- フジテレビTWOスカパー!
スタジアム | 埼玉スタジアム2002 | 主審 | 松尾 一 |
入場者数 | 23,116人 | 副審 | 西尾 英朗、村上 孝治 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 25℃ / 63% | 第4の審判員 | 大川 直也 |
追加副審 | 廣瀬 格、中村 太 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 堀 孝史
- 監督
- 尹 晶煥
21歳以下の選手を1名以上先発に含める(決勝を除く)ことが大会方式として決められている。※1
※1 但し、以下の場合は出場義務を負わない。
・対象選手1名以上が日本代表試合または日本代表活動(A代表、U23、U20)に招集され、試合日に不在の場合。
・対象選手が試合エントリー後の怪我等のやむを得ない理由により出場ができない場合。
※1 但し、以下の場合は出場義務を負わない。
・対象選手1名以上が日本代表試合または日本代表活動(A代表、U23、U20)に招集され、試合日に不在の場合。
・対象選手が試合エントリー後の怪我等のやむを得ない理由により出場ができない場合。
試合経過
- 90+2'
- 89'
- 86'
- 73'
-
71'
-
70'
- 65'
- 54'
-
48'
-
46*'
- 44'
- 10'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 19 | 12 | 21 | 13 |
CK | 8 | 6 | 8 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 16 | 5 | 13 | 7 |
警告/退場 | 0/0 | 3/0 | 2/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
浦和レッズ 堀孝史監督セレッソ大阪 尹晶煥監督
浦和レッズ 武藤選手、平川選手、西川選手
セレッソ大阪 丹野選手、丸橋選手、秋山選手、水沼選手、山村選手
浦和レッズ 平川選手、興梠選手、橋岡選手(Jリーグ公式)
YBCルヴァンカップ準々決勝となるセレッソ大阪と前年度チャンピオン浦和レッズとのセカンドレグは2-2で終了。アグリゲイトスコアも2-2となるがアウェイゴールを奪ったセレッソ大阪の勝ち抜けが決定。クラブ史上初となるベスト4進出を果たした。
■メンバー
ファーストレグから中3日で迎えるセカンドレグ。浦和レッズの先発メンバーは、ファーストレグから7人を入れ替え。残ったのは西川、遠藤、田村、矢島の4人で、リーグ戦から中2日で迎えたファーストレグでは休ませた、阿部、興梠を含め、前節のリーグ戦で先発していた菊池、さらにファーストレグでは途中出場となったラファエル・シルバが先発。また21歳以下の選手としては伊藤ではなく、ファーストレグで途中出場を果たした浦和レッズユース所属の2種登録選手、橋岡くんが先発メンバーに入り、その分ファーストレグではボランチだった矢島がシャドゥ。ボランチには昨シーズンはジェフ千葉でプレーしていた長澤。また右WBには今季出場は無いが監督交代後にベンチに入るようになったベテラン平川が昨年のルヴァンカップ準決勝ファーストレグ以来の出場が先発出場となった。
またベンチには森脇が戻ってきており、ファーストレグで先発した青木、駒井、李の3人と途中出場をした高木、武藤が入っている。
一方のセレッソの先発メンバーもファーストレグから7人を入れ替え。
残ったのは、丹野、木本、秋山と21歳以下の選手にあたる斧澤の4人で、加わった7人は普段からリーグ戦に出場しているメンバー。ベンチにはファーストレグで先発した、藤本、田中、福満、関口が入りソウザは2試合続けてベンチスタート。前節のリーグ戦で先発した澤上もベンチ入りしている。
先発メンバーの中には負傷で離脱していた山村が戻っており、おそらく今季初めてFW登録での出場。また前線でコンビを組むのは柿谷で、先発から柿谷がFWに入るのはリーグ戦第2節のここ埼玉スタジアムで行われた浦和レッズ戦以来となる。
■立ち上がりの両チーム
両チームのスタイルや、ファーストレグが0-0でのセカンドレグということなどを踏まえて、この日は浦和がボールを持つ時間が長くなるだろうという予想できるこの試合。浦和の攻撃時の形 |
一方のセレッソは浦和の守備から攻撃の切り替えの時にまず最初の縦パスの入り先になるであろう矢島や長澤のところにアプローチをかける、4-1-5にセットされたら4-4-2のブロックを作る。という形で守備を組み立てる。序盤矢島がなかなかポジションを見つけられなかったのはこのセレッソの守備の影響もあって、高い位置に入ってしまうと消えてしまうし、引き出すと狙われるしというところもあったのだろう。
