スタジアム | 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場 | 主審 | 西村 雄一 |
入場者数 | 14,410人 | 副審 | 相樂 亨、三原 純 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 24.8℃ / 56% | 第4の審判員 | 井上 知大 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 渋谷 洋樹
- 監督
- パウロ アウトゥオリ
試合経過
- 90+3'
-
87'
-
84'
-
81'
- 79'
- 75'オウンゴール
- 63'
-
45'
-
41'
-
28'
-
25'
- 11'
- 6'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 14 | 13 | 13 | 15 |
CK | 9 | 4 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 10 | 9 | 12 | 11 |
警告/退場 | 3/0 | 2/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 パウロ・アウトゥオリ監督大宮アルディージャ 渋谷洋樹監督
セレッソ大阪 エジミウソン選手、丸橋選手、山口選手、楠神選手、パブロ選手、山下選手
大宮アルディージャ 家長選手、泉澤選手、ムルジャ選手
大宮アルディージャ 菊地選手、ムルジャ選手、横山選手、家長選手
14410人と熊谷開催歴代最多観客数を集めた首位大宮アルディージャと3位セレッソ大阪との対戦。大宮は首位独走中ながらもここ3試合を1分2敗と勝利なし、セレッソは3連勝中と対象的な結果となっています。またセレッソは当面のライバルである2位磐田が今節愛媛に引き分けているので是が非でも勝ち点3が欲しい一戦です。キックオフ前に先日お亡くなりになられたデッドマール・クラマーさんへの黙祷が捧げられました。
大宮のメンバーは、2試合出場停止明けの家長は太もも痛で別メニューの日もあったとの事ですが戻ってきており、ムルジャとの2トップ。また天皇杯で痛めた河本は欠場でボランチで試合にでていた横山が2試合続けてCB、ボランチは金澤とカルリーニョスという組み合わせになっています。
セレッソのメンバーは、玉田が軽い肉離れ、前節先発した田代が怪我明けという状況で、次節が中2日でミッドウィークに試合がある事も考慮しエジミウソンと楠神の2トップ。
玉田はベンチ外、田代はベンチスタートとなっています。
■大宮の攻撃
まずは大宮の攻撃の特徴的から。
大宮のビルドアップ |
そこでボール運びの方法としては主に3種類。
1つはムルジャをスペースに走らせる。これは主にカウンターの場面などで使用されており、ムルジャは身体が大きく日本人に比べると敏捷性にかける部分はありますが、スピードはあるので、前向きにスペースに出て行くと厄介な存在になります。
2つめは泉澤を走らせる。泉澤は基本的にサイドに張っている形になっているので守備ブロックを中央に寄せてからそこに長いボールを付ける。
横山も菊地もカルリーニョスも長いボールを蹴れる選手ではありますから、シンプルにサイドを使ってくる形もあります。
そして3つめは家長が降りてくる形。最も多いのがこの3つめの形でトップの位置から家長がセレッソの作る4-4の外まで降りて来ます。元々トップの位置でマッチアップしているCBは家長に対してそこまでついていくことは出来ませんし、マッチアップが咬み合っていても噛み合っている同数+家長になるので数的有利が作りやすくなっていますからこれでボールを保持していきます。
また家長が降りてきた時に特徴的なのが右サイドの2人で、左SHの泉澤と左SBの和田はあまりポジションを崩さずにそのまま少しずつ前に出て行くだけなのですが、右SHの横谷が家長の元いた斜めに前線に入り、右SBの渡部は横谷の元いた右SHのポジションまでオートマチックに出ていきます。
