スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 飯田 淳平 |
入場者数 | 13,443人 | 副審 | 唐紙 学志、平間 亮 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 26.9℃ / 76% | 第4の審判員 | 大原 謙哉 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 四方田 修平
試合経過
-
86'
-
82'
- 77'
-
68'
- 61'
- 39'
- 30'
-
19'
- 5'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 14 | 17 | 13 | 12 |
CK | 6 | 6 | 5 | 4 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 11 | 5 | 13 | 10 |
警告/退場 | 1/0 | 2/0 | 1/0 | 2/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督北海道コンサドーレ札幌 四方田修平監督
セレッソ大阪 杉本選手、山下選手、田中選手、田代選手、玉田選手
北海道コンサドーレ札幌 ク・ソンユン選手、増川選手
明治安田生命J2リーグ、シーズン折り返し初戦となる22節は1試合少ないながらも勝ち点2差で首位を走る北海道コンサドーレ札幌戦。勝てば順位が入れ替わる中での一戦となったが、両者攻めきれずにスコアレスドローに終わった。
■メンバー
セレッソのメンバーですが、トップ下でレギュラーポジションを掴んでいたブルーノ・メネゲウが中国へ移籍した為不在となったトップ下に入ったのはこれまでボランチで先発を続けていたのソウザ。そしてボランチは山口と山村がコンビを組む形になり、山村は2試合ぶりの先発出場となっている。このメンバーだと例えば山口をアンカーにした4-1-4-1や3センターなどの布陣も考えられない事もありませんが、布陣に変更は無くソウザがプレーしていたのは前節までブルーノ・メネゲウがプレーしていたトップ下でした。
一方の北海道コンサドーレ札幌。これまで先発出場を続けていた進藤、前寛之の2人が怪我で離脱。進藤が入っていた3バックの右に入ったのは鳥栖から期限付きで加入した菊地直哉。そして前寛之の入っていたボランチの位置には上里が入り、前線は出場停止明けの都倉とここ数試合活躍を見せるヘイスの2トップとトップ下に荒野が入り、布陣はいつもの3-4-1-2。
怪我あけながら前節も活躍を見せた内村と、前回対戦時に活躍したジュリーニョはベンチからのスタートとなっています。
■5-2-3で守る札幌
5-2-3で守る札幌 |
ただそれができないとこのスペースをきっかけに全体を動かされてしまう事にも繋がります。
前半4分の攻撃 |
杉本はシュートを打ち切れませんでしたがここから崩す形を見せます。
ソウザがボランチ脇に出てくる動きから |
この形でもポイントになっていたのは清原でソウザが出てくると清原は入れ替わるように中央に移動。ソウザにボールが入ると堀米は前にでて捕まえに来るのでそのタイミングをみて清原は堀米が空けた3バック脇のスペースに飛び出す。
これが8分の外を上がってきた松田のクロスにソウザとリカルド・サントスが飛び込んだ形で、結局はリカルド・サントスの前でソウザがスライディングシュートを狙ったので合いませんでしたがこれは決定的な形でした。
このいずれの形もポイントになっているのは清原。チームとして攻撃の形をほとんど準備しない、個人の能力をつかった行き当たりばったりの攻撃が多いセレッソにとって清原は唯一相手の形を見て、スペースを見つけ動く事で相手の守備を動かせる選手で、今やセレッソにとって最も重要な無くてはならない存在となっています。
そしてもう1人、存在感を見せていたのが復帰後2試合目の先発となる山口。
15分には山口のインターセプトからのカウンターで最後はソウザのミドルシュートを放つ場面を作ります。このシュートはク・ソンユンのセーブに合いゴールはなりませんでしたが、前節立ち上がりは少し苦労していたものの、時間の経過と共に試合勘を取り戻し始めるとこの試合でも存在感は抜群。守備でアプローチをかけてボールを奪いに行く時には、寄せるというアクションを誰しも行うのですが、山口はこの寄せるスピードの速さを持ちながらもしっかりと止まれる。なので他のセレッソの選手や札幌の選手の様に勢いに任せた無用なファールをしてしまう事も少ない。J2でよくある「荒い」と言われるようなファールは選手の技術やアスリートとしての能力の低さ、未熟さに原因があるということをハッキリと思い知らしてくれるような、格の違いを見せつけていました。
