スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 三上 正一郎 |
入場者数 | 13,246人 | 副審 | 武部 陽介、小曽根 潮 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30.1℃ / 69% | 第4の審判員 | 野村 修 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 中田 仁司
試合経過
- 90+1'
-
86'
-
84'
-
80'
- 79'
-
76'
- 75'
- 69'
-
66'
- 62'
-
54'
-
18'
- 8'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 17 | 7 | 14 | 16 |
CK | 9 | 5 | 6 | 4 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 18 | 10 | 14 | 10 |
警告/退場 | 2/0 | 3/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督横浜FC 中田仁司監督
セレッソ大阪 杉本選手、山口選手、ソウザ選手、ベサルト・アブドゥラヒミ選手
横浜FC 三浦選手
セレッソ大阪 杉本選手
横浜FC 内田選手、三浦選手
直近3試合を1分2敗と勝利が無いセレッソ大阪が本拠地キンチョウスタジアムに、直近4試合を2勝2分と負けがない横浜FCを迎えての明治安田生命J2リーグ第27節は、2点を奪いペースを握りながら試合をすすめるも後半30分以降に3失点を喫し、2-3で逆転負けを喫した。
■メンバー
セレッソのメンバーは、ここ3試合勝利が無いという事で若干メンバーを入れ替え。また前節3-0から追いついた事もあって、今や完全にチームを引っ張っている杉本を1トップに起用。2列目にはベサルト・アブドゥラヒミの起用もテストされていましたが、結局は関口が左SHで起用されトップ下にはソウザを起用。最終ラインには丸橋と田中が出場停止から戻っています。またこのスターティングメンバーを起用した事で、ベンチはGK丹野、酒本と茂庭のDF登録2名以外の4名は全員FW登録の選手となっています。
一方の横浜FCはやはりここ数試合固定されているメンバーが中心ですが、右SBの市村に代え藤井を起用。その市村を初め小野瀬や寺田など主力選手に怪我人が続出している影響もあるのでしょうが、基本的には機能しているメンバーを固定しています。またベンチにはキングカズ、そして久々に名前を聞いた内田智也が入っています。
■ピッチの現象に注目します
冒頭にも書きましたがこの試合はセレッソが75分までは試合を支配し、杉本の素晴らしい先制点だけでなく後半にはセットプレーから山村のゴールが決まり完全に勝ちパターンのゲームでしたが、75分のカズのゴールから一気に3失点をくらうという厳しい展開となった試合でした。あまりの展開にサポーターの中でも様々な意見が続出し、試合終了後には取締役兼チーム統括部長の宮本氏がゴール裏に残るサポーターに説明し、さらに試合翌日にはクラブからリリースも発表されました。
サポーターの皆さまへ
http://www.mycerezo.jp/news/release/102/00006973/
しかしこのブログではピッチで起こっていた事が全てだと思っていますので、いつもどおりピッチで何が起こっていたのかを分析していきたいと思います。
■杉本健勇の1トップが機能した理由を考えよう
この試合では相変わらず守備面での問題点は残っているのですがそれは後にするとして、セレッソがボールを持つと杉本を中心に横浜に脅威を与え、何度もチャンスを作り出し、そして18分には杉本自身が素晴らしいゴールを決めるなど活躍を見せます。これまで歴代の監督全てにその素材故にCF(第1FW)として期待をかけられてきたもののいずれも本格化までには至らなかったのですが、今シーズン1.5〜2列目の選手としてブレイクの兆しを見せている杉本。第1FWとして本格化できなかったのは第1FWとして求められる、ボールがほとんど来なかったとしても前線にとどまって相手のCBを戦い続ける事(それによってチームの攻撃に奥行きを作りことが出来る)や相手を背負ってのプレーが彼自身そんなに好きではない(身体能力的に出来るか出来ないかではなく)からで、彼自身やりたいのはもっと沢山ボールに触って、幅広く動き、前を向いてしかけるプレー。そして実際にパッと見は第1FW向きに見える彼はその1.5〜2列目の選手に求められるプレーができる能力も持ち合わせていたので、まさにそれが今シーズン発揮されていてブレイクの兆しを見せているのが現状です。
