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Lineups
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スターティングメンバー |
1分1敗で迎えたACLグループステージ第3節は昨シーズンタイで4冠を達成し、3年連続3回目のACLとなるブリーラム・ユナイテッドをホーム長居に迎える。土曜日の清水戦から中2日というハードなスケジュールですがセレッソがグループステージを突破するためには絶対に落とせない試合。
セレッソのメンバーは、4-1で勝利した清水戦同様に長谷川がボランチで杉本が右SHに入り扇原がベンチスタートとなり、CBには今シーズン京都から移籍してきた染谷がスタメンで入り、ここまで全試合ベンチ入りはしてたものの出場は無かったのでこの試合がセレッソでのデビュー戦となっている。またこの日は柿谷がスタートから4-2-3-1のトップ下のポジションに入る。
一方のブリーラム。外国人選手の4人は、元アーセナルで、ハル・シティに時代にはプレミアの試合にも出ている23番のジェイシンプソン、デポルティボの下部組織出身の5番ロチェラ、ヒホンでプレーしていた7番カルメロゴンザレス、アジア枠で元富山の平野が18番となっている。
そしてブリーラムのシステムは3-4-3。前線の両サイドはウイングというよりもシャドーストライカーなので3-4-2-1とも言えます。普段のブリーラムがどういうシステムを使っているのかはわかりません。
■マッチアップ
マッチアップ |
日本でも広島や浦和を始め、甲府、湘南、一昨シーズンの磐田など3バックを採用するチームが増えてきています。時々まだ以前3バックが流行っていた時の様にマンツーマンの論理で相手のFWの枚数などの話しが出てくる事もありますが、最近の3バックを採用するチームで狙っている事が多いのはミスマッチ。
マッチアップの図でもわかるように4バックの時とは異なり、ピッチの至る所で噛み合っていない所がみられます。
攻撃の時にこの噛み合っていない場所が相手に誰が見るのかという問題を突きつけて、相手の守備陣形を動かしてスペースをつくろうとしている訳です。
3-4-3で始まる守備 |
ブリーラムの守備は3-4-3で始まります。セレッソが最終ラインでボールを持っている時にCBにまではプレッシャーをかけにいかないもののSBにボールが入れば両サイドのシャドーが寄せていきます。
スライドして4-4-2の形に変形 |
押し込まれた時は両サイドのWBをどちらも落として5-4-1になる事もありましたが、基本的には5バックにせずにスライドで4-4になる形をとっていました。
前線からのプレッシング |
出せなくしたのはセレッソのプレッシング。
前節の山東戦で早い時間で先制されて展開が難しくなった反省からか立ち上がりのセレッソはミスマッチが効果を生む前に前線から一気に捕まえてしまうプレッシングを見せます。
そして開始早々の3分、セレッソのプレスでブリーラムが苦し紛れに前に蹴ったボールを奪ってからのカウンターで素早くサイドの奥に送ると南野からのクロスは合わないもそのこぼれ球を拾った山口が酒本に戻してアーリークロス。
ニアに飛び込んだ柿谷が後ろから来るボールをシュートするという非常に難易度の高いシュートを決めて前半3分にセレッソが先制します。
ニアへのアーリークロスというクルピ時代に何度も繰り返し練習でやっていた形で柿谷はACLで3試合連続の3点目を決めました。
ミスマッチによる数的不利 |
しかしここで問題になったのはミスマッチ。
この日の対応を見る限りセレッソはおそらく相手が3バックで来ることを予想できていなかったんじゃないかと思うんですが、セレッソはこのミスマッチに対してほぼノープランでした。
なので、ブリーラムのシャドーがサイドに開くとサイドの人数がセレッソはSBとSHの2人に対してブリーラムはCBのサイドの選手も含めると3人、シャドーが中央に出てくるとセレッソのCB2人に対してブリーラムの1トップ2シャドーで2人、中盤にいるとセレッソのボランチ2人とトップ下の3人に対してブリーラムのシャドー2人とボランチ2人で4人と、マッチアップが噛み合っていないので局面では数的不利を簡単に作られてしまいます。
最終的に後ろに選手を落として守るエリアを狭くして防ごうとしますが、そうなるとブリーラムのボランチがフリーでボールを持ちボランチを釣り出されると、ブリーラムの両WBが同時に上がって5トップ気味の形になって危ない場面を何度も作られてしまいました。
またブリーラムの23番ジェイ・シンプソンはスピードと強さを兼ね備えた危険な選手で、山下と染谷が最後は何度か体をはって止めていましたが、危ない場面もつくられていました。
■形が変わっていくブリーラム
30分ごろ〜 |
そんな中ブリーラムは30分ごろに左WBの18番平野と右シャドーの8番の選手のポジションを入れ替えます。チャンスを作りながらも決められないからか、ボールを奪われた後にシャドーの守備がゆるくなってきていたからか、またどちらも含めてだったのかはわかりません。
ただ、ブリーラムの3-4-3での守備は攻撃の時にシャドーが中央に入ってプレーするので外側まで出て行けずに3-4-3から4-4-2のスライドが出来なくなり始めており、その分セレッソはマイボールの時間も増えてきていました。
しかしその形に変わった直後の34分。
