2016年8月15日月曜日

8/14 明治安田生命J2リーグ第29節 VS 松本山雅FC @ キンチョウスタジアム

第29節
2016年8月14日(日)19:45KO 金鳥スタ

スタジアムキンチョウスタジアム主審村上 伸次
入場者数13,593人副審西尾 英朗、植田 文平
天候 / 気温 / 湿度曇のち晴 / 29.8℃ / 68%第4の審判員大原 謙哉
スターティングメンバー
セレッソ大阪C大阪
 
松本山雅FC松本
 
  • 監督
  • 大熊 清
 
  • 監督
  • 反町 康治
セレッソ大阪C大阪
松本松本山雅FC
今回対戦今季平均
データ項目セレッソ大阪松本山雅FCセレッソ大阪松本山雅FC
FK791414
CK5865
PK0000
シュート13101311
警告/退場1/01/01/01/0

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 大熊清監督
松本山雅FC 反町康治監督

セレッソ大阪 杉本選手、ベサルト・アブドゥラヒミ選手、ソウザ選手、酒本選手、田中選手
松本山雅FC 安藤選手、パウリーニョ選手

真夏の連戦という厳しいスケジュールで組まれた明治安田生命J2リーグ第29節。3位のセレッソ大阪が本拠地キンチョウスタジアムに2位松本山雅FCを迎えての一戦は、直前の雨と雷の影響で45分遅れでキックオフとなりまとわりつくような蒸し暑さが両チームを苦しめたが、前半42分にパウリーニョの一発を決めた松本山雅FCが0-1で勝利しました。

■メンバー

中2日で行われた試合ですが、セレッソのメンバーは前節負傷交代した山村に代わって出場停止明けのソウザが入った以外の10人が前節と同じメンバー。という事は前節に引き続き3バックを継続です。
またキム・ジンヒョン、松田、田中、山下、丸橋、山口、関口、杉本の8人が中3日、中2日と続くこの8月の連戦に3試合続けて先発しています。

一方の松本はいつもの3-4-2-1。前節、高崎、石原、山本、宮坂をベンチスタートに、出場停止も含めて安藤、喜山がベンチからも外れていますので、前節と同じメンバーなのはシュミット・ダニエル、當間、飯田、パウリーニョ、那須川の5人。また3試合続けて先発しているのは、シュミット・ダニエル、當間、飯田の3人です。

■ミラーゲーム

マッチアップ
この試合は両チーム共に3-4-2-1。つまりマッチアップがしっかりと噛み合ったミラーゲームになっていました。
ちなみにマッチアップが噛み合ったミラーゲームというのはマンツーマンで守るという事ではありません。
この試合でも両チームそうであったように基本的には両チーム共にWBを下げて5バック化して守り、シャドウは敵陣にボールがある時は比較的中央に絞ったポジションをとっていますが、自陣にボールが入るとWBの前に戻って5-4-1の形にして守ります。
ただ、マッチアップが噛み合ったミラーゲームだと相手が入ってきた時にその選手を担当するディフェンスが決まりやすい、ミスマッチの時の様に1人の動きに注意するともう1人の選手がフリーになるという状況が起こりにくいという事です。
なのでマッチアップをあわせると両チームの攻撃が停滞する事が多くなります。
ただ、とはいえゴールを決めるには何かで相手を上回らないといけません。
その上回る方法として代表的で最もシンプルな1つがとにかくドリブルでマッチアップしている相手を抜き去る事ですが、これは逆にいうとドリブルで相手にボールを奪われてしまえば逆に相手にとって大きなチャンスになりますからリスクも高く、たとえ1対1では劣勢であったとしてもサッカーはチームスポーツですから守るエリアを狭める事で1対1の状況になりにくくすることもできます。
ですから何も考えずに1対1で勝負するだけでいく事はなかなか難しいので、なのでチームとしてどのように相手を上回るかを準備しなければいけません。

