- 8' 薗田 淳
-
スタジアム | うまかな・よかなスタジアム | 主審 | 窪田 陽輔 |
入場者数 | 9,322人 | 副審 | 作本 貴典、日高 晴樹 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 28.9℃ / 84% | 第4の審判員 | 先立 圭吾 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 清川 浩行
- 監督
- 大熊 清
試合経過
- 90+1'
- 83'
-
76'
- 75'
- 70'
-
68'
-
66'
- 64'
-
62'
-
57'
- 35'
-
33'
- 27'
-
25'
- 13'
-
8'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 7 | 14 | 13 | 13 |
CK | 7 | 10 | 4 | 5 |
PK | 0 | 1 | 0 | 0 |
シュート | 9 | 20 | 8 | 13 |
警告/退場 | 3/1 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督ロアッソ熊本 清川浩行監督
セレッソ大阪 清原選手、ブルーノ・メネゲウ選手、リカルド・サントス選手、杉本選手
セレッソ大阪 山口選手、山下選手、藤本選手、玉田選手
ロアッソ熊本 園田選手、嶋田選手、巻選手
明治安田生命J2リーグ第21節、セレッソ大阪は震災以降85日ぶりに本拠地うまかな・よかなスタジアムに戻ったロアッソ熊本と対戦。現時点でまだ安全確認ができているのがメインスタンドのみという事でメインスタンド9800席が使用可能となる中ほぼ満席の9322人を集めた熊本にとった特別な試合は、1-5でセレッソ大阪が勝利となりました。
■メンバー
セレッソのメンバーですが、まずなんといっても注目なのが7/1に登録が完了した山口蛍が復帰即の先発メンバー入り。プレビューの予想スタメンでも書いたようにある程度予想された事でもありましたが、山口蛍がセレッソの中盤に戻ってきました。また前節出場停止だったブルーノ・メネゲウがスタメンに復帰。扇原が名古屋に移籍したこともありベンチに入るのは熊本出身の藤本、山村、怪我から復帰の関口、田代、玉田、澤上と丹野になっている。
一方の熊本はちょっとした驚きがありました。
震災の影響で延期になった試合がこのミッドウィークから開催され始めた事もあって過密日程となりますが、そのミッドウィークの京都戦で植田、片山、高柳、清武、岡本の主力をベンチスタートにしシステムも3バックを採用、また平繁もメンバーから外した事でこのホーム復帰戦となる特別な試合は主力を戻しシステムもいつもの4-4-2にしたベストメンバーにするかと思われましたが、発表されたメンバーは3-4-3。園田と植田に加えてここ数試合は途中出場が続いていた薗田が5/22の14節以来となる先発。さらにボランチの起用がほとんどだった上原が入り普段FW登録されている選手は清武のみとなっていました。
■熊本の3-4-3
開始2分に山口がちょっと久々のゲームだという事を感じさせるプレーから嶋田が遠目の位置からでもまずシュートを打っておこうという感じのプレーで最初のシュートは記録されますが、セレッソはその後スグにボールを運んでいって簡単に熊本陣内に入るプレーが続きます。熊本立ち上がりの守備 |
熊本は守備の時に両WBが最終ラインに落ちて嶋田と岡本もボランチの横でサイドの守備に入る形の5-4-1で守ってきます。
なので前線で清武1人が残りますが、その1人残った清武は時々ボールが取れそうとなると一気に距離を詰めたりする事もありますが、基本的にほとんど守備に参加しません。
そして5-4-1の2列目4の守備も特に前に迎撃という形では無く基本的にはリトリート。
なのでボランチやSBのところでセレッソはボールを持つことが出来ます。
