- 71' 酒本 憲幸
スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 西村 雄一 |
入場者数 | 23,781人 | 副審 | 戸田 東吾、川崎 秋仁 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30.7℃ / 67% | 第4の審判員 | 大原 謙哉 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 小林 伸二
試合経過
- 90+4'
-
90+1'
- 89'
- 86'
- 80'
-
78'
-
71'
- 66'
-
61'
-
46*'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 9 | 7 | 14 | 13 |
CK | 5 | 3 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 8 | 7 | 13 | 11 |
警告/退場 | 1/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督清水エスパルス 小林伸二監督
セレッソ大阪 ソウザ選手、丹野選手、清原選手、酒本選手
清水エスパルス 白崎選手
清水エスパルス 犬飼選手、金子選手
明治安田生命J2リーグ第34節で最も注目度の高い試合、ヤンマースタジアム長居にて行われた3位セレッソ大阪対5位清水エスパルスの一戦は、セレッソ大阪が先制するもこの試合に敗れると自動昇格圏内となる2位が現実的に難しくなる清水エスパルスが残り5分で2得点を決め逆転。
セレッソにとっては痛い敗戦を喫する事になりました。
■メンバー
リーグ終盤での上位対決となった一戦。セレッソは勝利したもののゴールが遠かった前節の反省や今節が強豪清水との対戦という事もあり、ここまで続けていた玉田のワントップから杉本健勇のワントップに変更。シャドゥには清原と共に5試合ぶりの先発となる関口を起用。また最終ラインには出場停止空けとなる山下が復帰しています。一方の清水は、前節は2位松本山雅との直接対決に敗れこの試合に敗れると2位との勝ち点差が残り試合数を超えてしまうのでセレッソ以上に勝ち点3がどうしても必要な試合。枝村に引き続き六平も怪我で離脱という事もあり右SBには三浦弦太を起用し、CBもビョン・ジュンボンから犬飼に変更。また右SHには石毛を起用。さらに前線には怪我からの復帰以降初の先発となる大前が入っています。
■清水に対して松本山雅がとった対策
清水は前節スコア上は1点差でしたが内容としては松本山雅に完全に上回られた完敗を喫しています。今節のレビューの前に前節松本山雅がどのような形で清水を上回ったのかを振り返ってみます。松本が狙ったのは清水のビルドアップを破壊すること。簡単に言うと「前線からのプレスで」と評されてしまう部分ですが、そう書いてしまうと何もわからないのでもう少し具体的に。
清水のビルドアップ |
特に左サイドの白崎と松原は清水のストロングポイントと言えるほどです。
松本の清水対策 |
そして狙ったのがビョンジュンボンからのボール。
松本の残っている前線1人でコースを制限していきながら六平、北川、河井に出したところにWBやボランチで激しくアプローチ、さらに余っている1枚のシャドゥでプレスバックをかけボールを奪う。この形でビョンジュンボンから出たボールをパウリーニョ、岩間、石原が面白い様にボールを奪っていきました。
となるとここで奪われてしまうので長いボールを蹴る場面も増えますが、そこで待っているのは松本の鉄壁の最終ライン。流石にチョン・テセや金子、白崎では分が悪く跳ね返され続けます。
その結果前半の中盤頃にはビョンジュンボンがボールを持つもののどこに出せば良いのかわからないという状況が何度も見られるようになっていました。
最終的に清水は中をほとんど使えずブロックの外側、サイドに速くボールを出して、それもストロングポイントである左サイドは角田が捕まっているのでビョンジュンボンサイドである右サイドですが、外から縦にという形だけになり、そこで何とかしようとスピードがある村田を右サイドに投入しますが、そうなると松本もシャドゥをサイドの守備に戻し5-4-1の形にして対応。清水はブロックの外から強引にクロスを入れるしかなくなり、強い松本の中央3人に跳ね返され続けるという展開となっていました。
今節の前にこういう試合があったという事もこの試合に向けてのポイントの1つで、右SHの石毛やCBの犬飼、そしてユーティリティー性の高い河井がボランチから他ののポジションに移して起用するという方法もありましたがそれを選択しなかったのも、少し見える所があるのではないでしょうか。
