2019年5月23日木曜日

5/22 YBCルヴァンカップCグループ第6節 VS 大分トリニータ @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審高山 啓義
入場者数6,237人副審村井 良輔、浜本 祐介
天候 / 気温 / 湿度晴 / 22.1℃ / 35%第4の審判員小曽根 潮
セレッソ大阪C大阪
 
大分トリニータ大分
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • 片野坂 知宏
全ての試合において 21 歳以下の選手を 1 名以上先発に含める。※1

※1 但し、以下の場合は出場義務を負わない。
・対象選手1名以上が日本代表試合または日本代表の合宿その他の活動(ただしA 代表またはU19以上のカテゴリーの日本代表に限る)に招集され、試合日に不在の場合。
・対象選手が試合エントリー後の怪我等のやむを得ない理由により出場ができない場合。

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 ロティーナ監督
大分トリニータ 片野坂知宏監督

セレッソ大阪 ソウザ選手、圍選手、田中選手
大分トリニータ 後藤選手(Jリーグ公式)

全チームにグループリーグ突破、グループリーグ敗退の可能性がある中で行われたYBCルヴァンカップCグループ最終節。セレッソ大阪は本拠地ヤンマースタジアム長居で大分トリニータと対戦し2-0で勝利。首位でグループ突破を決めた。

■メンバー

セレッソ大阪の先発メンバーは、リーグ戦前節から8人、ルヴァンカップ前節からは1人入れ替え。リーグ戦前節から引き続き先発しているのはヨニッチ、木本、高木の3人で、ルヴァンカップ前節からは山下からヨニッチに入れ替わっている。
1人外れた形の山下はリーグ戦でも、この試合でもベンチ外となっているので発表はされていないが負傷している可能性もありそうだ。

一方大分トリニータの先発メンバーは、リーグ戦前節から9人、ルヴァンカップ前節からは3人を入れ替え。リーグ戦前節から引き続き先発しているのは岩田、星の2人で、ルヴァンカップ前節からは、庄司、小手川、長谷川から岩田、ティティパン、高山に入れ替わっている。
庄司はセレッソからの期限付き移籍なのでこの試合には出場できないのだが、リーグ戦のレギュラークラスからは岩田、高山(星)が出場。高山と星はリーグ戦では同じ左WBのポジションを争っているがこの試合では左WBに星、右WBに高山という関係。
なのでレノファ山口でチームメイトだった福満と星はマッチアップする形となっている。

■意表をついた4-4-2

セレッソの先発メンバーはルヴァンカップ前節から山下に代わってヨニッチが入っているだけ。そしてルヴァンカップ前節はこのメンバーでボール保持の時に福満が右WBに入る3-4-2-1の形を取っていた。
前2回でも書いたように大分は相手がボールを奪いにきたところを逆に利用したり、システムのズレを利用することが戦い方にきっちり落とし込まれている。また大分とはこの試合で今季3度目の対戦となるが前2回でセレッソは3-4-2-1を採用。なので大分はもしかするとセレッソが3-4-2-1で来るんじゃないかと思っていたのかもしれない。
しかし試合が始まるとセレッソの布陣は4-4-2。そして前線からアプローチをかけてくる。このどちらも予想外だったのだろう。
立ち上がりからセレッソのアプローチに対して近い味方にパスを出すだけになり、落とし込まれているはずのシステムのズレ、ボールを奪いに来たところの逆を使うようなボール回しが全くできできておらず、敵陣にボールを運ぶことすらできていなかった。

そして4分、セレッソがボールを奪ったところからソウザのパスに対して3バックの中央に入る岡野が不用意に前に出て高木と入れ替わってしまい、ファールで高木を止めざるを得ない状態に。
これで得たFKをソウザが直接決めて開始わずか6分でセレッソが先制する。
FKはちょうど壁に入った片山とヨニッチがしゃがんだところを通過しており、GKポープ・ウィリアムは見えていなかったのだろう。
余談だが、この夏のルール改正でFKの時に攻撃側の選手が壁に入ることができなくなるようなので、こういったFKはもう見られなくなりそうだ。
10分〜
そして大分が初めてセレッソ陣内にボールを運んだタイミングで、前半3分ごろには既に腰が痛そうな素振りを見せていた三平がプレーを続けることができなくなったようで、10分に長谷川と交代。ティティパンが三平の入っていたシャドゥに上がり、長谷川はボランチに入る。
三平は接触や何かがあったわけではないのでちょっと心配である。

