているため、この試合がルヴァンカップの初戦となる。

セレッソ大阪のスターティングメンバーは週末のリーグ戦から8人入れ替え。キム・ジンヒョン、鳥海晃司、丸橋祐介、原川力、乾貴士、清武弘嗣、加藤陸次樹が外れ、清水圭介、舩木翔、山中亮輔、鈴木徳真、為田大貴、上門知樹、北野颯太が起用された。
1週間前のルヴァンカップグループステージ第1節から比較すると鳥海に代わり西尾隆矢、中島元彦に代わって奥埜博亮という形になっている。
松田陸はこれでここまでの公式戦4試合全て、中原輝は3試合連続、西尾と奥埜は2試合連続でのスターティングメンバー入りとなっている。
そしてこの試合では長崎から加入した毎熊晟矢が初のメンバー入り。試合開始前にも新型コロナウイルス陽性判定者が出たとのリリースがあったが、続けてベンチ外となる選手が増えておりコンディション面での難しさを感じさせるシーズンとなっているが、少なくとも毎熊が戻ってきたのはポジティブな材料である。

■北野颯太のプロ初ゴール

開始からわずか47秒でセレッソがビッグチャンスを迎えるところからこの試合は始まる。

GKの清水から舩木、山中と繋いだビルドアップから。狙っていた形は昨季の広島戦でやっていたサイドから遠い方のFWに斜めのクサビを当てて、ワンタッチで背後に抜け出す近い方の選手にスルーパスを送るというものだっただろう。鹿島は前からプレスを仕掛けてくるのでどうしても後ろはマンツーマン気味になる。それを踏まえた最終ライン背後の使い方として準備してきた形だろう。
ただしここでは山中が中へのクサビのパスは北野ではなく戻ってきた中村が足に当てる。しかしこれがちょうど狙っていたのと同じような形になり三竿と入れ替わる状態でボールは上門に。そして上門からのスルーパスで北野が抜けだし、GKの左脇を抜く形を狙って右足アウトでシュートを放つが沖がセーブ。決定機だったがスコアは動かなかった。

さらに今度は6分。おそらく中村の動きに上門がつられると考えた三竿がノールック気味にCHラインを超えてもう1列前の土居への縦パスを狙うが上門は中村の動きに釣られなかったのでこれをインターセプト。前に出ていた鈴木からのスルーパスで再び北野が抜け出し沖と1対1になるもまたもや沖がセーブ。今度は股下を狙ったシュートだったがストップされてしまった。
これで北野は先週末の京都戦から3回連続GKとの1対1を止められることに。京都戦ではシュートの場面は「いっぱいいっぱいだった」と言っていたが、今回の2本は冷静に狙いながらも止められた形。活躍を見せているとはいえまだ17歳。やはりプロの壁は高いのだろうと思っていた。

しかしここからわずか 6分後の12分に歓喜の瞬間は訪れる。
ここもGKからのビルドアップで鈴木から山中へボールが渡ると、北野はCBの間からいわゆるポケットと呼ばれるハーフスペースの一番奥・ペナルティエリア内へ飛び出し山中から浮き球のパス。
ここでボールを受けた北野はファーストタッチで自分のコントロール下にボールを収めるとワンテンポずらして反転。そこから放った強烈なシュートがニアサイドを破りゴールに突き刺さった。
この場面は本人も語っているようにファーストタッチが完璧。相手が飛び込めない状態を作ることができ、ここでワンタッチで収めたことで1つタイミングをずらすことができた。
北野に対応したのはキム・ミンテで、もう1人のCBである三竿はカバーできるポジションに入ろうとしているが、これは北野の動きだしが内から外へ流れる形だったのでシュートは無い、上がってくる味方を使うプレーを選択するだろうというイメージだったと思う。
相手にこういうイメージを持たせることができたのは、ファーストタッチで完璧にコントロールできたので1つタイミングをずらしたから。そしてそのタイミングで顔を上げて味方の状況を確認する動きを入れたからだろう。
しかし本人が選択したのは反転シュート。アジリティ勝負では北野が上、そして1つタイミングをずらしたことで相手はどうしても対応が遅れる。そしてシュートはニア。3本連続でGKに当てていたシュートに比べると格段に難しいシュートだったが、完璧に決めてみせた。

