- 11' 渡邉 千真
スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 木村 博之 |
入場者数 | 29,918人 | 副審 | 山内 宏志、川崎 秋仁 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇時々雨 / 13℃ / 54% | 第4の審判員 | 西山 貴生 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 尹 晶煥
- 監督
- 吉田 孝行
試合経過
-
90+2'
-
90'
-
87'
- 81'
- 80'
- 76'
-
67'
-
41'
-
31'
-
25'
- 11'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 18 | 15 | 12 | 14 |
CK | 10 | 3 | 5 | 4 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 15 | 6 | 12 | 11 |
警告/退場 | 2/0 | 1/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督ヴィッセル神戸 吉田孝行監督
セレッソ大阪 マテイ・ヨニッチ選手、木本選手、山村選手、清武選手
ヴィッセル神戸 ルーカス・ポドルスキ選手
セレッソ大阪 丸橋選手、松田選手、杉本選手、柿谷選手、キム・ジンヒョン選手(セレッソ大阪公式)
ヴィッセル神戸 渡邉千真選手、渡部博文選手(ヴィッセル神戸公式)
セレッソ大阪のホーム最終戦となる明治安田生命J1リーグ第33節。ヤンマースタジアムにヴィッセル神戸を迎えての一戦は、ロングスローから神戸が先制するもその後杉本の2ゴールなど3点を奪ったセレッソが3-1で逆転勝利。J1での年間最多勝ち点を記録更新となる63まで伸ばし、さらに4位柏レイソルが引き分けたことで3位以内、プレーオフからとなるがAFCチャンピオンズリーグの出場権も獲得した。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは、リーグ戦4連勝中のいつものメンバーが並ぶ中、ここまでリーグ戦全試合フル出場を続けていた山口が今週の練習で右ふくらはぎを痛めた全治3週間の離脱。ボランチには木本を上げて山下をCBに入れる事も考えられたが、山村を起用してきた。
山村は本職はボランチだが、今季はコンバートされた前線と、試合終盤の5バック化した時のCBが基本ポジションとなっているため、先発としては今季初のボランチ。
試合途中でも、ざっと見たところ、おそらく3月15日に行われたルヴァンカップBグループ第1節、横浜F・マリノス戦で木本に代わって途中出場した78分から、5バックになった83分までの5分間だけじゃないかと思います。
一方のヴィッセル神戸の先発メンバーは、GKは前節に引き続き徳重が入り、ポドルスキとコンビを組む2トップにハーフナー・マイクではなく大槻。またボランチには高橋秀人ではなく8月5日第20節の柏レイソル戦以来の先発となるニウトンを起用してきた。
吉田監督就任以降の流れを見る限り、ニウトンの先発はもう無いのではないかと思っていただけに少し驚きの起用だが、セレッソに対して高さ対策というところもあるのだろう。
ちなみにニウトンとソウザは最近もご近所さんで仲が良いみたいだが、2013年〜2014年クルゼイロでチームメイトだった。
■神戸のハイプレス
神戸のハイプレス |
大槻は前にアプローチをかける事はもちろんだが、その後やボールを奪われた後にでもボランチにプレスバックをかけることが出来る。
4-4-2同士でマッチアップもはっきりしているので人も捕まえやすいということで、実際にキックオフから神戸はハイプレスから縦にという動きを見せてくる。
ポドルスキは運動量は少ないし、スプリント数も少ないのだが、別にサボっているわけでもないので守備にはきちんとハイプレスに参加する。またさらにこのハイプレスの中にポドルスキを組み込むことで、ボールを奪ったチーム全体が前に行く中で止まることで低めの位置でフリーになれるという効果も狙っているのだろう。
