- 2' 三平 和司
スタジアム | 大分銀行ドーム | 主審 | 小屋 幸栄 |
入場者数 | 10,229人 | 副審 | 戸田 東吾、鈴木 規志 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 27.8℃ / 46% | 第4の審判員 | 津野 洋平 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 柳田 伸明
- 監督
- パウロ アウトゥオリ
試合経過
-
90+3'
- 85'
-
82'
-
78'
- 75'
- 72'
-
60'
- 28'
-
26'
- 10'
-
2'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
SH | 13 | 10 | 9 | 11 |
FK | 12 | 18 | 15 | 15 |
CK | 2 | 9 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
警告/退場 | 2/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 パウロ・アウトゥオリ監督大分トリニータ 柳田伸明監督
セレッソ大阪 山口選手、関口選手、パブロ選手、田代選手
セレッソ大阪 楠神選手、山下選手、酒本選手、丹野選手
大分トリニータ 三平選手、若狭選手、西選手
大分トリニータ 三平選手、為田選手
今節でいよいよ30節となるアウェイ大分銀行ドームでの大分トリニータ戦。
セレッソのメンバーですが、前節の玉田とエジミウソンの2トップから2人をそっくり入れ替えた田代と楠神の2トップ。またベンチには橋本では無く秋山が入っています。尚マグノクルスは打撲の影響で別メニュー調整を行っていましたのでベンチ外となっています。
中継でも何度も触れられ、試合後のインタビューでも質問があった楠神のFW起用ですが、今シーズンの楠神は登録はMFながらもチームNo1のスピードを買われ一貫して最前線で裏を狙う役割として起用されてきました。またチームが4-4-2に変わってからも27節の愛媛戦でも玉田との交代でそのままFWのポジションに投入、その後永井が投入されても楠神はFWのままで永井がSHに入っていますので、これまでの流れを考えると楠神はFWとして考えられているのは明らかです。
そして今シーズンはそのFWのポジションで高いシュート成功率も誇っているのでまずまず機能しているといってもよいでしょう。
一方の大分は前節と全く同じスタメン。ベンチは後藤が外れエヴァンドロが入っています。
尚、この日の大分銀行ドームは選手が走るだけで砂埃が舞うほどの状態。ピッチに大量の砂が撒かれている様で、さらにボールのバウンドもTV画面からもちょっと跳ねすぎているんじゃないかとわかるほどピッチが堅くプレーに影響が出るほどのピッチコンディションとなっていました。
■大分トリニータ
柳田監督率いる大分トリニータ。
前回ホームで対戦した時もそうでしたが、柳田監督はコンパクト、アグレッシブ、攻守の切り替え、球際という言葉がキーワードだそうです。
大分の守備1 |
大分は対戦相手によって2トップを組む三平の相方を入れ替えているようで、ボール保持がうまくないチームには高松を、そして今節のセレッソや前節の京都の様にボールを持てるチームについては守備に頑張れる伊佐を使っています。
ということで今節の2トップは三平と伊佐。立ち上がりは彼らが前線からDFラインを追いかけてきます。そしてそこで守備に引っかかるようであれば後ろからMFが前へ前へと食いついてきます。
大分の守備2 |
なので立ち上がりから15分ほど時間が経つと2トップはCBにまで追いかけるのをやめて、CBがボールを持っているときは4-4-2でセットしてステイ。そこからSBやボランチに出たボールに対して中盤と一緒にプレッシャーをかけにいく形になっています。
もちろん守備でプレスバックして挟み込むという事もやりますが、基本的には守備でも前への意識が強く、前に前にという形で守備をしてきます。
大分の攻撃 |
これまでのスタッツを見ると大分はポゼッションは19位パス数が21位ですが攻撃回数は1位、ということは、奪ったボールは手数をかけないでとにかく速く縦に出す。なので、ポゼッションは低くなり、ボールを失う回数も増えるので、その結果攻撃の回数が増えるという事です。
ボールを失ってもいいからとにかく相手が揃う前に速く攻めようとするチームだという事です。
