2017年7月23日日曜日

7/22 明治安田生命J1リーグ第22節 VS 浦和レッズ @ ヤンマースタジアム長居

第22節
2017年7月22日(土)19:04KO ヤンマー

スタジアムヤンマースタジアム長居主審扇谷 健司
入場者数32,711人副審越智 新次、清野 裕介
天候 / 気温 / 湿度晴 / 29.4℃ / 73%第4の審判員大西 保

スターティングメンバー
セレッソ大阪C大阪
 
浦和レッズ浦和
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
 
  • 監督
  • ペトロヴィッチ
セレッソ大阪C大阪
浦和浦和レッズ
今回対戦今季平均
データ項目セレッソ大阪浦和レッズセレッソ大阪浦和レッズ
FK12131216
CK6656
PK0000
シュート14131213
警告/退場3/01/01/01/0

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 尹晶煥監督
浦和レッズ ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(浦和レッズ公式)

セレッソ大阪 杉本選手、丸橋選手、マテイ・ヨニッチ選手、山下選手
浦和レッズ 那須選手(浦和レッズ公式)

浦和レッズ 駒井選手(Jリーグ公式)

浦和レッズがスルガ銀行チャンピオンシップに出場するため前倒しで開催された明治安田生命J1リーグ第22節。セレッソ大阪は本拠地ヤンマースタジアム長居に浦和レッズを迎えての一戦は、前半立ち上がりからゴールを量産したセレッソ大阪が4-2で勝利。前節の柏レイソル戦とあわせ、前半戦で敗れた2チームの両方に雪辱を果たした。

■メンバー

前節の勝利で首位に浮上したセレッソ。今節は、セビージャ戦を休んだソウザも復帰したいつも通りのメンバー。ベンチには前節から秋山が外れ、藤本が入っている。

一方の浦和レッズのメンバーは、遠藤が出場停止から復帰、また前線は武藤をベンチにし、興梠が1トップ、シャドゥにズラタンとラファエル・シルバという組合せになっている。
コメントによると武藤に疲れが見えたのでとの事だが、セレッソがブロックを作って守ってくるだろうからそこで攻撃的な3人を起用したいとの事だったのかも知れない。キックオフ前に興梠が柏木に話している姿を見ていると、中央で前線の3人を近い距離でいる状態にするからサイドでバランスを調整するといった感じのジェスチャーをしていた。
武藤の他には、那須、梅崎、長澤、駒井、高木がベンチに入っている。

■セレッソの2得点

この試合では前半6分、8分と立ち上がりにセレッソが連続得点を奪ったのでまずはそのシーンから。

まずは6分の先制ゴール。
この場面、きっかけとなったのははまず関根が杉本を倒したFKから。このFKはニアで跳ね返すが右サイドからのCKに。そして丸橋が入れたCKは西川がパンチで跳ね返すがセカンドボールを拾った山口がソウザに。ソウザが入れようとしたボールは柏木が身体に当てるがそのこぼれ球を水沼が拾ってワンタッチで入れたボールを杉本が合わせるという形で、杉本が完全にフリーになっていたので、難なく決める事ができた。
フリーになった原因は、水沼のクロスがワンタッチだったからという事もあるが、そもそもCKの時のマーカーは槙野が杉本、ズラタンはヨニッチ、遠藤が山下、阿部が山村だった。しかしCKの跳ね返したタイミングで他の選手はそのままのマッチアップでマンツーを続けているが何故か槙野だけがヨニッチにスイッチ。その結果ズラタンは誰を見るのかわからなくなっていた。そんなタイミングワンタッチのクロスが入る。杉本は明らかにフリーだったのでもしかすると本職がCBの選手ならここまでボールウォッチャーにならなかったのかもしれないが、クロスのタイミングもワンタッチであったためズラタンは迷子のまま。なので杉本がフリーになっている。

そして8分のゴール。このゴールは6分のゴールから再開となる浦和のキックオフからの流れでボールを奪っている。
動画を貼っておいた何だが、このゴールのポイントはこの動画に入っていないボール奪取のシーン。このシーンはDAZNよりもカメラアングルが引きの映像になっていたBSの方がわかりやすいのでもしBSの録画がある人はそれを見てほしい。