ブリーラムのCKをキムジンヒョンがパンチングしたボールを柿谷が拾い、相手に捕まりそうになった所を後ろから飛び出してくる丸橋がサポート。そして飛び出した南野へパスを出すと南野が落ち着いて相手を外しゴール。セレッソが2-0とリードを広げます。
35分〜 |
試合開始時点では右シャドーだった8番を左SBに下げて、平野とジェイシンプソンの2トップ。7番が左SHに回ります。
おそらく前半で3点目を決められたら試合が終わってしまうので守備のバランスを取りやすい形にする事と、平野とシンプソンの2トップにしてマイボールの時は7番が中央に入ってくる事で攻撃の厚みの残したいという事だったんでしょう。
SHへのポストと柿谷 |
4-4-2になってからは危険な場面を作られることもほとんどなく、むしろセレッソペースで2-0のまま前半終了となりました。
■後半
HT〜 |
2点ビハインドなので前線は2トップのままで、7番をトップ下に入れます。
マッチアップを合わせたセレッソ |
というのもセレッソにマッチアップを合わされてしまったからで、セレッソは守備の時に、両SHを絞らせ、柿谷を少し下り、長谷川が前に出てボランチを捕まえてしまう形を取るようになっていました。
こうなってしまうとブリーラムはあまりいい形での攻撃もできなくなり、2点リードをしている分セレッソは無理をしなくても良いという状態に。
62分〜 |
4番のシャップイスはボランチに入り、10番がトップ下、7番がFWにと1列ずつポジションをあげる。
その直後の62分にはセレッソが杉本を下げて扇原を投入。扇原はボランチに入り、長谷川がトップ下、柿谷が右SHに回ります。
7番のカルメロゴンザレスは昨シーズンのタイ・プレミアリーグの得点王だとの事ですが、23番のジェイシンプソンは決定機こそ作れなかったものの、山下や染谷がスピードで外されそうになる場面や体の強さを感じさせる場面もあったので、危険な選手が1人減って助かったと言うのが正直なところでしょうか。
74分〜 |
アナウンサーによると17番が本来スタメンでよく出てる選手だそうですが、17番がWBに入り、3バックの右にはそれまでWBだった25番のスリー・スカが回ります。
交代枠を使いながら色々手を打ってきたブリーラムでしたが、決定機は丸橋が2度やってしまったミス絡みのみで、後半は完全にセレッソのペースとなりいつ試合を決める3点目が決まってもおかしくない状況でした。
それが実際に決まったのが82分。
ピッチサイドでは交代の準備が整い次にボールデッドになれば交代になるという中で、扇原が前でボールを奪ってのショートカウンターで、南野がシザースで1回またいでから縦に抜けて左足でぶち込み3-0。南野がラストプレーで試合を決定付ける3点目を決める。
85分〜 |
そしてこの試合でのラストプレー、アディショナルタイムの93分に丸橋の長いボールからサイドに流れて受けたフォルランがこぼれ球を再び拾って素早く放ったシュートがサイドネットを揺らして念願のセレッソ初ゴールを決め4-0。
セレッソのグループリーグ突破に希望を残す素晴らしい勝利となりました。
■その他
この試合は前半守備でハマっていない時間帯があったりしたので展開によっては難しい試合になる可能性もありましたが、1点目、2点目の展開・時間帯が素晴らしく、非常に楽に試合を進めることができました。
特に1点目は早い時間に決める事を狙っていたと思いますので、そこが狙い通りにいった事がその後の危ない時間帯も凌げた要因になったのかもしれません。
決勝点となる先制点を決めこの試合のMVP柿谷ですが、見事な先制点、そしてその後も中盤の組み立てに加わる事でチームを助けていましたが、試合を通じてのプレーは正直ちょっと不満です。
去年も同じことを書いた気がするんですが、どうしても1点取ると満足してしまうのかちょっと遊んじゃうんですよね。
特にこの日は早い時間に決めてしまったから途中からは遊んでるというか、特に後半は相手の逆をとったりする事に重点を置いた様な軽いプレーが増えていて、何度か中盤でボールを奪われるシーンもありました。
個人的には1点取ったとしてももっと貪欲に2点、3点と貪欲に狙って行って欲しいんですけどね…そうなれば得点王も取れると思うんですが…
そういう部分で貪欲なのが南野。
南野は何点取ったとしても満足しないんじゃないかと思わせるぐらいゴールに対して貪欲で、しかし無理をしてエゴを押し通すという訳ではなく、プレーの優先順位が先ずゴールというプレーを見せていました。
清水戦とこのブリーラム戦の南野は本当に素晴らしく、特にカウンター気味にスペースがある状況でボールを受けた時のプレーは元ブラジル代表のカカを思わせるものでした。
あと待望の初ゴールを決めたフォルラン。
清水戦に引き続き決定的なチャンスに絡めるようになってきていたのでそろそろという感じはありましたが、相手のミス絡みながらもラストプレーで決めてくれました。
あのシュートも決して簡単なものではなかったので、シュートまでの速さ、コースはさすがでした。
現時点ではまだ連携面で合っているとは言い難い部分も見られますし、攻撃面では前線で渋滞が起こらないようなポジショニングで囮になって味方を活かすという使い方が殆どになっていますが、無得点でプレッシャーを感じていたのかチャンスでも少し力が入ってる様子も見られていたのでこの1点で楽になってくれたら良いなあと思います。
ただ、清水戦に引き続きこの試合でもみせた大外で浮いている味方にピンポイントで出すファーへのクロスはちょっと日本ではお目にかかれないプレーで好きです。
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