2021年12月14日火曜日

12/12 第101回天皇杯全日本サッカー選手権大会 準決勝 VS. 浦和レッズ @ 埼玉スタジアム2002

スタジアム埼玉スタジアム2002主審今村 義朗
入場者数30,933人副審唐紙 学志、熊谷 幸剛
天候 / 気温 / 湿度晴れ / 14℃ / 60%第4の審判員上田 益也
VAR福島 孝一郎
AVAR柿沼 亨

浦和レッズ浦和

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • 監督
  • リカルド ロドリゲス
 
  • 監督
  • 小菊 昭雄


<監督コメント>


<選手コメント>


リーグ戦最終節から1週間後に行われた第101回天皇杯全日本サッカー選手権大会 準決勝、埼玉スタジアム2002で行われた浦和レッズとの一戦は2-0で敗戦。これで2021年の全日程が終了。そしてこの試合が大久保嘉人にとってプロサッカー選手としての最後の試合となった。

■メンバー

浦和レッズのスターティングメンバーは、リーグ戦最終節から3人入れ替え。小泉佳穂、汰木康也、金子大毅が外れ、江坂任、伊藤敦樹、宇賀神友弥が起用された。すでに退団が発表されている宇賀神の先発は8月29日の第27節湘南戦以来となる。
意外な先発起用となった宇賀神だが、インテンシティの高い明本考浩を1つ前の左SHで起用したかったこと、そして左SBとして最も先発試合数が多かった山中亮輔が最終節でもベンチ外になっており、何らかの起用できない理由があったのだろう。
ベンチには槙野智章、西大伍、小泉佳穂、汰木康也、平野佑一、興梠慎三が入る。

セレッソ大阪のスターティングメンバーは、リーグ戦最終節から2人入れ替え。加藤陸次樹、藤田直之がハズレ、為田大貴、喜田陽が起用された。為田はリーグ戦の最後2試合にベンチ入りしていたが、先発は10月27日の天皇杯準々決勝名古屋戦以来、喜田は11月3日の第34節徳島戦以来の先発となる。
ということで布陣は清武弘嗣がトップ下に入る4-2-3-1。為田が終盤ベンチ入りしていたようにコンディションが良かったこと、そして最終節の大久保と加藤の2トップがあまり機能しなかったこともあってこの決断となったか。

■対応はしていたものの

立ち上がりからセレッソは浦和のプレスに合いなかなかうまくボールを運ぶことが出来なかったが、リーグ戦の2度目も対戦の時も浦和もプレスにかなり苦労したのでこれはある程度予想の範疇だったと思う。
しかし、立ち上がりから浦和にロングボールでボールを運ばれる場面が目立ったのは誤算というか想定外だったのではないかと思う。
これによってセレッソはルヴァンセカンドレグのような試合のペースを落とす展開に持っていくことができなかった。インテンシティが高く、両チームのトランジションのスピードが速い展開で「一進一退」とも言える内容だったが、多分セレッソがやりたかったのはこういう展開ではなかったと思う。

ロングボールのターゲットとなっていたのはトップ下の江坂や、左SHからほぼFWの位置にまで出てくる明本。2人ともに身長ならユンカーよりも低いのだが、特に明本は何より空中戦を嫌がらない。普通に内側に入ってくるとマッチアップするのは西尾なので空中戦でガンガン勝つというわけではないが、ここで勝てなくても江坂(明本)や伊藤がセカンドボール回収隊として近くにポジションをとっているのでそこで回収できる。
また、明本とユンカーはサイドのSBの背後のスペースにも飛び出していき起点になることもできるのでここで後手を踏む場面が多かった。

セレッソとしては浦和のビルドアップを前から牽制して中盤で引っ掛けるというのが理想だったと思うがなかなかそれもできず。また浦和がボールを持つにしてもセットしたブロックの外側で持たせたかったが、速い段階で蹴られてしまうのでなかなかその状態に持ち込むこともできなかった。
確かに序盤はまだセレッソの選手も元気があるし、CHの奥埜と喜田はどちらも広範囲をカバーできる選手なので、こうしたトランジションのスピードが高い展開にもなんとか対応していたが、ミドルサードを一気にボールが超えてくる展開は想定していたものとは違ったのではないかと思う。

