- 10' 玉田 圭司
スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 松尾 一 |
入場者数 | 11,304人 | 副審 | 数原 武志、小椋 剛 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30.1℃ / 47% | 第4の審判員 | 大原 謙哉 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- パウロ アウトゥオリ
- 監督
- ラモス 瑠偉
試合経過
- 90'
- 84'
- 78'
-
74'
-
73'
-
71'
- 69'
-
66'
- 62'
-
53'
- 41'
-
30'
-
10'
- 8'
次あああ
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
SH | 12 | 6 | 11 | 9 |
FK | 20 | 27 | 15 | 14 |
CK | 6 | 3 | 5 | 5 |
PK | 1 | 0 | 0 | 0 |
警告/退場 | 3/0 | 5/0 | 1/0 | 2/0 |
<監督コメント>
セレッソ大阪 パウロ・アウトゥオリ監督FC岐阜 ラモス瑠偉監督
<選手コメント>
セレッソ大阪 扇原選手、玉田選手、丹野選手、丸橋選手、田代選手
FC岐阜 難波選手
FC岐阜 渡邉選手
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東アジアカップが終了し、山口蛍もチームに戻ってきた中で行われたホームキンチョウスタジアムでのFC岐阜戦。
セレッソのメンバーはその山口と脳震盪による経過観察で欠場を続けていた扇原が復帰しダブルボランチ、また丸橋も出場停止から復帰、2トップには今回は玉田とエジミウソンの組み合わせとなり田代はベンチスタートとなっています。
一方の岐阜はまだ最下位ですが、徐々に失点が少なくなっており今節はラモス監督が手応えを感じる発言をしていた前節熊本戦の後半の形がベース。ということで強化指定の青木とヘニキがダブルボランチを組み、2列目には砂川、風間宏矢、高地が並んでいます。
■両チームの仕組み
マッチアップ |
岐阜の前線から捕まえに来る守備 |
ヘニキをターゲットにしたロングボール |
そのターゲットになるのはボランチのヘニキ。ボランチの位置から前に出て空中戦のターゲットとなっています。またその際にもうひとりのボランチである青木が中央にしぼり、高地が少し低めのポジションを取る形にしている様でした。
セレッソのボール運び |
セレッソの攻撃の形 |
このSHに対してSBが絞って対応しようとしても外側をSBが上がっていくという形でペースを握りだします。
セレッソの守備 |
ギグの様に前線から追いかける形ではありませんが、エジミウソンと玉田の2トップがファーストディフェンダーになってサイドにボールを出させた所でボールサイドのSHがプレッシャーをかけて、そこから出た苦し紛れのボールをボランチやSBで奪う形や、そこで奪い切れなくてもバックパスで戻した所で再びSHや2トップでボールを奪うという形が機能していました。
ロングボールへの対応 |
しかし、序盤から少し気になっていたのが、岐阜にアフター気味のファールが多い事。
ヘニキへのロングボールのところも、ボランチを前に出している分そこでマイボールにできないとバランスは崩れてしまいやすいので、セレッソがボールを拾った場合に後追い守備になったり、先ほど書いたように守備への切り替えの速さがセレッソに比べて確実に遅いのでどうしても遅れて守備に行ってしまう。
これを主審がもう少し上手くコントロールできればよかったのですが、最終的に試合を通じて岐阜に5枚、セレッソに3枚という合計8枚のイエローカードが出る試合になる要因となってしまいました。
■セレッソが先制
ということで序盤からセレッソがペースを握ります。
そして6分、玉田のFKから混戦になり、そのこぼれ球を拾った山下がクロスを上げるもPA内で砂川の手にあたった場面。
おそらくこれはボールと砂川の手の間の距離が近く故意では無いという理由でノーファールというジャッジになったのだと思いますが、クロスをブロックにいく中で手を広げてブロックに言っているので未必の故意と判定されハンドでPKというジャッジでもおかしくないシーンでした。
そしてそのプレーからCKとなり、合わずに岐阜の自陣深くでのスローインから。スローインをカットした丸橋が玉田〜関口とつなぎボールを右サイドに大きくサイドチェンジをすると左SBの野垣内が酒本に対応しようと出て来、そのスペースに今度は玉田が岡根を引き連れて流れてくると酒本と玉田のパス交換で岡根が元いたスペースを着いた所で、後ろから野垣内が酒本に手をかけてPKの判定。
PKに至った崩す形 |