そうなると、これまでも群馬戦や千葉戦でそうだったようにSBやボランチが自由なら個々の能力は高いので何とかできるもの。セレッソがボールを運ぶ事ができるのでボールを持って押し込み、熊本も守備のスタートがハッキリしないのでズルズルと下がることに。
4分には杉本のパスからリカルド・サントスがスルーしてブルーノ・メネゲウがシュートを受ける場面を作ります。
しかし守備のスタートがハッキリしないないのはセレッソも同じ。熊本もボールを簡単に持つことが出来、ボールを動かされると簡単にゴール近くまでボールを運ばれる。
さらに低い位置から清武を走らせるボールが出てくるので、清武が流れたり飛び出したりと動きながら基点になることができれば一気にセレッソゴールに近づきます。
そんな中、ソウザがボールを奪われたところから一気に清武にボールが入るとシャドーや両WBが前に出てくる。清武の推進力のあるドリブルでボールを運ばれると高柳のシュートはディフェンスに当たりCKに、そのCKをショートコーナーにして大外にクロス、それを園田が折り返して中で薗田が押し込みゴール。7分に熊本が先制します。
ショートコーナーから大外やどうしても空きやすいところなのですが、ソウザが園田を外してしまいました。
この特別な試合の立ち上がりいいい形で先制できた熊本は、精神面が影響したのか立ち上がりよりもちょっと高い位置で守備をしてこようとします。
熊本の守備の変化 |
山口が最終ラインに落ちる |
山口は昨シーズンも特に4-3-3の底に入っていた時はCBの間に入るプレーを頻繁にみせていたので自然な流れです。山口が落ちるとCBが開きSBが上がる形になりますが、どうやら清武も特に何か決まってる事をやってるわけではなく、自分の判断でいけると感じてプレッシャーをかけにいく場面以外はそんなに守備に参加するわけでもない。また絞って前線に残っているシャドー2人も清武と合わせて3人で3バック化してるところまでプレッシャーを掛けに行くかというわけでもない。SBにボールを出すと嶋田や岡本で対応するわけでもなくWBが勢い良くブレッシャ―をかけにきますので、正直よくわからない状態です。
中盤で簡単にフリーになれる |
セレッソのSH清原と杉本が中に入るプレーはどこまで狙っていたのかはわかりません。ただ通常なら入り過ぎると自分たちで自分たちのスペースを消してしまう事にもなるし、サイドで数的不利を作られる可能性も高い。
しかしそうはならなかったのは熊本のこの日のシステムが3-4-3で前線の両サイドに入っているのは嶋田と岡。ということは、熊本のサイドは上原と黒木の1人ずつしかいないということです。それなら松田と丸橋の2人がそれに対応できる。
なので清原や杉本が中に入っても、それが原因でセレッソはバランスを崩される事はありませんでした。
そして12分にそのハッキリしない熊本の前線3人の守備とそこから生まれるボランチ回りにできている数的不均衡を使ってセレッソがボールを動かすと中途半端に喰いつく守備で熊本はバランスを崩し、セレッソは山口のサイドチェンジから丸橋のクロスを松田が折り返す形を作り、そこから続いたCKで、ゾーンで守る熊本のCKの守備のゾーンのギリギリ脇を抜けてきたボールを杉本が膝でシュート的にボールを中に入れると清原がコースを変え前半13分にセレッソが同点に追いつきます。
しかしここからしばらくはまだ両チームとも守備のおかしさでボールを運び合う展開が続き、16分には熊本園田が左足でシュートを狙うもキム・ジンヒョンがセーブ。
22分にはセレッソが清原のボール奪取からリカルド・サントスを使って抜け出し、折り返しを再びリカルド・サントスがシュートする場面を作るなど、両チームがゴールに迫る展開となります。
この時間帯でも実はより効果的にチャンスを作っているのは熊本で、セレッソはボールを保持してボールを動かすものの、解説の方が「ボールを大切にする」と表現されてましたが、これまで同様行き当たりばったりでその都度一旦止めてパスを繋ぐ形なのでパスワークの中からは実はそれほどチャンスを作れている訳ではありません。なのでシュート数は熊本がずっと上回ったままでした。
