2017年4月13日木曜日

4/12 YBCルヴァンカップBグループ第2節 VS ヴァンフォーレ甲府 @ 山梨中銀スタジアム

JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第2節
2017年4月12日(水)19:04KO 中銀スタ

  • スカパー! 
スタジアム山梨中銀スタジアム主審荒木 友輔
入場者数5,257人副審岡野 宇広、数原 武志
天候 / 気温 / 湿度晴 / 14℃ / 33%第4の審判員上原 直人
追加副審清水 勇人、八木 あかね
スターティングメンバー
ヴァンフォーレ甲府甲府
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 吉田 達磨
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
21歳以下の選手を1名以上先発に含める(決勝を除く)ことが大会方式として決められている。※1

※1 但し、以下の場合は出場義務を負わない。
・対象選手1名以上が日本代表試合または日本代表活動(A代表、U23、U20)に招集され、試合日に不在の場合。
・対象選手が試合エントリー後の怪我等のやむを得ない理由により出場ができない場合。
ヴァンフォーレ甲府甲府
C大阪セレッソ大阪
今回対戦今季平均
データ項目ヴァンフォーレ甲府セレッソ大阪ヴァンフォーレ甲府セレッソ大阪
FK15141313
CK4243
PK0000
シュート6867
警告/退場0/00/01/01/0

<監督・選手コメント>

ヴァンフォーレ甲府 吉田達磨監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

ヴァンフォーレ甲府 堀米選手、島川選手、畑尾選手
セレッソ大阪 水沼選手、木本選手、茂庭選手、舩木選手、岸本選手、福満選手

公式戦4連勝中で迎えたBCルヴァンカップBグループ第2節ヴァンフォーレ甲府戦。アウェイ山梨中銀スタジアムでの一戦は両チームとも決め手を欠き0-0の引分けに終わりました。

■メンバー

YBCルヴァンカップは決勝を除き21歳以下の選手を両チーム1人以上先発メンバーに含まなければいけないというレギュレーション。

セレッソはこの試合でも大きくメンバーを入れ替え、リーグ戦の前節、鹿島アントラーズ戦で先発したメンバーでこの試合も先発なのはキム・ジンヒョンと木本のみ。その木本もCBでは無くボランチでの先発で、最終ラインは右から田中、庄司、茂庭、舩木。中盤の底にはその木本と秋山。右SHには怪我から復帰の水沼と左SHには清原。前線はいつもの2トップというよりもこの試合では丸岡がトップ下、リカルド・サントスがワントップという形になっています。
この中で21歳以下の選手は舩木、庄司、丸岡の3人。またサブには丹野、椋原、藤本、福満、酒本にくわえ西本と岸本がベンチ入り。
今シーズンは早い段階から、普段はU-23で出場しているメンバーの中でも庄司と舩木がトップチームで練習を行っていましたが、最近は岸本、西本もトップチームに合流しており、その2人がベンチ入りした形です。

一方の甲府も大きくメンバーを入れ替え、リーグ戦の前節。川崎フロンターレ戦で先発したメンバーでこの試合でも先発となったのは、GKの岡と堀米の2人のみ。また堀米もスタートではリーグ戦で入っているFWでは無くインサイドハーフでの起用となり、その堀米と並んでインサイドハーフに入るのは元セレッソの黒木。
21歳以下の選手としては右WBに入る名古屋U-18出身の森とFWに入る本職はDFの熊谷の2人。
ベンチに入るGK山内と入間川は甲府U-18所属の2種登録選手です。

■膠着状態の前半

試合の立ち上がりにインサイドハーフの堀米に対して、左サイドで秋山と田中が翻弄されそうになる場面もありましたが、その1つがあった以降は15分頃までセレッソが立て続けに甲府ゴール前に迫る場面を作ります。
裏のスペースへのロングボール
作っていたチャンスは裏へのロングボール。
甲府の守備は5-3-2で守る形になるので、前線は2トップと3人のスライドでボールホルダーにアプローチをかける事になるのですが、立ち上がりはそこが曖昧だったので、丸岡、リカルド・サントスと次々と背後のスペースでチャンスを作ります。
15分頃から甲府も徐々にアプローチを速くし、立ち上がりは曖昧だったラインを上げる時、下げる時の判断が統一されるようになるのですが、序盤はセレッソの選手のパスレンジを見誤っていたのか、最終ラインの選手はなんてこと無い裏抜けにもついていけず、またこの日が風が強かった様でその影響も受けて立ち上がりの15分間はセレッソのシンプルな攻撃がチャンスにつながっていました。