ここまでだとセレッソが圧倒的に攻めていた様に見えますが、実際はもちろんそんな事はありません。
札幌が5-2-3で守る事は書きましたが前線の3人はプレスバックを見せるし、特に荒野が中盤に下がって守備をする事もありますが、3人が攻め残ることも多い。
なのでカウンターでボールを運ばれると前に3人いる分チャンスを作りやすくもなっています。
そして前線に3人残る事で札幌が引き起こしたいのは間延びした状況。
前線3人は一般的な3トップではなくあくまで2トップ+1トップ下という関係。なのでこの3人はあまり横幅を作ることは気にせず中央で勝負する。だからこそ攻撃の形はカウンターで、押し込んでボールを持つ時は両WBが前線に上がって横幅を担当する事になるのですが、この3枚がCB2枚がいる中央で仕事する事でセレッソは単純にそのままだと中央で数的不利を作られる。となると4バックが中央に絞るか中盤が下がって対応するかになるのですが、セレッソは自陣からのロングボールに対しては山村を最終ラインに落とす事で前線3人に対応していたもののそれ以外の状況では良い言い方をすれば臨機応変に対応。ただそれは徹底されていない状況にもつながるので中盤が最終ラインに引っ張られ全体の間延びに繋がります。
前回対戦時も結局その前残りから間延びした状況を作られオープンな展開に持って行かれて失点してしまっているのですが、今回も同じように間延びした状況を作られピンチになったのが前半20分のヘイスのシュートシーン。
ロングボールで前に送ったボールを奪い返されたところから始まった攻撃で中盤と最終ラインが後ろに下がってその前には大きなスペース。そこでサイドが変わったボールを石井に折り返されヘイスが飛び込んでいます。
ここはキム・ジンヒョンのセーブと田中のカバーで難を逃れますが決定的な形でした。
ただこの札幌の相手の間延びを引き起こす形は逆に言えば自分たちも間延びしてしまう危険性もあって、一旦しっかりセットできれば最初に書いた様な守備を取れるのですが、セットしきる前に5-2-3の2の脇にボールを入れられるとズルズル下がらざるを得なくなる。もちろんその危険性も踏まえての5バックで、札幌はこれで収支がプラスになると判断してやっているんだと思いますが、30分の杉本のシュートをク・ソンユンが弾いた所に清原が飛び込むも合わせきれなかった形は、キム・ジンヒョンからのスローを受けた山口が素早いターンから素早い判断の鋭いパスで2の脇に入る杉本にパスを通すと札幌はズルズル下がるしかできなくなりミドルシュートを打たれています。
ただここまで書いたセレッソの攻撃の形はいずれも単発。
札幌の様に単発で勝負するサッカーをベースにしているならそれも良いのですがセレッソはそういう形を志向しているわけではありません。
なのでボールをもった中でボールを動かして攻撃を作ろうとするものの攻撃は清原のアクション待ちというのが現実。
これはトップ下に入ったソウザがブルーノ・メネゲウに比べてや玉田に比べてどうこうって事ではなく何度も言っているようにチーム作りの段階での問題。
それぞれが場当たり的に思いつきで判断してやっているのでどうしてもテンポが遅くなってしまい攻め切れない。
監督はチャンスを作りながらも決めきれないと言っていますがそれもそのはずで、全ての攻撃が選手のアイデア待ちなのでどうしても1つ1つが遅くなるからです。
その為にそれぞれのチームではチーム全体と相手チーム全体を見渡せる唯一の存在である監督がアイデアを出してどのような形で相手を崩していくのかという事をチームに落としこみ、それをベースに状況を見ながら個々が判断する。この様に一本幹を作る事で判断のスピードを上げ、それが決定率アップにもつながる。というのが世界的にも常識になっているのですが、今シーズンのセレッソはそれがされておらず、選手がアイデアを出すというまさかの状態なので決定機は当然上がらず、そしてそれはシュートだけに限らず組み立ての部分でも同じことが起こっているので攻撃は単発になるのです。またもっといえば守備でも同じなのでスタートから仕掛けてきた相手にはやられるし、後半変化をつけてきた相手に対応出来ずに押し込まれる訳です。ほとんど全ての対戦相手の監督が「個々の能力は高いけどつけ入る隙はある」といつも言われている正体がまさにこれです。
そんな中でも何とかここまで勝ち点を積み重ねる事ができていた理由の1つがセットプレーから先制できる事なのですが、この試合ではセットプレーでも不発。
33分の丸橋のFKから清原がすらせて山下と田中が飛び込むもク・ソンユンがセーブ。田中とク・ソンユンが交錯してしまい、39分で金山と交代となってしまいますが、スコアレスで前半は終了します。
39分〜 |
■後半
61分〜 |
荒野が右WBに回りヘイスがトップ下、内村は都倉と2トップを組む形になります。