その杉本がこの試合で1トップに入り機能したのは、彼自身がいつもとプレーを変えたのではなく、1トップに入りながらも杉本の得意な1.5〜2列目のプレーが出来る環境が特に前半は整っていたからでした。
■杉本健勇の0トップ
横浜FCのブロックを作る守備 |
これは前回対戦時と同じやり方。前回対戦時のセレッソはこの横浜FCの守備ブロックを動かすようなボール回しを全く出来ず、ただただ外からクロスを上げるのみしかなかったのでかなり厳しい展開が続き89分にようやく同点ゴールを決めるという形でしたので、横浜FCはそれに則ってという事だったのかもしれません。
ですがこの試合ではこの横浜FCの守備のやり方がセレッソにとって良さを出しやすい形になっていました。
ブロックを作るという事は、このセットした形まではボールを自由に持たせてくれるという事、CBでボールを保持する事ができ、守備に戻っていたとしてもその間に関口と清原の両SHが高い位置に進出する事ができますしトップ下のソウザも前に出て行く事ができる。
0トップ的な動きを見せる杉本 |
横浜FCはこのCFのポジションからいなくなる杉本に対して、マッチアップしているCBがどこまで追いかけていいのか、追いかけて行けば最終ラインにスペースができるし、そこに清原やソウザ、関口が出てくる可能性もある。そして中盤では横浜FCのSHとボランチに対して、セレッソは降りてきた杉本がいる事で1人多い状況になっている。そしてそこから間でボールを受けて前を向いて仕掛けてくる。
つまり以前メッシがやっていた様なバルセロナ型の0トップ的な動きをする杉本を全く捕まえる事ができませんでした。
前半からチャンスを作ってたのはほとんどこの形。そして18分の先制点も中盤に降りてきた杉本が前を向いてワンタッチで間に入り込み、そして前を向いて仕掛けた所からという形でした。
この杉本の言ってみればバルセロナ型の0トップが機能したのは先程も書いた関口や清原のSHやトップ下のソウザが高い位置に進出できていたから。もし彼らが前にいないと杉本が下がった時にCBは付いて行き4-4のブロックそのものを上げる事で杉本を離す事無く対応出来ます。
当時のバルセロナがそうでしたが、バルセロナ型の0トップとは最前線の選手(メッシ)が誰もいないのではなく両サイドに入るペドロやサンチェスが前線に出て行く事で奥行きを作り、そこでCFが中盤に下がる事でCBを無効化する形です。なのでこの前半でも中盤に下がる杉本の代わりに最前線で奥行きを作る関口や清原、ソウザの存在がこの形を機能させていました。
■守備の不安は相変わらず
攻撃では上手く行っていたものの、この試合で最初にチャンスを作ったのは横浜FCだという事が象徴するように守備は選手個々の工夫や対応はみられるものの、やはり上手くいっているとは言いづらい状況でした。セレッソの守備も4-4-2でセット |
選手による工夫が感じられたのは杉本とソウザの2人がむやみに高い位置から追い回そうとしていなかった所。試合の立ち上がりにジャンボ大久保にヘディングシュートを放たれたからか試合の立ち上がりからピッチサイドから例の「行っていいよ!」という声がかかっていましたが、杉本とソウザの2人はその声に単純に反応せずに、ボランチを捕まえる形を優先。CBにアプローチをかけるにしてもボランチを空けない事を確認してから行くようにしている様子が伺えました。
ただ、どうしても厳しくなるのが2トップの脇にボールを運ばれた時。
守備の2列目の選手がアプローチをかけきれずズルズルと全体が下がってしまう事がやはり目につきます。2トップがボランチを捕まえている状態でSBにボールが出た時は、その瞬間にSHがSBにアプローチをかける形はある程度できるのですが、例えば最終ラインでボールを動かして2トップを外し、ボランチの1枚が2トップ脇でボールを受けて前を向かれた時にはなかなかアプローチをかけるタイミングをつかめません。
ここになかなかアプローチをかけられないのは、例えばボランチの1枚が前にでてアプローチをかけに行った時に後ろが連動してその動きについて出てくるかどうかがおそらくわからないから。もしここで全体が連動しなければ単純に4-4のブロックに穴を空けてしまうだけになってしまうので、どうしても出ていけずに後ろに下がる事になるのでしょう。