ですからこの展開はセレッソにとって良いのか悪いのか、どう捉えるのかは難しい部分もあるのですが、セレッソがボールを持つ時間を作れる事で相手を押し込む事はできるので悪い訳ではないというところだったでしょう。
しかしその後この試合の流れを決めるプレーが起こります。
25分丸橋の縦パスに入れ替わる動きで抜けだしたリカルド・サントスを薗田がペナルティエリア内で左手で引っ張って倒しPK。レッドカードが出されます。
このプレーは100%PKでレッドカードです。全ての審判が迷いなくそうジャッジする場面で、今も昔も関係なくこれは赤です。
というのも、7月からJリーグでは採用される事になったルール変更についてですが、おそらくセレッソサポーターの中でも勘違いしている人がいるのではないかと思いますが、今回のルール改正でこのプレーが赤になった訳ではありません。
今回のルール改正で変わったのは、PA内で相手選手が決定機を迎えた時にファールを犯してしまった場合はどんなファールでもレッドカードの要件である決定機阻止に当たるので赤だったものを、例えばスライディングした足で引っ掛けてしまったなどといった決定機阻止でなければこれまでイエローカードの対象にもならなかった様なファールについては退場ではなく警告で抑えましょうということです。なのでルール改正で変わったのは決定機阻止でも退場でなく警告で済むファールが例外的にできたという事です。
ちょうどこの前日に浦和レッズの槙野選手もレッドカードで退場していますが、引っ張って相手を倒すというファールする気満々の決定機阻止は今も昔も退場で変わりません。
なのでこのファールは新ルールで退場ではなく、元々退場のプレー。そもそも新ルールは厳しくなったのではなく、PA内の決定機阻止は全てレッドカードだったものから、アクシデント的なファールはPKにもなるんだしイエローカードで済ませましょうというものだということを
知っておくと良いかもしれません。
■4-4-1で問題がより顕著に
27分〜 |
しかしこれで熊本の守備の問題はより顕著化することになりました。
一列目の守備 |
清武は何度か無理して追いかける姿勢を見せますがCBとボランチで1対4なのでどうすることも出来ません。
となると通常は例えば清武に何をさせるか、仕事を限定させてそれを踏まえてどうやって守るか、例えばブロックを落として守るエリアを狭くするであったりを決めるという事になるのですが、熊本にとってこの試合が特別な試合だという事もあってなのか、2列目はこの清武の守備をサポートしようとします。
3点目のシーン |
セレッソで降格したシーズンによく見た芋づる式の典型ですね。
そしてこの3点目の後は山口がガンガン縦パスを入れるシーンが見られるようになります。
山口が完全にフリーに |
となると清原、ブルーノ・メネゲウが顔をだす動きをし、さらにソウザも前に出てくるので熊本の2列目の守備は動けない。なので山口は完全にフリーです。
ここまでやられた試合で何度もセレッソも味わってきましたがここでフリーだと好きなタイミングでパスを入れられるからかなり厳しいんですよね。
また山口は強い縦パスをけれる選手でもありますし。
そんな展開でもボールを結構運ばれる場面もあるのが今のセレッソのツラいところですが、前半はこのまま1-3で終了します。
■後半
後半スタートの熊本は前半と同じ形。ですが、MFの前でボランチがボールを持つとできるだけそこには1人出てフリーにさせないようにしていました。これはHTで徹底したのでしょう。しかしそうなるとセレッソはサイドを動かして出てくるタイミングをずらす事に。
50分には清武がボックス内に入り込まれるピンチを作られるのは相変わらずですが、清原が熊本のMFがプレッシャーをかけに出て行って空いたスペースに良いタイミングで入ってくるので熊本にとっては厳しい状況が続きます。
あと話しがそれますが、この50分の清武が倒されたかに見えるプレーはおそらく僕もノーファールだと思いますが、このプレーでもしボックス内の決定機阻止だったとしてもPK+退場ではなくPK+警告というのが先ほどのルール改正された部分です。
