スタジアム | 山梨中銀スタジアム | 主審 | 廣瀬 格 |
入場者数 | 11,038人 | 副審 | 間島 宗一、清野 裕介 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 23℃ / 30% | 第4の審判員 | 藤澤 達也 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 吉田 達磨
- 監督
- 尹 晶煥
試合経過
-
82'
- 80'
-
78'
-
72'
-
62'
- 59'
- 48'
-
25'
-
15'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 19 | 11 | 15 | 13 |
CK | 0 | 3 | 3 | 3 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 5 | 13 | 6 | 10 |
警告/退場 | 2/0 | 0/0 | 2/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
ヴァンフォーレ甲府 吉田達磨監督セレッソ大阪 尹晶煥監督
ヴァンフォーレ甲府 兵働選手。畑尾選手
セレッソ大阪 杉本選手、関口選手、山口選手、清武選手
明治安田生命J1リーグ第8節は10日前にルヴァンカップでも対戦したヴァンフォーレ甲府と同じく敵地山梨中銀スタジアムでの対戦。セレッソ大阪は攻め込む時間を長くしますが、追加点を奪えず1-1の引き分けに終わっています。
■メンバー
セレッソのメンバーは前節と全く同じ。4-4-2の布陣で杉本と山村の2トップ。SHには関口と柿谷、CBはヨニッチと山下がコンビを組み、木本、水沼、清武はベンチスタートとなっています。一方の甲府は3-1-4-2の布陣を敷きながらもウイルソン、山本、黒木など怪我人が多く、2トップは堀米とドゥドゥ。3人の中盤は兵働をアンカーに右に小椋、左に田中佑昌が入りボザニッチはベンチスタート。3バックの中央には新井が入り、右に新里、左にエデル・リマが入っています。
10日前に対戦したルヴァンカップにも出場していた先発メンバーは、セレッソはGKキム・ジンヒョンのみ。甲府はGK岡、3バックの右の新里、トップの堀米の3人のみです。
■甲府の守備と攻撃の狙い
甲府の守備 |
ただこの時の後ろはセレッソの2トップ、2SHに対して5バックなのでしっかり保険もかけています。
しかしこの甲府の守備に対してセレッソがロングボールを蹴ってセカンドを拾ったり、SHが降りてボール運びに加わる様な形をとった時や、セレッソのボランチに対して制限をかけられない状況などでは無理をせずに割り切って自陣で5-3-2の布陣でリトリート。この時は2トップもしっかり自陣に戻っています。
SBをどうするかの裏表 |
その為セレッソはSBがボールを持てる事になるのですが、これに対しては2トップをスライドさせる事もありますが、基本はできるだけ中を固めて跳ね返したいというのがおそらく甲府の本音。それが出来て中盤でセカンドボールを拾えると、堀米とドゥドゥというスピードと突破力のある2トップをSBの裏のスペースに走らせる。その為にボランチを3枚にして少し余る形のアンカーに長いパスを出せる兵働を起用しており、前線の起点は例えば杉本や山村の様に背負ってボールをキープしてというよりも走らせてそこで起点を作りたいというのを狙っています。
ただ、セレッソもそうですし、他の対戦相手もその狙いは十分承知しているので素早い守備への切り替えで中盤に起点を作らせない様に対応する。
それはデータにも現れており甲府は、今シーズン前節までのポゼッション率が43.5%と18チーム中17位の数字で、1試合平均の攻撃回数は4位の130.7回。しかし30m侵入回数の1試合平均はこちらも17位の29.3回となっています。
攻撃回数というのはこれまでも何度か書いていますがボールを失った回数にも比例して増えていく数字。ですから甲府は相手にボールをもたせながら確率は低いけど我慢して一発を狙っているという戦い方をしている事が分かります。
15分〜 |
最後に倒れ込むプレーの少し前の新井に対して杉本がプレッシャーをかけに行った場面でも動きがおかしいので、杉本のアプローチに対して慌ててプレーした所で負傷してしまったのかもしれません。
畑尾はルヴァンカップでも3バックのセンターで起用されていました。
■セレッソの狙い
サイドの奥 |
これはここからクロスというのももちろんですが、甲府のラインを下げさせたいというのが一番の狙い。甲府のラインを下げさせることによってカウンターの確率を下げさせる事につながるのでまずはそこです。
そして攻撃ではサイドの奥を使う事でラインを下げさせた後、ボールを戻してWBの前の使う。サイドの奥にまで入ると中盤3枚も後ろに下がるのでこのWBのスペースはプレッシャーをかけるのがさらに難しくなるからです。
そしてここでボールを持つと甲府のDFラインは上げてこないとバイタルエリアが空くのでの上げてくるしかないのですが、その時入れ替わるように背後にアーリークロス気味に速いボールを入れる。これがこの日対甲府という事でセレッソが準備していた形なのでしょう。
24分の杉本のヘディングシュート、25分の関口が阿部をバスケットボールでいうアンクルブレイクの状態にさせたドリブル(ドゥドゥのファールで止められてしまいましたが)、42分のソウザのクロスから柿谷が飛び込んだ形もこの狙いからでした。
しかし前半はこのような形で甲府ゴールに迫りながらもネットは揺らせず0-0で終了。
時折甲府は3-1-4-2と4-4-2のミスマッチからボールを運ぶ場面を見せますが、セレッソの狙いによって徐々にラインを下げられていたので、その回数は数えるほどしかありませんでした。