■セレッソの4-4-2アプローチ

立ち上がりから有効だったセレッソの4-4-2と前線からのアプローチをまとめてみよう。
3-4-2-1と4-4-2。ミスマッチができる組合せだが、ポイントになるのは3バックの両脇の選手。ガンバ戦でもそうだったがここを基点にズレを作られてしまう。
食いついたところを逆に狙う
大分のやり方ではこの3バックの両脇の選手はSHが食いつくのを待っている。
ここからの代表的なやり方はSBに対して数的有利を突きつける形。
SHが食いついて来ればWBが少し下がりSHの斜め後ろのパスを受けることができるポジションに移動。そしてボールサイドのシャドゥはSBの裏へ走る。つまりSHが食いつくのをきっかけにSBに対して2対1の状況を作っている。SBは下がるWBについていけば背後を取られるし、WBについていかなければ自分の前でフリーでボールを持たれてしまう。
大分はチームとしてこういった形が徹底されているので、相手を食いつかせるために自陣でのボール保持が圧倒的に多く、相手がボールを取りに来たところを逆に使うので、ボール保持からスタートしているのにゴールシーンはカウンターのような状況になっている。

なのでロティーナはリーグ戦での前回対戦ではセレッソも3-4-2-1の布陣にし前線からはボールを取りに行かずに待つ。そういった戦い方を選択していた。

がしかし、今回は全く違うやり方に変えた。
サイドではめ込むセレッソ
行ったのはSHが3バックのサイドの選手にアプローチに出る形。大分が食いつかせようとしている選手をさらに詰めさせたのである。
ただそうなるとWBとシャドゥが動く。
これに対しては4-4-2を全体にスライドさせる形で対応。具体的にはWBにはSBとボールサイドのボランチが距離を詰める。そしてSBの背後はCBが対応することに決める。
これでセレッソは前半の立ち上がりからWBをSBとボランチが挟み込む形で何度もボールを奪い、背後を狙うシャドゥはCBが封じ込めた。
大分がセレッソ陣内にボールを運ぶために10分近くかかってしまったのは、セレッソがこの形を徹底していたから。おそらくこの試合に向けてこの形は徹底的にトレーニングしていたのだろう。
少し時間が立つとサイドでボールを運べない大分は前線で1トップとセレッソのCBが1対1に近い状況になっていることに気がついたのだろう。1トップの後藤をスペースに走らせるような長いパスを多く出し始める。確かにセレッソのCBの1枚がシャドゥのケアをしているということはCBはあと1人しかいない。
しかし、これはセレッソも十分わかっている形。そもそもボールホルダーにプレッシャーがかかっているので対応できる。序盤から後藤がオフサイドになる場面や、その手前でCBがインターセプトする場面が多かったのはそのためである。

このSHが3バックのサイドにアプローチに出る形、行く時、行かない時を含めてかなり機能していた。行かない時というのは前線で2トップが誘導できておらず、全体のスライドが間に合っていない時。
その時はSHはWBの高さまで落ちて自陣でブロックを作る。そして2トップがプレスバックするという形を徹底できていた。
そして奪ったボールはスペースを狙ったカウンター。25分のソウザがボールを奪い柿谷のスルーパスに田中亜土夢が抜け出したカウンターは絶好機だった。
33分〜
狙い通りの形でボールを持てない大分は柿谷が痛めた33分のタイミングでWBの星と高山を左右で入れ替えるが、あまり効果はない。
元々大分の戦い方はシュート本数自体は少なくなるのだが、大分の初シュートは36分のティティパンのミドルまでかかり、前半はシュート2本に終わっている。

■シャドゥを動かすボール保持

セレッソは早い時間に先制できたこともあり、ボール保持でも安定していた。
リードしているのでリスクを犯す必要は無く、ダメなら何度でもやり直すことができるからだ。
セレッソのボール保持
5-4-1の大分に対してセレッソがボール保持で狙ったのはシャドゥ、つまり4の両サイドを動かすこと。
2CBに対して1トップなのでセレッソはCBでボールを持つことができ、1トップの脇にはボールを運ぶことができる。大分もそれはわかっている。
なのでセレッソはSBを大分の4の高さの大外にポジションを取らせCBからSBへ。ここにWBが食いつけばWBの背後にSHを走らせていた。
そしてこれを嫌がってシャドゥが外に意識が行けば内に入ったSHや下がってきたトップへCBから直接パス。左サイドでは田中亜土夢が内側に入りパスを受け、右サイドでは福満が外に開いたポジションを取っていたので落ちた高木や柿谷がボールを受けるシーンが何度も見られた。

■大分の修正とセレッソの対応

前半はサイドに誘導されそこで圧縮されることが多かった大分のボール保持だが、ハーフタイムを経て修正される。
48分の大分のボール前進
象徴的だったのが後半開始早々の48分からの場面。ボランチの1枚が下がって4バック化するとそこから3バックのサイドにいる岩田を経由せずにWBの星へ出し、それと同時に岩田が一気にオーバーラップを見せたシーンだろう。
これは前半にはほぼ見られなかった形である。