そしてこの序盤の展開の中から10分にセレッソが先制する。
浦和の守備時の形 |
なので入ってきたボールに対してはアプローチを欠けてくるがブロックの外では比較的自由にボールを持たせてくれる。
ということで秋山が少しヨニッチに近づいてボールを受けてもプレッシャーは来ない。ここで前を向いた時に、ちょっとラファエル・シルバが守備をサボったというか、両SHはもっと絞ったポジションを取らないといけないがSHとSBに引っ張られてかなり外寄りにポジションを取っていたことで秋山とサイドを縦に狙う水沼の間にはパスコースが空いており、セレッソが深い位置までボールを運ぶ。ここからオーバーラップした松田がクロスを上げるもここは跳ね返されるがこぼれ球を木本がダイレクトでシュート。
このシュートもブロックされたが、ここからの縦パスをヨニッチが前でインターセプトし、丸橋へ。そして丸橋はCKを獲得する。
このCK、浦和はマンツーマンで、山村に付いていたのは田村。しかし山村のニアへの動き出しに遅れてしまい、ストーン裏で山村がフリック。そのボールにヨニッチが飛び込んでセレッソが10分に先制点を決めた。
ニアでフリックされるとどうしてもボールウォッチャーになってしまうのでファーは難しい。
田村はこの日出場していた選手の中で最も背が高いので、山村のマーカーとなっていたのだろうが、山村が完全に振り切りニアで先に触る事に成功したことで勝負が決まった。
セレッソとするとかなり大きいアウェイゴール。ただ、このゴールは浦和にとってそこまで大きなダメージは無かっただろう。まだ10分だし、おそらくどちらにしても2点を取らなきゃいけないとの思い試合に入っていただろうからだ。なのでここからも基本的には浦和の戦い方は変わらなかった。
■セレッソの先制後
しかしセレッソにとっては、90分のどこかで取らないといけなかった1点なので大きな意味がある1点。ただ、まだ10分と早いのでおそらく0-0のつもりで、ぐらいの声は出てたんじゃないかと思う。が、ここからセレッソはブロックからのカウンターという形をより鮮明にする。セレッソの先制後 |
実際にピッチでもその姿が見られた。特にコンパクトになったのは幅。それまでは若干外に意識が行き気味だったSHが特にきちんと中央に絞るポジションを取れるようになり、4-4-2のブロックを作る。ブロックの中にいるのは浦和の1トップ2シャドゥだけ。WBは完全に捨ててボールが出てからスライドするという形が徹底された。
セレッソのブロック形成が速くなったことで、浦和は立ち上がりは4-1-5でセットするために、ためを作るべく引いてきてボールを受ける場面もあった興梠はその必要が無くなったので下がってこなくなるが、そのかわりに阿部が最終ラインに下がらずに3-2-5になったり、遠藤にボールを運ばせたりしてセレッソの4-4-2攻略を狙う。
しかし浦和は2トップを外せる場面はつくるものの、セレッソのブロックに対してそこから縦パスがなかなか入れられない。またサイドの1対1でなんとかできる選手もいないのでここからチャンスはなかなか作ることができなかった。
18分に矢島が斜めに動いてチャンスを作りかける場面があり、おそらく浦和としてはこういう形でシャドゥに動いてほしいんだとは思うが、矢島とラファエル・シルバの2人はなかなかそういったプレーができなかった。
一方で効果的だったのはセレッソのカウンター。
山村は前線でためを作れるし、柿谷はスペースに出ていくことができる。
そして前線でボールを受けると、いつもの様にSHがスプリントで前線に飛び出していくのでセレッソは何度も浦和陣内深くにボールを運ぶことができていた。
特に左SHとして2試合続けて先発となった斧澤がこのスプリントについていくことができていたはセレッソにとって大きな収穫だろう。
また、浦和は5-4-1のブロックを作って守る。
この5-4-1のブロックはWBの前にシャドゥが下がってくる事になる。ファーストレグでも書いたが、この時セレッソのSBは比較的自由になりやすい。特にこの前半はセレッソの両SHが前線にスプリントできていたのでWBは下がり、ファーストブレイクに失敗してもSBのところで落ち着いてボールをキープすることができたのも大きかった。
ボランチによる起点潰し |
浦和は最も効果的なカウンターをするためにはできるだけ中央を使いたくて、そこでボールを受けたいのだが、ダブルボランチの2人がそこを消してしまう。またそこで長澤や矢島がボールを受けようとすると素早いアプローチで潰してしまうので、浦和は効果的なファーストブレイクができていなかった。
ただ、12分に秋山がミドルシュートを相手に当ててしまった後のシーンでは、秋山がここで入れ替わられてしまっているのでカウンターに繋げられている。