つまり全体としてどこでどう行くかが統一されていないことがわかる象徴的なシーンです。
この2トップによる1列目の守備が外された後でボランチが下がる事になると、相手ボランチに自由を与えてしまう。イバやジャンボ大久保という優秀なターゲットをめがけたロングボールもありましたが、ボールを持たれた状態でピンチを招いていたのはこれが原因であることがほとんどでした。
■横浜FCの修正
守備では危うさを見せていたものの、攻撃では相手に脅威を与えさらに先制点もとる事に成功と良い前半を過ごす事ができたセレッソ。そのセレッソに対して後半から横浜FCは修正をしてきます。
1つは守備のスタートを高くして早めにアプローチをしかける事。
これで前半よりも両SHやソウザが高い位置にポジションを取るまで時間がかかってしまう事になり、その結果杉本の0トップ的な動きができる回数が少なくなっていきました。
そしてもう1つ。おそらくこれは前半から狙っていた事で新たにというよりも再度徹底という方が正しいのでしょうが、特にゴールキックの時に低い位置で繋いでセレッソの1列目を引き出し1列目と2列目の間を広げようとしてきました。
そこにボールを入れられると先ほど書いた守備ズルズル問題があるのでどうしてもボールを運ばれる場面も増えるようになります。
しかし一方で横浜が守備のスタートを高くした分守るエリアが広くなることでカウンターでボールを運ぶ場面も増える。こうなると1-0のまま推移すると厳しくなる事も予想されますが、2点目を取れればかなり楽になりそう、そう思わせる展開となっていました。
■決定的になるはずだった追加点
そしてその狙い通りだった追加点を奪ったのが66分。CKからでゾーンで守る横浜FCに対して丸橋のキックは大外の山下へ、そこからもう一度逆サイドに一気に折り返した所を山村が豪快にボレーで決めました。
外〜外に振られるとどうしてもマークはずれてしまいますし、横浜FCは前節千葉戦での失点でもそうであった様に、CKをゾーンで守るので特にゾーンの外でコースを変えられると厳しくなります。
それもあってCKではもっと徹底してアウトスイングのボールを使えばいいのにと思っていましたが、ここではアウトスイングでもありましたがゾーンの外〜外という形でゴールにつなげました。
そしてこの追加点はここまでの展開を考えてもかなり大きなものとなるはずでした。
■キングカズのゴール
69分〜 |
カズは大久保よりも中盤に絡む位置でプレーします。
そして75分、そのカズが左サイドに開いた所から入れた浮き玉のパスは田中が跳ね返しますがそのセカンドボールを拾って素晴らしいシュートを突き刺し横浜FCが1点を返します。
ここから横浜FCがさらに2点を追加し逆転まで持っていくのですが、もちろん日本サッカー界最大のスターで誰もからリスペクトされる選手であるカズの素晴らしいゴールであった事による影響はあったでしょう。しかしこのゴールが決まったタイミングでひっそり(?)横浜FCはさらなる手を打っていました。
■キングカズのゴールの影で行われていた横浜FCの変化
75分〜 |
セレッソは杉本に代えてリカルド・サントスを投入、横浜FCは野崎に代えて永田を投入します。
杉本の交代は72分頃に左のモモ裏に違和感があるようなしぐさを見せており、その後本人は大丈夫と答えた様ですが、その後動きが少なくなっていたので交代との事、後半は0トップが機能しにくくなっている事もあって、通常の1トップの役割をするリカルド・サントスの投入は妥当な所でしょう。
問題は横浜FCの交代、下がったのは右SHの野崎、そして投入されたのは左SBの永田。ピッチ上には左SBの田所は残ったままです。
であるなら左SHの野村が右にポジションを移すのかとも思われましたがそれもなし。よく見るとここで横浜FCは左SBだった田所と西河・大﨑のCB2人による3バック、そして永田が左WBに入り、右WBには右SBだった藤井、3バックの前に中里が1人残り、その前に左に野村、右に佐藤のインサイドハーフ、そしてイバとカズの2トップという3-1-4-2にシステム変更。これで最初に問題が出たのはセレッソの右サイドでした。
マッチアップ |
4-4-2の時のマッチアップだと |
なので、このシステム変更で誰が捕まえてよいかわからない選手が出てくる事となりチームは混乱。特に清原と松田の右サイドは難しい対応を迫られる事になるので前に出られなくなります。
そして79分、その永田のクロスにイバが頭で合わせて2-2の同点に。
サイドチェンジで永田にボールが出た時にミスマッチが起こっているので逆サイドは完全にフリー。そしてそのタイミングでさらに3バックの左に入る田所が猛烈な勢いでオーバーラップを仕掛けてきたので松田は永田に寄せきれずにクロスを入れられてしまいます。
