2019年5月25日 15時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
■FC東京
第12節終了時点で9勝3分0敗で勝ち点30で首位独走中のFC東京。実は昨季も、長谷川監督就任初年度だったこともあり開幕3試合で1分2敗、さらに開幕から広島がハイペースで勝ち点を重ねたことでその影に隠れている形にはなっていたが、第4節から第17節までの14試合を10勝3分1敗と、この時期は今季同様のハイペースで勝ち点を重ねていた。(唯一の敗戦が第8節のセレッソ戦)
昨季から若干の選手入れ替えは起こっているが基本的なチームの組み立て方は変わっておらず、すごく大雑把な言い方をすると、前線2人のスピードと推進力を全面に押し出したサッカー。
ボール保持を前提としておらず、自陣でブロックを作って守り、奪ったボールは最速で最短で前線に届けようとする。
そんな状態はスタッツにも現れており、ボール保持率は44.4%でリーグで3番目に低い数字。また1試合平均のパス数もリーグで4番目に少ない。
しかしそのパス数を方向別で分けるとなんと40.0%が前方へのパス。前方パス比率が40%を超えているのは松本と東京の2チームだけである。
そして、さらに特徴的なのがスルーパス。パス数はリーグで4番目に少ないが、スルーパス本数はなんとリーグで2番目に多いのだ。
こういった数字になる理由はなんとなく想像がつくかと思うが、ディエゴ・オリヴェイラと永井のスピードと推進力のある2トップが常に背後を狙っているので、彼らをを走らせるために使っているのである。
そして、彼らを走らせるには敵陣にスペースがいる。そのため守備は基本的に自陣でブロックを作って守る形。2トップもポジティブトランジション(守備から攻撃への切り替え)に備えるためにもそれほど積極的に前線から守備をすることはなく、基本的には中盤以降の4-4で守ろうとする。
またさらにこの4-4のブロックは非常にコンパクト。2トップがそれほど積極的に守備をするわけではないので、サイドに誘導してそこでボールを奪い取るというよりも、「どうせシュートを打つには中央に入ってくるんだろ?」と言わんばかりの中央圧縮したコンパクトなブロックを作っている。
4-4-2の布陣で中央を締めたコンパクトなブロックを作って守るといえば、セレッソも結果的には同じような形を取っているので、この2チームには守り方に共通点があるかと思いがちだが、実は結構違う。
それを表しているのがタックルとインターセプト数の関係。
FC東京はタックル数ではセレッソを大きく上回るのだが、インターセプト数ではセレッソの方がかなり上。ボールの奪い方が全く異なる。
解説者の岩政さんがセレッソの守備のことを「相手の攻撃を吸収する守備」と上手く表現されていたが、それに則ると同じコンパクトなブロックを作る守備でもFC東京の守備は「相手を跳ね返す守備」になっているのだ。
その中心にいるのが、デュエルに強い森重、チャン・ヒョンスのCBコンビと、橋本、高萩のボランチコンビのセンターの4人。この4人を中央から動かさない。特に2CBはできる限り中央にとどまらせようとしており、例えばSBが外に引き出されCB〜SB間としてもそこを埋めるのはボランチだったりする。
ちなみにチャン・ヒョンス不在時にCBに入る渡辺も身体能力を武器に対人に強さを発揮するタイプである。
そしてボール保持時。
基本的には奪ったボールは早く前線につけたいのだが、そればかりだと単調になり全く攻撃ができなくなってしまうことに繋がる。なので状況によっては時々ボールを持つこともあるのだが、その中心となっているのが左CBの森重と左SBの小川。
つまり左サイドが中心で、ここでボールを運びSBからスルーパス、もしくは逆サイドで内側に入った久保からスルーパス。久保が内側に入る分外側は室屋がオーバーラップしてくる。
■プレビュー
セレッソ大阪の先発メンバーだが、ミッドウィークにルヴァンカップがあったことを考えるとおそらく前節と同じ11人がベースになってくるだろう。個人的に面白いかなと思うのはソウザを起用すること。理由は後で書くが先発でなくとも途中交代で使っても面白いかもしれない。
一方のFC東京の先発メンバーだが、こちらも前節のメンバーがベースとなるだろう。がしかし、ルヴァンカップの鳥栖戦でチャン・ヒョンスが故意に原川へ肘打ちを食らわせたとして直近の公式戦2試合の出場停止が決定。この試合に出場できない。
代わりに入るのは松本戦、磐田戦で先発した渡辺となりそうだ。
ここまで書いたように東京はやること、やりたいことがはっきりしているチームだ。
なのでポイントとしてはロティーナの言うように「彼らの能力をグラウンドで発揮させないようにすること」だろう。
東京はボールを持ちたがらない。なのでそこをあえてボールをもたせるという選択肢もあるが、基本的にはセレッソはボールを持ちたいので、セレッソがボールを持つ時間が長くなる試合となるだろう。
なので、その時にFC東京の4-4-2のブロックをいかに動かすことができるかが重要となる。
先にも書いたが東京の2トップは攻撃に余力を残すためあまり積極的に守備に参加しない。
永井はボールが奪えると思えば全力で猛スピードでアプローチをかけてくるが、それは奪いに行く守備。ビルドアップに制限をかけたりするような守備はあまりしない。
しかしその分ファーストディフェンダーとしての意識が高いのはSH。SHは2トップ脇のスペースに入ってくるSBやCBに対してかなり意識している。
そこでセレッソが狙いたいのはそれを逆に利用する形。大分戦のボール保持でSBとSHのポジショニングでシャドゥを動かそうとしていたプレーは十分可能性がある。大分は1トップだったのに対して東京は2トップなのでそんなに簡単ではないだろうが、ボランチの1人が最終ラインに下がる形などで2トップ脇にボールを運び、SHに対して外のSBと内側のSHという2択を突きつけるような状況を作りたい。
ここを割ることができれば必然的に東京DFラインの前でポイントを作れる。
ボールは持てるだろうから、焦らず何度もやり直していいので狙っていきたいところだ。
そして個人的に面白いかもしれないと感じているのはソウザ。
ソウザは攻守においてデュエルの強さは際立っている。
なのであえて東京のボランチにそこをぶつける。
東京の守備はデュエルに対するウエイトが大きいので、もしここでソウザが勝つことができればそこからの選択肢は一気に広がる。
またボール非保持では、東京の攻撃を加速させないようにできるかどうかだろう。
そのためにはビルドアップ起点となるCB森重と左SB小川に対してどの様に振る舞うか。
これまでロティーナは相手の攻撃を誘導したり、制限を加えたりする方法をいくつも見せてきた。
この試合ではどのような方法を取るのかは非常に興味深い。
FC東京は確かに強いが隙が無いわけでもなく、また戦い方の相性的にもそれほどやりにくい相手ではない。
ホームのこの試合で勝ち点3をあげ再びチームに上昇ムードをもたらせたい。
FC東京に対して2017年以降は4戦4勝、9得点2失点とすこぶる相性が良い。
先発にデサバト、奥埜、藤田と使ってきましたね。
返信削除ここにソウザがいることを考えれば選手層的には(ポジショニングはともかく)
ボランチ3人スタメンというのは今後も有力な選択肢になりうるのではないでしょうか。
単純に走った距離だけ見ると(清武をあまり動かさないという)
ロティーナの意図も上手くいっていたように見えますね。