浦和のキックオフから阿部にボールを下げると4-1-5へと移動しはじめる浦和。4-1-5でセットする状態を作るために、ボールを受けた阿部は遠藤に横パスを出す。槙野と森脇の両SBは前に。左CBになる阿部から右CBの遠藤へとボールが渡っているので、ボールサイドにあたる森脇がより高い位置に出る。
2点目につながるボール奪取
遠藤にボールが渡ったタイミングで山村が遠藤にアプローチをかける。
遠藤は西川へパックパス。するとここで杉本とセレッソの2列目4人が一気に前に。おそらくこの形は準備してきたのだろう。
この時のよかった点は杉本の西川へアプローチをかけるコース取り。遠藤が阿部に戻す、または西川がワンタッチで阿部に出すという選択肢もあったからか杉本はまっすぐ西川へではなく一旦阿部の方向へと経由してから西川へと迫った。
この杉本が見せた阿部経由のアプローチで、西川は阿部と槙野という左方向へのパスコースを失った。遠藤のところには山村がいる。遠藤の奥には森脇が手を上げていたがここにも柿谷がいる。なので西川は思いっきり蹴っ飛ばす(杉本のアプローチを受けているので狙った長いボールは蹴ることが出来ない)か、柏木に出すしか選択肢はない。
この状況を把握した山口が西川がトラップをした瞬間に柏木に向かって猛ダッシュを見せた。先程も書いたように西川にある選択肢は蹴るか柏木のみ。浦和のやり方を考えると蹴る確率は低いだろうし、おそらく蹴ってもヨニッチと山下で跳ね返すことができる。という事は、西川には柏木に出すしか選択肢はないという事だ。その結果山口は迷いなく=全力で柏木にアプローチ。山村がスイッチをいれたプレッシングで、杉本のアプローチによって西川の選択肢を削った結果、西川から柏木に出たボールを山口が一気に奪いきった。
奪ってからの攻撃は正直なところ時間がかかってしまい上手くいかなかったのだが、ここからは動画にあるように、遠藤と槙野の間に杉本がいて、槙野の後ろには山村がいる状態で柏木が一旦遠藤と槙野の間に入ったものの、そこからスルスルと前にでてしまいまたもや杉本がフリー。槙野がなんとか競り合ったものの、ボールを持つ柿谷も自由にさせてもらっていたので、その柿谷からのクロスを杉本が頭で押し込んでセレッソが追加点を挙げた。

■カウンターケアに問題を抱える浦和

2-0となった2分後の10分にはカウンターから杉本が抜け出しフリーでシュートを放つ場面をセレッソは作っている。ポストにあててしまったが、決まっててもおかしくない、というか決めなきゃいけないチャンスだった。
カウンターを受けるのは
10分のチャンスシーンの始まりもそうだったが、浦和は4-1-5の1に入る柏木が結構前に出てくる。
柏木が前に出てくるとなると、当然攻撃では守備の2列目が動かないといけなくなるので4バックに対する前線5人の数的有利がかなり活かせるが、ボランチのスペースに誰もいなくなるのでボールを失った時に入れ替わりになる。
森脇がアラバロールを見せたり、阿部が最終ラインから前にでてボールの預けどころになったり、槙野がバランスを見て下がったりすることもあるが、前線の5人+柏木の6人がボールに追い越される。
これが簡単にカウンターを受けてしまう原因だろう。
10分の場面でもボールを奪われると前線5人+柏木の6人が入れ替わられてしまい、杉本と山村で柏木がいなくなったスペースで起点を作ると逆サイドに展開。森脇がアラバロールでボランチ化している分、柿谷の前には広大なスペースあるため、ここで一気にゴール前まで迫る事ができる。
仙台戦でも書いたが前線の5人+ボランチの1枚が前に出ると、かなりの数的有利をつくれるので当然ながら攻撃ではチャンスを作れるだろう。
しかし、6人が入れ替わられるという事はこのカウンターを4人のディフェンス+GKで守らなければならない訳で、そう考えるとカウンターに弱くて当前ともいえる。

そして、もう1つ。この試合で浦和は興梠のワントップにズラタンとラファエル・シルバのシャドゥという形の布陣をとっていた。
早い時間に簡単に失点したからかもしれないが、ズラタンとラファエル・シルバの2人は守備の時にサイドのスペースをカバーするのが遅く前で3人が残ってたりする。この状態があるからだと思うが、左サイドの宇賀神はボールを持っても前に出られない場面も見られた。
大外への大きな展開が核となっている浦和の攻撃においてこれはかなり厳しく、当然柏木など中の選手に高い位置と取ってくれと言われていた。
一方右サイドの関根は高い位置が取れていた。
ただ、その結果セレッソは柿谷や杉本が関根の裏、森脇の横のスペースを使い放題。結局前半で宇賀神と森脇が下がってしまう事になるのだが、この2人もどうして良いのかわからない状態だったんだと思う。

■緩んだセレッソ

セレッソは2得点の後も杉本、水沼とチャンスを作りもういつ3点目が決まってもおかしくない状態。
しかしここでちょっとセレッソが緩んでしまったんだろう。
18分森脇のアラバロールから逆サイドに展開したボールをラファエル・シルバが頭で折り返し、興梠がダイレクトシュート、そのこぼれ球をズラタンが押し込み浦和が1点を返す。
このパターンは浦和が常に狙っている形で、それまでは十分対応できていたのだが、浦和が前がかりになる中、柏木までもが前線にあがりそこでボランチの場所に進出してきた森脇を2トップも下がらず完全にフリーにしてしまったところでの失点だった。