このシーンで酒本が入り込んだ岡根が元いたスペースが空いたのは、SBを引き出しCBをサイドに引っ張り出し、さらに中央にエジミウソンと関口、またボックスのスグ外に山口がいて正しい場所にポジションを取ることができていたので、必然です。
セレッソはこういう形を意図して作っていかなければいけません。
あと岐阜のディフェンダーは何もしていない、「ない、ない」と主審に抗議していましたが、手をかけた場合はその時点でファールだということをいい加減覚えましょう。
10分にこのPKを玉田が中央に蹴りこんでセレッソが先制します。
この後、12分にはエジミウソンのプレッシャーを受けた常澤が玉田にプレゼントパスをしてしまうシーン(玉田はコントロールをミスしてシュートまでもっていけず)や、山口がプレッシャーをかけた所でファールをしてのパブロFKも枠外、酒本、山口、玉田でボールを奪って山口のクロスからパブロのシュートもプレッシャーを受けて打ちきれずと続けざまにいくつもチャンスを作っていきますが追加点が遠い。
■岐阜がペースをつかみ始める
そして時間の経過とともに徐々に少しずつ岐阜にリズムが出てくるようになりました。そうなったのは、もしかしたらセレッソが先制した事が影響しているのかもしれません。
しかしそれよりもまず岐阜の攻撃の形が少し変わりました。立ち上がりはヘニキへのロングボール以外はボールをつなごうとしていましたが、15分すぎぐらいから徐々にボールを奪ったらスペースに難波を走らせる様なパスを入れてきます。
そうなるとセレッソはボールを奪う位置が徐々に低くなっていき、さらにセレッソはボールを上手く運べない事が増えていきました。
要は最終ラインが蹴ってしまうシーンが増えたということです。キックオフ直後から岐阜にプレッシャーをかけられると最終ラインがボールを蹴ってしまう事が少し多すぎるかなという印象はありました。
しかしそれでも、序盤から素早い切り替えが出来ており、コンパクトな布陣も保つことができていたので、高い位置でボールを奪える事も多く気にならない程度だったんですが、20分頃から最終ラインからのロングボールが目に見えて増えていきます。
ここ数試合続けて書いていますが、最終ラインはスグにアバウトなボールを蹴ってしまう「田代さんお願いパス」を出してしまう頻度がどんどん増えてきています。ここ数試合でもわかるように、相手を背負ってプレーできる田代がいても彼1人でターンしてドリブルしてシュートまで持っていけるわけではないので、アバウトなボールではチャンスができることは無いんですけどね。
そしてこの試合では田代はベンチスタート。なので前線に張っているエジミウソンに向かって蹴ります。
エジミウソンという選手は浦和に移籍した直後に苦労したように、1トップで相手を背負ってプレーするタイプの選手ではありません。ゴールへ向かってプレーした時に良さが出る選手なんですよね。
ということでセレッソは、相手を背負ってプレーするタイプでは無いエジミウソンに向けて、攻撃のキーマンである関口・パブロ・玉田の頭上を超えるボールを入れ、ボールを失うという悪循環。
形になるのは例えば26分の守備への切り替えからボールを奪い玉田から丸橋に展開しダイレクトで山口に折り返した場面や、パブロと玉田で左サイドを崩しかけたシーン等、高い位置でボールを奪えた時のみ攻撃ができるといった状態で、しかも単純に前に蹴ってしまい、そこでボールも収まらないから間延びして高い位置で守備ができる機会が少ない。
またプレビューでも書きましたが岐阜はカウンターのチームではなく、むしろボールを持ちたいチーム。
という事で徐々に岐阜がボールを持つ時間を増やしていきます。
岐阜の決定機 |
69分〜 |
74分〜 |
この交代の前15分間ぐらいは守備でカバーしていましたが、SHと玉田の所でカウンターに持って行こうとしてミスしてボールを失うというプレーを繰り返し全く攻撃ができなくなっていたの仕方ない所でしょう。というよりも前半途中からのロングボールで彼らは無駄に走らされることになっていた事の影響も大きかったと思います。
78分〜 |
もちろん岐阜にしてみると時間が無い中ビハインドなのでリスク承知の采配だと思いますが、これで中盤にスペースが空いた事でセレッソもカウンター気味にボールを運べるシーンができる。
という事でお互いチャンスを作りますが、決められずにそのまま試合終了。
結果としては1-0でセレッソが逃げ切りに成功しました。
■2トップの組み合わせ
前回の千葉戦は田代とエジミウソンでしたが、この岐阜戦は玉田とエジミウソンの2トップでした。
お互いの特徴を考えると組み合わせとしては玉田とエジミウソンが最も合いそうに思っていましたが、この試合ではダメでした。
