2019年5月27日月曜日

5/25 明治安田生命J1リーグ第13節 VS FC東京 @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審池内 明彦
入場者数24,624人副審今岡 洋二、田中 利幸
天候 / 気温 / 湿度晴 / 29.8℃ / 25%第4の審判員鈴木 規志
セレッソ大阪C大阪
 
FC東京FC東京
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • 長谷川 健太

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 ロティーナ監督
FC東京 長谷川健太監督

セレッソ大阪 ブルーノ・メンデス選手、松田選手、丸橋選手、藤田選手、キム・ジンヒョン選手
FC東京 渡辺選手(Jリーグ公式)
FC東京 室屋選手、橋本選手(FC東京公式)

明治安田生命J1リーグ第13節、セレッソ大阪は前節大阪ーダービーでの悔しい敗戦を取り戻すべく挑んだ首位FC東京を本拠地ヤンマースタジアム長居へ迎えた一戦は、終始試合をコントロールしたセレッソ大阪が1-0で勝利。開幕から続いたFC東京の無敗がついに途切れた。

■メンバー

セレッソ大阪の先発メンバーはやはり前節のメンバーから1人入れ替え。高木が外れデサバトが加わっている。またミッドウィークのルヴァンカップに出場した柿谷、ソウザは木曜日の練習に参加しなかったという情報もあったようにメンバー外。ベンチには田中亜土夢、高木らに加え山田が入っている。
先発メンバーが発表された時は4-3-3ではないかと思われたようでDAZNの試合開始前の予想布陣も4-3-3となっていたが、フタを開けてみると奥埜が前線に入る4-4-2(4-2-3-1)。
この布陣、公式戦では初めての形だが実は開幕前のプレシーズンマッチレノファ山口で使っている。
そしてもう1つ注目すべきはボランチが藤田とデサバトというプリメイロボランチ(第1ボランチ)2枚を並べていることだろう。

一方、FC東京の先発メンバーも前節から1人入れ替え。
ただしこちらはチャン・ヒョンスがミッドウィークのルヴァンカップでラフプレーを行い出場停止となったためで、チャン・ヒョンスに代わって渡辺が先発に加わっている。

■4-4+2の東京

セレッソも東京もコンパクトな4-4-2のブロックを作り守備が堅いと言われているので「似ている」と言われるかもしれない両チームの守備だが結構違う点も多い。
それは両チームのボール保持/非保持に対する考え方という根本的な部分での違いが大きいのではないかと感じている。
FC東京の守備組織
東京の4-4-2のブロックは中央に圧縮されておりかなりコンパクトになっている。
ただし前線の2トップは実はそれほど守備組織には参加していない。
この試合のDAZNの中継でも「ディエゴ・オリヴェイラと永井の2トップは献身的に守備をする」という話しをされていたが、実際のところはそんなでも無いのでセレッソは比較的2トップの脇や裏にボールを運ぶことができていた。
とはいえこの2トップがあまり守備組織に参加しないのは決してネガティブな訳でもない。その理由がきちんとあって、彼らはボールを奪った時全力でスプリントをするから。チームとしてこの2トップにはそちらの仕事の方が優先順位が高いので、ボールを持っていない時に必要以上に消耗させないようにしているのではないかと思われる。

それでありながら「献身的に守備をする」と勘違いをさせているのは、この2トップはボールが奪えると判断した時には、持ち味であるスピードと推進力を生かして全力でボールを奪いに来るからだろう。なのでこの2トップは実は味方のボール保持/非保持でやっていることにあまり違いは無い。味方が蹴ったのか相手が蹴ったのかという違いはあれど、やっているのは自分がコントロールできる可能性がある状況にあるボールに対してスピードと推進力を使ってマイボールにしようとしているのだ。
なのでこの2トップが行っているのは「ほぼ攻撃のみ」とも言える。

なので東京の守備組織としては基本的には2トップを除く4-4で作られているといえる。(時々永井は帰ってきて中盤のサポートもするが)

■東京の4-4のベース

強烈な2CBとGK
そして東京の4-4の守備のベースになっているのは2CB。東京の守備はこの2人のCBをゴール前に留めておくことが徹底されている。森重、チャン・ヒョンスのCBコンビ(この試合では渡辺)は対人に強くハイボールにも強い。
相手がどんな攻撃をしようとも最後にシュートを打つのはゴール前。そこで高い守備力を持つCBが2人が対応し、さらに後ろにはシュートストップ能力の高い林もいればそうそう失点はしないという考え方なのだろう。
2CBはゴール前から動かさない
それを表しているのが、サイドにボールが出た時。
サイドの空いたスペースにボールが出ると、当然SBが出ていくことになるが、その時にSBとCBの間にスペースができる。
FC東京ではここを埋めるのはボランチやSH。CBがスライドしてくることはほとんど無く、CBはあくまでゴール前に居続ける。

