スタジアム | ケーズデンキスタジアム水戸 | 主審 | 村上 伸次 |
入場者数 | 8,391人 | 副審 | 桜井 大介、関谷 宣貴 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 26℃ / 74% | 第4の審判員 | 鶴岡 泰樹 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 西ヶ谷 隆之
- 監督
- パウロ アウトゥオリ
試合経過
- 90+4'
-
90+2'
-
86'
- 83'
-
81'
- 68'
-
62'
- 58'
-
55'
- 38'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
SH | 14 | 10 | 9 | 12 |
FK | 15 | 20 | 13 | 15 |
CK | 3 | 4 | 4 | 5 |
PK | 0 | 1 | 0 | 0 |
警告/退場 | 1/0 | 2/0 | 1/0 | 2/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 パウロ・アウトゥオリ監督水戸ホーリーホック 西ヶ谷隆之監督
セレッソ大阪 玉田選手、丹野選手、扇原選手、染谷選手、茂庭選手、田代選手
水戸ホーリーホック 新里選手、岩尾選手、馬場選手
代表Aマッチウィークの中で開催されたアウェイ水戸ホーリーホック戦。
水戸はキム・ソンギが北朝鮮代表に、セレッソは山口蛍が日本代表、キム・ジンヒョンが韓国代表に選出され不在となります。
また水戸は前節柱谷兄弟ダービーで北九州に敗れた事で柱谷哲二監督を解任、セレッソはカカウが退団、フォルランも帰国と両チームにとってリスタートとなる一戦です。
西ケ谷コーチが監督代行として指揮を取る水戸のシステムは、京都戦の途中から採用した4-4-2を継続。ですが、前節は同じ4-4-2でもボランチだった船谷を右サイドに、これまでFW起用が多かった馬場を左サイドにとボールが収まる選手を2列目のサイドに入れています。
一方のセレッソは、扇原がアンカーに、丸橋がインサイドハーフに、染谷が左SBに入る4-1-2-3。大胆な配置変更です。そして3月末に加入した田代がいよいよベンチ入り、またケガで離脱していた椋原もベンチに戻っています。
■セレッソのやりたかった事
セレッソの狙い |
水戸の4-4-2に対してCBが開いて扇原が落ちる事でSBを前に上げる。
相手の2トップを外すのはSBとアンカーの3人。
玉田が降りてくることで相手を引っ張って縦の楔を使うか、インサイドハーフが外に流れて同サイドで縦に崩すか、もしくはそこからのサイドチェンジを使うか。
また特に丸橋については、単純に前線のサイドに入った時に相手のSBとCBの間を縦に飛び出していく事。
インサイドハーフ丸橋の狙い |
また丸橋が出て行ったところには扇原が入る。これで楠神を浮かどうというのが狙い。また丸橋はここから縦にも突破できるし、詰まれば戻して染谷からサイドチェンジを狙う。
これがおそらくこの日のセレッソが攻撃でやりたかった事で、そのための丸橋と染谷だったと思われます。
■実際に起こっていた事
水戸の守備 |
また4-4のブロックの中に入ったボールに関しては激しくプレッシャーをかける。その為に4-4はコンパクトになっている。4-4のブロックはできれば高い位置をキープしたそうですが、ブロックの外でボールを動かして運ばれれば思い切って下げる。とにかく4-4は近い距離でコンパクトな状態でキープする事が最優先という形。
行方不明になる丸橋 |
しかしここで扇原がボールを受けた時に丸橋は既にインサイドハーフのポジションからいなくなっている。前に出るとかサイドに出るとかしてほしいんですが、インサイドハーフの位置から出て行く事に意味があるのに、最初から出て行ってしまえば意味がありません。なのでほとんどボールに絡む事無く行方不明に。また扇原とCBの3人は低い位置でボールを持てますが、その3人で相手の2トップを剥がそうという事をほぼやらない。しかもそのスグ前で長谷川は色々角度を代えたりしていますが1人だけ、丸橋は既にいない。
