2019年9月28日 14時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
明治安田生命J1リーグ 第27節、ヤンマースタジアム長居で行われるのは大阪の街を二分する大阪ダービー。
勝ち点で大きく上回るセレッソ大阪、通算成績で大きく上回るガンバ大阪。どちらの大阪が勝利を手にするのか。注目の一戦となる。
■前回の対戦
前回の対戦は5月18日に行われた第12節。パナソニックスタジアム吹田での一戦は、ガンバ大阪がまさかの3バックを採用し1-0でガンバ大阪の勝利に終わっている。第12節対戦時の先発メンバー |
しかし10分ごろからセレッソがガンバのシステムを把握するとチャンスを作り始める。
狙ったのは背後で、ガンバは素早く敵陣にボールを送り込み高い位置でボールを奪いたいというチームなのでその背後を上手く狙った形だった。
しかしこのチャンスをセレッソがものにできないと徐々にペースを握りだしたのはガンバ。
3バックのサイド、WB、ボールサイドのインサイドハーフ、ボールサイドのFWと4人もの人数をかけたサイドアタックで深くまで侵入し始める。インサイドハーフと2トップの1人の両方がサイドアタックにかかっているのでクロスをいれたところで中の人数は少ないのだが、セレッソとしてはコントロールしきれない状況になっていた。
そこでセレッソは後半に入ると3-4-2-1にシステムチェンジ。
しかしこのシステムチェンジが結果的にガンバのインサイドハーフを自由にしてしまうことになり倉田のゴールでガンバが先制。
その後ガンバも何故かインサイドハーフがもつ優位性を捨てる3-4-2-1にシステム変更したため試合終盤はセレッソもチャンスを作るようになるが、そのまま試合終了。1-0でガンバ大阪の勝利に終わっている。
■現在のガンバ大阪
前回の対戦時には3バックを使ったガンバ大阪。その後はこの3-5-2がベースのシステムとなり、この試合を含めての6試合を3勝3分と一気に上昇ムードにのるかと思われたが、第18節でFC東京に敗れると、つぎの清水戦には勝利したもののそこから5試合連続引き分け。そして第25節のマリノスに敗れ、前節第26節の鳥栖戦は敗れると順位が入れ替わりプレーオフ圏となる16位になるといった試合だった。しかしこの試合で久々の4バックに戻すと、何度もピンチがあったが守りきり最後は渡邉千真のゴールで勝利。7試合ぶりの勝利をあげている。
この試合でスタートからは久々の4バックを使ったガンバだが、4バックが始まったのはこの試合からではなく、その1つ前の第25節マリノス戦の後半58分からだった。
このマリノス戦前半のガンバはまさにその時のチーム状況を象徴するような試合だった。
布陣は3-5-2。アデミウソンと宇佐美の2トップに矢島と倉田のインサイドハーフ。アンカーには井手口、両WBには小野瀬と福田というメンバーだったが、マリノスのWGにWBが完全に押し込まれてしまいボール非保持では5-3-2の形になる。
ということは3トップを5人で見ているということなので、流石に2人余っていればそうそう背後やサイドで後手を踏むこともない。
しかしここで2人余っているということは、どこかで2人足りないということ。
そのアオリを受けたのが中盤の3人。
扇原と喜田のダブルボランチだけでなく内側に入ってくる広瀬とティーラトンのSB。そして時々降りてくるマルコス・ジュニオール。中盤が5対3になっていた。
もしここが数的不利だったとしても例えば2トップが相手の攻撃を誘導してくれるなりがあれば、局面としては同数を作ることができるのだが、2トップがアクションを起こすのは自分がボールを取れそうな時のみ。
ということで中盤の3人は動かされまくっていた。
そして後半早々に2点目を決められたところで宮本監督が動く。
倉田と矢島のインサイドハーフ2人に代えて入れたのはパトリックと遠藤。遠藤と井手口がボランチを組む4-4-2に変えた。ここが現在のガンバの4バックのスタートである。