ちなみにこれと全く逆の特徴を持っているのが大宮で、大宮はポゼッション1位、パス数1位ですが攻撃回数は最下位の22位です。これは逆に奪ったボールを大切にして手数をかけて攻めている、一度奪ったボールはなかなか失わないという事です。
攻撃回数が多いということは言い換えればボールを失う回数も多いという事です。
ちなみにセレッソはポゼッション2位、パス数3位、攻撃回数18位です。
■セレッソの対大分プラン
DFラインの裏を狙う |
高いDFラインを設定する大分のDFラインの背後のスペースをチームで1番スピードのある選手に狙わせようというのが狙い。イメージとしてはホームの愛媛戦で見せた先制点です。
染谷や丸橋。山口、扇原と供給元になれる選手はいます。
また楠神が裏を狙うことで田代がボールを受けるスペースが広げる事も出来ます。
サイドを広く |
大分の守備のコンパクトというのは横にも圧縮してくるので、両サイドに選手を置いて相手を広げたいと言うのが狙いです。
■ピッチコンディション
こうした狙いを持って入ったこの試合でしたが、試合は開始2分に動きます。
スローインから染谷がヘディングで逃げて大分が得た最初のCKから。
兵働からのボールでニアポストの前に入ってきた安川は田代がきっちりマークできていましたが、そのボールを田代とパブロがニアではね返すことが出来ず中央で混戦に。こぼれたところからの山口のシュートは丹野がはじくもそのボールを三平が拾って左足で蹴りこみ大分が開始2分で先制します。
立ち上がりにピッチコンディションも考えてよりセーフティーにという事だったのでしょうけどちょっと簡単にCKを与えすぎてしまいました。
また混戦にしてしまったのも失敗でした。
先制したことで勢いに乗る大分はやろうとしていることをより明確に継続してきます。
そしてセレッソはそれを受けてちょっとバタバタしてしまいます。例えばその失点直後の丹野のプレーなんかは単純なキックミスでしたが、ピッチコンディションの影響を受けてのミスも多数ありました。
もちろんそのピッチコンディションは大分にも影響するし、実際大分もかなり多くのミスをしてしまうことになるのですが、この段階ではより影響を受けたのはセレッソの方。
というのもセレッソはボールをよりコントロールしようとするからで、大分はアバウトでも何でもとにかく喰い付いて縦にというやり方なので、ボールが落ち着くまでは少し大分がペースを握りかけていました。
しかし5分をすぎ10分近くになるとセレッソも徐々に落ち着いてきます。
そのきっかけになったのは裏を狙う楠神へのロングパスで、相手がどんどん来るならセレッソは早いタイミングで裏を狙う楠神にボールを入れる事でプレスを回避しはじめます。
そして山口から楠神へのロングボールでGK上福元が中途半端な対応をし、そこに楠神が粘り強く絡んでセレッソのCKへ。
一本目のCKは安川がニアでヘディングではね返した所を山口がダイレクトボレー。このボールが安川に当たって再びCKに。
そしてそのCKをパブロが決めて10分にセレッソが同点に追いつきます。
■活性化する左サイド
セレッソが同点に追いついた辺りから左サイドの攻撃が活性化していきます。
左サイドからの攻撃 |
ならマークを受け渡して丸橋を山口がみてパブロを西がみる形にすると、パブロは丸橋に追い越されると中に入っていくのでまたついて行けない。
さらに田代が左サイドに流れてくる事が多いので、西と山口がどっちがどっちを捕まえるのかがハッキリしない状態になってしまっていました。
一方右サイドではそこがあまり狙い通りにはできていませんでした。
アウトゥオリが前半プレーが止まった時に何度も関口を呼んで指示していたのはおそらくそれで、指示を受けた直後は右サイドに開くポジションをとっていましたが、楠神は裏、田代は左サイドに流れる動きが多かったので、右に開き続ける事が難しかったのでしょう。
この左サイドと楠神のプレーから得たFKはCKに逃げられたものの、28分に再び関口のCKを田代がかなり打点の高いヘディングで決めてセレッソが逆転します。
大分は同点・逆転されても基本的にはやることはかわらないので続けるだけ。2トップは頑張ります。ただ伊佐のプレーが非常に荒い。彼には何故かカードが出ませんでしたが、足裏を見せるタックルや、丸橋への肘などはカードが出てもおかしくないプレーでした。
伊佐は本人的には野性味あふれる身体能力を活かしたプレーをしているつもりなのかもしれませんが、実際そこまで身体能力が高いわけではないのでそれほど怖さはありませんが、怖いのは本当に身体能力が高く無理が利く三平。
FKから簡単に三平に裏をとられた染谷の対応は、なんとか弾き出したけどそれを安川にシュートを打たれてあわやという場面となりました。
