スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 井上 知大 |
入場者数 | 10,025人 | 副審 | 唐紙 学志、大友 一平 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 21.2℃ / 53% | 第4の審判員 | 松本 大 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 石﨑 信弘
試合経過
-
90+4'
- 90'
-
78'
- 76'
-
72'
-
62'
- 61'
-
45+1'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 15 | 11 | 14 | 13 |
CK | 9 | 7 | 6 | 5 |
PK | 0 | 1 | 0 | 0 |
シュート | 15 | 10 | 13 | 10 |
警告/退場 | 0/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督モンテディオ山形 石崎信弘監督
セレッソ大阪 玉田選手、山村選手、清原選手、山下選手、澤上選手
モンテディオ山形 大黒選手
明治安田生命J2リーグ第37節、セレッソ大阪は本拠地キンチョウスタジアムにモンテディオ山形を迎えての一戦は、山形が大黒の2ゴールで一旦は逆転に成功するもアディショナルタイムに途中出場の山村のゴールで追いつき2-2の引き分けで終了。
しかしこの引き分けで清水エスパルスに抜かれ4位に後退することとなりました。
■メンバー
セレッソのメンバーは前節と全く同じ。関口は一度は練習復帰していましたが再び怪我で離脱してしまったためベンチメンバーを含めても全く同じ。酒本と椋原というSBが2枚入っていますが酒本はどういうわけか2列目として扱っているのでCB、SB、ボランチ、2列目が各1枚ずつとFWが2枚という構成。一方のモンテディオ山形は、ディエゴが前節の退場で出場停止となったために1トップに入っているのは大黒。トップが入れ替わった以外は前節勝利した3-1-4-1-1のメンバー構成そのままで、汰木、佐藤優平らはベンチに入っています。
両チーム共に予想スタメン通りのメンバー構成となりました。
■立ち上がりの攻防から山形の修正
試合の立ち上がりには前節怪我から復帰し、27節以来10試合ぶりの先発出場となる大黒にらしさ全開の動きでシュートまで持っていかれる場面を作られますが、時間の経過と共に徐々にセレッソがペースを握る事となります。山形の守備 |
セレッソがペースを掴んだのはこの前線の人数を最後尾のキム・ジンヒョンや降りてきた選手を使って外し山形の1列目の守備の後ろにボールを運べるようになってきたから。
そして1列目の守備の後ろにボールを運びセレッソが一気に前線までボールを運ぶ事が続くと大黒が出てきたインサイドハーフにあまり行かないでスペースで待つように指示を出している場面が見られますが、結果的にセレッソがボールを持つ時間が増え、杉本や丸橋がいる左サイドを基点にすることでペースを握り始めました。
ただ、そうなると山形も下がってスペースを消して守るようになっていましたので、20分の田中裕介のミドルシュートや、それで得たCKをショートコーナーを使い大外の藤本が合わせるもポストに跳ね返される場面など、シュート場面はミドルシュートかセットプレーのみ。
これはずっとそうであるように、セレッソの攻撃はそれぞれの発想に任されているのでどうしてもスピード感にかけるからで、これでもし首位を独走していたり2位で首位を狙っている様ないわゆるイケイケの調子の良い状態ならもう少し違ったのかもしれませんが、現状ではしょうがない所です。スピードを上げるとさらにミスが増えてしまいますしね。
22分〜 |
これはセレッソが左サイドで基点を作る事が多かったのでより元FWの川西よりもボランチの松岡という判断だったのかもしれません。
この変更の後もセレッソはクロスのこぼれ球から丸橋のミドルシュートでチャンスを作りますが、徐々に攻めあぐねてボールを奪われる場面も増えてくるようになります。
■山形の攻撃
するとその後山形が攻撃でセレッソゴールに迫る場面を作り始めます。山形の攻撃 |
まずポイントになっていたのはトップ下の鈴木。セレッソが攻撃で押し込んだ時は前線に2枚残る訳ではなく守備に戻り中盤3の前にポジションを取っている事も多い。なので一般的な3-4-2-1の時の5-4-1で守る形に比べて1トップのサポートに入る距離が近くなっています。なので大黒はが孤立してしまうと難しいですがサポートの時間が速いので基点になる事ができる。