■丸橋の裏を狙った松本

丸橋の裏へのロングボール
松本は序盤丸橋の裏へのロングボールを多用してきました。
このスペースは通常丸橋が下がって守る場所です。松本はそこに高さのある高崎を流れさせてきていましたので、丸橋対高崎だとどうしても高崎の方が高さ的には有利。なのでセレッソはソウザと山口のポジションを入れ替え、高さのあるソウザをその場所に近づけたり、また深いボールに対してはこちらも高さで勝負できる山下をサイドに流れさせて対応していました。これは最初のロングボールからこの様にして対応していました。
この2人だと高崎に対して丸橋に比べるとそこまで不利にはなりませんから対応としては十分でしょう。
しかしセレッソのその対応があっても松本はこのロングボールを続けていました。
これはこのロングボールが丸橋と高崎を単純に競らせる為ではないからです。そして丸橋の守備が何とかという話しでも無いでしょう。
それが理由であれば丸橋よりも高さの無い松田のサイドを狙ったほうがよっぽど効果的、そして松田のサイドであればカバーに来るのは田中。山下よりも強さがありませんから単純にこのサイドを攻略する事だけであれば、狙うなら絶対松田サイドです。しかし狙ったのは丸橋サイド。これには別の目的があるからです。

まずここを狙ったのは丸橋のポジションを下げさせる事が1つの目的。
丸橋はSBでありながらマイボールの時には高い位置にでて時々最終ラインの裏に飛び出すプレーも見せます。
この最終ラインの裏に飛び出す動きは通ればビッグチャンスになるのはもちろんですが例え通らなくても、もっといえばパスが出なくても守備側からすると厄介なプレーです。
なぜなら先ほど書いたように一気に裏をとられるとピンチになりますから、最終ラインはその動きに対応しないといけない、となるとCBとボランチの間にスペースができる可能性が大きくなるからです。
そしてもう1つ丸橋のポジションを下げさせる事でその前の杉本のポジションも下げさせる事ができます。
杉本は今のセレッソで最も注意しなければいけない選手。松田サイドを狙うとその杉本が守備の時に1トップに入る玉田の次に守備の負担が少ないポジションになります。
なのでボールを奪われた時の事を考えると杉本のポジションを下げさせる事はかなり重要です。

そしてもう1つ。おそらくこれが最も大きな要因の1つですが、丸橋サイドを狙う事でセレッソの3バックの中で最も強い山下を中央から外にだすことができるからです。
5バックなのでWBが下がってきますが3バックの片方を引っ張りだした時に中央に残るのは松田サイドだと茂庭、山下、丸橋。丸橋サイドだと茂庭、田中、松田。
松本は守備のリスク管理を考えてだと思われますが、ポジションをほとんど崩さずクロスで勝負してくる形がメイン。なので相手の守備を崩す様な形はほとんどありませんが、何度も繰り返し正面から勝負を挑む中で1つ決めればという考え方ですから、茂庭、山下、丸橋相手にぶつかっていくよりも茂庭、田中、松田にぶつかる方が効率は良いと考えるのは納得の行く所です。

また32分の宮坂のクロスに対して那須川が飛び込むがその前で松田がカットしたシーンにあったように松本はクロスに対してWBも飛び込んでくるのは、先ほどの守備のリスクを考え相手の守備を崩す様な形をせず何度も繰り返し正面から勝負を挑むからです。

■セレッソが狙ったのはシャドゥによるカウンター

シャドゥを走らせるカウンター
一方のセレッソが松本を攻略する為に用意していたのは、WBの上がった裏のスペースにシャドゥを走らせるカウンターでした。
これは山口戦である程度上手くいっていたからここでもという事だったのでしょう。
立ち上がり早々に関口が走った事を皮切りに、その後も杉本が一気にボールを運ぶ場面が見られます。
カウンターは数的有利で無くても相手が戻るよりも速く仕掛ける事で先程書いた「マッチアップが噛み合っている状況で1対1で抜き去ればチャンスになる」という状況を意図的に作り出しやすい方法です。なのでセレッソは立ち上がりから何度かこの形でチャンスの一歩手前ぐらいまで持っていく事ができていました。

