川崎フロンターレ | 5 | 4 | 前半 | 1 | 4 | セレッソ大阪 |
1 | 後半 | 3 | ||||
延長前半 | ||||||
延長後半 | ||||||
PK戦 |
スターティングメンバー |
川崎フロンターレ | セレッソ大阪 | ||||||
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選手名 | 番号 | 位置 | シュート | シュート | 位置 | 番号 | 選手名 |
杉山 力裕 | 1 | GK | 0 | 0 | GK | 21 | キム ジンヒョン |
小宮山 尊信 | 8 | DF | 2 | 1 | DF | 4 | 藤本 康太 |
實藤 友紀 | 2 | DF | 1 | 1 | DF | 14 | 丸橋 祐介 |
谷口 彰悟 | 15 | DF | 0 | 0 | DF | 16 | 安藤 淳 |
登里 享平 | 23 | DF | 1 | 0 | DF | 23 | 山下 達也 |
大島 僚太 | 16 | MF | 1 | 0 | MF | 5 | 長谷川 アーリアジャスール |
中村 憲剛 | 14 | MF | 2 | 0 | MF | 11 | 楠神 順平 |
森谷 賢太郎 | 19 | MF | 0 | 0 | MF | 25 | キム ソンジュン |
レナト | 10 | MF | 6 | 1 | FW | 9 | 永井 龍 |
小林 悠 | 11 | FW | 5 | 4 | FW | 10 | フォルラン |
大久保 嘉人 | 13 | FW | 4 | 3 | FW | 13 | 南野 拓実 |
西部 洋平 | 21 | GK | GK | 1 | 武田 博行 | ||
田中 裕介 | 3 | DF | 0 | DF | 3 | 染谷 悠太 | |
井川 祐輔 | 4 | DF | DF | 7 | 新井場 徹 | ||
ジェシ | 5 | DF | 0 | 0 | MF | 2 | 扇原 貴宏 |
稲本 潤一 | 20 | DF | 0 | 1 | MF | 15 | 吉野 峻光 |
山本 真希 | 6 | MF | MF | 18 | 平野 甲斐 | ||
金久保 順 | 18 | MF | 0 | FW | 20 | 杉本 健勇 |
22 | シュート | 11 |
---|---|---|
7 | GK | 12 |
7 | CK | 8 |
12 | 直接FK | 4 |
3 | 間接FK | 2 |
3 | オフサイド | 2 |
1 | PK | 0 |
川崎フロンターレ | セレッソ大阪 | |
---|---|---|
小林(10') 大久保(13') レナト(26') 中村(45'+1) 小林(81') | 得点 | 南野(5') 丸橋(49') 藤本(74') フォルラン(85') |
森谷→稲本(61') レナト→ジェシ(90') 小林→田中(90'+3) | 交代 | キム ソンジュン→扇原(HT46') 楠神→吉野(HT46') 長谷川→杉本(85') |
杉山(90'+4) | 警告 | キム ソンジュン(5') 南野(39') |
退場 |
ほぼ1ヶ月前にACLで延期になっていた12節としてワールドカップ中断あけの初戦として、柿谷曜一朗のラストマッチとしてキンチョウスタジアム戦った川崎フロンターレ。
短期間での再戦となりますが、今回はアウェイで20節としての対戦となります。
セレッソのメンバーは、前節のケガによる山口蛍の離脱を受け、この試合では長谷川とキムソンジュンのダブルボランチでスタート。
また、これまでスタメン出場を続けてきた杉本に代わりここ数試合途中から起用されている永井がCFのポジションに入り、右サイドには南野、左サイドは楠神、トップ下にフォルランが入る形の4-2-3-1となっています。
また鳥栖戦で故障した平野と2度の靭帯弾裂を乗り越え2012年11月7日のアウェイ仙台戦以来1年9ヶ月、647日ぶりの公式戦となる吉野がベンチに戻ってきています。
一方の川崎は、前々節に柏にミスマッチを活かされ守備がボロボロになってしまった事をうけ前節は3-4-2-1の浦和に対してマッチアップを合わせる3-4-3を採用。
今節は4バックのセレッソに対して戻す事も考えられましたが、そのまま3-4-3を継続し、今度はミスマッチを活かそうという狙いをもってきました。
■セレッソのやろうとした事
守備の形 |
しかし川崎が3-4-3でくるかもというのは事前情報でも出ていたので想定外という事はなかったでしょう。
それに対してセレッソがとったのは4-4-2のコンパクトなブロックを作るという方法でした。
