- NHK BS1
- 51' 杉本 健勇
スタジアム | 市立吹田サッカースタジアム | 主審 | 家本 政明 |
入場者数 | 36,177人 | 副審 | 作本 貴典、中野 卓 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30℃ / 66% | 第4の審判員 | 廣瀬 格 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 長谷川 健太
- 監督
- 尹 晶煥
試合経過
- 89'
-
86'
- 83'
-
81'
-
77'
- 71'
-
65'
- 51'
-
19'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 15 | 10 | 12 | 12 |
CK | 6 | 2 | 4 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 15 | 15 | 11 | 12 |
警告/退場 | 1/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
ガンバ大阪 長谷川健太監督セレッソ大阪 尹晶煥監督
ガンバ大阪 三浦選手、ファン・ウィジョ選手
セレッソ大阪 杉本選手、山村選手、柿谷選手
セレッソ大阪 山口選手、マテイ・ヨニッチ選手、木本選手、丸橋選手
明治安田生命J1リーグ第19節は、セレッソ大阪が1位、ガンバ大阪が6位という状況で迎える大阪ダービー。市立吹田サッカースタジアムでの初めての対戦は、3-1でガンバ大阪逆転勝ちとなった。
■メンバー
セレッソ大阪が1試合消化が多いものの勝ち点差9という状況は上位に残るためにもどうしても勝利がほしいという状況のガンバ大阪。先発メンバーにこの夏に加入したばかりのファン・ウィジョがいきなりの先発入りを果たし、長澤と2トップ。中盤は井手口、今野のダブルボランチに右に藤本、左に倉田が入るボックス型の4-4-2となっている。
一方のセレッソ大阪は今後のリーグ戦においてこの試合に勝利できればかなり大きい。
先発メンバーはいつものメンツが並ぶが、山下がモモ裏を痛めた影響で欠場。CBには木本が入り、ベンチには秋山が入っている。
■ボールを持たない方がアドバンテージをつくれる両チーム
最初のシュートは2分、藤本のFKから三浦がヘディングで合わせたガンバ大阪。しかしその直後の3分にはソウザのFKをガンバが一旦跳ね返すもののセカンドボールを拾ったセレッソが再びソウザにつなぎ、折り返しを山村が足で狙い、立ち上がりにお互いがまずは1本づつシュートを打ち合う。この展開からもわかるように立ち上がりからお互いが相手ゴール前へと迫る展開が続くことから、これぞダービーともいえるかもしれないが実はこれはお互いのチーム事情によるところが大きい。
セレッソもそうだが、実はガンバも、今季のチームはボールをもってボールを動かしながらポジショニングやグループで何かをできるチームではない。
じゃあどこでチャンスをつくるかというと、攻守の切り替えのところ。ガンバが最も得意としているのは前向きにボールを奪ってその勢いを使ってゴール前に攻め込む形である。
一方のセレッソもこれまでの試合で何度も書いている様にボールを持っての形はまだまだ未整備な部分が大きく、チャンスになるのは攻守の切り替えのところにある。
この試合はそんな両チームの現状が表れた展開となっていた。
■攻守の切り替え
前半のポゼッション率はガンバが54%、セレッソが46%。ボールを持ってサッカーをするわけではなく、ボールを奪った時にチャンスを作る両チームなので、前半はこの数字が表すようにほぼイーブン、ややセレッソ優勢といえる内容だっただろう。セレッソの守備 |
ガンバにとって倉田の個人技以外でチャンスをつくっていたのは、やはり攻守の切り替え。ボールを奪った瞬間にファン・ウィジョが見せる裏抜けは可能性があった。が、まだ加入間もないという事もあってか、再現性までは見られずチーム戦術にまでは落とし込まれていないという印象を受けた。
セレッソの守備から攻撃 |
セレッソはブロックで奪ったボールを山村と杉本にあずける。ここで起点を作る事ができると、柿谷と水沼の両サイドがスプリントで一気に前線に駆け上がる。
セレッソはここでかなりの数の起点を作ることができていたので、ここからガンバのゴール前に攻め込む事ができていた。
また、今野はここで時折流石の地上戦の強さを発揮していたが、ここを消そうとするとセレッソのダブルボランチにアプローチにいけなくなるので、セレッソにとってはここがダメでも山口、ソウザからの展開という形も見せていた。
ただ、セレッソも奪ったスピードのまま攻めきれないと、どうしても攻撃が停滞してしまうので大きなチャンスにまでは至らない。前半はそんな展開が続いていた。
そんな中でもセレッソの方が少し優勢だったのは、得意とする攻守の切り替えの形が、自分たちのいつもの守備から作ることができるからだった。
■ゲームプラン通りの後半立ち上がり
両チーム共に交代なしで始まった後半。前半同様にスローインからだったが山村が起点を作って柿谷が受けたとことからセレッソがチャンスをつくり、その後ファン・ウィジョの動き出しからガンバもチャンスを作る立ち上がりとなっていた。
