スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 清水 修平 |
入場者数 | 9,391人 | 副審 | 大西 保、田島 宏則 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 32.7℃ / 45% | 第4の審判員 | 馬場 規 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 吉田 恵
試合経過
-
90+2'
- 87'
- 85'
- 82'
-
78'
-
70'
- 69'
- 68'
-
60'
- 57'
- 51'
-
45+2'
-
36'
-
19'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 12 | 20 | 14 | 16 |
CK | 5 | 4 | 5 | 4 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 6 | 8 | 13 | 9 |
警告/退場 | 1/0 | 2/0 | 1/0 | 2/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督FC岐阜 吉田恵監督
セレッソ大阪 杉本選手、清原選手、丸橋選手、田中選手、玉田選手、山村選手
FC岐阜 岡根選手
国際Aマッチウィークに開催となった明治安田生命J2リーグ第35節、セレッソ大阪は本拠地キンチョウスタジアムにFC岐阜を迎えての一戦は後半に岐阜が反撃を見せるも先に奪った3点で逃げ切り勝利。
前節試合終了間際の2失点で敗れたセレッソですが、今節はなんとか逃げ切りに成功し、2位松本との勝ち点差を2に縮める事になりました。
■メンバー
前節清水戦に劇的な形で敗戦を喫したセレッソは、山口とキム・ジンヒョンが日本・韓国代表で離脱となる今節、前線の組合せを1トップに玉田、シャドゥに清原と杉本という前々節までの形に戻し、山口が欠場となるボランチには山村、GKには丹野が入っています。一方の岐阜は、前節0-5と大敗した岡山戦からGKを高木からポープ・ウィリアム変更した以外は同じメンバー。しかし前節は原則岡根をアンカーに置いた4-3-3の配置で、3-4-2-1の岡山がボールを持った時に起こるミスマッチに対して岡根を最終ラインに落とす5バック化で対応するという状況によってポジショニングを変える可変システムを使用していましたが、それがハマりきらない立ち上がりに立て続けに失点した事を受けて、今節は同じ3-4-2-1を敷くセレッソに対して最初から岡根を最終ラインに入れ、エヴァンドロと難波もMF登録にした5-4-1を採用。
状況によってポジショニングを変える可変システムではなく、マッチアップをあわせる事をハッキリさせてきました。
■岐阜のコンセプト
5-4-1でマッチアップをあわせてきた岐阜。これは前節立ち上がり3失点をしてしまいゲームを決定づけてしまった事が要因だと思いますが、とはいえただただ5-4-1で下がる事を選択すると一方的に攻め続けられる事にもなりかねないですし、前線に3人の個で勝負できるアタッカー、レオミネイロ、エヴァンドロ、難波を起用しているメリットも出てこない。岐阜の守備のスタート |
セレッソの3バックに対して岐阜の前線も同数の3枚になりますが、CBにまでアプローチをかける事は無く、ハーフウェイライン辺りで中央に絞ってCBからボランチへのパスコースを消す形です。なのでボランチがこの前線の3人よりも低い位置に降りてきても体勢が悪いなどでなければ追いかける事はしません。ただもしここでボールをひっかける事が出来たり、例えばセレッソのミスでボールを回収できればこの3人で一気にカウンターで勝負してやろうという狙いでしょう。
5-4-1に |
これはボールサイドの選手だけでなくこの1列目のラインを超えられると逆サイドの選手も下がってくるのでボールの場所によって5-2-3と5-4-1を使い分けるというコンセプトが明確に感じられます。
そして5-2-3の時は岐阜の前線の3枚が中央を絞っているのでセレッソはボランチを使った中央にボールを入れる事は難しく、どうしても外側を経由してボールを運ぶ事になる。そして外でボールを運ぶと5-4-1にしてスペースを消してくるのでサイドチェンジも難しく、ブロックの外側でボールを持たされるだけの時間が続き、前半立ち上がりはそこから奪ったボールを岐阜の前線3人がボールを運び、CKを獲得、さらに最初のシュートもそのCKから岐阜に放たれてしまいます。
岐阜としては5-2-3から5-4-1の変化も徹底できていたし、5-4-1ではしっかりスペースを消す事もできていた。そしてそこからボールを運ぶ場面も作れていたので立ち上がりとしてはやりたいことが出来ている上々の内容だったのではないでしょうか。
■岐阜の弱点