という事で、時折ブロックの外から個人で輝きを見せる事はありますが、基本的には水戸の守備を動かすこと無く、ロングボールを入れては跳ね返される、ブロックの中にボールを入れれば圧縮状態で奪われるという展開が延々繰り返されます。
これまでこういう時はフォルランがサイドでボールを受けて起点になっていたんですが、フォルランはいない。パブロが左サイドで染谷の前に流れて同じことをしようとするんですが、逆サイドに展開したりとかはできません。
という事で前後の分断化が始まっていきます。
水戸の攻撃 |
セレッソとしては特に染谷はプロデビューが左SBで、それからしばらくはSBとして起用されていたものの、裏のスペースによーいどんとなると分が悪いので、できるだけ走らせたくない。
となるとボールの失い方が重要なんですが、ボールをもってコントロールはできていない状態。そしてさらに32分に裏に走った吉田に対して上手く対処したんですがファールをとられてしまう。
そして38分には裏に走られた鈴木を倒してイエローカード。
この流れで染谷はどんどん高いポジションをとれなくなって、高いポジションを取れないという事は前後分断化がよりひどくなっていきます。
35分の船谷のCKに吉田が飛び込んだシーン、45分の鈴木のカットインからのシュートのこぼれ球を岩尾が押しこむもオフサイドの判定だったシーンは決定的でした。45分のシーンはオンサイドっぽいですね。
ただ、45分のシーンの最初の鈴木のカットインからのシュートは対応していたのが山下で、山下ならあのカットインであれば十分シュートブロックに入れそうなプレーだったんですが、この時ボールを奪われたパブロが必死に走って戻っており、何とか間に合うのですがその戻ってきたパブロがスクリーンになってしまって山下が最後まで対応できなかったという、決まってたらちょっと切ない形なので、この判定はセレッソにとって助かりました。
という事で前半は0-0。シュートは5本ずつでしたが、セレッソはブロックの外側でボールを持てるだけで、前後が分断しているのでブロックの中にボールを入れては奪われるという状態なので、狙い通りに機能してるとはとても言えない状態でした。
■先制点から4-4-2へ
ハーフタイムにおそらく丸橋のポジショニングに修正の指示が入ったのでしょう。丸橋が最初からどこかへ行ってしまうのでは無くインサイドハーフのポジションからスタートするようになりました。しかし後手に回っていた染谷はもはやかなり厳しい状況。2枚目のカードが出てもおかしくないプレーがあるなどギリギリ。
そんな中の55分。ポジションが修正された丸橋とパブロで左サイドでボールを運んで右サイドに展開、酒本がクロスを上げた所で、楠神に背後から前に入られた細川が楠神を引っ張ってPK。
ゴール裏からのリプレイではわかりにくいですが、横からの映像では後ろから前に入られた所で慌てて完全に引っ張っているのが映っていますので、これはアンラッキーでもなんでも無く細川のミスでPKです。
これを玉田が決めてセレッソが先制します。
58分〜 |
丸橋が左SB、吉野は左SH、パブロが右SH、玉田と楠神の2トップと4-4-2に変更します。
セレッソは4-4-2同士とマッチアップを合わせたことで攻守に安定。
吉野とパブロのSH、扇原の守備はかなり怪しい所もあるのですが、マッチアップがあっているのでとりあえず目の前の選手を捕まえておけば大きな事故にはつながらないという事でなんとか守り、また攻撃ではパブロと吉野が中に入ってボールを受ける4-2-2-2の様な形でボールを運びチャンスも作っていきます。
68分〜 |
水戸の攻撃の変化 |
それまでサイドから縦という形だったのが、ボランチや最終ラインから対角のロングパスをドンドン入れていくようになります。
セレッソはこのボールに対する守備も上手くハマりませんでした。
ボランチにプレッシャーをかけられないんですよね。
ボールを奪われた時にボランチにプレッシャーをかけやすい位置にいるのは吉野とパブロ、ただこれで行っちゃうとサイドに戻れない。(実際に何回か行ってしまってましたけど。)ボランチはSBのカバーで下がる、2トップは間に合わない、という事でラインがズルズル下がっていきます。
逆サイドへの展開 |