またセレッソの守備は少し前に山口がインタビューで答えていたようにボールの奪いどころが定まっていない為基本後ろはリトリートしてスペースを埋めます。
これは良い悪いというよりもそうせざるを得ないのが現状で、全く守備の構築が出来ない監督の下でプレーしているので最終ラインの選手としてはできるだけリスクは取りたくない。
そのためにはスペースを埋めるのが先決。下がりすぎてやられる事もこれまで何度かあったし、実際に選手達もそのリスクはわかっているでしょうが、それ以上に1対1の対応で止める事ができる場面も多いし、また止められなくてもシュートブロックにはいける。そして後ろにはキム・ジンヒョンがいるので現状であればその選択が最善だと思います。
ただ、この山形の形だとリトリートするとより鈴木は浮きやすいポジション。なので大黒の動き出しもあってリトリートしたセレッソの守備ブロックの前で鈴木が基点となり始めました。
そして次に厄介なのがインサイドハーフの存在。山形のインサイドハーフは後ろにアルセウが構えてくれている事もあり、また川西は元FW、松岡は2試合連続ゴール中という事もあってどんどん後ろから飛び出してきます。
その状況に加えて再び出てくるのはセレッソの守備方法。先程も書いたように後ろの選手はリトリートをベースにしているのでセレッソはシャドゥが中に絞って相手のボランチに対応する形を取っています。
この場合ダブルボランチならまだシャドゥ2枚に対してボランチ2枚ですから他のところに出てくる歪は少ないのですが、山形の布陣だとここにいるのは1人。なのでセレッソのダブルボランチ2人の前に山形の選手はインサイドハーフ2人とトップ下の3人がいる事になる。これは清水戦でもあった困ったパターンです。山形は清水の様にショートパスを繋いで攻撃をしてくるような形は少ないので3バックが前にでて潰す等で最終的には対応していましたが、最初から捕まえきれている訳ではないのであまり好ましい状態ではありませんでした。
そしてもう1つこまったのはサイドにインサイドハーフとWBの2枚がいる事。
本来ならシャドゥが埋めるべきWBの前のポジションですが、先程も書いたようにセレッソのシャドゥは中に絞る事も求められているのでどうしても後手に回る。
なのでインサイドハーフとWBが出て来ると3バックの両サイドとWBが対応することになるのですが3バックの選手には中央の守備もしないといけないのでここもどうしても歪が出てしまう事がある。特にそれが出やすいのが中央を使ってからサイドを替えられた場合で、それが顕著に出てしまったのが31分の山田にシュートを打たれた場面。中に絞らされて遅れて出てこられるとどうしようもなくなってしまいます。
この山田のシュートやその前の中を割られてしまった鈴木のシュートの場面など回数は少ないですがもしかしたらよりゴールに近いのは山形だったかもしれません。
■セレッソの先制ゴール
20分以降に山形がチャンスを作り初めたとはいえボールを握る時間はやはりセレッソの方が長い。なのでセレッソはグループとしての精度は低いままですがボールを運び、個々の能力を活かしてボールを運び、ミドルシュートがほとんどながらもシュート数は山形よりも上回っていました。この状態はいわば今のセレッソにとっていつもどおりの形。根本的には決して好ましい状態ではありませんが、選手たちもこの状態でも何とかゴールを狙い、また相手を防ごうと奮闘しており、今のところどうすることも出来ないので仕方がない。実際こういった状態の中でも何とかゴールを奪って、何とか守ってでここまで勝ち点を積み重ねてきた訳で、この試合も今後もそうやって勝ち点を積み上げていくしかありません。そして前半アディショナルタイムの先制点も、まさにそんな感じの形。
清原が倒されて得たFKから、ソウザが直接狙ったボールは壁に跳ね返されてしまいますが、そのボールを松田が拾うと中央に折り返し。FKからの跳ね返りなのでどうしても中央はマークに付ききれない状態となっており、清原がニアに走った事でできたスペースでフリーになっている玉田が左足ボレーで合わせてゴール。
それまでの流れにはあまり関係ない形でセレッソが先制。これで前半終了となります。
■山形の同点ゴール
両チーム共にメンバー交代は無く後半開始。ただ山形としては、HTコメントにはありませんがセレッソの守備はシンプルにリトリートしてくるので守備から攻撃の切り替えの時はもっと簡単にボールを運べるんじゃないかという意思徹底があったかもしれません。前半よりも速くボールを運ぼうとする場面が増えてきます。