そしてミドルサードを一気にボールが超えてくるので、セレッソがボールを奪い返してもボール保持はディフェンシブサードから始まる場面がほとんど。
立ち上がり6分の為田がボールを奪って大久保のシュートで終わった場面なんかが理想で、できればその状態から一気にショートカウンターに持っていきたい。それができなかったとしても押し込んで両サイドからインスイングのボールで、大久保が得意としているファーサイドで合わせようという狙いで、トップ下の清武だけでなく、左SHには為田を起用し、右サイドの坂元も含めた配置だったと思うが、そういう形が作りにくい展開になってしまっていた。

そして浦和のプレスは中を閉めてサイドではめてしまおうという形。
ゴールキックの場面でも2トップは開いたCBは放置してCHへのパスコースを消す立ち位置をとる形でスタート。そこからセレッソがサイドにボールを出したところから全体をスライドしてはめ込んでくる。立ち上がりの時間帯のセレッソはこれに苦労した。

しかし10分を過ぎた頃からセレッソも少しずつ2トップの背後にボールを届けられるようになる。

10分ごろからゴールキックからつなぐ場面でも松田陸が少し低い位置に立ち位置を変えてボールの逃げ道を作ることで松田陸を経由して奥埜や喜田にボールを届けることができるようになっていた。
しかしここにボールを届けても浦和の4-4に対してそこからどうやってボールを運んでいくのかというのが手探り。
浦和が11分にゴールキックからのビルドアップで柴戸がCBの間に降りて、さらに前にでた酒井の内側に降りてきた関根がボールを受けると、一気に長いボールでDFラインの背後のサイドのスペースにユンカーを走らせた形とは対照的だった。

そんな展開の中で飲水タイムの後に生まれたのが浦和の先制点。
サイドで時間を削られたことで丸橋がアバウトに前線に蹴り込んだボールをワンタッチで縦パスを出されCHの背後にボールを届けられたことで自陣深くまでボールを持ち込まれると、そこからの攻撃は一旦は切れるのだが、柴戸から江坂、そして関根と渡ったところからのクロスを跳ね返しきれず、こぼれたボールを明本は空振りしたが、戻したボールを宇賀神が決めてゴール。29分に浦和が先制する。
江坂に渡ったタイミングでオフサイドかなとも思ったが、逆サイドはラインを上げきれていなかった。

浦和が先制した直後は、押し込まれる時間が続きセレッソの一列目の守備も機能していない状態が続いたが、35分ぐらいからは徐々にセレッソが浦和ゴールに近づく場面も見られ始める。
ただ、これは浦和が少しペースを落としたことが要因で、結局セレッソがチャンスを作るにはチームや仕組みというよりも個人で何かをしなければならないという状態。清武や為田のシュートは西川にセーブされ、松田陸のクロスに大久保が飛び込んだ場面も合わなかった。

前半のシュート数はともに4本、CK浦和の1本に対してセレッソは3本とセレッソの方が多かったのだが、とても互角とはいえない展開だった。

■試合を変えられないセレッソ

後半に入ると、最初にセレッソが中盤でボールを引っ掛けることに成功したことをきっかけに、浦和が少し自重するようになりセレッソがボールを持てるようになる。
そこから49分には坂元の個人技からペナルティエリア内の為田にボールを届け、こぼれ球を清武が左足で狙うも枠を外れる。
セレッソにとってはここが最も可能性のあるシーンだったがミスでゴールには決まらなかった。
この場面は清武は決してループを狙ったわけじゃなく、左足の先に当たったことでボールが浮いてしまったというところだと思う。

ただ、前半もそうだったが後半に入ってもセレッソがペースを握っている、試合をコントロールしているというわけではないなと感じさせるのは、その後すぐにピンチを迎えているところ。
54分に西尾がヘディングで掻き出した場面などはかなり危ない場面だったが、それ以上にチャンスの作り方に差を感じる場面だった。