広島や浦和、柏等Jリーグでは3バックを採用するチームが増えているのでなんども書いてますが、3-4-3と4-4-2だと人対人という考え方ではミスマッチが起こって誰が見るのかというのが曖昧になっちゃってその結果どこかにひずみがでてしまいます。
ただ、場所を守るという考え方のゾーンディフェンスでは、ボールもゴールも1つしかないからボールとゴールの直線に対して守備の形をとり、その布陣をコンパクトに圧縮して選手間の距離を縮める事でミスマッチによるポジション修正の距離を短くして、その影響を抑える事ができるんですね。
プレッシングとポジション |
GKとDFラインの間にアーリークロス |
川崎の守備は人を見る傾向が強く、またボールウォッチャーになるので例えば楠神が開いた位置でボールを受けるとそこは右WBの森谷が見に来る。そこで中に動いて丸橋が上がってくると、小林と實藤の間で丸橋が楽にボールが持てます。
さらにそこからDFラインとGKの間に速いボールを入れるとボールウォッチャーになってしまう傾向が高いので外から飛び込む選手は大外からWBが戻ってきて対応する形になってしまいます。実際浦和戦でもマッチアップを合わせているにも関わらずサイドからの攻撃にはかなり手を焼いていました。
そして実際その形で立ち上がりの5分に丸橋のクロスを右の外から小宮山の後ろに飛び込んできた南野が登里を振り切って頭で合わせセレッソが先制します。
守備では立ち上がりなんだからもうちょっとしっかり全体に押し上げて前からプレッシャーをかけてもいいかもしれないなあと思わせる部分はありましたが、プレッシャーをかける時にはボランチも前に出てくる事ができていたし、攻撃では狙い通りの形で点が取れたのでこの後に期待を抱かせる立ち上がりでした。
■ミスマッチを活かされる事に
セレッソの高いラインを察知した川崎は、セレッソが先制する直前から中村を中心に先制前から小林と大久保が早いタイミングで裏のスペースを狙ったパスを出してきていました。
同点ゴールの場面 |
ボールホルダーがフリーで中途半端に高いラインだとやっぱり裏を取られてしまう危険性が高くなってしまいます。
この時大久保がフリーだった理由は楠神のポジションが間違っていたからです。
戻したボールを森谷がボールを受けた時に、キムソンジュンが寄せその両脇の南野と長谷川は斜め後ろのポジションを取っていました。これは正解です。そして大久保が下がってきたスペースは長谷川の外側。この時楠神は、相手3バックの一番外にいる實藤につられたのか随分右サイドに開いてしまっていました。
4-4のゾーンで守るならここは楠神が中にしぼっておかないといけないスペースだったんですよね。4-4でゾーンで守る時は相手の3バックがどこにいようと関係ないんです。3バックにボールが出ればスライドして組織を作り直すだけなのに、開けてはいけないスペースを空けた事で同点ゴールを許してしまいました。
この失点でセレッソは最終ラインを上げにくくはなりました。が、結果的にはこの時は、相手陣内にボールがある時はまだ上げようとしてたし、コンパクトは維持しようというのが見えたのでまだマシでした。しかし左サイドでボールを運ばれて後ろで戻したボールを隣の中村に横パスをだされると中盤は前にでてプレッシャーをかけにいく事が全く出来なくなっており、余裕をもって裏を狙う小林にパス。そこはなんとかマークをしていた藤本がCKに逃げるも、そのCKから大久保に決められて逆転されてしまいます。
CKのボールは低くて速いボールでした。セレッソはCKをゾーンで守ります。ゾーンで守る時は速いボールをピンポイントで合わされるとどうしようもないので、速いボール=低いボールはニアではね返すのが原則になってます。しかしこの時、低くて速いボールだったのにニアではね返す事ができなかったんですよね。ニアに入っていたのは永井で、そこはこれまで杉本が入っている場所でもありました。レナトが蹴る前に丸橋がポジショニングについて指示をしていたんですが、このボールに永井は飛ぶ事もできませんでした。
この失点で、セレッソの4-4-2からコンパクトさは全く無くなってしまいました。
失点を恐れた最終ラインは下がる、下がると相手のボランチに中盤からプレッシャーがかけられない。前は行った方が良いとおもって行こうとするけどついてこないからいけない。
という事は、ボールホルダーにプレッシャーにいけないしカバーできる位置にも選手がいない。となると守備では人を見るしかなくなってしまいます。
ミスマッチ |