ただ、セレッソの選手にとっても相手を引き込む事でカウンターの機会があるのでおそらくそれほど気にはしていなかったでしょう。
試合終了後のコメントにある前線にパワー云々の話しは、何を持ってパワーとしているのかはわかりかねますが、全体が下るという事なのでもっと前から追えという事なのでしょうか。
とはいえ最初にも書いたようにセレッソの守備はリトリート基調で、そうなっている理由が別にあるのでなかなか難しかったかもしれません。
ただ試合後のコメントにあるという事はそれが結果に関連してしまったからで、61分、ショートコーナーからのこぼれ球をアルセウがアバウトに裏に出した所で大黒が1人反応。キム・ジンヒョンに当たったボールが再び大黒に当たりゴール。山形が同点に追いつきます。
これはいわば事故みたいな失点とも言えますが、大黒はこういう事故が起こりそうなところも狙ってますからね。ある意味大黒っぽいゴールだったといえます。
■山形の逆転からセレッソの同点ゴール
62分〜 |
この交代は失点前から準備しており、何故かここしばらく気に入って続けている交代出場で酒本をシャドゥに入れる形は前線の運動量を求めている節がありそうなので、やはり先程の前線のパワーってのはそういう事だったのでしょうか。
同点にされた事で前がかりになるセレッソ。
普通に考えればまだ60分なので残り30分あり、またボールを持とうと思えば持てる相手。
そこまで焦る必要はないのですが、チームとしてそう得点が奪えないので、どうしても前がかりになるしかないのでしょう。
得点が思うように奪えないのは狙った形というものが存在しないのでどうしても脈絡のない攻撃しかできないからなんですけど、そこには手をつけないのでこうなってしまうのも仕方ありません。
しそして実際に前がかりになると強引な脈絡のない形からでもセットプレーやミドルシュートでゴールに迫る事が出来ます。松田のクロスからあわやオウンゴールの場面やCKからソウザが合わせたり、藤本のヘディングシュートがクロスバーを叩く場面を作ります。
これらは特に前後の繋がりはありません。
そしていずれも意図的に狙いを持って作った形ではありません。
72分〜 |
これはちょっとよくわかりませんでした。
そもそも酒本を入れたパワー云々の話しはどうなったのでしょう。
というのも4-1-4-1というのは前線に1人しかいないので高い位置からのプレッシャーが難しくなります。また1トップのサポート役だった清原と酒本もサイドに出る事でワントップからの距離が離れてしまいます。なので1トップは孤立しやすくなります。
4-1-4-1は別の部分でメリットはありますが、その並び上こういった問題点がどうしても起こるので高い位置からプレッシャーをかける場合は、インサイドハーフの1枚が前線に出て4-4-2でプレスをかけに行くという方法が一般的です。
この形はセレッソでもペッツアイオリが監督を務めていた際に南野と山口をインサイドハーフに起用し4-1-4-1から4-4-2変換ってのをやっていて、当時は日本でほとんどこの形を見ることはありませんでしたので斬新でしたが、あれから2年が経ち今では定番の形となってきました。
しかし今のセレッソではそんな事をやったことはおろかトレーニングしているところも見たことがないので、おそらくその形はありません。そもそも4-4-2の守備も怪しいのであるわけないのですが。
なので4-1-4-1になった事で特に何かが起こる訳でもなく…
するとシステム変更によってボール循環の流れもかわってしまった事からボールが動かなくなり清原が中盤でボールを奪われることに。そしてカウンター気味に運ばれたボールに対して川西をソウザが倒してしまいPK。これを大黒が決めて76分に1-2と山形が逆転に成功します。
このPKのジャッジはちょっと厳しいかなとも感じますが、川西がボールを受ける前に後ろから足を入れて先にマイボールにしようとしている後ろから足を入れた動きが引っ掛けたという判断だったのでしょう。
78分〜 |
山形が逆転に成功した事で守備ブロックを少し下げた事と、ドリブルでボールを運べる杉本が2列目に戻った事で、4-1-4-1にしてからのボール循環に迷っていた状況からは少し改善されボールを運ぶ場面が増えますが、この狙いのよくわからない4-1-4-1の2列目の4枚、特にSHの2人は3バックの時のSHではなくシャドゥとしてプレーしているかの様に中央に寄り幅を取るのはSBだけという状態なので中央は大渋滞。80分にソウザがボールを失った場面なんかはその象徴的な場面で、ここはソウザの判断云々の前に中央が渋滞していて出しどころが無く、さらに横幅を取る丸橋と松田のスタートポジションが3バック時のWBからSBにポジションを下げた事で間に合ってないからです。
