2017年7月20日木曜日

7/17 StubHub ワールドマッチ2017 VS セビージャFC @ ヤンマースタジアム長居

7月17日(月・祝)StubHubワールドマッチ2017
セレッソ大阪 1-3 セビージャFC (18:03KICK OFF/ヤンマー)
得点者
セレッソ大阪:80' 福満隆貴
セビージャFC:42' ウィサム ベンエデル、55' ウィサム ベンエデル、90'+1 ルイス ムリエル

スターティングメンバー


■セレッソ大阪 ■セビージャFC
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GK 21 キム ジンヒョン
DF 2 松田陸 
DF 14 丸橋祐介 
DF 22 マテイ ヨニッチ
DF 23 山下達也
MF 10 山口 蛍 
MF 15 木本恭生 
MF 16 水沼宏太 
MF 24 山村 和也 
FW 8 柿谷曜一朗
FW 9 杉本健勇
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GK 1 セルヒオ リコ
DF 24 ガブリエル メルカド
DF 21 ニコラス パレハ
DF 18 セルヒオ エスクデロ
DF 6 ダニエウ カリーソ
MF 15 ステヘン ヌゾンジ
MF 14 ワルテル モントーヤ
MF 22 フランコ バスケス
MF 17 パブロ サラビア
MF 7 ミカエル クローン デーリ
FW 12 ウィサム ベンエデル
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控え
46分
MF 15 木本恭生→MF 17 福満隆貴
63分
DF 14 丸橋祐介→DF 5 田中裕介
MF 16 水沼宏太→MF 7 関口訓充
MF 24 山村 和也→DF 4 藤本康太
FW 8 柿谷曜一朗→FW 19 澤上竜二
71分
DF 2 松田陸→MF 20 酒本憲幸
FW 9 杉本健勇→FW 11 リカルド サントス

控え
46分
DF 24 ガブリエル メルカド→DF 2 セバスティアン コルシア
DF 21 ニコラス パレハ→DF 5 クレマン ラングレ
MF 14 ワルテル モントーヤ→MF 11 ホアキン コレア
MF 22 フランコ バスケス→MF 19 ガンソ
62分
MF 15 ステヘン ヌゾンジ→MF 8 ギド ピサーロ
MF 7 ミカエル クローン デーリ→FW 9 ルイス ムリエル
FW 12 ウィサム ベンエデル→MF 10 エベル バネガ
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監督 尹 晶煥
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監督 エドゥアルド ベリッソ

6シュート21
16GK4
3CK9
7直接FK8
1間接FK2
1オフサイド2
0PK1
入場者数天候気温/湿度ピッチ
14,504人30.5℃/59%全面良芝、水含み
主審副審副審第4の審判
佐藤 隆治山内 宏志武部 陽介廣瀬 格

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 尹晶煥監督
セビージャFC エドゥアルド・ベリッソ監督

セレッソ大阪 福満選手、山村選手、木本選手、マティ・ヨニッチ選手、キム・ジンヒョン選手、松田選手、水沼選手、リカルド・サントス選手
セビージャFC ウィサム・ベン・イェデル選手

セビージャFCのサマーツアー初戦として行われるセレッソ大阪ともフレンドリーマッチ。セビージャにとって監督交代後の初戦となる試合は、1-3でセビージャが完勝。残念ながらセビージャから加入した清武は欠場となったが、セビージャはEL3連覇、リーガ4位のクオリティを見せつけた。

■メンバー

この試合は7人の交代が可能という事もありセレッソのベンチ入りメンバーは28名。
先発メンバーは股関節痛で大事をとったソウザ以外はいつものメンバーとなっている。
若手のベンチ入りにも期待が集まったが、セカンドチームは前日にJ3の公式戦があったため入っていない。

一方のセビージャは、4-3-3とも4-2-3-1とも言える布陣。GKにはセルヒオ・リコ。最終ラインにはメルカド、パレハ、カリーソ、エスクデロが並び、中盤はアンカー気味にエンゾンジ、クローン・デーリが右のインサイド、左のインサイドにフランコ・バスケス。前線には右にモントーヤ、左にサラビア、中央にベン・イェデルが並んでいる。
4-2-3-1ともいえると掻いたのはクローン・デーリがフランコ・バスケスよりも低い位置を取ることが多く、またブロックを落として守る時にはエンゾンジとクローン・デーリは横並びの関係になっていた。

