スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 井上 知大 |
入場者数 | 13,363人 | 副審 | 今岡 洋二、数原 武志 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30.5℃ / 20% | 第4の審判員 | 野村 修 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 尹 晶煥
- 監督
- 呂比須 ワグナー
試合経過
-
90+1'
-
87'
-
86'
- 85'
-
80'
- 78'
- 76'
- 75'
-
74'
-
73'
-
68'
- 67'
-
65'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 11 | 13 | 12 | 14 |
CK | 7 | 7 | 4 | 5 |
PK | 1 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 12 | 8 | 11 | 9 |
警告/退場 | 1/0 | 3/0 | 1/0 | 2/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督アルビレックス新潟 呂比須ワグナー監督
セレッソ大阪 柿谷選手、山村選手、ソウザ選手、キム・ジンヒョン選手、マテイ・ヨニッチ選手、丸橋選手
アルビレックス新潟 堀米選手
アルビレックス新潟 原選手(アルビレックス新潟公式)
明治安田生命J1リーグ第14節。セレッソ大阪が本拠地キンチョウスタジアムにアルビレックス新潟を迎えての一戦は、前半は安定感の無い戦いを見せたが後半にPKで先制すると一挙4点を奪ったセレッソが4-0で勝利。ACL組が1節少ない状況ではあるものの首位柏レイソルと勝ち点差2の2位に順位を上げた。
■メンバー
セレッソのメンバーは、清武が太もも裏を痛め前日練習を回避した事でこの日はメンバー外。代わりに右SHには前節神戸戦で父水沼貴史の誕生日に決勝ゴールを決めた水沼宏太が入る。また右SBには松田に代わり田中が先発。これは新潟のカウンター対策という所もあるのだろうか。ベンチには松田、藤本、木本、福満、関口、澤上が入っている。
一方の新潟は呂比須ワグナー新監督の下リーグ戦としては3試合目。ベースとなっているのは前2試合と同じメンバーだが、大谷の負傷離脱が発表されGKに入るのは守田。またボランチにU-20ワールドカップから帰ってきた原輝綺がいきなりの先発となる。呂比須監督就任後の2試合は、小泉とロメロ・フランクでボランチを組んでいたが、戦い方から考えるとバランス的にも就任当初から原の起用が頭にあった事は間違いないだろう。
ただ、前線のメンバーは同じだったが配置は変更されており、それまで1トップを務めていた鈴木武蔵が左SHにまわりワントップに入ったのは山崎。右サイドのホニと左サイドの鈴木とスピードある選手を両翼に置くことで、よりカウンターのスピードを上げるという狙いがありそうだ。
■自陣で守備をする新潟。
守備ブロックを落として守る新潟 |
これは何度も書いてきたが、高い位置から守備をするという事は広い範囲を守らないといけなくなる。そうなると当然リスクも増える。なので守るエリアを狭くする為に自陣にブロックを落として守り、またその分相手陣内にはスペースができることになるので、そこをホニと鈴木のスピードある両サイドに走らせようというのが新潟の基本的なゲームプランなのだろう。
その新潟の守備に対して、セレッソは開始直後からソウザ、柿谷とシュートチャンスを迎える。
7分の柿谷のシュートは水沼から山村へクサビが入ってそれの動きを見た中央に入った柿谷が、連動して動いて左足で狙うという可能性のある形だったが、ボールを持った状態での攻撃は個人任せになっている部分も多く、シュートシーンはミドルシュートがほとんど。最大のチャンスは35分のカウンターから丸橋の折り返しに杉本が飛び込んだ形だっただろうか。
両SHが開いたポジションを取るセレッソ |
これは指示なのか、個人の判断なのかはよくわからないが、右SHにも中央に入ってきてボランチの裏でボールを受ける事ができる清武ではなく、どちらかと言えばSHとしてプレーする事の多い水沼が入っていた事で、杉本、山村に中央で絡む選手があまりおらず、ソウザは上がってくるものの、少し中央のサポートが手薄になっている場面も多かった。
しかし左サイドの柿谷は右SBの川口との1on1、なんだったらホニも含めた1対2の状況でもドリブルで抜きさるプレーを見せており、いつもとはまた少し違った形でチャンスメイクをするようなパターンも見せていた。