セレッソとしてもこれは十分予想されたことだったとは思うが、前回のマリノス戦でも書いたがセレッソは例えばビルドアップで形を変えるなどボールを保持することを志向したチームではないので、このハイプレスをまともに受けてしまうことになっていた。
例えばシーズン序盤などであれば、前線に山村と杉本の2枚がいたのでもっとはっきりロングボールでプレス回避を狙うという事もできたのかもしれないが、現在のメンバー構成だとどうしてもターゲットは杉本1枚になる。そうなると最終ラインの岩波と渡部に加え、ボランチにニウトンを配置して準備してきた神戸相手にはなかなか難しい。
そしてハイプレスを受けてセレッソが押し込まれることになった結果、10分に藤田のロングスローを渡部がニアでスラしたボールがピタリと渡邉千真の足下に入り、そのボールをダイレクトで落ち着いて合わせゴール。神戸が先制した。
■神戸の弱点
先制後も勢いに乗ってプレッシングを続ける神戸。セレッソには組織としてプレス回避の形は無いので、どうしても受けにまわってしまっていた。がしかし、その神戸のプレッシングは徐々に弱まる事になる。その原因となったのは神戸のボランチとCBにある間をセレッソが使い始めたからだった。ボランチ裏にできるスペース |
なので、神戸ボランチ2枚は自陣でスペースを埋めるよりもセレッソのボランチ2枚へと出てくる。となると空いてくるのはボランチとCBの間。一気にマンツーマンというわけでもなく、またどんどんラインを上げるわけでもないので、多くの試合でここにスペースが生まれている。
この試合でもそうで、例えば開始4分に清武がドリブルでボールを運んだ場面で使ったのはこのスペース。先制点を奪われる前の4分の時点で神戸は既にここにスペースを作っている。
ただこの後は、神戸のハイプレスを受けていたこと、そしてセレッソのボール保持がどうしても個々のひらめきによる部分も大きいこともあって、神戸のアプローチの方が勝っていたため、ここのスペースはほとんど有効に使えていなかった。
しかし20分を過ぎた頃から徐々に、このボランチの後ろに柿谷や清武、杉本が入り、こことソウザがシンプルに短いパスを入れたりパス交換をする場面が増えていった。
このボランチ裏に入ったボールは、例えばここからターンしてドリブルやワンツーなど、特に直接目立ったプレーをしていたわけではない。
しかしここにボールを入れることで、例えば24分の左サイドの丸橋に展開した場面、27分の柿谷から右サイドの杉本へスルーパスを送った場面など、次にサイドへの展開が出来るようになっていった。
つまり、この背後にボールを入れることで神戸の2列目は前に積極的にアプローチに出られなくなり、良いタイミングでサイドに展開出来るようになっていったのだ。
41分の杉本の同点ゴールに繋がった松田のクロス。ここにボールを出したのはソウザだったが、その前に神戸のボランチ裏に入った柿谷とシンプルなパス交換をしている。
この時は既に神戸の2列目は既にほとんど行けなくなっていたので、あまり効果は無かったかもしれないが、20分過ぎ頃から明確に使い始めたボランチ裏を使うことで、サイドが使えるようになり、松田のクロスを杉本がファーサイドで叩き込み、セレッソが1-1の同点に追いついた。
■神戸のクロス対応
ちなみに、この同点ゴールとなった松田のクロスからの杉本のヘディングシュートは、杉本がファーサイドで右SBの藤谷と競り合う形だった。そして神戸の前節、広島戦の椋原のクロスをパトリックがヘディングで合わせた決勝ゴールも同じ形だった。
またこの試合でも23分の水沼のクロスをファーサイドで柿谷が受けてシュートした場面や、なんとか神戸が手前でカットしたが35分の清武のクロスをファーサイドにいた水沼があわそうとした場面もそうであったように、神戸はクロスに対してファーサイドを自由にしてしまう場面が目立つ。
神戸はサイドに侵入された時にSBがアプローチに出て残りのDFライン3枚が順にスライドする形になっているようだが、守備全体で人への意識が強いからか特にファーサイドがかなり怪しい。