■ミドルゾーンでブロックを作るということ

この試合最初のチャンスを作ったのはセレッソ。
ミドルゾーンで4-4-2のブロックを作るセレッソは縦パスを木本がインターセプトしたところからのカウンターで、柿谷が左サイドを抜け出し折り返し、水沼が頭で合わせるという形だった。
しかしこの試合の前半、こういった形で狙い通りにチャンスを作れたのはこの場面とあともう1回ぐらい。試合は完全にセビージャに支配される展開となった。
そしてそうなったのは、今季のセレッソのストロングポイントであるミドルゾーンで4-4-2のブロックを作る守備をセビージャが機能させなくしたからだった。
ミドルゾーンでの守備ブロック
そもそもミドルゾーンで4-4-2のブロックをつくる守備とはどういうことなのか。改めて考えてみよう。4-4-2のブロックで守る形は、ボールを基準にしてそこからゴールまでの直線を中心に縦横コンパクトな布陣を作る。細かい部分までいえば、その中でボールホルダーへアプローチをかける選手がいて、そこを中心に斜め後ろのカバーリングポジションを取る。
縦横コンパクトにするのはボールからゴールまでの直線距離に近い場所からスペースを消していくため。そこのスペースを使わせないようにしている。
なので、3分のセレッソがチャンスを作った場面の起点となった、セビージャの縦パスを木本がカットした場面は狙い通りの形である。
そして、ボールを基準に守備陣形を組むということは、ボールが動くとピッチ上の全員がそれに合わせて動く事になる。ということは左右にボールを大きく動かされると、ピッチ上の全員も大きく動く事になる。
これは何度もヤラれると結構大変。シンプルにスタミナの問題もあるが、大きく何度も動かされることでコンパクトにしないと行けない陣形がバラけてしまうことにもつながるからだ。
では、何度も大きく動かされないようにするにはどうするかというと、前線の2人で相手の攻撃方向を限定する。魚を網に追い込むみたいなもので、もちろん前線の2人でボールを奪えるならそれに越したことはないが、無理にボールを奪いに行かなくてもいい。相手の攻撃方向を限定することで、後ろで4-4の網をはりそこに入ったボールを奪うのだ。
今シーズンのセレッソが上手く行っているのはまさにここで、杉本と山村がきっちり相手の攻撃を限定させる事が出来ていること、そして帰陣が早いのでしっかり網を張ることが出来ている。
実際の試合でも相手がいれてきた縦パスを引っ掛ける場面や、中にボールを入れたいのに外に追い出されてしまっている相手を何度もみてきただろう。