ポジションをきっちり修正できていればあんな単純な一発で背走させらてしまう事もありません。ちょっと不満の残るプレーでした。
またもう1つスローインから伊佐に走られ、山下が対応するも丹野も越えられてしまう場面(最終的に染谷に対するファールとなりました)もありましたが、あそこはおそらく山下はコースに身体を入れて対応し、その間にGKが出て来てキャッチというイメージでプレーしていてたんだと思いますが、前節の岐阜戦でもありましたが、丹野はキム・ジンヒョンに比べて圧倒的に守備範囲が狭いので、丹野がGKに入る限りはその辺りにこだわって貰えればいいかなという感じです。
また前半終了間際には中盤へのプレッシャーが甘くなった所から、ボールを奪いきれずに兵働にワンツーの様な形で抜けだされシュートを放たれるという決定的な場面もつくられてしまいました。
■試合を決める追加点
後半になるとセレッソもピッチコンディションの事もあって、もちろん落ち着けるときは低い位置からつないでいきますが早めに裏にボールを蹴っていくプレーを増やします。
そのターゲットは田代と裏に抜ける楠神。
楠神は無駄走りになる事も増えてしまうんですが、精力的に走り、また相手ボールになってもプレッシャーをかけるべく守備にも走ります。
SBの裏のスペースのカバー |
ただ、お互い縦への展開が多い試合なので、SBを上げるという事はその裏にスペースを作ってしまうことになるのですが、セレッソはそこをしっかりとボールサイドのボランチがカバー。
そしてSHもしっかり戻り守備する事で、大分の攻撃は縦へのみで横の揺さぶりが全くないのでそれで大分のSHとSBを使った攻撃はきっちり対応します。
60分〜 |
1点ビハインドということで前がかりになっていきます。
となるとセレッソはカウンター気味の攻撃で対応。
71分にカウンターでボールを運んだパブロからのクロスを楠神がシュートを放った場面は惜しくもポストに弾かれてしまいましたが、楠神はここまできつい仕事が増えていただけにゴールという形で報われて欲しい所でした。
72分〜 |
ゲームプランとしては大分の中盤にスペースができてくると間で受けることができる玉田を投入というものもあったと思いますが、リードしている事、ピッチコンディションから縦へ速く送る戦い方になっている事から考えて、間よりも前のエジミウソンということなのでしょう。
そしてそのエジミウソンの投入が早速活きます。
左サイドからエジミウソンがボールを運ぶカウンターから田代へのスルーパス。
田代はGKをかわしてシュートを放つものの若狭にカバーされてしまいCKに。
そのCKを関口はペナルティエリアのスグ外で待つ山口に出すと山口はボレーで合わせてゴール。
セレッソは念願の追加点を決め1-3とリードを広げます。
78分〜 |
しかし効果的な攻撃にはつながらない大分。
85分〜 |
続いてセレッソは85分にパブロに代えて秋山を投入。
秋山はボランチではなく3ボランチにするわけでもなくそのままパブロのポジションに。
関口・秋山の両SHは守備意識が高く最後まで大分に攻撃の形を作らせず試合終了。
セレッソが勝利しました。
■大分CKの守備
この試合で3ゴールを決めたCK。
大分のCKの守備に対してセレッソは、しっかりスカウティングし準備できていました。
大分のCKの守備陣形 |
その守備陣系は図の通り。おそらく14番の松本はファーポスト担当なんだと思いますが、この日は楠神がGKの前に立っているのでその楠神からGKを守るポジションをとっていました。
また伊佐・安川・鈴木・山口のラインは基本的にはゴールラインの線上でポジションを取る形になるのですが、この日はインスイングのボールばかりだったのでゴールエリアのラインよりも1歩内側に入ります。
この大分のCKの守備に対してセレッソは、楠神をGKの前に立たせる事でGKの動きを制限。そして飛び込むのは染谷・扇原・パブロ・田代・山下の5人。
まず1本目の跳ね返されたCKは扇原と染谷とパブロで伊佐・三平・安川の前に入り兵働をニアに引っ張る形を狙っていましたがキックのボールがが合わずに失敗します。
がしかし続けて2回目のプレー。先制したパターンは扇原と染谷が伊佐と安川の前に入り、少し遅れてパブロが三平の前で合わすという形でした。
そして28分に決めた田代の逆転ゴール。
伊佐・安川・三平の前に染谷・扇原・パブロが飛び込みあわせて兵働も動かせる。若狭も山下に対応しようと少し開き気味のポジション。そして兵働の裏と若狭の間から田代が飛び込んで逆転。これはおそらく1回目に失敗した形と同じ動きで、田代の高さもスーパーでしたが、チームとして狙い通り動かす事ができたので良い形でセットプレーができました。