■前半を鹿島はどう捉えていたか

こうして立ち上がりから立て続けにセレッソが決定機を作っていて、その3つ目で先制することになったこの試合だったが、鹿島としては立ち上がりについてそこまで上手くいっていないという認識はなかったんじゃないかと思う。
1つ目の決定機はちょっとアンラッキーだった部分もある。そして2つ目は川崎F戦同様のビルドアップでのミスからだったが、おそらくこの試合では川崎F戦を踏まえて、そしてこの試合のセレッソの2トップコンビは比較的アグレッシブに守備をしてくることも踏まえて、低い位置から繋いでいくだけではなく、前にスペースがある場合は長いボールも使っていこうという意思統一がなされていたのだろう。長いボールを使って敵陣で一気にポイントを作るようなボールの運び方をしてくる場面も多かった。
そしてボールを失えば高い位置からプレスを仕掛けよう。そのままボールを奪い返すことができれば最高、ダメでもセレッソの2トップには高さがないので長いボールを蹴らせればOK。それを回収しようという狙いだったのではないだろうか。
実際に立ち上がりのセレッソは長いボールを蹴ることも多かった。

しかし鹿島にとって計算違いだったのは、立ち上がりのセレッソは長いボールを使って速く攻めることを狙っていたことだっただろう。
速く攻めると早くボールを失うので普段のセレッソであればあまり有難い展開ではない。速い攻撃一本になってしまうと押し込まれる時間が増えるからだ。なので開幕の横浜FM戦では敵陣に長いボールを送り込む速い攻撃と同時に、そこから敵陣でボールをキープしようとしていた前半があった。
しかしこの試合立ち上がりのセレッソはどんどん前にボールを蹴っていた。これを鹿島は蹴らせることができていると感じていたかもしれないが、セレッソにとっては蹴らされているのではなく、自分達のプランとして蹴っていたと思う。

もちろんプレスに引っかかることもあったし、クリアしか選択肢がない状態だったこともあった。しかし、セレッソが自分たちのプランで蹴っていたと感じたのは長いボールを使う時にそこまで困った状況に追い込まれていなかったからである。

立ち上がりのセレッソが蹴っていたロングボールは相手のSBの裏を狙ったもの。最終ラインのサイドの選手が鹿島の1列目のプレスを受けると相手のSBが前に出て幅をとっている選手を捕まえにくるので、その背後にFWを走らせるという形である。
おそらく頑張ればGKを使ってやり直せるかもしれないし、CHやSBに出せるかもしれない。けどシンプルに背後を狙う。もちろんこれば立ち上がりだしリスクを負わないためでもあるだろうが、背後もあるよということを見せたかったんだと思う。
SBの裏に流れたFWは収められないことも多かったが、それでもOKだったと思う。

しかしこのSB裏を狙うことによってSBは前に出にくくなる。となるとCBからSBへのパスルートができる。
ここに入れば1つ目のチャンスで狙っていたようなFWの奥に当てるクサビのパスや、近い方のFWを背後に走らせるパスを出せるようになっていた。

この場面で鹿島にとって問題なのは、右サイドの3人、SHのファン・アラーノとCHの中村、右SBの広瀬は誰を捕まえて良いのかわからない状態になっていることである。
4-4-2のセレッソに対して鹿島は4-4-2(4-2-3-1)なのでミラーゲームの状態。そこから鹿島はプレスに行くので、CBと FW、SHとSB、CHとCHという形で明確にターゲットがいる。しかしそこからセレッソはビルドアップの時に松田陸を残して3バックにするので、左SHの染野は松田陸に対応するために前に出るが、左SBの山中は高い位置に出ていくので右SHのファン・アラーノは前に誰もいない。
また広瀬と対峙するはずの為田も内側に移動しているので前にいるのは山中、そして中村は前に鈴木はいるが後ろに為田もいる。
セレッソがポンポン背後にボールを出すのであまり目立ってはいなかったが、試合の立ち上がりからこの構図になっていた。
なので展開としては蹴らせているとも言えるが鹿島の特にSHやCHにとっては後追いになってしまっている場面が多く、鹿島は少しずつ前からいけなくなる。
その結果、20分ごろからセレッソが徐々にボールを保持できるようになっていた。

プレスに行きたいけど捕まえるべき選手がはっきりしないとなるとそのずれは全体に広がる。
30分に西尾から右サイドの大外にいる中原につけて中原は北野へ、そして北野からのスルーパスで上門が抜け出しシュート。
上門が得意とする天井を狙った強烈なシュートはクロスバーに当たってしまったが、シュートまでの展開で鹿島は全て後追いになっておりセレッソが完全に崩した形だった。

先にも書いたように速く攻めるということはボールを失う確率も上がる。なので前半を通じて全体的には鹿島の方がボール保持率が高かったとは思うのだが、その中でもしっかりとブロックを作って対応。その中でも上門と北野の2トップの守備、特にプレスバックが素晴らしかった。
この2人はお互い相手を背負ってプレーできるタイプではないが、スペースに出ていくし守備ではプレスバックを厭わない。
流石に高い強度でこれだけやると90分プレーするのは難しいのかもしれないが、ルヴァンカップの戦いの中では確実に大きな武器になっている。