■新潟の攻撃パターン
ブロックを落として守る新潟が攻撃で狙っているのが、ホニと鈴木の両サイドがスピードを活かして縦に走るパターン。鈴木をセンターではなくサイドに置いたのも、スペースができやすいからだろう。
ここに中央でチアゴ・ガジャルドと山崎が流れながら起点となって、裏に走らせるという形を狙っている。特にこの形でセレッソにとって最も脅威だったのは、CKからのカウンター。CKの時にマンツーマンを基本として守備をする新潟だが、前線に残す選手の形が少し特徴的だった。
基本的に前線に残っているのは1トップの山崎。しかしホニが少し右に開いて前線ではなく中途半端な位置にいる。そこで、入ってくるボールによってはこぼれ球の回収役になるのだが、ボールを奪う事ができれば、そこから一気にカウンターで山崎を追い抜く形で飛び出していく。
丸橋や山口がここに対応する形になっていたが、1つ裏に抜け出される形も作られていた。
ただ、新潟にとってはおそらく想定していたよりも有効にスペースを使った攻撃ができていた訳ではなかっただろう。
それはセレッソもまずスペースを埋める形でブロックを作る守備を選択してきたから。
その為、新潟がボールを持って攻撃をするという形も序盤からいくつか見られている。
そしてブロックを作ってしまえばボールが入ってくる状況がかなり制限できるので、SHとSBの1対1も田中は早めに鈴木に身体を当てる事で、ホニとマッチアップする丸橋は柏戦で伊東純也とマッチアップした時のように少し距離をとりながら縦を切る形で対応。チーム状況や戦い方もあって、ホニは伊東純也ほどプレーの幅が無いので一発で走られるという場面は無かった。
その為結果的に新潟がボールをもって攻撃するという形もそれなりに見られる事になる。
しかし現在の新潟は、厳しい状況を脱却するために、カウンターに絞って戦い方を整理している状態。なのでこれは決して望んでいる状況ではなく、ここから効果的な攻撃ができる事はほとんど無く、35分にはセレッソのカウンターを受ける場面も出てきている。
しかし、新潟にとっては0-0の状況をできるだけ長く続けたいというのがゲームプランなのでボールを持つ事自体は例え効果的な攻撃ができなかったとしてもそれほど悪い状況ではない。
また、もう1つ。この試合の前半で新潟は3つの大きなチャンスがあり、そのうち2つはセレッソのCKからのカウンターだったが、かなり可能性の高かった堀米のミドルシュートがヨニッチにあたってこぼれ球にホニが飛び込んだ21分のシーンは、新潟がボールを持ったところから始まった攻撃だった。
このシーンは、プレーは切れていたが、その直前の20分にチアゴ・ガジャルドがミドルシュートを放ったものの山下がブロックした場面から続く流れだった。
セレッソの守備ブロックの穴 |
柿谷とすれば、マッチアップする川口は抑える事ができるポジションだとも言える。
しかし、最終的には山下がラインをブレイクして飛び出して寄せた事でシュートはブロックしたが、柿谷を除く他の選手は相手ではなくボールを基準にしたポジションをとっているので、ソウザと柿谷の間はかなりのスペースが開いており、そこにチアゴ・ガジャルドに入られてしまい、ここからシュートを打たれた形だった。
そして直後の21分もスタートは同じ形。ここではそのスペースに展開される事はなかったが、左SBの堀米がインナーラップでブロックの中に入るとそこからミドルシュート。前にスペースのある丸橋や山下よりも、外側から前を狙っているホニの方が反応が早く、こぼれ球に飛び込まれている。
乾が、以前何かの記事でリーガでの1年を振り返って、学んだ守備の時のSHのポジショニング、SHは絞ったポジションをとらないと守備のバランスが取れないといった事を語っていたが、まさにこの状況はそれだった。
■ラインを上げた新潟
0-0のまま迎えた後半。新潟は立ち上がりから前半に比べると守備ブロック全体を高くし、またボールを持った攻撃でも、前半は殆どなかった小泉がゴール前に飛び出してくる場面が見られるようになる。これは、立ち上がりの何分かが時間限定で先制点を奪おうとやっているのかと思っていたが、15分以上続けていたので、そうではなく前半の45分を終えて新潟はもう少しブロックを前にしても大丈夫、攻撃でももう少し積極的に振る舞っても大丈夫という判断だったのだろう。
これにより新潟がボールを持つ時間を増やすことになる。
しかし、セレッソはボールを持たれる事はそこまで苦にしない。後半になると新潟がはっきりと攻めてきたからか、柿谷のポジションもかなり普通になり、4-4-2のブロックで対抗。また山口やソウザのところでインターセプトする場面も増えていく。