そして中では丸橋と山下の間を飛び出したイバは完全にフリー。
ここがフリーになるのもそれまでの4-4-2だと左SHがボールを持って、その外側を左SBが上がっていくタイミングで入れられたクロスだと、中に2枚いればあそこにもう1人選手が出てくるはずもない場所。なのであそこまでイバをフリーにしてしまう事になっていたのでしょう。
86分〜 |
そして横浜FCもこの間の84分に野村に代えて内田を投入しています。
そしてセレッソは87分、ベサルト・アブドゥラヒミのドリブルのこぼれ球を丸橋が拾ってクロス、玉田が合わせるチャンスを作りますが南が好セーブを見せ決める事が出来ませんでした。
セレッソは1列目の守備を変更 |
ただ、この形にすると3バックの両サイドはそのままだと完全にフリー。なので両SHで対応することに。となるとWBはSBが捕まえる事になります。
するとその結果SBが前目のポジションを取ることが貴重になり、SBの裏がこれまで以上に空きやすくなることに。
その結果この終盤は横浜FCの2トップがSBの裏のスペースに出て行く形が頻繁に見られるようになりました。
91分に喫してしまった決勝点もカウンター気味でしたが、結局はイバにサイドに流れられた所から、丸橋が対応しますがドリブルで外され入れたクロスに飛び込んだ内田が合わせてゴール。
ここでもインサイドハーフに入っていた内田は4-4-2だと存在しないポジションの選手だったんですね。
そして試合はこのまま終了。2-3と横浜FCに逆転負けを喫してしまいました。
■その他
セレッソにとってショッキングな敗戦でしたから本当に色々と言われていますが、試合の事はピッチの中で起こった事で考えます。そしてこの試合は、横浜FCに仕掛けられた事に対応できないままやられてしまったという試合でした。
なので、いつも通り弱い所を突かれてやられたという試合ですね(苦笑)。
特に守備はチームとしてベースとなっているものが無く、戻る場所が無いから応用問題をつきつけられるとどうしても混乱してしまいます。
シーズン前半はここを何とか個の力でごまかせている事も多かったですが、流石に2巡目ともなるとそういう訳にはいかなくなってきたというのが正直な所でしょう。
こういう状況になる事はシーズン序盤のかなり早い段階から予想されたことでもあるのですが…
クラブが公式にリリースを出した内容については、個人的な考えでは予想通りです。
2巡目に入ってここ数試合勝てない、負ける試合が続いていますが現時点ではまだ4位。もしクラブが内容を見て判断出来るのならばこうなる事が十分に予想できたシーズン序盤に決断できたはずで、そこで決断できなかったという事はこの状態がもっと如実に結果として現れないと(具体的にいえば順位が6位以下に落ちるとか)決断することはできないのでしょう。
確かに監督を代えて結果が上向くかどうかはわからないですからね。
ただ個人的には、進歩がなく、そしてそれを望めないまま過ごしている現状はかなり時間の無駄だと思っています。ただそれで今シーズンスグに結果が上向くかどうかはわかりません。
順位は関係ないと思います。
返信削除大熊氏が自分で監督になろうと思ってなったのではなく、社長が自ら大熊氏に「お前がやれ」と周囲の反対を押し切って無理やりさせたわけですから・・・。
これで解任となると、社長の面子は丸つぶれ。首も危うくなってしまう。
今シーズン中の解任はまずないでしょう。どんな結果になろうとも。
コメントありがとうございます。
削除解任にならなくても、昇格できなければ社長の面子はつぶれ、首も危うくなると思いますが、どうなんでしょうね(苦笑)。
Akiさん、レビューありがとうございます。
返信削除試合はいつも通りでしたね、ただ二点差をひっくり返されるとは思いませんでした。
クラブがこういうリリース出すのって、過去にあんまり無かったと思うのですが、個人的にそこは気持ちと言うかクラブの人も少しずつ成長してるんだと前向きに考えてますw
この後の連戦で負けるようなら、社長よりもっと上の方から決断があるように思ったりもしています。
もし、急遽解任になったら小菊さんが暫定監督になるんですかね?
さすがに弟の再登板は無いと信じたいです。
コメントありがとうございます。
削除よく弟がという話しがありますが、弟はU-23の監督なのでそこをやめさせる形になりますから、基本的にありえないと僕は思っています。
あと僕は正直特に小菊さんに期待はしているという事もないです。