■セレッソの取った方法
前節を踏まえて怪我の六平と復帰したエース大前だけでなく、CBを入れ替え、ストロングポイントの左サイドだけでなく右SHもアタッカー的な選手から間で顔を出して受けれる石毛を起用してきた清水。対するセレッソですが、キックオフ直後から守備で特に何かをしようとしている姿は確認出来ません。杉本のポジションは最初CBの前にいましたがボランチが下がりCBがボールを動かすとボランチの前に。この場面は開始3分のこの試合で初めて清水が最終ラインでじっくりボールを持ってビルドアップしようかという場面ですが、ちなみにテクニカルエリアの「健勇!」って声は聞こえてます。
そしてこのボール保持から始まった清水の攻撃で、石毛の右サイドからDFラインとGKの間を狙ったクロスに対してキム・ジンヒョンとチョン・テセが交錯するアクシデント。
実際にぶつかったのは頭ではなく肩同士だったのですが、手を伸ばしてセーブに行っていた分キム・ジンヒョンのダメージは大きかったようで試合が少し中断します。
この前半4分に起こったアクシデントによるキム・ジンヒョンの治療時間で最終ラインの選手は話し合いを見せていますが、この状況を作られた石毛のクロスは丸橋の裏を狙われ、必然的に作られた形でした。
清水のビルドアップ |
そして同じくその後のキム・ジンヒョンの治療中に前線の3人に対して河井を切ってなどの指示を音声が拾っていますので、その後の動きも合わせると前線3人でCBとボランチの4枚、特にボランチの所にアプローチをかけようというものだったのでしょう。清水の両SHが頻繁に中に入ってくるのでボランチが前に出られない。その時にシャドゥが中に絞って相手のボランチを見るというのは30節の金沢戦で途中から変えてある程度の成果を見せた形。その試合でもその後少しそのやり方を取ったときの問題点が出ていましたし、天皇杯の京都戦ではその問題点を思いっきり狙われたのですが、天皇杯でも最終的に勝利したので気に入って継続して使っています。
WBの裏へ |
セレッソのWBが前に出るとインサイドに入っていたSHがWBの裏、3バックの脇のスペースに斜めに出ていく。石毛のクロスは天皇杯の京都戦の前半、堀米に散々やられた形と同じ形でした。
中央でプレーするSH |
京都がやったのはとにかく丸橋の裏へという形でしたが、清水のSHはボランチの脇で頻繁にボールを受けようとします。
さらにその横にはトップ下の大前がいるのでこの局面は3対2。
なのでこの1枚浮いたSHをどうするのか戸惑う状況が起こっていました。
前線から追いかけると |
清水はバックパスをして低い位置でボールを動かすのに合わせてセレッソの選手が次々と寄せていく、右サイドから左SBの松原にボールが渡った時に松田が一気に前に出ていきますが、ここで遅れて降りてきた白崎にボールを通されてしまい前線に。
ここからセレッソの選手何人かが2度追いするもチョン・テセに楔が入りという形になり、最終的には清水の選手のミスパスでセレッソボールになったものの、選手は連動して動いているが実はグループとして整理されていない事がわかる切ない場面です。
ここで白崎にいけるのは田中なんでしょうがボランチも2枚前に出ているこの場面で敵陣の深い位置までCBは行けないです。
■中でチャンスを作ることができる清水
中央の不均衡 |
おそらくセレッソとしては清水のサイドからのクロスに注意しようというのはあったんだと思います。なのでサイドからの形に対しては3バックの1枚が出ても逆サイドのWBが絞っていたり、最初はボランチを見ていたシャドゥが頑張って戻ってケアしてなんとか出来ている場面もありましたが、中央はボランチに上手くプレッシャーがかからないとかなり困った状況になる事も起こっています。
前半14分にあった石毛のシュートは、最後石毛が大きくシュートを外したので助かりましたが、このシーンでは大前と白崎がポジションを入れ替えていてボランチの脇、3バックの1枚が出ていけないあいだのポジションにSHが下がって顔を出す事でボランチが動けなくなり、そこにスッとボランチの間に入ってくる白崎に河井から縦パスが入った形。
さらに19分には今度はその中央を使ってボランチと清原の間にパスを入れられ、22分の竹内のシュートの場面は山口のミスパスからでしたが間をチョン・テセまで楔を入れられています。
この中央は最後にセレッソにとって残念な形で出てしまいますが、実は序盤から問題は抱えていました。
HTにセレッソは前半立ち上がりの交錯でキム・ジンヒョンは丹野と交代となりますが、後半に入ってからの56分にも河井から中に入った石毛へパスを出されあわやの場面を作られています。