ただ、最初にあまりにも簡単に背後を取れた事が影響したのか、この裏を狙うボールばかりが増えてしまう事に。甲府が修正してからはアプローチのタイミングも帰陣も速くなりますが、システムのかみ合わせ上セレッソのSBの所はどうしてもフリーになりやすい。
ただセレッソの特に左サイドでは相手が修正した後もそこで縦に蹴ってしまう事を続けてしまっていて、折角のフリー、甲府の中盤が3枚しかいないので両サイドにスペースができる事を活かして、ゴール前でシュートを打つ時間やスペースを作る事が出来ませんでした。
この左サイドの攻撃はチームとしての狙いがあって、例えば前半はこれでいって相手のラインを下げたい、そして後半になると…といったような90分を考えたマネージメントであれば特に問題はありませんが、プレーが切れる度に尹晶煥監督が舩木や清原を呼んで指示をおくっていたのでそういう狙いがある訳では無さそうでした。
一方、左サイドに比べ右サイドでは、田中や水沼が絡んでスペースを使って相手を動かそうとするようなプレーは時折見られたので、少しは可能性を感じさせる場面もありましたが、残念ながら単発。
しかも、最終的にはクロスを入れる形になる事が多いのですが、相手DFの間をを広げる様な仕掛けはなし。
今シーズンの狙っている戦い方もあって今シーズンここまで何度も書いているように、クロスに対しては相手DFの間を広げる事がかなり重要で、それができるかどうかがクロスでチャンスを量産できるかどうかだと言っても過言ではありません。
そして甲府は3バック。3バックというのは特にこの中央を固める事を主な目的としても使用される布陣でしたので、例えば3バックの外側の1枚をボックスの外に引っ張りだ出すための策がないセレッソはほとんどチャンスを作る事無く時間が進んでいく事に。
前半終了間際の丸岡が右サイド深くに侵入した場面も、甲府の人数をかける守備の前にあわせる事ができませんでした。

一方の甲府ですが、可能性があったのは立ち上がりの堀米の突破と22分の熊谷のクロスからヘディングシュートの場面の2つほど。
甲府は15分までの守備で後手を踏んでいた事と、その後も攻撃のスタート地点が低い位置になっている事が多く、そこからのロングボールでは前線に起点が作れていなかったのでチャンスが作れていた訳ではありません。
しかし、立ち上がりの堀米の突破の時に右サイドでマッチアップしていたのは秋山と田中。田中は良いにしてもボランチの秋山が引っ張られていた事。そしてこの状況はセレッソ側から見ると2対1の状況になっていたので一見セレッソが数的優位を作っていた(ちゃんとできていた)様に見え、それでも突破されたのでやっぱり堀米のドリブルは危険だとなるかもしれませんが、そもそもあそこは2対1にする必要が無い状況で、もしどうしても2対1にするにしても全体の守備のバランスを考えると秋山では無く水沼とでつくる場所。
また結局堀米に突破されかけたんだから一緒じゃないかと思うかもしれませんが、あそこで守備のバランスが取れていたら、チーム全体が正しい守備のポジションを取れていたら、堀米が中に入ってこようとても、田中の内側に秋山がCBとの間のスペースを埋める事になっていたはずの状況だった。
なので、あそこからシュートを打たれたり、決定機を作られたわけでありませんが、あの場面は少なくともセレッソの守備はそれほど上手くいってなかった場面でした。
そしてその上手くいっていなかったのは、偶然じゃなく実はある種甲府が狙っていた形でもある。チームとしてどこまで落とし込めているのか、堀米は選手はそこまで考えてプレーしていたのかどうかはわかりませんが、少なくとも吉田達磨監督はその状況を作りたいという狙いをもってインサイドハーフに堀米を起用していたはずです。