そして試合が動いたのは51分。キム・ジンヒョンからのゴールキックを山村が今野との競り合いに勝ち流すと、そのボールを拾った杉本が流し込みゴール。セレッソが先制する。
これまでも、個人的に山村の役割は最初からトップ下というよりほぼ2トップだと思っているのでここでは山村をトップ下という書き方はほとんどしていないのだが、ここにきてもはや完全に2トップといってもいい状態。さらにそれによってどちらかというと杉本がセカンドトップ的なポジショニングを取れる様になってきた。個人的にはその結果杉本が前向きでボールを受けれるようになったのでゴールを量産できるようになっている原因だとみているのだが(一方で山村のゴールが減ってきた要因でもある)、この場面もそうで、山村が競ってくれたので杉本が抜け出すことが出来ている。
また、この場面では藤春の対応もちょっとまずかったのだが、どちらかといえばガンバにとって悔やまれるのはその前のファビオと三浦のポジショニング。この2人は時々両者共にポジションがずれることがあるので、横からのボールなどでその状況を作ることができればセレッソにチャンスが生まれるのではないかと思っていたが、ロングボールの対応でカバーリングポジションを取れていなかった。
その為杉本と水沼の2人に抜け出されており、藤春は裏に水沼もいたから杉本がコントロールしきれなかったタッチの時に奪う事ができなかったのだろう。
ガンバはこの試合まで18失点と、リーグでも堅守と呼ばれる成績をあげているが、実はこの後半の立ち上がりから60分までにその半分近くの8失点を喫している。
なのでセレッソとしては前半0-0、後半立ち上がりに先制という展開は理想的なものだった。
■ガンバの逆転
こうなるとガンバはボールを持って攻め込まざるを得ない。しかし両チームでチャンスになるのはボールを奪った瞬間。ということでガンバがボールを持つがセレッソがチャンスを作るという展開になる。
そして最大のチャンスは、64分の水沼のクロスを杉本がヘディングで合わせた場面。三浦がその前のプレーの対応で前に出ており、井手口がカバーで最終ラインに入っていたがファビオと井手口の間にいた杉本が完全にフリー。杉本のこのヘディングは決めなきゃいけない場面だった。
そしてこのこぼれ球を拾ったガンバがボールを運ぶと、左サイドの藤春に。
松田が少し距離をあけていたので藤春が中へクロスを入れると、ヨニッチの後ろでフリーになっていたファン・ウィジョがヘディングであわせてゴール。65分にガンバが1-1の同点に追いつく。
この場面は、ヨニッチがニアで跳ね返そうというポジションに移動したので、ファン・ウィジョは木本に見ておけと指示を出している。がしかし木本はファーで丸橋とマッチアップしていた長澤も気になっていたのかポジションを修正しなかったので、ファン・ウィジョにフリーでヘディングをされてしまった。
ここまでは良い対応を見せていたヨニッチと木本のコンビだったが、特に崩された形ではなく、ちょっと連携ミスの様な形で失点してしまった。
71分〜 |
セレッソも関口を準備していたが、一旦は中止。水沼が疲れていたのでおそらく最初から水沼との交代だったとは思うが、ガンバのアデミウソンが左サイドからチャンスに絡む動きを確認してから、71分に水沼に代えて関口を投入する。
そしてセレッソが74分ビッグチャンス。
関口の左足シュートは当たり損ねただったが、そのタイミングで山村が飛び出すと東口がファンブル。これを左足で押し込もうとするがシュートは外れた。
このシーンでBSではオフサイドと言っていたが、オフサイドのシグナルは誰も出していないし、ゴールキックから再開しているのでおそらく勘違いです。
しかしこの直後の77分。ガンバがCKから逆転ゴールを決める。
合わせたのはニアの丸橋と杉本の間で、そこに三浦が飛び込んできた。
CKをゾーンで守る両チーム。なのでこの試合は両チームともそのゾーンを動かす為にショートコーナーを多用していた。が、ガンバはそれ以外にこのニアもかなり狙っていた。前半最初のCK、キム・ジンヒョンがこぼしたシーンでもサイドは異なるのでキッカーは藤本だったが全く同じ形、また後半にも同じ形があった。その3回目の同じ形でやられてしまう事になった。
83分〜 |
一方セレッソは83分に柿谷に代えて澤上を投入。澤上は前線。ソウザが少し左に出て山村がトップ下という形のダイヤモンド型の中盤になる。
この柿谷の交代についてだが、ガンバに同点に追いつかれてからセレッソは柿谷が中央に入り杉本が左に流れる場面が増えていた。これがファーストトップとしてプレーを掴んだ柿谷と、セカンドトップとしてプレーを掴んでいる杉本の自然な形で、ほっておいたらきっとこの2人はこういうポジショニングになる。
ただ、尹晶煥監督としては杉本には中にいて欲しいと考えているのだろう。この時間帯に何度も前線のポジショニングの指示を出している。
そして、今のチームにはトランジション以外のボールを持った時の形としてはクロスを入れるしかないので実際にこの形の方がチャンスになるのかも知れない。
なので、尹晶煥監督としてはこの交代に至ったのだろう。
86分〜 |