3バックだとよくおこる現象としてWBが上がってきた時にだれが見るのか。SBが3トップの両サイドをみているとWBはSHが見る事になり押し込まれポジションがぐちゃぐちゃに、それに合わせて大久保は下がってボールを受ける動きをしてそのスペースに小林が入ってくるというコンビネーションが絡むともう最終ラインは混乱。そしてどうしてもボールサイドから守備をしていく事になるので外側では完全にフリーにしてしまうという現象が起こってしまいます。
その結果中村のサイドチェンジからレナトに1対1で挑まれた安藤が倒してしまいPK。
前半アディショナルタイムにはボールサイドに寄せさせられたCBとSBの間を中村憲剛に飛び込まれて失点4-1となってしまいました。
こういう状況になった時、例えばPKの場面なんかだと安藤の守備だったりがクローズアップされたりするんですけど、もちろん安藤に1対1の状況でレナトをシャッタアウトする守備力があればあの場面もPKにならずに止められたかもしれませんが、問題点はそういう事じゃないんですよね。そもそもレナトはJリーグでもトップクラスの突破力があるアタッカーなんでそうそう止められる選手はいませんし。じゃあなにかといえば、あの場面で安藤のサポートに入れる距離に選手がいなかった事が問題なんです。抜かれてもカバーの人がいればそこでボールを奪えるわけですから。それがあの場面ではCBの2枚がボールサイドに引っぱられてたのでサイドチェンジでレナトがボールを受けた時にはもう完全に1対1の状況で、安藤が1人でレナトを止めきらないといけない状態になっていた。なのでムリに守備で身体をぶつけてPKをとられてしまうという事です。
人数をかけてブロックを落とす守備 |
■ペッツァイオリの策
この前半は4-4-2のゾーンの圧縮で行こうとして準備をしていた。それが前回対戦時には少なくとも半分の時間はしっかりできていた相手に対してなんとかできたのは10分ほど、ミスをきっかけにできなくなる。そして組織がバラバラになる。
ペッツァイオリ監督自身にとっても少しショッキングな内容だったと思います。
しかしハーフタイムで2枚替え。キムソンジュンに代えて扇原、楠神に代えて吉野を投入してきます。
後半開始〜 |
4バックの内丸橋を1つ前に出し、右から安藤・山下・藤本の3バックにし、その前に扇原。
そして交代で入った吉野が右WB。扇原の前には南野と長谷川を並べてその前に永井とフォルランが入る形にしてきます。
この形は、川崎の3-4-3に最終ラインと中盤を完全に合わせてその間で扇原が1枚あまるという布陣になっていました。
守る時にレナトが左で開く反面逆サイドの小林は中に入りその外のスペースに中継では丸橋が戻った4-1-2-3だと見えたのでその様な主旨の話しもありましたが、役割・マッチアップを考えると3-1-4-2(3-3-2-2)だと言って良いでしょう。
扇原が浮いている状態に |
それを踏まえてこの布陣、合わせるなら浦和に合わせた川崎の様に中盤にボランチを2枚置いた3-4-3(3-4-2-1)にするのではなく1枚がアンカーでその前に2枚が並ぶ逆三角形になっていたのも大きなポイントでした。
先ず守備の時、3点ビハインドという状況ですからセレッソはどんどん積極的に前からいかないといけません。
それが、2トップで相手の3バックに対してサイドに追い込む事ができたらWBとボランチはしっかり噛み合ってて、しかもそのボランチの後ろには扇原が1枚余ってるので迷い無く前にでれる。そして川崎はGKが蹴る以外ほとんどしませんでしたが、ロングボールに対しても後ろ3バックが3トップと同数なんだけど、そこに扇原が加われるので1枚余ってカバーもできる。
さらに、川崎はボールがあまり前線に入って来ないと大久保が引いてボールを受けに来るんですが、その時に山下が扇原とマークを受け渡す事ができるので開けてしまう事もないんですね。
また逆に攻撃の時には、川崎も後半開始早々に前線からプレッシャーをかけにくるんですが、扇原を見る人がいない。ここにボランチが出て行くとセレッソのインサイドハーフが空いてしまう。けどそこまで3バックは前にでて来れない。そしてフォルランも下がってボールを受ける様になる。
さらに吉野がサイドの開いた所でボールを受けて中に向かってドリブルを始めると人に対する意識の高い川崎の守備は大混乱に陥ります。
49分には右サイドを突破した永井からのクロスをやはり一番外側から飛び込んできた1つポジションを上げた丸橋が一番外側から森谷を振り切って飛び込みゴール。
さらに永井が決定的なシュートを放つもクロスバー、吉野のシュート、長谷川のスルーパスから南野はオフサイドになりましたが完全にセレッソがペースを握り勢いを持つ様になります。
61分〜 |
小宮山を右SBに回して登里を左SBに下げ、稲本はボランチに入り大島と、そして中村憲剛を1つ前に出してきます。
要するに風間監督は中盤の扇原の所に中村憲剛を当てマッチアップを完全に合わせてきたという事です。