■まとわりつくような湿気と暑さと先制ゴール

しかしこの試合で両チームに最も影響を与えたのはコンディション。
中2日というハードな日程に加えて、試合開始前に降った雨による蒸し暑さは相当で、ただスタンドに座っているだけでも汗が流れるほど。
松本の攻撃はバランスを崩しにいかないので飛び込む人数とその状況をつくる回数がポイントになってくるのですがこの気候ではそれを増やしていく事はなかなか難しく、それは守備から攻撃の切り替えのスピードとそこに連動する人数がポイントになるセレッソのカウンターでも同様。
その為両チームとも守備に人数をかける事をどうしても優先する事になり、停滞感の強いゲームとなっていきます。

しかし42分、松本の攻撃が跳ね返された後山口から玉田へのパスを奪ったパウリーニョがミドルシュートを決めて松本が先制。前へのボール奪取とミドルシュートというパウリーニョの良さが出たゴールでしたが、あまり脈絡のない形から決まった形で、もちろんパスを出した山口や奪われた玉田がというのもあるでしょうが、セレッソにとってはまあしょうがない失点だったと思います。

■4バックに

後半開始〜
セレッソは後半開始から田中に代えて酒本を投入。4バックにして右SHに酒本、左SHに関口、トップ下に玉田、ワントップに杉本が入る4-2-3-1に変更します。
今シーズンのセレッソにしては比較的早めの交代策ですが、そもそも3バックもマッチアップをあわせるという側面が少しはあったのかもしれませんが、どちらかと言えば前節勝ったからという理由だったでしょうし、3-4-2-1でやりたい事がある訳でもないので引っ張る理由もなかったのでしょう。
そしてこの4バックにしたのは26節に京都に追いついたからというだけの理由だと思います。

それを象徴するように右SHに入った酒本も特に何をするのかが決まっている訳でもなさそうで、本人はボールを引き出そうと動きますがそこからどうやって崩すのかが見えてきません。
4-2-3-1と3-4-2-1だと実はサイドで2対1を作りやすくもなるのですが、リードして守備を固めている松本はシャドゥに入る宮坂と石原が5-4-1の2列目の両サイドに入る事を徹底していたのでそこも早めにカバー。ということでセレッソはひたすら守備を固める松本に対して、そしてその特に人数をかけている中央に向かって突進していく場面が続きます。

こういう展開だと松本はカウンターを狙いやすくもなるのですが、暑さと湿度の影響もあって効果的なカウンターも繰り出す事はできていませんでした。
しかし松本はそんな中でもボールロストにつながるロングボールを減らし、ボールを繋ぐ場面が増やしていました。
そして相手が4バックになった事でミスマッチを活かすチャンスは出てくる訳で、51分、55分など何度か3バックの左に入る喜山がボールを運びミスマッチ特有の場面を作りかけますが、最初にも書いたように現状松本の攻撃はそこから先は整備されていないので特に何もなし。
とはいえ、松本はこうやってボールを繋ぐ事で崩す形はないものの時間を消費される事が出来るというのはもしかすると今シーズン取り組んでいるらしいボール保持のメリットかもしれません。
68分〜
そしてセレッソは68分に松田に代えて澤上、関口に代えてベサルト・アブドゥラヒミを投入。酒本が右SBに入り、澤上は左SH、ベサルト・アブドゥラヒミは右SHに入ります。
疲労と攻撃的なキャラクターの選手に入れ替えたという事なのでしょうが、選手を入れ替えた所でやることは同じ。
多少コンディションのいい選手が入った所で、引く事で選手間の距離を近づけて守る相手に対してドリブルで2人3人とかわす事はできないので何かが起こる訳でもありません。
サイドアタッカーを入れても、例えばサイドに張らせてそこで1対1を作れるようにするというチームの形、共通理解が無いのでしょうがない所でしょう。
また杉本も厳しいコンディションと共にワントップに入った事で、得意の間で受けて前を向いて仕掛けるプレーが出せなくなっていました。
最終メンバー
その後松本は71分に宮坂に代えて工藤を、87分にはパウリーニョに代えて武井を、90分には石原に代えて山本をそのままのポジションで投入。