■4-4-2のブロックを崩すセビージャ

この4-4-2のブロックを崩す方法はいくつかある。シンプルなのはとにかくすごいドリブラーが狭いスペースでもガンガン抜いてしまう事や、とんでもなく屈強な選手が相手に囲まれたとしてもボールを収めてしまう事だろう。実際海外のトップオブトップにはそれに近い選手なんかもいたりするが、セビージャにはいない。
じゃあどうするのかといえば、1つ1つ段階を踏んで外していくのだ。
セビージャのビルドアップ
セビージャがまず行うのはセレッソの守備の1列目にいる2人が攻撃方向を限定させようとしてくる事を外しその後ろにボールを運ぶ事。
その為にエンゾンジが相手の状況をみながら最終ラインに下がり3バックの状態になったり、2人の間に立ったり、下がらなかったりする。
常に下がるわけではないというのもポイントで、相手が出てこなければ下がる必要が無い。その為エンゾンジはあえて1列目の2人の近くでボールを受けて相手を引き出す。そしてCBの選手は前があいていれば必ずボールを持って持ち上がる。
またこの3人で詰まるようであれば、クローン・デーリが下がってきてここに加わる。エンゾンジがクローン・デーリとワンツーをするような形で2トップの裏にボールを運ぶ場面もあった。
そしてこの試合ではセレッソがその形を取らなかったので見られなかったが、もし2CBとエンゾンジ、クローン・デーリまでも人数を合わせて高い位置から捕まえに行くと、フランコ・バスケスがここに加わったのであろう。
このビルドアップの起点となるところで、セビージャは何か特別なスキルを使うわけではない。もちろん正確なインサイドキックやスムーズなトラップというスキル的な部分もあるが、それ以上にいくつかあるパターンの中から、相手の状況を見て選ぶ判断を間違えないという部分がJリーグでは見られないレベルだった。
セビージャ攻撃の形
セレッソの1列目がやろうとしているプレーをビルドアップで無効化すると、そこから先もポジショニングと判断で崩そうとしてくる。
セレッソの4-4のブロックに対する最初の立ち位置から、大外にSHを張らせ、トレーラーゾーンにはインサイドハーフが立っているという形になっている。
この時に、左右共にエンゾンジとインサイドハーフ、SBによるトライアングルが出来ているのが特徴で、このトライアングルでSHとDHの間のトレーラーゾーンを狙っている。
ここをヤラれたくないセレッソはトレーラーゾーンを締めようとすると、今度はエンゾンジから大外のSHにボールがでる。
このボール保持はかなり厄介で、セレッソは左右のトライアングルに対してファーストディフェンスが決まらず、アプローチをかけきれない。すると左右にボールを振られるというかなり厳しい状況になっていた。
またSHにボールが入ってからの崩しのパターンも明確で、SHの持ち方と相手の形を見て、SBはインナーラップするのか、オーバーラップするのか、インサイドハーフはどう動くのかと、まるでフローチャートを辿っていく様に崩してくる。
セビージャは大外のSHが起点となってトレーラーゾーンにSBやインサイドハーフが入ってくる形で攻撃してくるのでセレッソはどうしてもCBが引っ張り出されてしまう場面が続いた。
誰か1人飛び抜けた選手が強烈なプレーで崩すわけではないが、リーガらしい形をセビージャは見せていた。

そしてこの試合、前半のポゼッションはセビージャ72%に対してセレッソが28%と大きく差がつくことになったのだが、その要因となったのが、ファーストディフェンスが決まる速さがJリーグではないレベルだった事。リーグ戦の18節柏戦でも柏のファーストディフェンスが決まる速さについて書きましたがセビージャはそれを遥かに上回る。
セビージャはポジショニングで優位性をつくる形のサッカーをしており、言ってみれば浦和や広島、仙台なんかに近い考え方だともいえる。しかしこのJリーグの3チームと比べると、ボールを持つ時の形が安定しており例えば仙台の様にむやみにボランチの選手が動いたりしない。
なので、ボールを失った時の形が安定しており、その為いつも同じ形でファーストディフェンスに入ることができるのだろう。また例えばサイドバックのインナーラップや、SHがカットインしてSBがオーバーラップする時にはセレッソのSHのポジションが大きく動かされているので、セレッソがカウンターに持ち込む事がなかなかできなかった。
そしておそらく最初にセレッソが左サイドでチャンスを作った事で、柿谷と丸橋にはスピードがあるという事を理解したのだろう。セレッソが左サイドに対してはきっちり警戒していて、左にボールが展開できるような状況になれば、しっかり守備陣形を下げるという判断もおこなっていた。
前半は、42分にモントーヤのミドルシュートをキム・ジンヒョンがこぼしたところをベン・イェデルが押し込んで、セビージャが先制している。