ただ、浦和の守備の問題はかなり深刻な様で、関根の裏、森脇の横で攻撃の起点を作るとセレッソは一気に浦和ゴールに迫る。そして浦和が跳ね返したボールを山口が奪うと、誰も距離をつめずどうなってるのかという状態。27分に山口がミドルシュートを決め3-1。

さらに35分には、丸橋のインナーラップから杉本のシュートまで持ち込んだ形まではセレッソのトレーラーゾーン攻略という素晴らしい形。そのこぼれ球を右サイドに展開してからの水沼のクロスに対しては、浦和の選手はきっちり揃っているのにもかかわらず森脇がまさかのクロスに被ってしまい丸橋が胸トラップからシュート。あれだけ人数が揃っていてあの位置でクロスを胸トラップからシュートできるのがちょっと驚きだが、セレッソが4-1とリードを広げた。

ここから浦和は柏木が下がって5-0-5から、柏木がシャドゥになる4-0-6とかもう訳のわからない状態になっていたが、これに対してセレッソはつまらないプレーで相手にボールを渡し、45+1分にラファエル・シルバにミドルシュートを決められ4-2にしてしまう。
立ち上がりで3-0にできていたら、また4-1で後半の立ち上がりさえ抑えたらもうゲームが決めることが出来ていたのに、つまらない2失点を喫した事で浦和に希望を残してしまった。

■膠着させた後半

後半開始〜
厳しい前半となった浦和は後半開始から、宇賀神と森脇を下げて、駒井と那須を投入。
那須は3バックの中央に入り遠藤が右に移動。駒井は右WBに入り関根が左WBに移動する。

前半アディショナルタイムの得点で2点差とした事で可能性を残した浦和は、後半立ち上がりから4-1-5のオーガナイズを取り戻し、基本に戻ったかの様にサイドから攻撃を始める。
61分〜
これに対してセレッソはしばらく様子を見るが、キム・ジンヒョンのキックをラファエル・シルバに引っ掛けられた危ない場面があり、その次のプレーで浦和がCKが獲得した61分の段階でシステム変更。山村を最終ラインに落とした5-4-1でマッチアップをあわせる。

こうなると浦和は個々の選手の質で対応するしかない。
以前にも書いたことがあるかもしれないが、ミシャシステムは最初から立ち位置勝負に振り切った形で戦うので、リードされた状態でマッチアップを合わされると、次の手が選手を入れ替えるなどの個の力でどうにかするしかなくなる。
だから浦和は個の力でどうにかできる可能性のある選手を揃えようとしているし、この試合でも高さのあるズラタンを中央にして興梠とラファエル・シルバのシャドゥという形に変えるなどするが、なんともならない場合の方が多い
ただ、この試合ではセレッソもカウンターで試合を終わらせる事ができそうな場面を作りながらも決められないので、ここからはゲームが膠着していった。
94分〜
83分に浦和が、関根に代えて梅崎を投入。
その後ラファエル・シルバが丸橋にショルダー・タックルを決めてイエローカードを受けた後にさらにちょっかいをかけてきたので少しエキサイトする場面が見られた事で89分に丸橋に代えて田中を投入。
さらに91分には水沼に代えて関口、94分にはソウザに代えて木本を投入するとそのまま試合をクローズさせ、4-2でセレッソの勝利で試合終了となった。

■その他

この試合に勝利した事で勝ち点41となり、過去最多勝ち点での降格チームとなった2012年ヴィッセル神戸の勝ち点39もクリアした形になるので、開幕前の目標は達成したと言っても良いだろう。
また、前節の柏、今節の浦和で、シーズン前半戦で敗れた2チームにも勝利。全てのチームから勝ち点を奪う事ができた。
そして首位がキープできるこの勝ち点3は大きい。
ただ、この状態の浦和だともう少し簡単に試合を決める事ができた。
それをわかりきった形と緩慢なプレーで2失点した事は反省材料だろう。

そして浦和はかなり厳しい試合だった。
ミシャシステムはWGとインサイドハーフという位置関係になる4-3-3からの4-1-5ではなく、シャドゥが前でWBが後ろにいる4-1-5なので、ボールを奪われた時の守備への切り替えで前線中央の3人がどうしても入れ替わられてしまいやすい。
これまでは、この問題点を相手の陣形を動かしてしまう事でカバーできていたんだろうが、ここにきて相手にシャドゥの後ろからカウンターを狙われている。
ここは柏木が出て行くしか無いんだけど、柏木1人だとどうしても対応出来ないという状態が根本にあるんじゃないかと思う。今やそこから色々派生してスパイラルにハマってしまってる感じもあるが…





2 件のコメント :

  1. 分析ありがとうございます。
    1失点目は2トップのどちらかが下がって森脇を見るのが正しい対応だったんでしょうか。
    セビージャ戦でも感じましたが、相手の変化に対するケースバイケースの対応には課題が残ると感じました。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      森脇を見るのは別に誰でも良いです。なんだったら2トップじゃなくてもいいですし。
      森脇が前に入ってきているのに、中盤からもアプローチをかけられず、戻りもしていないというところが問題でしたね。

      削除

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