これにより、セレッソにとってカウンターにつながる形も見られるようになっていたが、効果的な形は作れておらず、気温の高さもあって少しゲームが停滞し始める。
■セレッソの先制から連続得点
65分〜 |
杉本は身体をぶつけにいくのは良いが、ぶつけられるのはあまり好きではないタイプで、ブロックを作って守る新潟に対して下がってきて足下でボールを欲しがる場面も増えていた。
またこの日は清武がいない事で、2トップと中盤の距離も開き気味だった。
なので、トップらしいできるプレーができる、身体をぶつけるだけでなく、ぶつけられる事も厭わない澤上を入れて奥行きを作って、中盤から押し上げる形をつくりたかったのだろう。
澤上が入る事で、これまでほぼ2トップに近かった山村のポジションは比較的はっきりとした澤上が前、山村が後ろとなる。
そして再開後最初のプレーで、澤上が前線で起点になり、田中がトレーラーゾーンを割ってCKを獲得。このCKは新潟がクリアするが、サイドが変わって続けざまのCKの時にソン・ジュフンがヨニッチの身体を掴んで倒してしまいPK。これを柿谷が決めて68分にセレッソが先制する。
ソン・ジュフンのプレーはもう言い逃れが出来ないほどの明らかなPKで、新潟にとってはここまで0-0で引っ張ってきただけにもったいないプレーとなってしまった。
まあそれだけ、セットプレーを警戒していたということなのだろう。
この失点で前がかりになる新潟。
直後にチアゴ・ガジャルドのミドルシュートをキム・ジンヒョンがセーブする。
しかしその直後のセレッソのセットプレーで、一旦は新潟が書き出すもこぼれ球を拾ったソウザが水沼に渡し、大外で待っていた山下にクロスを送ると山下が叩き込みゴール。73分にセレッソが2-0とリードを広げる。
75分〜 |
動きの多い加藤を入れて攻撃をなんとか活性化させたいという事なのだろう。
しかし、その直後に堀米が異議でイエローカードを受け、うまくいかないチーム状況を象徴するようなシーンだった。
78分〜 |
しかしその直後の80分、セレッソは柿谷のクイックリスタートから飛び出してきたGKの守田を逆を突くアウト気味のトーキックでゴールに流し込み3-0に。
新潟はもう集中力を保つ事ができなくなっていた。
するとさらに新潟の守備ブロックが中央をぽっかり空けたところにソウザがドリブルでしかけるとたまらず成岡が後ろから押してファール。
このFKをソウザが直接決め、86分にセレッソが4-0とリードを広げた。
ソウザのFKはそこまで厳しいコースではなかったが、守田は柿谷が入った壁の位置を狙ってくると思っていたのかも知れない。一歩も動く事ができなかった。
90+1分〜 |
そして試合はそのまま終了し、セレッソが4-0と完勝に終わった。
■その他
最終的には4ゴールを奪い快勝となったセレッソ。新潟にすると、PKを与えるまではゲームプラン通りに近いものだったと思われるので、もったいないPKだったと言えるかもしれない。先制された後は、厳しいチーム状態だけあってどうしてもガタガタっと崩れてしまったという事だろう。新潟が後半に少し前にでたのがどうなるかと思ったが、そんな事はあまり関係ないところでゲームが動くこととなった。
これで4連勝となったセレッソ、夜の試合で柏が勝ったので暫定順位で2位となったが、この試合終了直後は一時的に首位にも立つことになった。
これはチームの精度としてはちょっと出来過ぎとも言える結果だとも感じるが、大きいのはセットプレーで点を取れる事なんだろう。なので流れに関係なく守っていればいずれ点が入るという自信がチームにあるのではないだろうか。
セットプレーは今後相手の対策も進んで来るとは思うが、逆に言うとチームの精度自体にまだまだ伸びしろがあるということでもあるので、前節で顕になり、今節でも少し見えた守備の課題、そして攻撃の課題を解消できる事に期待したい。
akiさんに質問なんですが、この記事についてどう思いますか?
返信削除【Jリーグ】 セレッソ大阪は大熊裕司監督を解任すべきか?否か?
ttp://llabtooflatot.blog102.fc2.com/blog-entry-7794.html
「守備面を含めた「組織力」という点ではJ3の17クラブの中でワーストレベルだと思うが、チームが混沌としていて「個の力」を発揮しなければどうにもならない状況になっている点が逆に「個の力」を効率的に成長させる要素になっているようにも感じる。」らしいです。
コメントありがとうございます。
削除U-23の大熊裕司監督については難しいところですね、
フロントも個の力を伸ばしていると考えているのかもしれません。
ただ、個人的には
「個の力」を発揮しなければどうにもならない状況になっている点が逆に「個の力」を効率的に成長させる要素になっているようにも感じる。
ってのは全く同意出来ません。