■先制したのはセレッソ
清水はショートパスを繋ぎ攻撃を組み立ててきますが、ボールを取り上げる様な戦い方はせず、また守備ではしっかりブロックを作って4-4-2で守るのでセレッソがボールを持つ機会も作らせてくれますのでセレッソが攻撃する場面もありました。ただこの試合では杉本がワントップに起用されており、今の杉本のプレースタイルは1.5列目〜2列目の選手。なので前線に誰も以内0トップ的な状況がデフォルトです。
そこを何とか機能させるのは清原で、守備でも多くの仕事を求められている清原が攻撃でも杉本の代わりに最前線に入っていくという役割を求められ、攻撃で良さを出し切れているとは言えないなかなか難しい状況でしたが、清水が4-4-2で中を締める守備をしていた事もあって両WBを高い位置に出す動きを中心とした攻撃で何とかボールを運んでいました。
ただ、中を締められているのでいつものようにどうしても行き当たりばったり的な攻撃も多く、出しどころに困っている場面もありましたが・・・
また清水はシステムの噛み合わせ上どうしてもミスマッチが起こるセレッソのWBに対して、ボールと逆サイドのSHは少し低めにポジションを取らせるという方法を取っていました。
ただ、前半最大のチャンスとなったのはこのミスマッチで生まれる大外WB。
前半アディショナルタイムの45+1分に丸橋のクロスから杉本がフリックした所を大外で松田が押し込みますが残念ながら杉本のフリックの時に松田はオフサイドポジション。
清水のやり方的には白崎がここに戻らないといけない場所なんですがその戻りが遅くなり、松田に先に入られてしまった場面です。
そして57分には今度は中盤の4枚に対するミスマッチを活かして右サイドからグラウンダーでボールを繋ぎ左サイドでフリーになった丸橋へ。
関口からのパスが弱く前のスペースにスピードを持って走る事ができるものではなかったので、最終的にカットインしてから右足のシュートとなってしまいましたが、単発ながらもミスマッチでの逆サイドはチャンスを作る事ができていました。
66分〜 |
セレッソの先制場面 |
しかしそのこぼれ球を拾った丸橋がボランチの位置から右サイドに展開。このクロスに飛び込んだのは逆サイドから酒本。
ソウザ、清原、杉本の前線3人の外から出てくる酒本は4バックでは人数が足りないので右SHの村田が戻りますが、酒本がその村田に競り勝ち頭で押し込みました。
■停滞していた清水
このセレッソが先制した前後の時間帯はそれまでと異なり、セレッソがペースを握っていました。そのポイントになっていたのは奇しくも清水が攻撃を活性化するために選んだ村田の投入。これにより状況が変わっていました。村田のポジション |
これで助かったのがセレッソ。前半から後半の頭まで石毛と白崎が中に入るので大前と合わせて3人を誰が誰を捕まえるのかが混乱していたのが、村田がサイドに開いてくれたおかげて中央にいるのは大前と白崎だけ。となるとダブルボランチの所で数的不利にもなっていない。となるとボランチが前に出た時に3バックの選手も捕まえる選手がハッキリする。
なので、村田が投入されてからしばらくはそれまであった清水の中央を狙う攻撃が全く披露されていません。
村田としては役割通りの得意なプレーだったと思いますが、丸橋と普通に1対1をするだけになり、丸橋が村田に1対1で負ける事も無かったので清水にとってこの交代はほとんど効果を生む事はありませんでした。SBが村田の内側に入ってくるとかあればまた違ったのでしょうが。
またセレッソの先制後はこの試合に負けてしまうと自動昇格圏が絶望となる清水がかなり前がかりになりますが、清水の前節、松本戦同様の中が使えず外からクロスを入れるだけの状態となっていたのでそれほどのピンチはありませんでした。
■再び中を使えるようになる清水
80分〜 |
清水は80分に大前に代えて金子を投入。そのまま同じポジションに入ります。
しかし清水は状況を変える事ができずほとんど効果的な攻撃は出来ないまま、決して清水が上手くいっている訳ではありませんでした。
86分〜 |
中央の不均衡再び |
そして89分、久しぶりにボランチの間を割られてで金子にボールを受けられると山口のアプローチも奪いきれず反転、そして藤本が出た所で空いた山下と茂庭の間に北川に入り込まれ左足で流し込まれゴール。
基本的には前半14分の石毛のシュートと同じ形。14分の場面では石毛のシュートが浮いてしまいましたがこの場面では北川にもう1歩分運ばれて失点となりました。
同点に追いつかれた後はお互いオープンな状況になりますが、試合を決めたのも結局中央の不均衡。