浦和は61分に宇賀神に代えて汰木康也を投入し明本が左SBに。そしてセレッソは大久保と為田に代えて加藤陸次樹と山田寛人を投入し、清武が左SHに入る4-4-2に変更する。

清武が左サイドから内側に入ってくる普段と同じ形にしたことでセレッソがある程度ボールを持つ時間もあるが、アタッキングサードでは仕組みでというよりも清武や坂元の個人技とアイデアの即興で何とかできればというのが実際のところ。もちろんピッタリと合うこともあるんだろうが、大体はそうはうまくいかない。

そして73分にはユンカーと伊藤に代えて小泉佳穂と平野佑一を投入。
セレッソは得点を取らないといけないので間延び状態。なのでボールを持てる選手をということだったのだろう。
81分にセレッソは喜田に代えて藤田直之を投入する。

その後87分に浦和は明本が足をつらせたことをきっかけに、明本と江坂に代えて槙野智章と西大伍を投入。西が左サイド、槙野がCBの間に入る5-4-1にする。
すると89分に小泉が個人技で追加点。もうスペースはあるので個人技が爆発する要素は揃っている。
この失点後にセレッソは奥埜に代えて松田力を投入。
しかしセレッソは最後までゴールは遠く、前がかりになる分何度もカウンターを浴びながら2-0で試合終了。
浦和レッズに勝利に終わり、セレッソの天皇杯はここで敗退。2021年の公式戦もこれで終了となり、この試合が大久保嘉人のプロサッカー選手最後の試合となった。

■その他

チャンスが全くなかったわけでもないし、もしかしたら清武が後半頭に決めてきたらというところはあるかもしれない。
ただ、大久保が試合後のコメントで「今日は負けて当然の試合だったので…」と振り返っているように、この試合に関しては両チームには大きな差を感じる完敗だった。
ここまでも何度も書いている「負けパターン」の試合だった。
こうなってしまうと今のセレッソはひっくり返すことはできない。というか結局一度もひっくり返すことはできなかったし、惜しいところまでも持っていくことができないままだった。
小菊監督は「大一番で勝ちきれない」と語っているが、別に大一番でなくてもこういう試合になったときは粛々と負けるので、試合の大きさはあまり関係ないと思う。
こういう試合になると、展開を変えられないし試合を動かせない。(なのでここで書くことも無い(苦笑))

これで2021年シーズンは終了。開幕前から色々あり、結局どう解釈していいのかわからないシーズンとなったが、選手・スタッフの皆様ありがとうございました。
そして大久保嘉人選手、長い間ありがとうございました。

またシーズンレビューでまとめたいと思っています。



2 件のコメント :

  1. akiさんも1年間お疲れ様でした。
    小菊セレッソはやはり守備こそ約束事が整備されてはいるもののどうも準備しているものと違うものが出てくると全く歯が立たない、時間内に対応しきれないという形での負けパターンが多いですね。
    攻撃に関しては守備からのカウンターで意思が統一されているわけでもなくビルドアップも出口がハッキリしないのでアイデア頼り、噛み合えばいいがどうしても受け手と出し手でズレたり引っ掛けられる、フリックに対応が遅れるといった場面が目立ちます。レヴィーの時も選手の閃き頼りだったのでここは似てるかと。なのでゴラッソかセットプレーしか活路がない。でも前でファウルをもらうような、相手が止めなきゃいけないような形で運びはしないのでそれもない、という感じ。
    小菊さんは選手からの信頼こそ熱いけど戦術家ではないのでやはり影武者として選手のモチベーションを上げるポジションにいてくれる方がいいと思います。少なくともタイトルを獲った尹晶煥や最高勝率に近いものを残したロティーナを切っておきながら監督続投させるにあたいする人とは思いません。
    まあセレッソのフロントがどう見てるかは知りませんが。

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  2. いつも拝見しております。
    質問が有ります。
    セレッソのコーナーキックについて。
    なぜアウトスイングでコーナーキックを蹴るんですか?
    アウトスイングで蹴るコーナーキックのメリットを教えて頂けたら。
    素人ながら私は、コーナーキックはインスイングをメインに蹴って欲しいのですが。
    解説と意見をお願いします。

    返信削除

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