秋山は前半を通じて良いプレーは見せていたものの、こういうシュートも含めたボールの失い方にはもう少し気をつけるようになって欲しいところ。
12分のは、シュートを打たなくても良かったシーンだった。
さらに前半終了間際、セレッソのボール保持から、斧澤が遠藤にファールを受けて得たFKを丸橋が直接決めてゴール。44分にセレッソは0-2とリードを広げた。
この丸橋のFKはコース・スピード共にパーフェクト。FKに最も大切な駆け引きも柿谷と丸橋で左右のキッカーを立たせて柿谷のモーションを入れることでタイミングをずらしているので、西川はノーチャンスだった。
そしてこのFKに繋がった斧澤のプレーは、まさに斧澤の真骨頂とも言えるもの。
U-23ではチームのスタイルからそんな機会がなかなか無いので見ることは少ないし、トップチームでもSHなのでこういう機会は少なかったが、斧澤は間に入って半身で受けてターンする事ができる選手だ。
■2点ビハインドで攻めるしかない浦和
前半を終えて0-2。セレッソがアウェイゴール2つを奪ってリード。浦和は3点を取るしか無い。ただ、これで浦和はもうリスクを負ってでも攻めるしかないという状況に追い込まれた分、逆にはっきりとした。
後半開始〜 |
なので贅沢を言うならば、セレッソは1点目も2点目ももう少し後だったほうが浦和の交代ももう少し後だっただろうから理想的ではあったのだけど…
後半から入った武藤はセレッソのSBにまでアプローチをかけに行くプレーを見せた。
その幾つかは直接的に実を結んでいなかったのだけど、山村のファールでボールを奪い返してからの攻撃で、興梠から右サイドに展開すると、そこから平川のクロスに武藤が合わせてゴール。
後半立ち上がりの48分に1-2と浦和が1点を返す。
浦和の1点目 |
興梠から右サイドの平川に展開した時、そこに丸橋がアプローチをかけに行く。すると丸橋と山下の間に大きなスペースができた。今のサッカーはこのトレーラーゾーンが大きなポイントになっている。
攻撃側が最も使いたいのはもちろん中央。ここにゴールがあるから当然だ。がしかしここは守備側も最も重点的に守っている。じゃあ次にどこかといえばこのCBとSBの間。比較的ゴールに近くここからなら直接ゴールを狙うことができる。そしてその次が外側。ここからは直接ゴールは狙えないけど、その1手前の場所にはなるからだ。
セレッソが前半に中央に絞ったブロックを作っていたのは、この優先度の順番に場所を消しているからである。
で、攻撃側はそれを崩すためにどうするか=トレーラーゾーンにどうしてスペースを作って、どうやって人を送り込むかを狙っているのが今のサッカーの攻撃戦術としてはかなりのポイントになっており、ミシャシステムの5トップ攻撃が猛威を奮ったのはこのトレーラーゾーンに予め人を立てる攻撃だったからだった。
そしてこの場面では、興梠のサイドチェンジで丸橋を外に引き出してCBとSBの間を広げ、武藤は最初からそこに入らず、中央にポジションを取ることで山下を止める。そして平川が顔を上げるタイミングでそのスペースに飛び出すことで、このスペースを攻略した。
スペースの飛び出しは、何も裏のスペースに限ったことではない。
この場面をセレッソがやっているようなゾーンの4バックで守るのは結構難しく、結構今のサッカーではありがちなゴールパターンではある。原則的な考え方でいうと、例えば山下を含め残りの3人でスライドして、逆サイドには水沼が降りるというのが正しいのだろう。ただ、なかなかそうもいかない。
なので、最近良く見られるのは、まず平川のアプローチに行くのを丸橋ではなくSH斧澤に行かせるという方法。そしてもう1つはこの間にボランチを落とす、ここでいえば木本が下がる形だ。そしてこの場面では、木本が遅れて下がってきたのだが間に合わなかった。
Jリーグではトレーラーゾーンを狙う攻撃って実はそんなに多くはないのだが、シーズンも中盤を過ぎてセレッソの守備方法を他のチームも理解している。なのでおそらくこういう形を狙われることが増えてくると思うので、どの方法を取るにしてもきっちりと徹底できるようになっておきたい。そんな事を思わせる失点シーンだった。
■勢いに乗る浦和
後半立ち上がりのゴールは浦和に勇気を与えた。そしてこの直後の5分には、丹野のスーパーセーブでなんとか切り抜けるものの、CKからのカウンターでラファエル・シルバが抜け出し平川がフリーでシュートを放つ場面を作り、さらにその直後に再びラファエル・シルバがカウンターで走る場面を作る。この2つのシーンだが、実は後半開始のスタートポジションは前半同様興梠のワントップにラファエル・シルバがシャドゥだったのだが、数プレー後に興梠とラファエル・シルバのポジションを入れ替えていた。
最初の失点シーンの時にも実は既に入れ替えが行われており、なので興梠が左サイドから右サイドの平川にサイドチェンジを行っている。