ただ、これでボールは落ち着きますが後ろにかける人数が多くなりますし攻撃自体のスピードも遅くなる。ということはその分相手にしっかり守備組織を作られてしまうという事にもなります。しかし大宮がそれを承知でリスクをかけずにボールを大切にするサッカーができているのは、サイドで崩す形が確率されているからです。
左サイドでの崩し |
ここに大宮はSB・DH・SH・家長の4人+その後ろにCBという4対4+外のフリーマン1という状況を作り、左サイドだと泉澤の突破力を武器にしてSBとCBの間を中心にその後ろのスペースを狙う。
右サイドでの崩し |
このサイドの崩しがあるので大宮はリスクをかけずにボールを保持するサッカーが成立し、現在首位を独走中という状態です。
例えば左サイドでは泉澤の突破が目立ちますが、ここは例えば酒本と泉澤の1対1が繰り広げられていると考えるのではなく4対4の中の1人が泉澤だと考えないといけません。
■積極的な大宮
立ち上がりはお互い様子見で長いボールが多い展開。セレッソにとって長いボールとはトップに当てるボールだけでなく裏のスペース狙いや対角でサイドを変えるボール。大宮にとって長いボールとはムルジャを走らせるボールや泉澤の前に入れるボールの事。
そして先にペースを握ったのは大宮。長いボールから始まった事で家長が降りてくる動きで簡単にボールが受けれるようになり、ボールを保持するセレッソを押し込んでいきます。
となるとセレッソはボールを奪う位置が低くなり、その時に大宮は前線の2トップ+逆サイドのSH1人と人数をかけて高い位置から積極的に守備をしてきます。いつもよりも少し積極的に守備をしてくる印象です。
しかしこのプレスをセレッソはCB・SB・ボランチにSHが絡んで外してしまいサイドに展開していきます。
サイドチェンジの長いボールもあるので大宮はそこまでハメきれなかったのかもしれませんが、この大宮の高い位置からの守備をセレッソが外せる事がこの試合の大きなポイントになりました。
試合が動いたのは11分。大宮の敵陣での最終ラインとボランチのボール回しに対してセレッソの2トップとSH+山口がプレッシャーをかけて泉澤のバックパスがミスになり得たスローインから。ボールを受けた楠神がドリブルでターンしてサイドを変えて丸橋に。
その丸橋からのクロスを中央でエジミウソンが頭で合わせてセレッソが先制します。
この得点シーンでは中央のエジミウソンもボールを出した丸橋もフリーでした。
そうなったのは、スローインから楠神がドリブルを始めた時にパブロが左サイドから斜めに前線に入く動きを見せた時に元々のポジションで近くにいた横谷がマンツーマン気味に一緒に付いて行きます。しかし楠神がターンして左サイドに向かってドリブルをはじめると横谷はマークを横山に受け渡します。なのでこの時に大宮の右SHのポジションには誰もいませんから後ろから上がってきた丸橋はフリー。
そして中央ではパブロとエジミウソンがいて、パブロには横谷からマークを受け渡された横山が付いている状態ですが、サイドが変わった時にボールに近い位置にいた菊地はその後ろの状況がわかっていません。が、後ろの中央には横山と横谷の2人がいる事は把握していて、セレッソの中の枚数も2枚。という事でクロスに対して消すべきはニアのスペース。あそこからセレッソのSBが顔をあげたらGKとDFラインの間ニアに入れてくるという形はこれまで何度もあった形。
しかし丸橋が入れたのはニアでは無くエジミウソン。横谷はいつの間にかどこも守っていないポジションにいてニアを消そうとしている菊地とパブロに付いている横山の間でエジミウソンが完全に浮いていました。
セレッソの守備 |
大宮のビルドアップ能力に劣るCBとボランチの4人に対してセレッソは山口が前に出て家長が落ちる前にボールの動きを制限。簡単に縦にボールを入れさせない様にします。
もちろんそれでも家長や泉澤の個人技等で押し込まれる事もありましたが、大宮の得意のサイドの崩しの形に持っていく回数を減らしていきます。