左から中央に入ってボールを受けた白崎にソウザが対応しますが外され元ソウザのポジションの北川に縦パス。ここに最初は山下がいたんですが白崎がターンしている時にバックステップで最終ラインに戻っていたのでぽっかり穴が空いている状況。金子からのリターンを白崎が再び受けた所に慌てて清原が戻りますが、最初SBに対応していたので届かず放たれたシュートがネットに突き刺さりゴール。そのまま試合終了となり劇的な形で清水に逆転負けを喫する事となりました。
■その他
順位は変わりませんし2位松本との勝ち点差もまだ4なので、状況的にはそこまで大きな1敗ではありませんが、印象としてはかなり厳しい逆転負けとなりました。その前に村田を入れて攻撃しようとしていますし最後のボランチを削って前線中央に人数をかける形は清水としてはそこまで狙ってという形ではなく、負けることは出来ない状況も踏まえて一か八か的な所もあったと思います。とはいえ前半の中央が使えていたシーンがあったからこそ出来た勝負だったのでしょう。
それに完全にやられてしまいました。
今シーズンのセレッソはどうしても相手の変化に対応出来ない場面があるので、かなり効果的だったと思います。
相手の変化に対応できないのはそれぞれが個々の判断で成り立ってるからですが…
この試合の清水は、サイドからクロスが少なかったように思います。
返信削除セレッソのバイタルを使ってDFの裏を狙うのがゲームプランだったんでしょうか。
松田の交代も茂庭ではなく、山村を入れて、後ろ4人の前にボランチ3ボランチにしておいたら、何とか逃きれたと思うんですが。
コメントありがとうございます。
削除清水のクロス本数は13なんで普段に比べると少ないですね。
ただ、松本山雅戦が15でリーグ平均が14ですからそんなにめちゃめちゃ少ないって訳でも無いですね。
そしてクロスを上げるにしても外からばかりだと特にCB3枚いると跳ね返される事も多いし、途中に書いたように松本戦では中を使えなかったから効果的に外も使えなかったという流れがあるので、ゲームプランとして外ではなく中というよりも、効果的に外を使う意味でも中を使おうという所だったのではないでしょうか。外じゃなく中をということなら村田を入れる意味も無かったですしね。
あと3ボラにしたらという点ですが、たしかに3ボラにした方がよさそうではありますが、今の安定感の無い3バックと同じで、あの状況で3ボラにしても1人がシャドゥ的に振る舞うだけなので意味が無かったと思いますよ。
問題点は、2ボラでも3ボラでも、またDFラインが3でも4でもどう守るのかという設計図が無いまま只々並べられた現場で個々に判断させている事ですから。
おっしゃる通り、根本的に守りの設計図がないのが問題ですね。
削除それにもかかわらず、ピッチの中に修正するリーダーがいないと平気で責任転嫁をする監督には、困ったもんです。
Akiさん、いつもありがとうございます。
返信削除スタジアムからの帰り、とても気分が滅入りました。昨年、何度も味わった嫌な記憶、デジャブだったからなんですよね(-_-;)
Akiさんから見て、昨年とは違う「救い」の要素はありますか?
希望がほしいです。f(^_^;
コメントありがとうございます。
削除去年と違うのは、内容やクオリティは去年以下なのに去年よりも勝ち点を稼いでるって事じゃないですかね。
希望になるかどうかはわかりませんが(笑)。
コメントありがとうございます( ̄▽ ̄;)
削除それは、希望と言うよりも……。
まあ、ものは考えようで、去年以下の内容とクオリティで去年より勝ち点を稼げているのだから、去年より1つ順位を上げることもできるだろうと、開き直って結末を見届けることにします!
今さら、何か劇的な改善を期待できるわけでもありませんから(^_^;)
ありがとうございました。
お疲れ様です。
返信削除守備がオーガナイズされていない以上個々で厳しく行かないと相手にするすると行かれてしまう、ましてや清水のような攻撃的なチームなら、って感じでしたね。
最後は健勇が前からプレスかけられなくなってましたし。球際が緩すぎです。
ゲームの中で選手達が修正出来ることは大事ですけどそれに監督が頼ってたらもう監督いらないって話ですね。ほんとあの人にはガッカリです。
コメントありがとうございます。
削除守備がオーガナイズされていないと個々で厳しく行くのも難しいんですよね。
付いてきているのかどうかわからないので。
球際も同じで、厳しく行っても連動していないともし1人で奪いきれなければ入れ替わられて逆にピンチになってしまう。それなら待った方が全体的にはピンチにならない可能性が高い。という事です。
なのでこういう試合になってしまうんですよね。。。