スタジアム | 鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム | 主審 | 上村 篤史 |
入場者数 | 7,988人 | 副審 | 佐藤 貴之、勝又 弘樹 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 25.9℃ / 49% | 第4の審判員 | 谷本 涼 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 小林 伸二
- 監督
- パウロ アウトゥオリ
試合経過
-
90'
- 83'
-
78'
- 77'
-
66'
- 65'
- 63'
- 46*'
- 45+3'
-
31'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 16 | 10 | 13 | 15 |
CK | 5 | 7 | 4 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 10 | 9 | 8 | 11 |
警告/退場 | 0/0 | 2/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 パウロ・アウトゥオリ監督徳島ヴォルティス 小林伸二監督
セレッソ大阪 パブロ選手、山口選手、田代選手、関口選手、中澤選手
徳島ヴォルティス 濱田選手、冨田選手
徳島ヴォルティス 冨田選手、アレックス選手、佐藤選手
前節はアディショナルタイムに追いつかれるという痛恨の引き分けとなった試合から中3日でのアウェイ鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムでの徳島ヴォルティス戦。残り試合数が1桁となり、徳島もプレーオフ圏内入りには勝ち点3が欲しい状況での試合は、終始徳島ペースで進み2試合続けてのドローとなりました。
今回は終始徳島ペースで進んだその原因を中心に考えていきます。
■両チームの先発メンバー
連戦ながらもセレッソは前節と全く同じメンバー、ベンチ外だった楠神が前川に代わってベンチに入るのみの変更。
一方の徳島は、事前にスタメン報道があった内田はベンチスタートとなり右サイドには11試合ぶりの先発となる大﨑、また体調不良から今週復帰したアレックスが左SB、2トップは佐藤とキム・ジョンミンが入りますがどう考えても中盤はできそうにもないキム・ジョンミンをMF登録にしています。
■試合の立ち上がり
序盤のセレッソペース |
その最初のセレッソの時間帯である前半の立ち上がりにペースが握れたのは、まずキックオフからのロングボールのセカンドボールを拾う事が出来たからです。
この時点ではまだ徳島の守備の狙いはハッキリしていませんでしたがとりあえず徳島の守備は4-4-2でセット。
最初のボールを福元がはね返した後のセカンドボールを酒本が衛藤と入れ替わる形で拾うとセレッソはボランチの2枚共を敵陣の高い位置に立たせボールを失っても素早い切り替えでプレッシャーをかけ徳島に攻撃の起点を作らせません。
またセレッソののボランチが高い位置を撮り続ける事で徳島の前線に入る佐藤がヘルプの為に中盤に下がる、そしてセレッソは当初右サイドからの攻撃という事で丸橋が最終ラインに残っていた事も徳島に攻撃の起点を作らせない事に役立っていました。
両SBが高い位置に |
丸橋も高い位置での仕事を求められている選手なので高い位置を取ることに何の問題もありません。しかしキックオフからボランチ2枚も相変わらず高い位置を取り続けていた中で両SBも高い位置を取り始めたのでボランチの後ろ、CBの前に嫌なスペースができることになります。
このスペースは佐藤は下がってもキム・ジョンミンが前に居続けているのでCBが前に出て埋める事は出来ません。
まだ、セレッソがペースを握っている時間帯でしたがちょっと嫌な感じを受けたのが2分に冨田のクリアが偶然にもキム・ジョンミンの足下に上手く入ってしまったシーン。ここは染谷がファールで止めましたが少し危うさを感じさせる場面でした。
■徳島の狙い
最初に前線にボールが入ったのを皮切りに徐々に徳島の狙いがハッキリしてきます。
守備の狙い |
2トップがCBにまで最初からプレッシャーをかけにいく事はありませんが、自分達のエリアにまで入ってくれば行く。なので2トップはCBにプレッシャーをかけにいく事がメインでは無くスライドでパスコースを切りながらSBやボランチにボールが入った時にプレスバックを仕掛けてボールを奪い切るのがメイン。
SBやボランチには当然対面の徳島の2列目がプレッシャーを掛けに行くので挟み込んでそこでボールを奪いたい。
で、ここのゾーンを突破されたら思い切ってブロックを下げてしまう。
攻撃の狙い |
もしサイドにFWを走らせる事が出来なければ、佐藤とキム・ジョンミンめがけてロングボール。