セレッソは田代投入後しばらくはそこを起点にペースを握りますが、この対角パスに対してラインが下がるようになると押し込まれていきます。
外から外は吉野・パブロが何とか戻ってカバーしていましたが、状況的にはちょっときつい。
時々思い切ってSHが相手ボランチに襲いかかりますが、その暴走は余計にしんどくなるだけでした。
ここでセレッソは阪本を準備。
おそらくこの阪本に託そうとしていたのは、走れる阪本をSHに入れてサイドの守備で頑張ってもらうか、トップ下に入れてボランチに当てるつもりだったか、のどちらかだったかと思います。
しかし81分。前線で吉野とパブロが2人共中に入った所でボールを奪われてカウンター。
セレッソは4人とダブルボランチ2人の6人、水戸は4人+遅れて上がってくる1人。
吉田がサイドでボールを運んでそこに扇原が対応、一旦はスピードダウンさせることに成功。
しかしその内側の馬場へパス。その馬場に酒本が対応しようとするもそのタイミングで丸橋の外側を上がってきた右SBの田向に浮き球パスをだされ、それを田向が落ち着いて決めて1-1。水戸が同点に追いつきます。
このシーンは同点に追いつかれた事もありますが、残念な事も沢山起こっていました。
まず、これまでこのパターンはSHが戻って対応していましたが、このシーンでは2人とも中に入った所でボールを奪われたのでもはや戻れませんでした。
そして最後のクロスの場面、6対5なんで人数は揃ってるんですけど、外は見れていません。
これはこのシーンだけでなく、ここまででSHが対応していたシーンでも何度もあり、SHが戻らなくても対応できるものでもSHに対応させています。
じゃあなぜSHに対応させる事になっているかといえば、距離をあけすぎてボールにプレッシャーがかかっていないからです。
このシーンでも酒本は馬場に寄せているつもりなんでしょうけど、馬場は全くフリーの時と同じ自分のタイミングで自由にボールを蹴ることができています。
なので、相手選手をマンツーマンで捕まえていない限り何人いようとあまり関係なくなっており、逆サイドのSBでは対応しきれずにSHが走りこむ選手と一緒に入ってくるしか対応できなくなっています。
このパターンはこれが初めてではないだけにツラい所。札幌でも、千葉でも、群馬にも同じ形でやられているので、椋原になるのかもしれませんね。
最終メンバー |
そもそも阪本の投入も、おそらく下げるのはパブロか玉田で狙いは先程も書いた中盤の守備だったでしょうから、同点に追いつかれた今アタッカーを1枚減らしてボランチを入れる必要はなくなりました。また相手がサイドを狙っている中で相手との距離を詰められないSBは危険なのでそこを蓋しようというのはまっとうな判断です。
水戸は、86分に吉田に代えて宮市、92分に船谷に代えて小谷野と前線をフレッシュな選手に入れ替え、逆転ゴールを狙います。
セレッソは阪本を入れて中盤の守備を改善しようと準備していました、けどその交代はやめたのでそこは放置されたままです、なので水戸の怒涛の攻撃が始まります。
ただ、良い内容の試合をしてもゴールが遠いのが今シーズンの水戸。
結局そのまま1-1の引き分けで試合終了となりました。
■その他
ここまでで多いパターンの試合でしたね。
こんな形でもフォルランが一発決めて勝ったり、終盤に逆転されたり、この試合の様に引き分けたりと結果は色々ですが…
札幌戦のところでも少し書きましたけど、「組み立てる」や「積み上げる」というより「並べてつなぎ合わせる」って形で作っているので、「仕掛けたもの」がハマらないとピッチ内だけではなかなか修正できないんだろうなあと感じました。
この「並べてつなぎ合わせる」感はブラジルの伝統なんですかね…
あと酒本の距離ですが、今までも抜かれたくないから比較的距離を空けてしまうタイプでしたけど、去年あたりからこの傾向はよりひどくなっている気がします。
こんばんは。
返信削除いつも楽しく勉強させていただいています。
せっかく愛媛戦の前半の出来がすばらしかったのでみんな期待してたと思うんですが、前節の後半のつづきを見ているみたいで、なんとも苦痛な90分でした。
さて、素人考えですが、アンカーをフィードもできる染谷選手を置いた、実質、山下、モニさんと3バックにしとけば守備の面は安定するんじゃないかと思いますが、そんなにうまくいかないでしょうか?