もう1つのピンチである22分の場面は、クロスというよりもその前に中央に思いっきり縦パスを入れられた形から始まったピンチです。
セレッソの4-4-2の守備はあのパスを入れさせないというのが一番の狙いです。その為に前線の2からパスコースを切って、4-4のブロックはサイドを捨てて中央を閉めています。
しかしあの場面は、その閉めているはずの中央に入れられてしまった。いわば中央が閉められていなかった場面です。そして中央を使われてサイドに展開されたので、サイドへのアプローチが遅れフリーでクロスを入れられる、そして中央を使われた事でポジションを崩されたので、入ってくるクロスと飛び込んでくる選手をきっちり捕まえる事が出来なかったという形でした。
そしてこの形も、この状況を甲府は作りたいと狙いをもっていた形です。
前半の甲府は、この狙っていた形を繰り返し作るような事ができていませんでしたのでチャンスの数は多くありませんでしたが、部分部分では少しセレッソにとってあまり好ましくない状況が見え隠れするという展開だったと思います。
45分〜
またもう1つ。甲府にとってアンラッキーだったのがこの試合では前半に森と熊谷が負傷交代してしまったという事。
森が最初に痛めたのが17分。その後治療を終え30分までプレーしますがそこで交代。
熊谷は41分に痛めてピッチに戻る事無く45分に交代となります。
森に代わって入ったのは道渕。道渕はそのまま右WBのポジションに入ります。
熊谷に代わって入ったのは保坂。保坂はボランチの選手なのでインサイドハーフに入り、堀米が前線に。堀米は今シーズンはトップの位置でプレーしているので本来の位置に戻ったとも言えますが、インサイドハーフでの起用も狙いを持ったものだったかと思いますので、そのテストは45分間だけで終わる事になります。

■3-1-4-2の利点

後半になると甲府は少しずつチャンスを作っていきます。
大きなピンチだったのは2つ。55分の黒木のドリブルからこぼれ球を河本がファーサイドに巻くようなシュートを放った場面と、68分のセレッソの左サイドから順にずらされ、最後は右サイドで数的不利を作られ中に入った河本に再び巻くようなシュートを狙われた場面で、1つめはシュートは枠外に外れ2つめは庄司がヘディングでカバーしたためどちらも事なきを得ましたが、この2つは甲府が意図的に作った形です。

甲府のシステムは3-1-4-2。セレッソにとって対3-1-4-2は札幌戦に続き2度目なのですが、札幌は外からという意識が高かったのに比べ、甲府はまた違った狙いを持っていました。
実は3バックは最近ヨーロッパで少しずつ流行し始めており、ポゼッションに命をかけるバルセロナが時に3バックを採用していたもののリーグ全体からすると4バックが当たり前、3バックなんてありえない状態だったリーガ・エスパニョーラですら今季はこれまで一時的にせよ半分以上のチームが1度は3バックを採用したことがあるという状況です。
そして特に3-1-4-2は4-4-2に対して最初のポジショニングで優位性を出しやすいシステムと言われています。
3-1-4-2と4-4-2
まず3-1-4-2は中盤のセンターに3人います。一方のセレッソはダブルボランチの2人。なのでここで数的には足りていません。なのでこの試合の立ち上がりはリカルド・サントスと丸岡の4-4-2の前線2枚はこのアンカーに入る島川を挟むようにポジションをとってスタート。ボールを運ばれた時には丸岡が下がって4-4-1-1の様な形になっている場面も多くあります。
ただ、このボランチとマッチアップしているインサイドハーフは後ろにもう1枚いるので前に出ていく事ができる。前に出ていってもアンカーが出ていったあとのエリアをカバーしてくれます。
このインサイドハーフが出ていった形が前半序盤の堀米のサイド突破のシーン。
キックオフ時点では堀米はインサイドハーフに入っていたので、中央でマッチアップしていたのは秋山。しかしこぼれ球の様な展開でしたが、ここから堀米はサイドに出ていってドリブルで縦に仕掛ける場面を作れたのはこの形ならでは。そして秋山が引っ張られて付いて行く事になったのは秋山にしれみれば中央でマッチアップしていた相手だから当然なんですが、秋山が出ていった事で空いた場所には、通常4-4-2の時にはありえないもう1枚のボランチがいる。
なので秋山がインサイドハーフに引っ張られて出ていってしまうと、DFラインのすぐ前のバイタルエリアでは木本が2対1の状況になってしまう事に。
これが先程かいた甲府がこのフォーメーションで堀米をインサイドハーフに置く事で狙っていた事だと思います。