攻撃パターン |
ここで上げきれないとボランチを使ってサイドを変える形になるんですが、CBを引っ張っていないとあまりチャンスにはならないので、できるだけ最初にサイドにCBを引っ張ってクロスを上げたい。またサイドを変えた場合はSBやSHでセレッソのSBを引き出してから2トップの1枚をやはりSBの裏に入らせる。
ただ、サイドを変えきらなくてもボランチにボールを戻した状態でプレッシャーがかかってなければボランチからやはりファーサイドにボールを入れる事もありました。
これで主に狙っていたのはセレッソの右サイドで、1つは徳島の左SHにアレックスがいることと引っ張るCBを山下にすれば中央に残るのはクロスボールに対するポジショニングが悪かったりボールウォッチャーになってしまうことも多い染谷だということもあったのかもしれません。
という事で徳島は例えば前節の水戸がやってきたようなサイドを埋める守備をしてきたわけでも無く、普通に2,3シーズン前ぐらいまでよくやってこられた方法です。
これで完全にペースを握った徳島は23分頃にCKのこぼれ球を濱田が拾って放ったミドルはゴールネットに吸い込まれるもののオフサイドの判定でノーゴール。
キーパーの前に立っていたキム・ジョンミンと福元の2人は確かにオフサイドポジションでしたが、シュートに触ったのは染谷でしたのでプレーに干渉するという部分ではオフサイドではありません。
濱田のコメントによると「レフェリーが進路妨害といった内容のことをいっていた」との事なので、可能性があるとすれば「競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン 11章オフサイド 6 .相手競技者に干渉する」に該当するゴールキーパーの視線を遮ったという事なんでしょうけどセレッソにとってはラッキーなジャッジでした。
この徳島のやり方でハマってしまったセレッソ。
特に4-4-2のやり方になってから、後ろの人数を調整しながらのビルドアップというやり方はほとんど取っておらず、また特に扇原や丸橋なんかはこれは以前からそうでしたが、ポジショニングで相手を動かすスキルを持っていないのでボールの逃しどころ、相手の誰がどこまでついてくるのかが見極める能力に乏しく簡単にプレスのハマりどころになってしまいます。
大宮戦の時にカルリーニョスに対して書きましたが、扇原なんかもどちらかというとボールは蹴れるけどビルドアップは上手くないタイプの選手です。
そういうタイプでも余裕があれば何でもできるんですが、特にこの日はおそらく立ち上がりに見せていたようにチームとしてボランチを高い位置に出したいという狙いがあって、余計に相手を見ながらどこまで来るのかという判断が出来ないままでプレスに引っかかる、ボールを奪われ押し込まれてボランチが下がる、また奪っても高い位置に持って行きたいから前に出るもプレスに引っかかる。という事を繰り返していたのでしょう。
特に前半なんかはエステバンが無理めに前にプレスに出てくる場面もあって、各人の前の選手にプレッシャーをかけにいく事は徹底されていてもその後の埋め方までは徹底出来ていないので、逆にそこからボールを運んだりもできそうなんですが、それも出来ないままでした。
31分〜 |
という事で前半は徳島の方がハッキリとした狙いのサッカーが出来ており、クロスからファーサイドで完全に1枚を余らせる事もできているので後はゴールだけという状態。一方のセレッソは個人能力を使って単発での攻撃はあるものの、チームとしての狙いを出せているわけでは無いという状態で我慢かなあと思っていた前半アディショナルタイムの45+3分。山口がボールを受けた時に佐藤がプレッシャーをかけるも山口は余裕があるボールの持ち方で外される恐れがあるので寄せきれず、一方2トップのもう1枚であるキム・ジョンミンは扇原のフリーランに引っ張られると、染谷がこれまでよりも少し高い位置でフリーで前向きにボールを持つ。
そこでスライドしながらバランスを整えようとする動きに対してパブロが裏に抜け出すを見せるとそこに染谷からドンピシャのパス。
前半途中に交代で入った石井はパブロに完全に入れ替わられてしまいGKと1対1。それを落ち着いて決めてセレッソが先制します。
きっかけは小さなほころびからでしたが、そこにパブロの抜け出しと染谷のフィードがぴったりとハマりセレッソにとっては大きな、そして徳島に取ってはかなり手痛いゴールとなりました。
■後半の修正
後半開始〜 |
新聞で「練習でもやっていない」と書かれていましたが、茂庭を投入しての3バックは今シーズン終盤の守備固めで頻繁に使われている形で、また茂庭が離脱している最近では大宮戦で中澤が3バックのセンターに入る形を使った事はこのブログまでを見られている程の熱狂的なセレッソサポーターならご存知でしょう。例えば選手や監督、コーチの発言を元に作った記事にしても残念ながらピッチで起こっている状況を理解出来ていません。