1列目を超えられると5-4-1にしてスペースを消して守っていた岐阜ですが、その岐阜の戦い方に対しておそらく15分過ぎ頃からセレッソの選手はある事に気がつきます。それは岐阜の守備が5-2-3の時は入ったボールに対して中盤の2枚や最終ラインが激しくアプローチに行く事に対して一旦5-4-1になるとスペースを埋める意識が強くズルズルとブロックを下げてしまう事。前節の5失点は人を捕まえきれずスペースも埋めきれなかったので、今節は押し込まれた時は5-4-1でリトリートしてブロックを下げてもいいからとにかくスペースを埋めようというのがチームの共通理解だったとは思いますが、その意識が強すぎるあまり一旦5-4-1になるとボールホルダーへのプレッシャーに出るタイミングが徹底でされておらず、そうなるとセレッソでもよく起こっている様に全体のブロックを下げるしかなくなってしまいます。
立ち上がりのセレッソは岐阜のこの状態になかなか気が付かず、ブロックの外側でボールを横に動かすことを繰り返していましたが、ピッチ上の選手がこの状態に気がつくとボールを運んで押し込む場面を作るようになり、19分セレッソが右サイドでボールを運んで左サイドに展開すると岐阜の最終ライン5枚は丸橋にアプローチをかけた右WBの阿部以外の4人が完全にペナルティエリア内に入ってしまう状態に。そして丸橋が斜め後ろの杉本にボール戻すと一応中盤のエヴァンドロと小野が寄せる素振りを見せますが全くプレッシャーはかかっておらず、ほぼフリーの状態で入れたボールに山村が頭で合わせてゴール。セレッソが先制します。
山村はCBもやっていた事から守備的な選手というイメージを持たれる事が多いですが、ロンドンオリンピック代表でも山口と組んでいた時は山村が前で山口が後ろという関係だった様に、実は中盤でも前に出ていって攻撃に絡みたいタイプ。この岐阜の状態を見てスルスルと前線に上がりヘディングで決めるプレーはそんな山村らしさを感じされるプレーでした。
その後も岐阜の守備は同じ状態なので、ズルズル下がる場面は続きます。
32分の杉本のドリブルシュートもまさにそんな感じでボールホルダーに対してアプローチにいかず下がってスペースを埋める事ばかりなので、最後はシュートをブロックすることは出来ましたが杉本にボックス内にまで運ぶドリブルで侵入されてしまってます。
■丸橋の裏
34分〜 |
丸橋の裏 |
ただ、シャドゥの杉本は最初のポジションがサイドに開いた位置であればそのままWBに対峙する事もありますが前節も書いたように原則として中に絞ってボランチを見ることになっています。
これはボールの取りどころがハッキリしていない以上岐阜の5-4-1ズルズルと同じでボランチが前に出る事は難しくできるだけ後ろのスペースを埋めておきたい。だけどボランチを自由にすると相手に完全に押し込まれてしまうのでそこはケアしないといけない。という状況から生まれた形だと思われますが、そうすると相手のWBやSBに対して丸橋が出ていって対応するしかなくなる。しかし出ていくとその後ろにスペースを作る事になってしまうので相手のSHやシャドゥはそのスペースに飛び出す事を狙っています。
この状況はもうずっと続いているのですが、これに対して有効な修正手段を持っていないので選手がピッチ内で選手間調整で対応するしか無いのが現状。そしていまはそこにチームで一番守備力の高い山下が入っているので「山下頑張れ」が対応策?となっています。山下がほぼ2人分のスペースを1人で守っています。なので山下だから何とかなっているところもありますが、山下でもどうしようもない状態もあるのが現状、一時に比べて山下のプレーが…という声も見ますがこういう状態になっているからという側面があります。(おそらく山下でなければもっと大変な事になっていそうです。)
という事でここは構造的欠陥なので岐阜も勝負できるエヴァンドロをつかったり、レオミネイロがこちらのサイドに流れてきたりする場面も多く見られました。
基本的にはここを突かれたとしても何とか守る事ができていましたが、岐阜としては最大の狙い所であるのも事実。という事でその磐瀬と鈴木潤がポジションを入れ替えた直後にあったエヴァンドロが丸橋の裏を突破してクロスを入れるという形。この場面では折り返しのボールは難波が戻りながらのヘディングとなり丹野がキャッチしますが、この形にもう1人選手が入ってこれるようにという狙いもあって、左利きの鈴木潤ではなく、中に入れる磐瀬をサイドにだしたという側面があったのかもしれません。
■セレッソの追加点
岐阜にとっては失点したものの丸橋の裏を続けていこうと考えていたでしょうが、セレッソにとっても岐阜の守備は比較的自由にボールを持たせてくれるので悪くはなく、できればセットプレーか個人技で追加点と奪いたいという展開で時間は進み、このまま前半終了となるかと思われたATの45+2分。田代が不用意なファールで清原を倒してしまったFKから、丸橋の入れたボールをニアで杉本が合わせてゴール。セレッソが追加点をあげます。マンツーマンでニアに前に入られてしまうとこうなってしまうという失点でした。
また2失点している事もあってハーフタイムに岐阜はおそらく積極的守備のアプローチに行こうという指示があったのでしょう。全体のブロックのスタート位置を高くして積極的にアプローチに行く場面が見られるようになりますが、運ばれてしまうとズルズルと下がっていく部分はあまり変わりません。
なので前がかりになる分岐阜がボールを持つ時間も少し増えファーストディフェンスのハッキリしないセレッソに対してボールを運ぶ事が出来るようにもなっていましたが、セレッソもボールを運ぶ事ができていたので、状況としてはそれほど変わらないというものでした。