おそらく、このポジションの入れ替えは予め決まってたけど、あえてスタート時点での立ち位置は前半と同じにしていたんじゃないだろうか。
そしてこのポジションチェンジでやりたかったのは、ボールを奪うと直接ラファエル・シルバを背後のスペースに走らせること。
前半に何度もセレッソのボランチにファーストブレイクの最初の縦パスを狙われていた。なので守備への切り替えのタイミングでだけ前に重心を取る。
そこを経由しない、そのタイミングで背後を取ろうという形がラファエル・シルバをトップに置いて走らせるというものだったのだろう。
54分〜 |
54分に山下に代えてソウザを投入。木本が最終ラインに下がってソウザがボランチに入る。
交代が山下だったのは、失点シーンも山下のところ、背後も山下のところだったということでなんだろうが、木本もそんなにスペースがあるわけでも無いし山下よりも高さがあるわけでも対人が強い訳でも無い。なので、この交代は人を代えるだけでなく、山村を最終ラインに落とすシステム変更と共に行われた。ここでセレッソは5-4-1になっている。
5-4-1になると、最終ラインが5人になることで、失点シーンの様なトレーラーゾーンは埋めやすくなる。
また、マッチアップが合うので、起点となるべくシャドゥが降りた時にCBがついていける様になる。
前線は柿谷の1人でここで何かをするのは難しく、60分には森脇が得意のボランチ仕事から背後にでる興梠へのスルーパスでチャンスを作るが、シャドゥへのクサビに対してのセレッソの守備はかなり徹底されており、セレッソのフォーメーション変更後は、浦和はボールを持てるがチャンスの数自体は減っていった。
65分〜 |
これはフレッシュな選手をということだろう。
その後森脇の強引なシュートがセレッソの選手にあたってラファエル・シルバの前に転がるビッグチャンスを迎えるがシュートは山村が身体を張ってブロックでCKを獲得。
このタイミングで田村に代えて高木を投入、高木がそのままキッカーとなる。
このCKをGK前から下がってきた興梠が合わせてゴール。興梠の動きと高木の質の高いキックで70分に浦和が同点に追いついた。
70分〜 |
結果的に浦和のとったこのフォーメーションはセレッソにとってラッキーだった部分もあった。
浦和のフォーメーションは攻撃では変わっていない。そして高木のCKから興梠が合わせて同点に追いついたものの、セレッソが5バックにしてからは強引な形でしかチャンスを作れていなかった。
そして守備では4バックで守る。最終ラインの4枚は良いんだけど、その前には武藤が気を利かせて戻る場面もあったが、基本的にはボランチが1枚しかいない。
なのでセレッソが最初に柿谷にボールを届けられると、浦和はそこからあまりプレッシャーに行けず、セレッソがわりとボールを持つ時間を作ることができた、なので、一方的に攻め込まれるという展開とまではいかなかったからだった。
89分〜 |
浦和はアディショナルタイムにスクランブルで一度だけチャンスを迎えたがそれを丹野がブロック。
そして結局浦和が攻めきれず、そのまま試合終了。ファーストレグ0-0、セカンドレグ2-2のアグリゲイトスコア2-2で終了となるが、アウェイゴールでセレッソがベスト4進出を決めた。
■その他
セレッソはクラブ史上初となるルヴァンカップベスト4進出を決めた。ちょっとゴールが早かったので、浦和が前がかりになる時間が長くその結果2失点を喫したが、やはりアウェイゴール2点は大きかった。
また5バックにしてからもセットプレーで1点は奪われたものの、浦和の攻め手をかなり制限できていたので5バックにするタイミングはベストだったと思う。
またファーストレグ同様自作自演の場面もあったが、この試合は丹野のセーブに救われた。
逆に浦和は、ペトロヴィッチ監督時代にもこれまで結構勝負どころでこういう試合があったが、ミシャシステムは4-1-5のポジショニングで勝負する形なので、先制されてしまうとかなり難しい。この試合でのセレッソの5バックの様に手を打たれてしまうと、何かをするにも選手を入れ替えるしかなくなってしまうからだ。
それでもセットプレーから同点に追いついたのは流石とも言えるが、もう1点は遠く、選手を入れ替えた分守備の形を変えざるを得なかったのはキツかった。
準決勝の相手はヴィッセル神戸を下したガンバ大阪。大阪ダービーが最低でも年に4回も行われることとなる。
28節の川崎戦がACLの関係でまだ日程が決まっておらず、また試合日程も国際Aマッチウィークで代表勢が抜け、さらに週2回の対戦となるためメンバーを入れ替えて戦う事になるだろうが、タイトルに向けた大きな一戦となる。
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