そしてそれに伴って間延びするという事も書いていますがそれは少し別の話し。その部分については追って書いていきます。
まず3バックの採用については実に理にかなっているものでした。
それはアウトゥオリが試合後の会見で語っているように徳島のクロスがファー狙いで、CBがサイドに引っ張られているところから始まっているクロスでしたのでファーサイドでSBが2対1に近い状況を頻繁に作られてしまっていた。なので、CBを3枚にすることで1枚引っ張られても中央に2枚を残すことができる。なので3バックです。
発想自体はブラジル人監督らしい方法で、もちろん他にもやり方が無いわけではありませんが、今のセレッソができる対応方法は人数で解決するこれです。もしこれ以外の方法、人数で解決しない方法をとったとすれば、それこそが「練習でもやっていない」方法です。
「練習でやっていない」というのがもしピッチ上にいる11人が全員同じメンバーで全員同じポジションでという事を指しているのかもしれませんが、採用しているコンセプトが同じで、そのポジションも経験があるなら問題はありません。
「練習でやってない」というのは先ほど書いたこれまでにやったことの無い形でやったことの無いコンセプトでやる事であれば難しいという事です。
マッチアップ |
最終ラインと中盤のセンターにセレッソは数的有利を作る事ができるようになりました。
2トップの前にはDFが3人いるので誰を捕まえに行けばいいのかわからない、中盤センターも同様で、ボランチに行けばパブロが空く、パブロを捕まえればボランチの1枚が空く、そしてSBは目の前にだれもいないので誰を捕まえればいいのかわからないという、この誰が誰を捕まえていいのか混乱が生まれるミスマッチの状態になりセレッソがボールを保持し、自分たちの形で運べるようになっていきます。
49分のショートカウンターはこのシステム変更がハマった形でした。
守備の明確化 |
それはボールサイドのSHが3バックの1枚を捕まえに活き、SBが空けたWBを捕まえる形にして、プレスバックは前に出た3人でするという形になっていきました。
SBがフリーに |
それは先程のマッチアップで徳島のSBが完全に浮いている事で、ここが徳島にとってプレッシャーを受けないボールを逃しどころになって徳島が楽にボールを持てるようになる。
またサイドは最初から関口と衛藤が1対1になっている、そこにアレックスが上がってくると一気に数的不利です。
サイドの攻防再び |
ここでセレッソの右サイドが狙われることが多かったのは、1つはアレックスのサイドということもありますが、もう1つは攻めこまれた時にパブロは下がってくるんですが、元々のポジションという事もあってか左サイドに入ります。なので広瀬陸斗のところにはパブロが寄せる場面も何度か見られます。
ただアレックスの所にはほぼプレッシャーをかけられない状態でした。
となると中盤が下がる、なので前線との間が広がり間延びしてしまいます。
このSBに対してプレッシャーをかける方法の1つとしてあるのは前を1トップ2シャドーにする。要するに守備で5-4-1で守るという方法です。
J1J2関わらず3バックで最も採用しているチームが多い形です。
もしかすると例えば2トップのどちらかに代えて田中を入れて関口をシャドーに入れる3-4-2-1にするかな?とも思いましたが、アウトゥオリはその方法はとりませんでした。
その理由はおそらく5-4-1で守ると守備はかなり堅くなる一方でカウンターを仕掛ける機会もかなり少なくなるからなんですね。
前線に2枚いれば、カウンターに持っていける確率は倍以上に上がります。
そのカウンターの目を残すためにも2トップを維持したのでしょう。
55分に染谷の軽いプレーでキム・ジョンミンに決定的な形でシュートを打たれますが、丹野が何とか止めます。
77分〜 |
この交代で徳島のやり方は変わりませんが、セレッソは橋本がセンターに入る3ボランチに変更。
この3ボランチでその前にパブロとエジミウソンを置くというのがアウトゥオリにとってカウンターができるギリギリの所という判断なのでしょう。
3ボランチでサイドはスライドで対応し、かつカウンターを狙う布陣。
エジミウソンを残して田代を下げたのは1つはコンディションの事もあるかもしれませんが、もう1つはカウンターで考えた時に前で勝負できる方という事なんだと思います。
しかしその直後2本続いたCKで冨田に合わされて同点に追いつかれてしまいます。
競り負けたのは扇原で人とボールを同時に見ることが苦手なところで先に飛ばれてしまいました。
またこの2本続けてのCKはスローインを胸で落とそうとしたプレーのミスからだったのも残念な所です。
橋本を入れて中盤を3枚にして守備のバランスをと考えたのでしょうがそれを発揮する前にセットプレーでやられてしまいました。
試合終了時 |