57分〜 |
野垣内はセレッソの前回の昇格2009年から岐阜にいる唯一の選手です。
この形によってボランチは岡根が後ろで前に青木というハッキリとした縦関係にしてきました。
セレッソがボランチに対してシャドゥが絞るので縦関係にすることでどちらかを空けれるし、セレッソボランチを下げれるという判断だったのかもしれません。
また後半開始から難波とエヴァンドロのポジションが入れ替わっていました。
エヴァンドロのサイドを入れ替えたのは守備で下げられる丸橋と杉本のサイドと逆に置きたかったかもしれません。またその分丸橋の裏を狙うのはセンターのレオミネイロが多くなっていました。
そして続く57分、難波に代えてそのまま右サイドに田中パウロ淳一を投入。この選手も縦に仕掛けられる選手なのでサイドのスペースを狙える。またこれで右サイドに左利きの田中パウロ淳一、左サイドに右利きのエヴァンドロとなったのでサイドからの折り返しを中央に入れる選手という事もあったのでしょう。
田中パウロ淳一が投入直後にエヴァンドロがセレッソの右サイドを縦にドリブルしている時に「パウロ!パウロ!」と中に入っていくようにという指示が出ています。
しかし60分、岡根からのパスを戻って奪った玉田がインターセプトすると、ボールを失った事で岡根が執拗に追いかける事に。このプレーの選択が失敗で、玉田がソウザとワンツーをしてボールを受けると岡根がソウザまで深追いした事で岐阜のディフェンスは3バックが完全にさらされてしまう事に。岡根よりも前がポジションの青木が慌てて戻って玉田に寄せにいきますが、日本代表時代のバーレーン戦を思い出させるような身体を使った上手いブロックでその青木の守備を振り切ります。田代が何とかカバーしてスライディングで一旦はボールを奪いますがそのこぼれ球を清原に拾われ、さらに清原が入れたボールは阿部が跳ね返しますが、再びそのこぼれ球はソウザに拾われる事に。この時点では岡根やサイドの田中パウロ淳一も戻っていましたが、最終ラインは混乱中。無駄に喰い付いてできたスペースを杉本とのワンツーで抜け出した丸橋に入られるとその折り返しを玉田が頭で押し込んでゴール。セレッソが3点目を決めました。
■いきなりの2失点
この後も岐阜はバタついておおり、66分には松田がシュートを放つ場面(グラウンダーでファーに折り返していれば玉田もソウザもフリーだったのでおそらく4点目がきまっていたでしょうが)を作ったりとセレッソがチャンスを作っていました。ボランチへの対応 |
そしてプレッシャーが遅れたところから押し込まれて野垣内のクロスをCKにしてしまうと、68分田中パウロ淳一のCKをニアで岡根に合わされて失点してしまいます。
マンツーマンで守る相手の場合ストーン前のスペースを狙うのはよくある形で、このときも岡根には杉本、エヴァンドロには田中、阿部には藤本というマーカーになっていましたが、速い段階で杉本は振り切られていて、何とかカバーしようとした藤本も山村をブロックしているレオミネイロにブロックされる形となってストーン前に入った岡根に簡単に合わされてしまいました。
そしてその直後の69分。セレッソのキックオフで再開されたボールが一度も切れること無く右サイドでスライドしてきた田代にボールを奪われると左足で前方のスペースにパス。これをレオミネイロが出てきた丹野の直前でコントロールして流し込みゴール。セレッソは2分で2失点してしまいます。
この2つ目の失点となった形はレオミネイロが得意としている形。
レオミネイロはかなりスピードがあり裏へ飛び出すプレーを常に狙っているのですが、そこに丹野の2つある弱点の1つプレーエリアの狭さが重なってしまい、慌てて出たものの触れないという状況を作ってしまいました。シュートも相当上手かったですけどね。
ちなみにもう1つの弱点は大きなプレジャンプです。全体的には安定したプレーができる選手ではありますが。
■失点後
78分〜 |
酒本はそれまで少しばらばら気味になっていたボランチへの距離を絞って確保するような動きをみせます。そしてその酒本のプレーにソウザが前に潰しに出ていくプレーもあわさり失点前後よりは少しゲームが落ち着きます。
さらに78分、セレッソは玉田に代えてリカルド・サントスを投入。
岐阜のDFラインに対してパワーで勝負できる選手を入れるのは悪くない方法です。
これで再び失点前の様な状態に持っていく事が出来るようになりました。
ただ、リカルド・サントスは真ん中にいる事ができるし身体をぶつけあう事を嫌がらないので、競り合いながらスペースに出て行かせる様なボールを入れてあげた方が活きるし、実際逆の立場ならこの状況でそういうプレーをしてこられたほうが嫌だと思いますが、残念ながらそういうプレーはほぼありませんでした。
87分〜 |
3-2でセレッソが勝利しました。
■その他
勝利したものの2失点。1つめはセットプレー、2つめはケアしておかないといけないプレーでしたから余計でした。ただ、それ以外に大きなピンチがあったわけでもないので、それほど心配になるようなゲームではありませんでしたが。
この日の岐阜の様な戦い方だとなんとか力技的にでも押し切れる事が出来ます。
また今節松本山雅が岡山と引き分けた為2位との勝ち点差を2までまた縮める事が出来ました。
0 件のコメント :
コメントを投稿