ただここでファールをとっても清武はゴールから遠ざかるドリブル中、なのでゴール方向にプレーしていないという事で決定機阻止にあたらない可能性の方が高いです。そうなるとPK+カードなしになります。
この辺りも要らぬストラスを貯めない為にも敵味方関係なく覚えておくといいかもしれません。
57分〜 |
完全に結果論ですが、熊本は後ろよりも1列目と2列目の守備に問題を抱えていたのでもしかしたら退場になった時からこの形にしたほうがまだ良かったかもしれません。
解決とまで行きませんが、前半よりも守備のスタートがマシになった熊本。しかし今度は3バックの脇に清原が出てくる場面が見られます。清原はホントにいい選手ですね。
そして右サイドの守備からソウザがボールを奪ったところからパスを受けた杉本が豪快なミドルシュートを決めて64分にセレッソが1-4とさらにリードを広げます。
杉本にこのシュートを打つ時間を作ったのはブルーノ・メネゲウ。彼が前に動く事で園田を引っ張り杉本は十分な時間を得ました。
66分〜 |
最終メンバー |
熊本も76分に高柳代えて斎藤を入れ前線の人数を増やします。
セレッソは、73分には松田のクロスをブルーノ・メネゲウが頭で合わせるもオフサイドの判定となりますが、アディショナルタイムの91分にに玉田のスルーパスから田中が上げてリカルド・サントスが追加点。
熊本も最後まで1点でも決めようと攻め込みますがそのまま試合終了。セレッソが1-5で勝利しました。
■その他
熊本の3バックは予想外でした。が、きっとこの熱い中での唯一の過密日程という事でコンディション的にもかなり厳しかったんでしょうね。この試合は特別な試合でしたし。セレッソとしてはボランチ、SBに自由がもらえて、ここが自由になればそれぞれの特性が出しやすいから押し込めるというのが本当に助かりましたが、熊本としては4-4-2でアップテンポな試合は難しくこれしか選択肢が無かったのかもしれません。
また数的有利はもちろん、失点したものの同数の内にCKとPKのセットプレーで2点取れたのも展開的には大きかったと思います。最初から熊本の守備に付け入る隙はありましたが内容的には未だチームとしてまったく整備されておらず、崩せていた訳ではなかったので、難しい試合になる可能性はありました。
あとリカルド・サントスのPKを取ったプレーですが、前節のヴェルディ戦も同じようなプレーを見せていた場面がありましたが、多分ああいうプレーが本来は得意なんでしょうね。
最初は背負わせてばかりで孤立していましたが、僕がああいうプレーができるんだと知ったのは柿谷がワントップに入ってサブ組に回った時の紅白戦。山下や茂庭相手にもあの入れ替わる時の身体の強さをみせていました。多分チームとしても本当の持ち味をそれで知ったんじゃないかと思います。
また復帰戦となった山口蛍。
最初は久々の公式戦という事でゲーム勘に不安を感じさせる場面もありましたが、途中からは流石のプレーを見せていました。
能力的にはファーストチョイスになって当然の選手で、山村もソウザも前に出たいタイプの選手なんで、まだ山口の方が代表も含めて守備的なポジションを務めている回数が多い分、山口とどちらかという組み合わせが良いのかもしれません。
またこの試合で90分使えた事も大きかったですね。
戦術にまったく関係ないコメントで申し訳ないですが
返信削除本文でも仰ってるリカルド・サントスが前節からDFを上手く振り切ったり競り勝てるようになった要因ってなんですかね?体が絞れてきたのか、それとも夏になって気温が上がったからか?
シュート精度は相変わらずですが、それだけできるなら開幕当初からやれよと言いたくてしょうがないです
コメントありがとうございます。
削除リカルド・サントスが入れ替わるプレーを見せるようになったのは、リカルド・サントスがああいうプレーが得意なんだということをチームメイトが理解したからだと思います。
それまでは背負わせて足下につけるだけのパスがほとんどでしたから。