するとその直後、スローインから山口がいれたクロスボールを東口がパンチングすると、ソウザがこのセカンドボールを拾えずアデミウソンがカウンター。
このカウンターをなんとキム・ジンヒョンが2度も1対1を止めてしまうのだが最後にこぼれたところをアデミウソンに決められ、86分にガンバが3-1とリードを広げた。
この場面は前線の選手が戻って来れなかったことを指摘する向きもあるようだが、このコンディション、この状況だともう仕方ない。この日はそれほど暑かった。
セレッソがリードしていた61分にあったセレッソのカウンター、“これは山口のスルーパスに山村が抜け出したかに思われたがオフサイドとなったもの”では、まだ61分という時間帯だったが、ガンバの選手も全く戻れていなかった。
それだけ、この試合は60分から既に両者共に疲弊しており、動きという面ではかなり厳しいものがあったからだ。
89分〜 |
ここからセレッソは木本が前に出ることで、丸橋を高く上げてなんとかゴール前にボールを運ぼうとするがそのまま試合終了。
ガンバが3-1と逆転で勝利した。
■分岐点
セレッソが先制した後の60分ごろからこのガンバの逆転となる77分までの間は、勝負という部分では分岐点だったのだろう。この間にセレッソは3バックにするチャンスは何度かあった。
ただ、そのタイミングで何度も、杉本と山村が前線で起点をつくってチャンスを迎えているのでしょうがないとも言える。
がしかし、結果論でしかないが、CBが木本といういつもと違う状況だったことを考えたら早めの選択というのも考えられた場面でもあった。
そのあたりが指揮官としては尹晶煥監督が「判断が遅れた」としている部分なのだろう。
■その他
残念ながら敗戦。どちらに転んでもおかしくない試合ではあったのだが。柏戦などこれまではこういう試合をものにしてきたが、この試合では上手くいかなかった。
試合の勝敗について分岐点となったのは先程書いたところだと思うが、それ以上にポイントとなるのは現段階ではガンバの方が選択肢が多かったということではないだろうか。
ボールを持った時にチームとして何かを作れるわけではない両チーム。セレッソにとっては理想通りの展開だったが、ガンバはチームとしては個の力で変化をつける事ができたのだろう。
セレッソも清武がいればまた違った部分があったとは思うが、ゲームプランから外れた時に戻す選択肢は無かった。
前にも書いたかもしれないが、セレッソとしてはこの順位にいるものの、足りない部分は沢山ある。なので、できることをやって勝ち点を積み上げながらこういう試合を経て1つ1つ改善していくのが良いんじゃないかと思う。
両チームともに相手にボールを持たせて其を奪ってからの攻撃力が高い、「堅守速攻」というか「奪取速攻」型のチームという分析が興味深かったです。
返信削除また、柿谷の1トップ起用に尹氏が消極的なことに対する見解も頷けました。
個人的にはこのまま上位でフィニッシュを目論むなら補強が必須だと考えておりますが、Akiさんはどう思われますか?
コメントありがとうございます。
削除データを分析したわけではありませんので印象でしかありませんが、
数年前からガンバはポゼッション率が高いとあまり勝てない、
データとしては攻撃回数と30m侵入がポイントになってるんじゃないでしょうか。
補強についてですが、優勝を狙っていくなら必要だと思います。
なので本気で優勝を目指すかどうかじゃないかと思います。
ただ、本気で優勝を狙うなら補強だけじゃなく、戦い方のバリエーションが狭すぎる今の戦い方も変えていかないといけません。
その変える力がチームにあるかどうか、あると監督が判断してるかどうかじゃないかと思います。
レビューお疲れ様です。
返信削除よく補強の事を口にする人がいますがどうなんでしょう?レギュラーの殆どが替えがきかないレベルですよね。
補強でどうにか出来るものなんでしょうか。上位に留まるために補強を行うのならそれ相応の選手を獲得できないとダメですよね・・・。
コメントありがとうございます。
削除補強をするなら、現在のレギュラーからポジションを奪う力のある選手をとって来る必要がありますね。
Akiさん、分析ありがとうございました。
返信削除ダービーに負けて悔しかったけれど、少し冷静になれました。
セレッソの攻撃ですが、縦に長いパスを杉本・山村がおさめ、柿谷にあずけて中へというパターンが多いですね。ただ、そこからペースダウンするので怖さがないように思います。
テクニカルなパス回しで中に切れ込みたいように見えますが、そう簡単ではない。丸橋とのコンビネーションでもっと深く一気にサイドをえぐるような攻撃や、自らのドリブルでシュートに持っていくなど、攻撃パターンを増やせばいいのにと思うのですが、素人考えですかね?(笑)
コメントありがとうございます。
削除攻撃に関してはファーストチョイスが奪った勢いそのまま、それがダメならセカンドチョイスとしてペースを落として丸橋とのコンビネーションとかっていう形になっていますね。
ただ、ペースを落としてセカンドチョイスになるとあまりうまくいかない事が多いのですが(苦笑)。
なので、攻撃パターンを増やす事は重要です。
そのためには、自分たちの都合だけじゃなく、相手を見てサッカーするようになっていく必要がありますね。