前節同様スーパーサブ的な起用となる内村は投入早々に山下を振りきって左足でシュート。
キム・ジンヒョンがセーブしましたが良い形でした。
このきっかけとなったのは福森のインナーラップ。おそらくここまで上がってきたのはこの試合はじめてだと思いますが左WBの堀米とのワンツーでDFラインの前にまで侵入。これで内村が切れ味を見せやすい状態やポジショニングを作っています。
そしてその内村のシュートからの流れのCKでヘイスに決定的なシュートを打たれるもキム・ジンヒョンがスーパーセーブ。不安いっぱいのCKの守備ですが、何とか守りきります。
68分〜 |
玉田は前線でタメを作れるのでそこからという事でしょう。
しかし玉田はタメを作って攻撃を組み立てるものの崩す場面はほとんどなし。
というのも結局先に書いた1つ1つのプレーが見てから、出るかどうか、動くかどうかというのを確認してからなので遅くなってしまうので崩しきれません。
最終メンバー |
内村が入った60分過ぎからはセレッソが間延び仕掛けている場面が何度もありました。
しかしこの試合の札幌は内村の機動力を使って攻撃をしかけてきたものの、前回対戦時の様にセレッソの間延びを利用してオープンな展開に持っていく形は取りませんでした。
それはコンディションの問題もあったのかもしれませんが、おそらくあえてオープンな展開にもっていかなかったんだと思います。
というのもこの試合は1位対2位のいわゆる6ポイントマッチ。まだ折り返しの初戦なので多分そこまで意識するような試合でも無いといえば無いのですが、上にいる札幌にとってはどの段階であっても「首位でいる」という事に意味があったのかもしれません。
なのでオープンな展開にしてリスクを負うよりも、できるだけリスクをかけずに引き分けでもまずまずOKという考え方だったのでしょう。
それに対するセレッソは普通。選手個々は絶対勝利をと思っていたとは思いますが、選手交代にしても特に意味や狙いがあるわけではなく疲労を考慮したものばかりなので、チームとしては特にその意思があるという事では無かったのでしょう。
しかし前線の組み合わせが変わった事でセレッソの守備もまた一から個々で調整せざるを得ず、少し攻め込まれる状況も増える。
そして攻撃では田代と玉田の2トップで去年も同じ問題をかかえていたように、中央に誰もいないという状況が頻発。
結局はスコアレスドローで試合終了となった
お疲れ様です。
返信削除以前書かせていただいた、食いつきグセのあるソウザを一列前で使ってみては という案、実現しましたね。
結論から言うと 高いクオリティを求めるなら落第 って感じでしたが。
ソウザはブルーノ同様視野の狭さと細かいパスワークが苦手っぽくてちょうど長谷川アーリアジャスールと対極みたいな感じですし、あの位置でまごまごするよりは最初から前を向いてガンガンいけるボランチのほうがミドル打つにしてもいいのかもしれませんね。存在感がボランチより薄いし引いた相手には特に輝く場面もなかった気がします。ミドルもなかったし。
他に手があるかと言われるとブルーノと近いのは関口ぐらいしか思い浮かばないです。
試合を重ねたり戦術があるチームでなら別なのかもしれませんが…
左ウイングバックが上がって空いたスペース、全然入り込む人いないですね。今までの試合でもあのスペース誰もいないことが多くて毎回ブルーノそこいかんと!と思ってましたが…
これもアイデアのなさなんですかねえ。
とにかく今年積み重ねが無い以上来年J1に上がっても残留争いでしょうし、監督…
コメントありがとうございます。
削除トップ下問題にしてもそうですが、誰をトップ下に入れるにしてもそもそもただただ並べただけですからね(苦笑)
ソウザだったらソウザでどういうところを活かそうとか準備すれば良いんですが・・・
いまさらですが、この試合で大熊事故得点サッカーの限界をはっきりと感じ取ったので
返信削除はっきり踏み込んだ言及は読みごたえがありました、面白かったです。
>全ての攻撃が選手のアイデア待ちなのでどうしても1つ1つが遅くなるからです。
速攻やカウンターがかなり少なく観てて面白くないのはこのせいなんだな、と腑に落ちました。松本・京都・清水全部が失速しない限り今年もPO行きですね、すごく歯がゆいですがもう今年は生半可に応援していきます。しかし瓦斯時代はおそらく今と大差ないだろうによく昇格できたなとつくづく思います、ピッチ上の強力な指揮官が誰か居たんでしょうかね。
コメントありがとうございます。
削除監督ってやろうとしていることが上手くいかなかったりしますし、その原因もチームに合わないとか、コミュニケーションの問題だったりとか色々あるんですが、今のセレッソはそもそものスタートが丸投げですからね・・・
戦術があるとか無いとかという以前の問題なんですよね。
選手が色々調整して何とかしようとしていますが・・・