実際にこの試合の前まで神戸の失点数は39でリーグ8位と決して多くないのだが、クロスからの失点は15とリーグワーストとなっている。
■ハイプレスを取り戻せない神戸
ハーフタイムコメントをみると神戸は再び前半の様なハイプレスを行って行きたかったのだろう。しかし最初にプレッシングからチャンスを作ったのはセレッソ。後半立ち上がりに水沼がシュートを放ちます。
また、神戸が仕掛けてきたハイプレスに対して、セレッソはサイドのスペースに出る柿谷を使うなど、相手のハイプレスへの対応も整備。これで簡単に自陣で詰まってしまう事がなくなったので守備への切り替えも機能するようになり、神戸がやりたい高い位置で奪ってそのままの勢いで攻めるという形がほとんど見られなくなっていった。
その為神戸の攻撃は前半よりもボールを持ってという形になるのだが、この形はほとんど機能しない。
ポドルスキが下がることでセレッソの4-4の前で一旦ボールに絡むことができるのだが、そこから先が続かない。
そういった形が何度か繰り返された後に、神戸の攻撃はセレッソのブロックが整う前に速く攻めたいと考えたのか、ロングボールなどを使って縦に速い攻撃を見せようとしてくる。
ただ、この頃には既に守備ではプレスがほとんど機能しなくなっており、その結果セレッソのボール保持に対してかなり押し込まれるようになっていたので、ボールを奪い返す位置がかなり低い。なので、縦に出したボールのほとんどをセレッソが奪い返す様になっていた。
■コーナーキック
セレッソが押し込む時間が増えていた後半。立ち上がりの水沼からはじまり、杉本、清武、松田とゴールに迫る場面は何度もあったがなかなか決めきれなかった。そんな中でやはりゴールに繋がったのはセットプレー。
67分に丸橋のCKをファーサイドでヨニッチがヘディング。シュートは一旦徳重が手に当てるものの、勢いを殺しきれずそのままネットに吸い込まれた。
しかしこのCK。この試合ではここまであまりチャンスにつながっていなかった。
CKをゾーンで守る神戸に対し、前半からセレッソが狙っていたのはニア。前節の杉本のゴールのように、前半から右は丸橋、左はソウザとインスイングの速いボールを何度もニアに送っている。
だが神戸もセレッソのCKに対してきっちり準備してきたようで、このニアは十分警戒しており、跳ね返し続けていた。
前半5本目のCKとなった38分の場面では、左サイドからのCKだったがそれまでとは異なりあえて丸橋がアウトスイングのボールで入れるが、これも跳ね返している。
しかし、試合後の丸橋のコメントによると、ハーフタイムでヨニッチから丸橋にファーに蹴ってくれと言っていた様で、後半丸橋が最初に蹴ることになった65分のCKでは初めてファーサイドへ。このボールは少し長かったので木本は次のプレーを選択できなかったが、神戸のCKの守備がニアへの意識がたかいからか、木本はフリーだった。
そしてその1分後、丸橋がこの試合で蹴った2本目のファーへのCKがこの逆転ゴールにつながった。
■危なげなく追加点
67分〜 |
渡邉千真がトップに入り、大森は左SHに入る。
大槻はそのプレーぶりからしてもフル出場というよりも「いけるところまで全力で」という感じの先発だったのだろう。ただ交代で入ったのはハーフナー・マイクではなく大森。
もちろん試合展開から大森の投入という事になったのだろうが、ある意味ボールを持つ事を考えた交代とも言える。
先程も書いたが、神戸は後半立ち上がりからカウンター攻撃がほとんどできず、攻撃できるとすればボール保持からという形にはなっていた。そしてこの攻撃はほとんど機能せず、シュートまで持っていくことがほとんど無い。ニウトがブロックの外からロングシュートを打っただけで、ブロックの外をボールを回しては引っかかるということを繰り返していた。
そんな中でセレッソは逆転ゴールを決めたので、その後はセレッソがよりリスクを減らして待ち構える守備をする。交代の準備自体はセレッソのゴールよりも前に行っていたが、実際に大森が投入されたのはそんなタイミングである。