■前に踏み込む修正する鹿島


悪くないはずの立ち上がりから失点し実は上手く行っていなかった前半を経て、後半開始から鹿島はまず布陣を変更。染野を前に出し土居が左、中村がアンカーでピトゥカがトップ下にいる中盤ダイヤモンド型の4-4-2にする。
この布陣は川崎F戦でも後半頭からやっていたのでどこかでやるかもと思っていたが、やはり変えてきた。

そして53分に鹿島は2枚替え。染野とファン・アラーノに代えて仲間隼斗と和泉竜司を投入。土居が前線に戻り仲間は左、和泉は右に入る。
交代を後半開始から8分待ったのはセレッソの出方を見たかったからだろう。
ルヴァンカップなのでハーフタイムで選手を入れ替える可能性も十分ある。となるとやり方も変わる可能性もあったからだと思う。

鹿島は4-3-1-2にすることで浮いてしまっていたSHの役割を修正。後ろに残る松田陸には仲間が出ていくので時間はかかるが、ピトゥカが前に出ることでCHを消し、さらに中村が後ろに残ることでCHの背後をケアできるように。前に踏み込む形でズレを抑えに来た。

そして61分に鹿島は土居とエヴェラウドに代えて荒木遼太郎と上田綺世を投入。同時にセレッソも松田と奥埜に代えて毎熊晟矢と原川力を投入。
ポジションはどちらもそのまま。土居もそうだったが荒木も下がってきてボールを受ける場面もかなり多いが、守備の時には1列目に入るので同じなのだろう。
毎熊はようやくメンバー入りし、これでセレッソデビューとなるが、ハーフタイムではなく61分の投入なのでまずは30分というところか。
ただし久々の公式戦、さらに移籍後初出場、そして相手は強度を増していこうとする鹿島ということでなかなか難しい入りとなった。

ここから鹿島がかなり押し込んできて、セレッソはCBとCH、そして山中のところでプレッシャーを受けるので長いボールを使うしかなくなる展開となるのだが、もしかしたらそのまま松田が残っていればそこから試合を動かすような手が打てたかもしれない。
ただこの試合はルヴァンカップ。結果も大切だが結果以外の要素も絡む試合である。

68分にセレッソは中原と上門に代えて清武弘嗣と加藤陸次樹を投入。鹿島は72分に中村に代えて舩橋佑を投入。

さらにセレッソは81分に北野に代えて新井晴樹を投入し、清武がトップ下に移動。

セレッソが押し込まれる展開になってからは防戦一方という感じで、上田の投入直後には広瀬からのクロスを上田らしいDFの前に入ってくる動きでヘディングシュートを放つ場面はあったが枠外に。さらに上田にはいくつかチャンスはあったが決められなかった。
というのもダイヤモンド型の中盤になってからの鹿島は押し込むものの前線、中盤が中央に固まってしまいセレッソのブロックに突っ込んでいくだけという状態。サイド攻撃はSBのオーバーラップだけで、外からブロックを動かすというプレーもなく大外レーンからのクロスのみ。ピンポイントで合えば良いのだろうが、セレッソが跳ね返し続けた。押し込んでいるので事故が起こる可能性はあるだろうが、あまり効果的な攻撃には見えなかった。
とはいえ一方のセレッソも効果的にカウンターを打てていたわけではない。唯一作ったビッグチャンスが加藤の折り返しに為田が合わせた場面だが、沖の逆を突くようなシュートを狙ったものの、それが逆に沖の足に当たる結果となった。

両チームともに最後は少しバタバタしながらも、スコアは動かすそのまま試合終了。0-1でセレッソ大阪が勝利し、ルヴァンカップ2連勝。グループ突破に向けては大きな勝利を飾った。

■その他

かつては相性が良かったが、2010年代以降は全く勝てない相手となった鹿島。近年はポジショニングでずらすセレッソに対して鹿島が後手を踏む展開になることも多かったのだが、それでも結果的に押し切られてしまうというパターンになることも多かった。
それがこの試合では先制点を奪い最後まで踏ん張ることに成功。ルヴァンカップとはいえ自信になる結果だっただろう。
特に前半のリードの作り方は実に小菊監督のチームらしい展開だったと思う。

一方の鹿島は、ホーム連敗という結果もあるが2試合続けて前半うまくいかなかったのは岩政コーチにとっては悩ましいところ。
そして2試合続けて前に踏み込む形で修正はしているものの結果的には2試合続けて無得点。修正はしているもののその先がよくわからず、結局ゴールを狙うのは力技といった感じになってしまっているのも悩ましい。
とはいえ鹿島にとってはレネ・ヴァイラー監督が来てからが本番なのだろうが。

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