これで守備が安定すれば蛍を一つ前で、攻撃に重点を置いて使えれば、だいぶ得点チャンスは増えるんじゃないかと思うんですが、如何でしょう。
なんにしても、今は蛍に死ぬほどwがんばってもらわなあかん、というのに尽きる気がします。
コメントありがとうございます。
削除染谷をアンカーにいれたところで前の人数を1人減らすだけなので、あんまり意味がないと思いますよ。今の蛍がやっている役割には高さも求められていないですし。
おっしゃるようになんにしても蛍に死ぬほど頑張ってもらわないといけないんですけど(笑)
ついにやって参りました4-4-2!(笑)
返信削除でも、残念な結果でした。(泣)
ボランチをフリーにしてしまうとなったら、ダイヤモンドにするとか4-2-3-1にするとか、方法はあったと思うんですが。
数合わせをしたり、つなぎ合わせたりは、個人能力の高いブラジル人だから当てはまるとは思うんですが、今のセレッソではどうですかね?それでもチャンスは作ってるんで、監督には知恵を絞って欲しいです。
個人的に、右足1本でJリーグを戦っているシャケちゃんのファンなのでもっともっと頑張って欲しいです。
それにしても、FWいてないけど、どうすんだろう?
コメントありがとうございます。
削除ボランチをフリーにしてしまう部分に関してのアウトゥオリのコメントが、「ラインを下げすぎてる」「相手コートでボールをつなぐこと」だと思うんですよね。
それを指示したけどうまくいかない、なので阪本を入れて4-2-3-1にしようという所で失点したという感じなんじゃないでしょうかね。
もちろん失点前に修正しとけよって不満もありますけど、玉田がボランチに行けばもっと楽になった事ぐらいピッチの中でもわかるだろっていう不満もあります。
数合わせをしたり、つなぎ合わせたりは、ブラジル人だからってのはある意味同感で、ブラジルって個人技にスポットが当たりがちですけど、例えば代表チームはほとんどカウンターが得意なチームだったりしますし、ブラジル国内のクラブチームでもそういうチームが強かったりします。例えば以前のバルサみたいなボール持ちっぱなしでチャンス作るぜ!ってチームは全く無いんですよね。なので個人戦術が優れてて、その常識の元だと数合わせをしたり、つなぎ合わせたりでパッと結果がでるって事なんだと思います。
なのでブラジル人監督はそういうタイプが多いじゃないかなあと思います。わかりやすい所だと、クルピもネルシーニョも根っこの所では同じタイプですしね。
やっぱ1トップ3シャドウが感覚的にやりやすいと思いますよ
返信削除役割が簡単になるのと視界に入る味方の人数が多くなるので素早い単純選択がしやすい
4-2-3-1と3-5-2の両方を切り替えてどっちもある程度できるチームになってないと
すごくニュートラルな4-3-3というフォーメーションを常に良い方向に傾けるようなバランス取りは難しいんじゃないですか
ここまでずっと無駄にいっぺんとうなサッカーをしていますよね
コメントありがとうございます。
返信削除システム云々じゃないので4-2-3-1でも何でも一緒だと思いますよ。
クルピの時に4-2-3-1で上手くいったのは同じ形、同じコンセプトで続けるからでしかないですし。
ただ同じコンセプトで続けるから、それにハマらない相手にはなかなか勝てないんですよね。
かといってハマらない相手に何か違う形でしかけても、普段やってないからできない。
そんな事だったと思います。
その分、アウトゥオリは相手によって試合ごとに形やコンセプトを調整するからなかなか高いクオリティにまで達することができない。
それできるようになれば戦い方のバリエーションもできるしかなり強いのかもしれませんが、本当にそうなるのか、いつそうなるのかってのがわかんない。もしかしたら次かもしれないし、ずっと先かもしれない。
そんな感じなんじゃないですかね。