この交代によって扇原を見る人を決めた事でそれまでの大混乱からは持ち直しましたが、川崎が有利になる策とまではいかないのでまだ勢いを持ったセレッソペース。
吉野が開いた所から中に入って南野とポジションチェンジをする動きに川崎は対応できていませんでした。
そして71分にCKのこぼれ球から安藤のクロスを藤本が合わせて4-3とセレッソが1点差にまで詰め寄ります。
この辺りから吉野と南野のポジションは最初から入れ替え吉野をインサイド、南野を右WBにしていました。
しかし勿体なかったのは81分。大久保のミドルシュートで得たCKから中村憲剛のCKは再び低くて速いボールをニアへ。前半の失点シーンから何本かはニアを続けていましたが、その後はファーを使ったりしていたんですがここで再びニア。セレッソはフォーメーションを代えた事でニアポストは永井から安藤に代えていたんですが、その安藤を越えたボールはキムジンヒョンがはじくも小林の目の前に、それを決めて5-3と川崎がリードを広げました。
散々ニアをやられていて扇原が入ったんだからニアポストは扇原でよかったのかもしれないと思うと本当に勿体ない失点でした。
あと一旦は杉本を準備していたようですしね・・・
しかしこれであきらめるわけにはいかないセレッソは85分に抜群の動き出しとピッタリのタイミングのパスで長谷川の浮き球パスをフォルランがダイレクトで決めて再び1点差に。
93分〜 |
何とか守りきりたい川崎は90分にレナトからジェシを入れて右SBに實藤、左SBに小宮山と高さの不安を消すと93分には小林に代えて田中を投入し5バックと次々と最終ラインに人を投入すると、杉本が良さを見せられずにそのまま試合終了。
惜しくも追いつく事ができませんでした。
■その他
色々な要素があった試合でした。
先ずは4-4-2でコンパクトに出来なかったブロック。やりたい事が出来ない、出来ていた事が出来ない、これは完全にチームとしてかなり危険な状況でした。
しかしそこで布陣と役割を代える事でチームを活性化。
「3点差になった事で川崎は落としたから」と見るむきもある様ですが、川崎は後半の立ち上がりに試合を決めようと前から来ていたので、それよりもここまで書いた様にその適切な修正による部分の方が大きいと思います。
ただ、追いつけなかったのは同じ形で2度もやられたセットプレー。そして後半に1点とった後次の得点まで何度も決定期がありながらも25分もかかってしまった事でしょう。
川崎は10分の小林悠の同点ゴールの後2点目の大久保は13分、3点目のレナトは26分でしたから。
ただ、この試合で追い上げた後半は相手の状況を踏まえての修正なので、次の試合からも同じ様に点が取れるかどうかはまだわかりません。
ただ、必要なのはチームとしてやろうとしてる事を全員で信じて徹底する事。
前半のふがいなさを見ても、このチームに今一番必要なのはそれなんじゃないかと思います。
後、少し話しはそれますが、川崎の風間監督について。
いつも、実際の対戦に向けて少なくとも前の試合かほとんどはその前も含めた2試合ぐらいは見る様にしてるのですが、今回の川崎は1ヶ月前の直接対決以降、セレッソの対戦相手の前節が川崎だった事が多かったのでかなり川崎の試合を見る機会が多くありました。
そこで感じたのは、風間監督のメディアの使い方の上手さ。
川崎の監督に就任する前に解説者としてのキャリアが長い方なので、メディアの事をよくわかっておられるんでしょう。
例えば同じ事を話すにしても、メディアを通じて自分がやろうとしている事、アピールしたいチームのイメージを考え、そのやろうとしてる事やイメージを踏まえたコメントを言葉一つからかなり意識して選び発信されています。
それは目の前のメディアを通して伝わるであろうサポーターに対してだけでなく、自分たちの選手、クラブスタッフ、クラブにかかわる人、そして対戦相手になる他のクラブやそのサポーターまで意識しているように感じます。
少なくとも国内ではこういう所まで意識している監督はほとんどいないと思いますのでので面白いなあと感じました。
いつも興味深く読んでいます。
返信削除前半戦でSBの丸橋から相手GKへのパスとしか思えない縦パスが何本かあり、呆れました。丸橋の問題なのか、中盤の選手たちとの距離感の問題なのかわからないのですが、自陣深くからの攻撃が全く組み立てられない状況に愕然としました。
守備も機能していなかったし、ペッツァイオリ監督も、もうそろそろ自分の描くシステムプランを、現実の選手の能力と適性に合わせて修正しないといけないのでしょうね?
いずれにせよ、早く結果を出さないと混乱が深まるだけなので、頑張ってほしいのですが、何とかなりますかねぇ(-_-;)