ただ甲府は33分にFKからエデル・リマがゴールを狙う場面は作っていましたが、この件は後ほど。
■先制点と失点
甲府からするとボールを持たれるのはかまわないけど、ラインを下げられるのは嫌。なので何とか中盤から前でボールホルダーに対してプレッシャーをかけていこうという事をおそらくハーフタイムで徹底するはずだし実際にそうしたんでしょう。しかしそれに対して、セレッソはなのか柿谷はなのかちょっとわからないんですが、少なくとも柿谷は後半の立ち上がりからワンタッチや早いタイミングで縦パスを狙っています。
まあ少なくともチームとして、前半の形からするとおそらく甲府は立ち上がりの時間はラインを上げてこようとするから裏は狙えるんじゃないかという話しはあったのでしょう。
これがハマったのが後半立ち上がりの48分。
山村のヘディングでの落としを柿谷がワンタッチでスルーパス。これで杉本が抜け出し落ち着いて左足で流し込み、セレッソが先制します。
セレッソが先制したもののラインを上げていきたいという意図は継続する甲府。
ただ、セレッソとしてもラインが上がれば裏のスペースはより狙えるという事にもなるのでそれほど悪い事ではありません。
59分〜 |
連戦に向かうコンディション面ももちろんですが、ドリブルもできるし裏にも出せるので、柿谷も走る事ができる様になるという事を考えると十分理解できる交代です。
しかしその直後の62分。兵働のFKから畑尾が頭で合わせて甲府が同点ゴールを決めます。
この同点ゴールですが、ゾーンで守るセレッソに対して、まずセレッソの選手の前に選手を走らせて動かしてからそこにもう1人飛び込んでくるという対ゾーンディフェンスに対して完全に仕込まれていた形。動かされたのは杉本だったんですが、兵働はおそらく杉本にめがけて蹴ってるんだと思います。
この形はこの試合最初のCKでも同じような動きをしていました。また33分にあった甲府の前半最大のチャンス、エデル・リマのヘディングシュートは、ゾーンの一番外側のさらに外側の選手にあてて折り返す事で最初に作っていたゾーンを動かすという形でしたので、吉田達磨監督はこの試合に向けて、セットプレーのパターンをいくつか仕込んでいたのでしょう。
綺麗に決められてしまいました。
ちなみに、こういう失点があるとマンツーの方が良いんじゃないかという意見が出たりするもんですが、どんな事でもそうであるように、セットプレーの守備はゾーンでもマンツーでも一長一短。兵働のキックの精度が高かった事、畑尾も難しい体勢でしたがきっちり決めた事が素晴らしかったですし、これも難しい事ですがゾーンなので守備では人が動いてもボールに対して守備をする事を徹底しないといけないという事ですね。
■ラインを下げさせたいセレッソと上げたい甲府
同点ゴールに追いついた事でさらに前へ勢いを出そうとしてくる甲府。セレッソは同点に追いつかれた事でもう1度甲府のラインを下げる事からチャレンジしないと行けなくなっていきます。
清武と柿谷が中央に入る |
ガンバ戦で2得点をとった時の状況と同じく、清武と柿谷がより中央でプレーする事で甲府の中盤3枚を中央に寄せSBを上げる。柿谷も清武もボールを奪われないのでこれで甲府は一気にラインが下がりすぎる状況となってしまいます。
甲府の5バックは中央を固める形のはずなんですが、この2人だと固めているはずの中央でチャンスを作られてしまう。なのでラインが下がらざるを得ないという状況です。
78分〜 |
田中佑昌を前に出してボザニッチを左インサイドハーフに起用します。
おそらくこれはある程度プランにあったのでしょう。
田中を前に出し、フレッシュなボザニッチを投入する事で松田のところにプレッシャーをかけ清武にボールが入らないようにという形を取りたい甲府はセレッソのCKという状況ながらもさらに78分に阿部に代えて橋詰も投入します。
80分〜 |
ソウザが山村が入っていた前に出て木本がボランチに入ります。
このソウザが前に入る形ですが、これは思いつきでもなんでもなくキャンプから準備していた形。というか開幕後はソウザボランチ、山村前線という形で定着していますが、開幕前は山村とソウザはそれぞれボランチと前線というこの両方のポジションで入れ替わり起用されていましたので、ソウザが現在の山村のポジションに入る事はそれほど不思議な事ではありません。
ここからはインサイドに入る清武の動きを抑えられない甲府がラインを下げて守るという形。
ラインを下げるので前半にあったWBの前のスペースから松田、丸橋がアーリー気味にクロスを入れ、83分にはソウザ、86分には杉本・柿谷と決定機を決められず、さらに中央の柿谷と清武から89分に山口のミドル、90+1分の木本のシュートも決まりません。
最後トランジションから90+4分にソウザのクロスに杉本が飛び込むもののGK岡がブロックして試合終了。1-1の引き分けに終わりました。
■その他
2試合続けてもったいない引き分けとなってしまいました。とはいえまあこれが現状なのでしょう。特にこの試合ではボールを持つ事になりましたが、ボールを持って守る相手をどう崩すかという部分はまだまだ。ボールを持たれてカウンターだと攻撃においてもやるべき事もはっきりしているのですが、ボールをもって崩すとなるとそうもいかない。チームとしてそこまで落とし込まれいる訳ではないので慌ててシュートミスも増えるしということなのでしょう。
とはいえ、現段階でも意図している攻撃の形がみえたのはポジティブな要素。
現状ではきっと相手にボールを渡してボールの無い戦い方の方がやりやすいのでしょうが、それだけではなくボールを持った形は今後の伸びしろという事で良いと思います。
そう言えば、尹晶煥監督はキックオフカンファレンスで「組織的な守備とテクニックを出していきたい」みたいな事を言ってようなた記憶もありますね。
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