この試合の4バックは機能した。3-5-2ではアンカーだった井手口は1人ではなく遠藤とダブルボランチになったことでボールにアタックにいけるようになった。そしてそれは今季序盤は宮本監督がやろうとしているテンポの早いサッカーの強度についていくことができなかった遠藤にとってもメリットになった。
宮本監督は以前からおそらく一貫して、素早いタイミングで敵陣にボールを送り込み、そこでボールを保持し、ボールを失ってもすぐに奪い返すという敵陣制圧型の戦いを理想としているようだ。
前回のセレッソ戦で、遠藤や今野らを外して若手中心の3-5-2にしたのもそんな戦い方がしたかったからだろう。
しかし、いくら若手でもなにもなしに90分間高い強度を保つのは難しい。
なのガンバは試合終盤の失点が激増した。(75分以降の失点数がリーグワーストで先制した試合の勝率もワースト)
これを何とかカバーしようと個人で試合のリズムをコントロールできる遠藤をアンカーに入れたりもしたが、それでは今季序盤と変わらなかった。
なので強度をクオリティを兼ね備えた井手口を復帰させアンカーで起用したが、アンカーでは井手口の良さが発揮できなかった。
ということで出てきたのが遠藤と井手口のダブルボランチ。
遠藤ではどうしても落ちてしまう強度を井手口がカバーし、井手口では足りなかった試合のリズムをコントロールする能力を遠藤がカバーするという関係性なのだろう。
鳥栖戦ではかなり押し込まれたが、最後まで失点せず、さらに試合終盤に得点を決めることができたのもこのボランチコンビによるところが大きいのではないだろうか。
この4バックで、マリノス戦の後半、ルヴァンカップの2試合、鳥栖戦と戦っているが、その全ての時間でダブルボランチでコンビを組んでいるのは遠藤と井手口である。
ただ、厳しい言い方をすると人に依存する形でしか対応できていないというのも現実である。
宮本監督は相手の戦い方を見て、90分間をどう振る舞うかを考えて試合に挑むが、チームに戦い方を落とし込むのはあまり得意ではなく、人に依存しその組み合わせで解決する監督のようだ。
■プレビュー
セレッソの先発メンバーは基本的には継続。入れ替わるのはCBぐらいで、前節U-22遠征から帰国直後ということで先発を外れた瀬古が戻ってくるだろう。左SHの柿谷も継続となるだろう。
一方、ガンバ大阪の先発メンバーだが、豊富な運動量と強度とクオリティを兼ね備えた小野瀬が今節は累積警告で出場停止となる。
代わりに入るとすればスサエタ、アデミウソン、鈴木雄斗という感じか。実績やクオリティではアスレチック・ビルバオで400試合近い出場数を誇るスサエタがトップだろうが、おそらくガンバの戦い方で90分プレーするのは不可能。なのでこのスサエタのクオリティをいつ使いたいのかで誰が先発するのかが変わりそうだ。宮本監督が立ち上がりからセレッソが理想とするゆっくりとしたペースで試合を進められたくないと考えるなら移籍後初先発となる可能性も高い。
試合のポイントだが、この2チームはハイテンポの戦いに持っていきたいガンバと、ゆっくりとした試合をしたいセレッソと対象的なスタイルを持っている。
なのでどちらの理想とするリズムで試合を運ぶことができるかが大きな分岐点となるだろう。
具体的な分かれ目となるのが、ガンバの守備とセレッソのビルドアップ。
ガンバの2列目の圧力をセレッソのSBとボランチではずせるか、もっと具体的にいえば柿谷と水沼にボールを届けることができるかで試合の流れが決まるはず。
セレッソがここにボールを届けることができればガンバは下がるしかなくなる。
ガンバはおそらく高いインテンシティでセレッソのリズムを崩すことを狙ってくる。
それに対してセレッソは普段どおりの戦い方ができるか。
それが難しいのがダービーではあるが、普段どおりに戦うことができれば勝ち点3は間違いなく取れる。
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