そして大森が入ることで神戸の攻撃に何か変化があったかというと、実際のところほとんど何も無かった。
大森投入直後に藤谷がブロックの外でボールを受けて、セレッソのスライドで詰められる前に急いでクロスを入れたものの、当然チームとして中の準備は出来ておらず簡単に跳ね返される。
69分にブロックの外でボールを受けたポドルスキがロングレンジのシュートを打っただけで、やはりほとんどシュートまで持って行けず、70分には最初の藤谷と同じようにブロックの外側から急いで入れたクロスは簡単にセレッソディフェンスに跳ね返されている。
ちなみに神戸の後半のシュートは2本。
つまり、ニウトンとポドルスキのロングレンジで放ったシュート2本のみで、どちらも枠外だった。
76分〜 |
ハーフナー・マイクは裏抜けもあるし決して高さだけという選手ではないのだが、大槻に代えて大森を先に投入したことで何かあるのかと思わされたボール保持攻撃は、特に何も見られないまま。
81分〜 |
渡邉千真が試合後のコメントで
「ボールを奪った後になかなか上手くつなぐことができませんでした。自分たちがビルドアップを図って攻撃を仕掛けていこうとしているときに、準備してきた攻撃を出すことができませんでした。いろいろと戦術を用意してきたものをむしろ出そうとしなかったので、そこは疑問に残るところです。」
と語っていることからも、神戸の苦悩を感じさせる。
ハーフナー・マイク投入以降、吉田監督がサイドからクロスを入れるようにというジェスチャーを繰り返すもののクロスを入れる事も出来なかった状況は、2-1という点差以上に神戸にとってほぼ何も出来ていなかった。なのである意味セレッソが追加点を奪うのも時間の問題だったと言えるだろう。
実際に動いたのは87分。きっかけはヨニッチからの糸を引くようなロングパス。このボールを受けた清武がボールを運んでから丸橋のクロスに水沼が飛び込むが合わせられず神戸はスローインに逃げる。
しかしこのスローインからボールを受けた丸橋が渡邉千真をかわすと、マイナスの折り返しを杉本が合わせてゴール。杉本がこの日2点目のゴールでセレッソが3-1とリードを広げた。
92分〜 |
そのまま危なげなく時間が経過し、3-1セレッソの勝利で試合終了となった。
■その他
試合を通じてみれば完勝。特に後半は神戸を全く寄せ付けなかった。そしてその後半に導いたのは前半途中から神戸の弱点を突きながら試合を進めていき、同点ゴールを決めたからこそだろう。しかし、前半立ち上がりはまだまだ改善点があることを感じさせるものだった。
なので、もし前半に同点に追いつくことが出来なければ、打てども決まらないという展開になってしまったら、もうちょっと面倒な試合になる可能性もあった。
そういった部分を考えると、12月23日に向けて改善していきたいところだ。
この試合に勝利したことで、セレッソはJ1での年間最多勝ち点記録を更新。さらに同日に行われた鹿島アントラーズ対柏レイソルが引き分けに終わったことで3位以内が確定。プレーオフからとなるがAFCチャンピオンズリーグの出場権を獲得した。
しかしこのAFCチャンピオンズリーグは天皇杯に勝てばストレートインが可能となる。
2017年のAFCチャンピオンズリーグでプレーオフから出場となったガンバ大阪がこのプレーオフを戦ったのは2月7日。グループリーグ開幕戦が2月22日だったので2週間も開幕が早くなる。
それを考えると、天皇杯が取れるとかなり大きい。
まあでもぶっちゃけて言うと、シンプルに2つめのタイトルが欲しいから天皇杯を獲りたい(笑)。
毎試合後楽しみに見させて頂いてます。
返信削除現地観戦をしました。
終始ルヴァン杯王者としてどこか余裕を持てた試合だったように思えました。
昨年同時期はリーグ終盤、プレーオフと後半に連続失点していたチームとは別の顔になっていて非常に頼もしく、また強いチームになったと感じました。
前半は神戸の徹底した左サイド(松田、水沼サイド)に手を焼いている印象でした。
セレッソの左サイド(丸橋、清武(柿谷))はストロングポイントではありますが
最近の右サイドは狙われはするものの対人に関しては戦えるように
なってきている気がします。