しかしこのセレッソが上手く行っていた時間帯にも決定機までは作れず、さらに加藤が渡部と交錯した時のこぼれ球が山口の足下に入ったボールも決められずにいると、
44分に大宮は得意の形で右サイドを完全に崩して家長が抜けだしてムルジャに合わせ同点に。
そもそもが大宮がサイドを崩す得意な形でしたが、その前に染谷が横谷に対して一か八かの対応をして逆をとられてしまっていたので扇原が最終ラインに入って山口までもがサイドに引っ張られるというボランチが完全に動かされており、綺麗にくずされてしまいました。
■後半
前半終了間際の同点ゴールで勇気を得て、後半の立ち上がりからは勢い良く仕掛けてくる大宮。
押し込まれると山口の位置が低くなるので前半の先制後の様にCBとボランチの所に制限をかけられなくなるので余計に押し込まれるという時間がつづき、大宮の得意の形が右サイド左サイド共に出て来ますが中央で何とか身体をはってカバーという危うい時間帯が続きます。
63分〜 |
ただこの少し前ぐらいから、押し込まれてセカンドボールを拾えずに連続攻撃を受けてしまう事もあるのですが、大宮の高い位置からのプレスはやっぱり外せてボールを運ぶ事ができる場面も徐々に増えていきます。
カウンター気味にスペースにムルジャを走らせるパスからゆるい対応でカットインされてシュートまで持っていかれるというピンチを丹野がなんとかセーブというかなり危険なシーンもありましたが、そこをお互いにボールを運び出すようになった75分。
左サイドをパブロのワンツーで丸橋が抜けだしてクロスを上げるとニアに飛び込んだエジミウソンが菊地と交錯しながらゴール。公式記録では菊地のオウンゴールとなりましたが、横からのクロスでニアに入るというエジミウソンの良さがでたゴールでした。
81分〜 |
セレッソは5バックにしてサイドを埋める形、最初の立ち位置とするとマグノクルスは中盤3枚の前にいますが、中盤のラインにも頻繁に入ります。
一方の大宮の交代は横谷が中央に入って渡邉大剛が右SHに入る形。
サイドを縦に突破する能力が高い選手なので両サイドから仕掛けようということなのでしょうか。
試合終了時 |
セレッソが2-1と勝利しました。
■その他
これで今シーズン初の4連勝となり、10試合を残して2位磐田との勝ち点差1となりました。ちなみにシーズン初の連敗となった首位大宮との勝ち点差は11です。
玉田の負傷はハムストリングスの肉離れで全治3週間との事で、田代も万全では無い中でしたのでこの試合でエジミウソンのゴールを決めた事は大きいですね。
特に2点目はオウンゴールにはなりましたが、クロスをニアに飛び込んでゴールで、田代や玉田では無い形のゴールですから攻撃のバリエーションという意味でも大きいです。
これまでも何度か書いていますが、玉田と田代はどちらかと言うと後ろ向きや下がった所で足下でボールを受ける時に良さが発揮できるタイプで、楠神の(引いてのドリブルもありますが)スピードを活かしての裏抜けともまた違う、前で勝負できるエジミウソンのプレースタイルはチームの中では貴重なのでこのままもっともっとコンディションを上げてほしいところです。
この32節からの3連戦が今シーズン最後のミッドウィークを挟む3連戦なので、ここを連勝できるとかなり大きいはずです。
楠神の状態は少し心配ですが、田代を使わずに勝てたのは大きいですね。
あと大宮のサイドの崩しの形はさすがでした。
あれが日本代表で話題の引いて守る相手をどう崩すかという事に対する答えの1つですね。
一発でサイドを変えるキックを持っている両SBと両ボランチをつかって大きな展開をメインにチャレンジパスも多用するセレッソとは全く違うスタイルで面白いサッカーです。
こういう攻撃システムを構築できるだけで相手の監督すごいなと思ってしまいます
返信削除ペッツァイオリも上手くいけばこれくらい構築してくれたのかもしれませんが。
今回は磐田戦と違って早めに守備固めの手をうってますが
前半戦で課題だったセットプレーの守備などは改善されてるんでしょうか?
あとこの試合と関係ないかもしれませんが、W・H・DのDがわからないのでどこかで解説お願いします