72分には投入直後の工藤に少し棒立ちになってしまった守備の間を抜けられシュートを放たれるもキム・ジンヒョンがセーブ。最後スライディングは工藤の切り替えしで外されてしまいましたがこの時に最初に工藤に反応したのがソウザというのが彼らしいプレーでした。

そして82分には前がかりになる中で杉本からのパスをベサルト・アブドゥラヒミが落として山口がシュートという決定機を力づくで作りましたがシュミット・ダニエルがセーブし万事休す。
0-1で松本が逃げ切りました。

■その他

コンディションの厳しさが影響した面もありますが何とも言えない、セレッソには何もない試合でした。
これまで試合中のシステム変更もそうですが、今シーズンのセレッソにとってシステム変更はその並び以上の意味を持たないですから、先に失点してしまうと厳しくなります。
例えば3から4にするにしても誰がどういう形で絡んでどこをどう狙うかは選手が調整しないといけないですからね。試合中の短い時間でそれをするのはなかなか難しい所です。
そんな中でも強引にゴールできて試合を動かす事ができればまた変わってくるのでしょうが、この試合の松本の様に固められると厳しいです。




5 件のコメント :

  1. このコメントは投稿者によって削除されました。

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  2. サッカー観戦歴3年程の若輩者で、まだまだ戦術や狙いといったものがなかなか見えてこなくてこのブログを参考にさせてもらってます。まだまだ素人の私てますが、後半の中頃にベサルトが右サイドでドリブル仕掛けて二人抜きかけたプレーに可能性を感じたのですが、彼はどのように映りますか?まだまだプレー時間が短いのでなんとも言えないと思いますが、私的には裏も狙えて違いの作れる選手と思ってます。かなり願望もこもってめすが・・・笑
    暇があったらでいいのでぜひベサルトの評価をお願いします。

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    1. コメントありがとうございます。
      ベサルト・アブドゥラヒミですが、まだなんともいえませんがサイドアタッカーらしい雰囲気を持つ選手ですね。
      ただ今のセレッソはサイドアタッカーを使うチーム作りをしていないのでどう使いたいのかは全くわかりません(苦笑)。

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  3. 福井 康次2016年8月18日 16:20

    Akiさん、いつもありがとうございます。
    チームは監督交代をしないと発表されていますが、本当にその方がベターなのか疑問に思っています。これだけのメンバーで、勝った試合はたまたま勝ったような内容が多く、負けた時は必然のような感じがされます。
    これでは来期J1、J2どちらにしても希望が見いだせないような気がします。
    チーム戦術をしっかり浸透させ、チームとして機能させられる監督に、今からでも交代するべきだと思います。(引き受けてくれる人がいなければ話になりませんが)
    この点について、どう思われますか?
    また、セレッソにとってどんな監督が相応しいのでしょう?

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    1. コメントありがとうございます。
      監督を代えたほうが良いかどうかですが、フラットな目でみたら代えたほうが良いでしょうね。
      というか代えないメリットは何一つありません。
      また僕は「監督を引き受けてくれる人がいるかどうか」というよりも「監督を見つけられるかどうか」だと思っています。
      つまり監督を探す能力があるかどうかで、営業でいう所の商品云々よりも顧客を見つけられるかどうかの営業能力の問題という事です。

      あとセレッソにとって必要な監督は以前から変わらず「論理的な考え方でサッカーを組み立てられる人」だと思っています。

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