そしてボールを奪われると前線の澤上は頑張って追いますが前線で1人しかいないのに対して相手は3バック。これで何かをしろというのも無茶な話しで、やはり簡単にボールを運ばれ、ブロックが下がります。
83分〜 |
しかし選手はその後何分間かは繋いでボールを運べるので長いボールを入れるような事はほとんどありませんが(苦笑)。そして前にも書きましたが山村は本来高い位置でプレーもしたい選手なので前線でテクニックを見せますが、中央は大渋滞なのであまり効果がありませんでした。
ただ87分頃からあまりに上げろ上げろとうるさいからかどんどん放り込む形に。
90分〜 |
セレッソは藤本も前に出して、陸!陸!と上げろ上げろです。その上げろ上げろが実ったのはアディショナルの94分。松田のロングボールをソウザが落とし、そのこぼれ球を山村が決めて同点に。ここですかさずチームに落ち着けのジェスチャーを送り、そのまま試合終了。2-2の引き分けに終わりました。
■その他
結果的に引き分けに終わったわけですが、この試合は今シーズンのセレッソらしい試合となりました。試合前の予想としては、攻撃に関してはどうしてもこういった脈絡のない形でゴールを奪えるかどうかになるだろうと言うのは予想どおりで、守備に関しても押し込まれる場面もあるだろうとは考えていましたが、山形はそんなに点をとれるチームでもないので、何とかなる可能性が高いかなとは思ってたのですが、2失点とそうは上手くいきませんでした。
攻撃も守備も狙った形が殆ど無いので、どうしてもこういう事も起こりえるといった感じでしょうし、まあ今シーズンはやってみなきゃわからないという試合ばかりなのでしょうがない所でしょうね。
あと個人的には本文中に書いた通り4-1-4-1の意味が全くわからなかったです。4バックにするならまだ4-2-3-1にしてソウザをハッキリトップ下にした方が分かりやすかったんじゃないですかね。まあそれでも根本的な解決にはなりませんが。
これで4位となり残り5試合で2位との勝ち点差が4です。
逆転可能な目安として残り試合数よりも勝ち点差が少ない事というのがありますが、得失点差が最も少ないので、勝ち点差5を上乗せしなければいけません。
なのでこれで本当にもうぎりぎり。というかかなり厳しい状況となりました。
J3 鹿児島ユナイテッドFCサポーターの方が、スタジアムが理由でJ2ライセンスが交付されなかった事を受け、新スタジアム建設の為の署名活動を行っておられます。下記からオンライン署名ができますのでよろしければお願いします。 署名ページ:https://kufcsupporterscommunity.blogspot.jp/p/blog-page_93.html 鹿児島ユナイテッド公式 サポーターによる署名活動ご協力のお願い http://www.kufc.co.jp/information/11845/ |
いつも拝読しています。
返信削除分析、ありがとうございます。
僕はメインホーム自由の前の方で応援しているので、全体を俯瞰的に見られませんが、
記憶と分析を重ねて納得してます。
今まで約束事がないチームが、残りわずかで、約束事ができる気もしませんが、
プロレベルだと選手間で約束事を作ることは無理なのでしょうか?
現地で見てても、動きのパターンはいくつか整備できそうに思うのですが...。
いずれにしても、残り試合、全部勝つように応援するだけと思っていますが、
前線の中央大渋滞で、最終ラインの中央スカスカっという姿を解決してほしいと願うばかりです。
コメントありがとうございます。
削除約束事ですが、実際に選手間でかなりやっていると思います。
例えば守備のバイタルを空きにくくするためのリトリートの判断だったり、シャドゥの絞り方なんかはその成果の1つでしょう。
ただ、相手もセレッソはこういう弱点があるという事を分析していて、さらにそこを狙ってくるという状況ですから、当たり前の事ですがやっぱり選手間調整では難しい部分も出てきますよね…
特に外国人選手なんかは、言葉の壁もあるし文化も違うからかなり大変だと思いますよ。
とうとう4位に転落。
返信削除自動昇格はあきらめました。
残り5試合、3位には食い込んで、プレーオフの2試合を引き分けて昇格、
せめてそうなればいいんですが。