そして中盤に3人いる事で作りたい狙いのもう1つが、この中盤のトライアングルの形を変化させる事。
通常であれば底に1、前に2枚と三角形を逆さまにした形になっていますが、この三角形が例えば保坂と黒木が下がって島川が上がるという形や、保坂だけが下がって底辺が保坂と島川、頂点が黒木という最初とは逆の三角形へと変化させる。前半22分の縦パスの場面でも中央に入れられたのは、この変形で2列目が中を閉めきれなかったからです。
セレッソの守備方法ではボールがどこにあるのかでどこまでついていくのかというのが決まっているはずで、前線の2枚を下げる、2列目の4枚を上げてそれに連動して後ろの4枚も押し上げるというのがあるはずなんですが、おそらくHTで指示があったんだと思いますが後半に入ると時に中央の3人のポジションチェンジがより激しくなっていました。

また中盤の3枚以外にも、3バックの両サイドはSHがいくのかどうなのか。出ていけばそこで空いたスペースに堀米が落ちてくる。
出ていかないなら2トップの脇にインサイドハーフが落ちて中盤の三角形の形を代えて起点を作ろうとする。

セレッソの守備も対応していましたが、甲府のこういったポジショニングから作る優位性に少し手こずっていたのは事実。後半の2つのピンチは偶然起こったものやミスからというよりもこの甲府が狙っていたであろう形によるものでした。
ただ、セレッソの守備ブロックは帰陣も速くマイナスのスペースもきっちり消すので、甲府のほとんどの攻撃は消していましたし、シュートまで持って行かせないという場面も多くありました。
62分〜
セレッソは62分に清原に代えてトップチームデビューとなる岸本を投入。
岸本はFWなのでリカルド・サントスと横並びの2トップが本来のポジションなんですが、そこではなくトップ下のままとしたのは、甲府の中盤の並びからでしょう。
また清原だったのは左サイドの攻撃を改善したかったのかもしれません。
前半に書いたように甲府の形はセレッソが攻撃の時にSBで時間を作れるはずの形で、実際に舩木はそんなにプレッシャーをかけられる場面はありませんでした。
ですが、折角そこで時間があるのにその時間を放棄するような一発狙いの裏へのパスが多すぎた。そこを改善したかったのでしょう。
89分〜
その後セレッソは、72分に木本に代えて藤本を投入。
木本は週末の試合もあるのでという事もあるでしょうし、藤本を試したかったというのもあるでしょう。藤本はこの試合が今季初出場。ここ数試合リーグ戦でもベンチに入っていますが、この交代でもわかるようにボランチとして計算されています。
そして82分にはリカルド・サントスに代えて福満を投入。
岸本がワントップに入り、トップ下には丸岡、福満は左SHに入ります。
リカルド・サントスは右サイドからの攻撃ではいくつか起点となっていましたが、全体的にはセレッソの攻撃全体が最初の裏一発に引っ張られてしまい、そもそも身体の強さを活かすような、競り合う様なボールがほとんどなかったので、あまり良さを発揮できるような展開ではありませんでした。
一方の甲府は前半に2人負傷で交代せざるをえない状態になってしまったので、後半唯一の交代として89分に曽根田に代えてユースに所属の2種登録選手である入間川を投入、

試合終盤にはセレッソが前掛かりになり、福満の左足シュートなどがありましたが試合はそのまま終了0-0の引分けに終わりました。

■その他

試合としてはある程度チームとしてやりたい事は出来ているものの、攻撃に関してはリーグ戦で起用されているメンバーでもソウザの個人技や山村の高さという個の能力に頼っている部分が結構大きいので、Bチームだとどうしてもこういう状態になってしまいますね。
もう少しチームとして、グループとして、例えばサイドから崩すのであれば、この日の甲府の様に5バックで人数をかけて守るチームであればなおさら、中央のディフェンダーの間を広げるような、CBを1枚は引っ張り出すような形を作りたいのですが、まだ時間はかかるという事でしょう。

試合終了後はニコニコしながら
吉田達磨監督「スゴいじゃん、だってあんな変わんだもん。俺ビックリしたよ。」
尹晶煥監督が「いえいえいえ」
って談笑してましたけど、この2人はS級の同期なんですね(笑)。

そして、この試合で3-1-4-2の事をいくつか書きましたがこれは週末の大阪ダービー、ガンバ大阪のフォーメーションも3-1-4-2だから。
同じフォーメーションでも選手はもちろん、札幌と甲府とで攻め方が全く違ったように、ガンバもかなり違いますが予備知識として。




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