そして大分はボックス内に11人戻る事でペナルティエリアの外には誰も居ない完全フリー。なのでそこに丸橋と山口を配置。ここは完全にフリーになっています。
3点目は75分にここへのボールから山口がボレーで決めたもので、後半開始早々の逆サイドからのCKで逆サイドで丸橋が山口にボールを出してシュートを放っているにも関わらず、大分はここを最後までケアしないままでした。まあ優先順位としては当然中が上なので、技術的な問題で放置していてもまずシュートは入らないだろうという判断だったのでしょう。
■その他
ヴェルディが愛媛に敗れたためにこれでセレッソは3位に浮上。2位磐田との勝ち点差は3です。
試合内容としてはピッチコンディションの問題もあり、やりたいような形で出来たわけではありませんが、その中で相手の戦い方を見ながら3点を取ることができたのでまずまずと言ってもよいでしょう。
とはいえもう少しゲームをコントロールしていかないといけないと思いますので、その辺はさらなる課題ですね。
また前線の選手については、対戦相手のやり方によって使い分ける今のスタイルがいいんじゃないかと思います。
前の試合でエジミウソン選手が相手に食いつき気味に下がってしまう。と書いたのですが、別の選手と勘違いしてたのかもしれません。現地観戦だけだったので間違ったかもです。すみませんでした。
返信削除最初、楠神選手をFWで裏抜けって....。
って思ってましたけど、4-3-3の左サイドで無くて、完全にFWとして使ってきてますね。
秋山選手もSHで使ったり、選手の幅を広げると言うか、潜在的な能力を引き出そうとしているというか。
秋山選手の場合は、食いつくクセを利用しようとしたのか、守備的な所を買われたのかと思いますが、結構色々試しておられるような気がします。
アウトゥオリ監督って、可も無く不可も無くと思ってましたし、迷監督との意見もありますが、ひょっとして......。
南米一にもなった監督にそれは失礼か。(笑)
コメントありがとうございます。
削除秋山のSHも実は初めてではありません。
岡山戦で3バックにした後でしたが、終盤田代の1トップで右に関口、左に秋山で橋本と蛍のダブルボランチという形にしています。
前線で追いかける役割として使っていますよ。
返信削除はじめまして、いつも拝見させていただいております。
某SNSでは
"天皇杯とJ1昇格で来年は1年目からACL!"
とか非現実的な理想論がでたり、敗戦には
"(具体的にどこが悪いかはわからないけど)戦術の問題だから監督が悪い!はよ交代!"
とか
"助っ人なのに仕事してない外国人選手が悪い!"
といったようなほぼ感情論でしかない意見が多くて辟易していました。
具体的に秋山の食いつきグセが〜だからボラ2枚で とか理屈で話す筆者さんのブログは納得ができ楽しませていただいてます。
今シーズンの失点はセットプレーも流れの中でもクロスボールにマークのズレが生じたり、セカンド対応の遅れもあり、落ち着いて守備をオーガナイズしなおせなかったりというところが大半な気がするのですがこれは直らないのでしょうか?
ポポビッチのときからありましたし、直らないなら監督代えても意味がない気がするのですが…。
攻撃面ではパサー待望論がありますが、必要ですか?
個人的には中村憲剛、俊輔、遠藤、柴崎、青山クラスがJ2に来るとは思えないですし現実的では無いと思うのですが。
それに出し手がどうより受け手側の狭いスペースでの精度のような印象があるのですが…。
その辺りのご意見もお伺いしたいです。
コメントありがとうございます。
削除感情論になってしまうのは仕方がない部分もあると思いますが、ネガティブなものは見ていて楽しい事はないですし、さらにそこから得るものは無いですからね。
最終的には好きか嫌いかになるんでしょうが、ここでは、
何をしようとしているのか、
それが出来たのかできなかったのか、
どういう現象が生まれたのか、
を書こうと思っています。
守備のオーガナイズの問題は、クルピの時から基本的に人やその数で対応する守備しかしていなかったからじゃないかと思います。
後パサーについては、いるに越したことないですがというぐらいでしょうか。
攻撃の形として今は外外中というルートで攻める形とカウンターがメインになっていますので、このままだと使う所はないですね。
また時々コメントで4-2-3-1にしてというのも頂きますが、ポジションというのはフォーメーションの話しではなく戦い方の話しなのでそういったことでも無いです。
もちろん俊輔や憲剛クラスがいるならそれに合わせた戦いに変えるでしょうけど(笑)