終盤に徳島は津田の準備をしていましたが、大﨑が傷んだ所で内田に変更。90分に投入します。
同点以降はセレッソも攻めるオープンな展開になりますが、そこで抜群の存在感をみせたのはエステバン。もちろんそれまでも縦横無尽の動きで素晴らしい活躍を見せていたのですが、終盤にほとんどの選手が足がとまりスペースが出来てしまう中でエステバン1人が次々とカバー。
セレッソはCKからのチャンスをモノにできず、徳島もカウンターのチャンスを決めきれずに1-1で試合終了となりました。
■その他
セレッソにとってはかなり厳しい試合内容でした。徳島にとっては狙い通りにいった部分が多かったと思います。ただ、セレッソはそれでも引き分けられたのはラッキーだったのかもしれませんし、徳島はこれで2点取れないのはちょっと厳しいかなとも思いました。
徳島のセレッソ対策はこれまでに何度も見た比較的オーソドックスなものでしたが、セレッソのやろうとした事ともぶつかって上手く行かない事になってしまった様な形でした。
ただ、そこでハマってしまっているにも関わらず同じことを続けてしまうのはちょっと残念な所です。
これで磐田と勝ち点差が5。
磐田も33節から10連勝という訳にはいかないでしょうから、厳しくはなりましたが勝ち点を積んでいくしかないですね。まずは次の福岡戦から。
いつも分かりやすい解説ありがとうございます。
返信削除比較的冷静なセレッソサポーターですw。
水戸戦につづき高さに手こずってる印象でしたので、後半の3バックは、まあそうするよねって思いました。
パブロがしょーもないミスしたとき、これは「失点のフラグ」やっ!と感じ、ひたすら祈りましたが、ダメでしたねw
あそこも丹野選手がさわらなければGKで再開になってたのに…。
選手が試合中になかなか修正出来ないのは、やはり連戦なのと、大宮戦でやりきった感が出てしまったんでしょうかね。
エステバン選手もすごかったですが、セレッソホームで「一体何しに出てきたんや?」ってなってたキム・ジョンミン選手がすごく効いてましたね。
さて、残り試合も少なくなってきましたが、まだまだ諦めるには早いと思いますので、最後まで全力で応援したいと思います!
ただ、次節の福岡戦、またまた苦手な肉弾戦になりそうで怖いですけどww
コメントありがとうございます。
削除そうですね、3バックはいつもより速いのは確かですけど、今のセレッソならあれでしょうね。
福岡戦は間違いなく肉弾戦を挑まれますね(笑)
解説ありがとうございます。
返信削除試合中の選手個々の判断、動き云々に関しては、相変わらずだなと感じております。
試合後の監督コメントも結局はそのことを指しているのかなと。
しかしここのところ扇原の良さが出ている場面がかなり少なくなってしまっている気がします。
一発で裏に抜ける選手がいなかったり、プレッシャーが無く余裕を持ってボールを保持する場面が少ないのが原因でしょうか。
技術はあるのですから、もっとポジショニングや判断を磨いて欲しいですね、、、何年も言い続けている気がしますが。
現実問題としてセットプレーでも穴になってしまってますし、橋本を優先起用してもいいのではないかと思ってます。
でも彼の技術を見ると使いたくなるのも分かるんですよね。
特にブラジル人監督は好きそうですよね(笑)
コメントありがとうございます。
削除扇原については、元々動きでなにかするのは苦手なタイプなので、チームとして助けてあげないとっていう所だと思います。
ただ、これまでチームとして助けてあげる形を仕込むようなタイプの監督はクルピも含めていなかったので、狙われると以前からああなってしまうんだと思います。
いつも的確な解説ありがとうございます。
返信削除現地観戦していたので、わからないところ、理解できないところがたくさんあったので、ふんぎれました。がっかりした試合の録画を見る気にはならなかったもので(^_^;)
現地観戦の印象は、サイドチェンジも、中央からも、とにかく攻めの形ができなかったことと、ボールを奪われての逆襲の場面が多かったなあというものでした。
審判と、徳島の決定力不足に救われてるなとずっと思っていました。けれど、棚からぼた餅のようなパブロの得点があったので欲が出て、引き分けに終わると本当にガックリでした。
でも、冷静に考えると、あの試合ぶりでよく負けなかったものですね。こんな取りこぼしを何試合も積み重ねて、今の時期、よくこの順位にいれるものだと感心します。ラッキーなんですよね。
ここから残り試合をトーナメントのつもりで勝ち抜けば、ハナ差で2位に入れる可能性は残されているのですから。
プレーオフになっても、2試合勝てばいいのです。最後まで諦めずに応援するだけだと思っています。それにしても、次節、福岡には勝ってほしいなあ。
コメントありがとうございます。
削除ラッキーもありますが、良くも悪くもこれがJ2なんでしょう。
徳島もシーズン通して点が取れないからこの順位にいますしね。
ここからはもう1つずつですね。