まず2トップの組み合わせについて、ツイッターなどを見てると田代と玉田で固定すべきといった声もみられるのですが、田代と玉田のコンビで万事上手くいくかと言えばそうでないことは21節以降の田代と玉田の2トップで戦ってきた試合を見ると明らかです。玉田は下がって、田代はサイドにズレて、彼らはそれぞれそこで攻撃の起点になるタイプの選手であって最前線でプレーするタイプではないのでお互い揃ってゴール前からいなくなることがよくあります。
もちろん他の要素もありますが、それがゴールが遠い試合や追加点が奪えない試合の一因になっています。
なのでエジミウソンを獲得し、実際試合では最前線に張らせてプレーさせているので、玉田や田代と組み合わせて起用している事自体は理解出来ます。
今回の岐阜戦では、前節の千葉戦と異なり1-0でリードしていたので、速くフィットさせるためにもできるだけ我慢して使うというのもわかります。
あとは機能するまでどれだけ我慢できるかと、どこに落ち着けるかでしょうね。
別の考え方として、SHのどちらかが必ず真ん中に入っていく様なプレーができるなら田代と玉田の2トップにして2人が流れても問題ないんですが、パブロか関口ではそれは望めないですし、マグノ・クルスも出来無さそうだなあ。
■その他
という事で勝利したもののモヤモヤ感が残る内容になってしまいました。
まあ必要なテストや調整をする事と勝ち点を取る事を平行して出来たという意味ではポジティブな結果です。
できればテストや調整もポジティブな結果であって欲しかった所ですが。
またエジミウソンに向けて何度も蹴っていたいわゆる「田代さんお願いパス」については、ハーフタイムコメントで「ビルドアップ時に、お互いが近い距離感を保とう。」と言っているのでおそらく狙ってやっていたわけじゃないんだと思います。
逆に試合後のコメントで「吉野選手とマグノクルス選手が入ってから攻撃にスピード感が戻り…」と話しているので、リードした状態ではSHとFWを使ってカウンター気味にボールを運ぶ形をやりたかったと考えているのでしょう。
ただでも、後ろからすると「田代さんお願い」のほうがずっと楽。なのでつい蹴ってしまうという事なのかもしれません。
セレッソの歴史上では西澤明訓以来なんでほぼ10年ぶりに背負ってる状態でもボールをつけれるFWがピッチ上にいるんですもんね。
あと、失点に繋がる事はありませんでしたが、この試合の山口蛍は代表にいく前よりも相手選手に喰いつく頻度が上がっていた気がするんですが何かしましたか?
毎回的確な分析ありがとうございます。
返信削除東アジアの初戦に眩暈がして3戦出続けた結果、蛍に軽く絶望したんですが(笑)、相手が空いたスペースに入ってこなかったり、追い回せばボールを捕れてしまうJ2という環境に慣れてしまった結果なんでしょうか。2012年A神戸戦の田中英雄を見て食いつくボランチの危険性を思い知ったので行く末が心配です(笑)蛍の売りは危機察知能力だったように思うんですが、いつのまにやらボール奪取能力になっていてどちらも大切なんですが「う~ん…」となってしまいます。
コメントありがとうございます。
削除蛍はJ2でやったからというよりも3センターからダブルボランチになってから、そしてなんだったら東アジアカップで代表に行く前よりも行った後の方が、喰いつく頻度が上がったような気がします。
「田代さんお願い」ならまだしも、「エジさんお願い」になってましたもの。(笑)
返信削除にしても気になったのが、エジミウソン選手が結構相手に食いついて下がっていってしまう事が多かったように思います。前線で張ってて欲しいのに。玉田選手もやりにくそうに見えたのは僕だけでしょうか?
それとSHがサイド攻撃を意識しているのか、めいっぱい広がって真ん中すっからかんって事もありました。
このあたりを踏まえて、すっかり4-4-2のチームになりましたが、4-2-3-1も試してみてはどうかな?っと。マグノ、吉野あたりがトップ下を出来ないですかね。
コメントありがとうございます。
削除エジミウソンが喰い付いて下がるというのはどの状況で起こっていた事でしょう?
ごめんなさいちょっとわかりませんでした。
あと攻撃の時にサイドに広がるのは決して悪いことではありません。
もしその時に中央に誰もいなかったとしても、相手を広げてスペースができていれば成功ですし、必要なタイミングでそこにボランチやFWが入って使えれば良いので、最初は空けておくという方法もあります。
岐阜ファンです。
返信削除詳しい解析ありがとうございます。
非常に勉強になります。
岐阜もチャンスは何度かあったものの決めきれない。
そして、何よりセレッソさんのような攻撃のキレが足りない。
そういう所が今の順位に表れているのかなと感じました。
今後、岐阜の試合以外も拝見させて頂きます。
コメントありがとうございます。
削除対戦相手のサポーターからコメントをいただくと非常に嬉しいです!
岐阜は渡邉が入って確実に守備は良くなりましたね。
攻撃は難波以外なかなかフィニッシュに絡めていないというのが厳しいところなんでしょうけど…
よければまた見ていただけたら嬉しいです。