■セレッソは5-3-2に

後半開始〜
後半開始からセレッソは木本に代えて福満を投入。山村が最終ライン、柿谷が前線となる5-3-2へと形を変える。これは両サイドに振られ続けたこと、そしてトレーラーゾーンを狙われた事でそこに対応できるように人を置いたという事だろう。
一方のセビージャは、メルカド、パレハ、モントーヤ、フランコ・バスケスに代えてコルシア、ラングレ、ホアキン・コレア、ガンソを投入。前半は左にいたサラビアが右にまわり、左にはデカくて突破力のあるホアキン・コレア、ガンソはそのままインサイドハーフで、右SBのコルシアはつい先日リールから加入した選手だ。
対5-3-2
セレッソが5バックにした事で後ろのスペースを消しに行くが、その状況を確認したセビージャはボールの持ち方を変える。
クローン・デーリとガンソはセレッソの中盤3人とマッチアップする場所にたつ。そのままだと両SBが空き、出ていけばインサイドハーフが空く。また両サイドのホアキンコレアとサラビアは下がってくる動きやカットインでセレッソの丸橋と松田をひっぱり、空けたスペースにSBが上がってくる。
こうやって相手の形を見てボールの持ち方、動かし方をすぐに変えてくるのはさすがだ。

そして55分、ガンソのスルーパスに抜け出したホアキン・コレア。キム・ジンヒョンが上手くセーブしたかと思われたが、残っていた手で倒したという判定なのかPKを取られる。
そのPKをベン・イェデルが決めてセビージャが0-2とリードを広げた。
63分〜
62分、セビージャはエンゾンジ、クローン・デーリ、ベン・イェデルに代え、バネガ、ギド・ピサーロ、ムリエルを投入。
バネガはガンソと並んでインサイドハーフに入り、ムリエルは前線に。ムリエルは先日サンプドリアからクラブ史上最高額の移籍金で加入した爆発的なスピードを持つコロンビア代表FWだ。
直後の63分、セレッソも選手交代。丸橋、水沼、山村、柿谷に代え、田中、関口、藤本、澤上を投入。藤本はボランチに入り再び4-4-2に戻す。

この時間帯ごろからセビージャは、2点リードしたからなのか、熱さなのか、それともやはりガンソとバネガのインサイドハーフというのは無理があるのか、山口から関口、福満にボールが出るようになり、そこからカウンターの場面を作り始める。
71分〜
71分セレッソは杉本、松田に代えリカルド・サントス、酒本を投入。
リカルド・サントスはフィジカルでいえばこのレベルの相手でも十分やりあえるので、セビージャのファーストディフェンスが緩み試合がオープンになって来る中セレッソもしてゴール前に迫る場面を作り始める。
それが実ったのが80分。Jリーグだとおそらくファールを取られてしまうプレーだったが、リカルド・サントスがギド・ピサーロとの競り合いに勝って入れ替わると関口に頭でパス。関口からのスルーパスでリカルド・サントスが抜け出すとセルヒオ・リコのタイミングを外してはなったシュートのこぼれ球を福満が押し込んでゴール。1-2とセレッソが1点差に迫る。

試合はオープンになる中このまま終了するかと思われた91分、セルヒオ・リコのパントキックから山下がキム・ジンヒョンに流そうとしたところを、後ろから猛烈な勢いで迫ったムリエルが流し込みゴール。1-3とセビージャが追加点を奪う。
そして試合はそのまま終了。セレッソとセビージャの間で行われたStubHub ワールドマッチ2017は1-3でセビージャが勝利した。

■その他

セビージャはJリーグではちょっと経験出来ない様な高いクオリティを持ったチームだった。
セビージャはメンバー的に、そこまでビッグネームがいるわけでもない。しかしチームとしてはとんでもなく強く、クオリティの高い。
まさにリーガのチームという試合を見せてくれた。
リーガのチームは攻撃的やテクニカルというイメージを持つ方が多いかもしれないが、実際はかなり戦術的で細かいルールの上に成り立っている。そんな姿を垣間見る事ができたのではないかと思う。
そして、リーガといえばレアル・マドリードやバルセロナ、そしてアトレティコ・マドリードが抜けてて他のチームはそんなでもないというイメージを持っている人も多いかもしれないが、実際はかなりレベルが高い。個人的にはリーグ全体のクオリティはリーガが最も高いのではないかと思っている。
この試合を見た人は、僕が普段からここで何となく書いている、ポジショニングや再現性のある攻撃、ファーストディフェンスといったものがどういうことなのかを、具体的にイメージすることができたのではないだろうか。
セビージャの様なボールを保持する形をというわけではないが、個人的にセレッソはこういった戦術的な部分とテクニカルな部分が融合したサッカーができるようなチームになって欲しい。




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