大分がこうした形を見せ始めるとセレッソも前半の様に簡単にSHが3バックのサイドの選手にアプローチにいけなくなる。そうなるとセレッソはスライドしている分逆サイドにはスペースがある。そしてボールホルダーにプレッシャーもかかっていない。ということで大分はサイドチェンジを多用し始め、ボールを敵陣にまで簡単に運べる様になる。
57分〜
これを受けてセレッソは57分に福満に代えて水沼を投入する。
これは前節もやったような、本来はハーフタイムの交代でも良いのだが、相手の出方を見るためにあえて後半始まってからすぐに交代するパターンとはおそらく別。
大分の後半の修正を受けての戦術的な交代だった。
ボールと逆サイドのSHを落とす
この交代以降はボールと逆サイドのWBはSHが見るように変わっていた。
ボールサイドは前半と変わらずスライド。4バックもスライドする。
しかしボールと逆サイドのSHはそのスライドに参加せず、逆サイドのWBを見るためにSBの外側をカバー。
ボールと逆サイドのSHが最終ラインに落ちる変則的な5-3-2の形で守るように変化した。

これで再びセレッソは大分の攻撃を組織的な守備で吸収するように封じ込め始める。

■試合を決めたソウザ

後半に入ってからもセレッソに決定機はいくつもあった。しかし高木はGKとの1対1を外し、柿谷が抜け出すもファールを取ってもらえず、ショートコーナーからのヨニッチのヘディングシュートは枠を外れていた。
70分〜
なので大分は70分に伊藤に代え藤本、福森に代え高畑を投入。
大分は思うように試合は運べていないとはいえまだ1-0。エースとリーグセレッソ戦直後の第10節からポジションを掴んだ下部組織出身の選手というリーグ戦でのレギュラーメンバー2人を投入し何とかグループ突破をつかもうという事だったんだろう。

しかしこの交代後最初のプレーでソウザが40mを超えるロングシュートを突き刺し追加点。71分にセレッソが2-0とリードを広げた。
簡単にいえばGKポープ・ウィリアムのポジショニングミスなのだが、それを見逃さず、またカバーさせないほどのスピードで打ち込んだソウザ会心のゴールだろう。
海外ではベッカムの代名詞ともなっている96-97シーズン開幕戦、ウィンブルドン戦で決めた伝説のロングシュートにも例えて報道されているそうだ。
84分〜
その後セレッソは79分に高木に代えて山田、84分にソウザに代えて藤田を投入しそのまま逃げ切り。
ルヴァンカップ最終節を2-0で勝利し、3勝2分1敗9得点4失点でグループ突破を決めた。
次のラウンドプレーオフステージはBグループを2位で突破したFC東京との対戦が決定。
1stレグは6月19日に味の素スタジアムで、2ndレグは6月26日にヤンマースタジアム長居で行われる。

■その他

セレッソはこの試合では引き分けでもOK。なので3-4-2-1で合わせて試合を殺すような戦い方をしても良かった。しかし4-4-2。まるで3バックに対して4-4-2ではこうするんだというトレーニングをしているようだった。
もしかするとダービーで3バックに対して後手を踏んだので、この試合はあえて4-4-2にしたのかもしれない。




2 件のコメント :

  1. ミシャの札幌の3-4-2-1に対して4-4-2で対抗したりもしてるので、ここはロティーナのこだわりなんだろうなと感じます。ヨーロッパではAマドリーなどがが精度の高い4-4-2で3トップに対して戦えることを証明してますし、ここは戦術のアップデートがわかりやすいところだなと。
    あとは、今年は先制点取れた試合と取れてない試合で、結果もそうですが内容がだいぶ変わりますね。日本に対する批判として、どんな点差でも時間帯でも同じようにプレーしてしまうと色んな人が言ってますが、今年のサッカーを続けていればそういうところから脱却できるかもしれない、と思います。逆に海外のサッカーで育ってきた選手、指導者にとってはそういうのが当たり前になっているのだなあと実感できるところでもあります。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。
      ミシャシステムに対して4-4-2はまだわかりますし、アトレティコやシャフタールの4-4-2の強さも良いんですが、この状況の3回目となる大分戦であえて4-4-2だったのはこだわりよりも別の理由があったんだろうなと思いました。

      先制点の有無で結果や内容が変わるのは、ロティーナのやり方が特に先行逃げ切り型だからでしょうね。あと海外の指導者は表面上ではなく考え方の根本的な部分が違うんだろうなというのはつくづく感じます。

      削除

新着記事

人気の投稿

セレッソ大阪公式Twitter

楽天

楽天トラベル