2トップの役割は「攻撃」なので守備組織にはほとんど参加しない。つまり相手のビルドアップを制限したりすることもほとんど無い。そんな中で失点を防ぐために最も危険な場所をできるだけ開けない、その結果がこの中央を閉めたコンパクトなブロックなんじゃないかと思う。
この守り方だとボール保持率はどうしても下がるだろうが、東京が大切にしているのは2トップがスペースに何度スプリントできるか。なのでボール保持率にこだわりは全く無い。
SHがSBを伺う
そしてもう1つ。2トップがあまり守備に参加しないので東京のファーストディフェンダーはSHになることが多い。
そのため、SHは中央に絞ったポジションを取るのが基本だが、常にSBは意識している。ここにボールが入った時にアプローチをかけることが守備のスタートになっていることが多い。

■セレッソのボール保持での東京対策

ここからは東京の守備に対してセレッソがボール保持で行った対策まとめる
相手のSHの位置で決まるセレッソのSHのポジショニング
まずビルドアップの場面。先程の東京の守り方の2番目、SHがSBを意識している場面だが、セレッソは東京のSHのポジショニングでセレッソのSHのポジショニングを決めていた。
中を絞っているときは外、外に引っ張られた時は中。
東京の守備は基本的に中に絞っているので、ボールを運ぶルートは外側になる。がしかし、東京のSHはSBに出ていくタイミングをはかっているのでSBに引っ張られることも多い。
そんな時は東京のSHとボランチの間を通して中に入った清武や水沼に一気に縦パスを入れる。
前半から何度もセレッソはこの形でボールを運んでいる。
そしてこの形はセカンドボール争いにおいても効果的だった。
東京は時折2トップが前線からCBに対してプレッシャーをかけてくる。その時SHも連動してSHに出る。
そうなるとセレッソは簡単に前線にロングボールを入れていた。前に出てくるということは背後にスペースがあるからだ。
そしてその時のセレッソのSHのポジションは、東京のSHがSBに出ていっているので内側。
なのでそこでセカンドボールを拾うことができていたのである。
4分のセレッソ
そしてボール保持からの攻撃ではサイドチェンジを多用すること。
東京の守り方では基本的には逆サイドは空いている。そこにサイドチェンジしボールを運ぶとSBが出てくる。その時にSHが内側に走ると東京のSHがSBとCBの間を埋めるので、そこで外側にボールサイドのボランチがオーバーラップしてクロス。
これは開始4分に両チーム合わせて初シュートをセレッソが打った場面だが、東京の守り方を踏まえた上でのボール前進及びサイドに侵入する形であり、内側に走るのはSHではなく奥埜にしてSHとSBで外側を崩す形も含めて、クロスの本数はFC東京の12本に対してセレッソは20本と多くのクロスを上げている。
このサイドからのクロスや、東京がボールを奪うのにタックルを多用することと合わせてセレッソは比較的ゴールに近い位置でFKのチャンスもあったので、丸橋や松田、藤田のキックがもう少し精度が高ければ、もっと早い時間に先制することができただろう。

■セレッソの守備

同じコンパクトな4-4-2でも今度はセレッソの方だが、その前にまず東京の仕組みから。
FC東京の攻撃時の役割分担
東京は2トップのスピードと推進力が最大の武器。そこへゴールキックから一気に出す場面もあるが、基本的には攻撃の起点となっているのは、DFラインの左側にいる2人と、ボランチの橋本の3人になっている。右SBの室屋、右CBの渡辺(チャン・ヒョンスも)は組み立てにはほとんど参加しない。
そんな室屋が仕事をするのは前。2トップが前に引っ張った後ろには右から久保が中央に入っていくので、そこで空いた外側に出ていくという役割になっている。
セレッソの守備対応
そんな東京に対してセレッソが行ったのは、まず2トップで橋本へのコースを切りながらCBにアプローチをかけること。すると自然と東京のボールは左サイド(セレッソの右サイド)へと運ばれることが多くなり、セレッソの2トップも左から右へとアプローチをかけていくことになる。
となると、森重から小川へとボールが渡ることになるのだが、その時に特徴的だったのは右SHの水沼は必ず小川の前に下がっていたこと。水沼のラインを超えて更にオーバーラップした時にはついていかないのだが、水沼は一気に距離を詰めるのではなく常に前に立ち続けていた。
これにより、11分に一度橋本から永井へという背後へのパスはあったが、起点となる橋本、森重、小川から出てくる2トップを走らせるようなパスをかなり制限することができていた。

そして東京の左サイド(セレッソの右サイド)にボールが入るとそこからはいつものようにボールサイドへブロック全体が圧縮。さらに2トップがプレスバックすることと合わせこれで東京のサイドチェンジも封じたことで、前半の東京は左サイドからの攻撃が71%にものぼるというアンバランスな状態にさせることができていた。
なので久保はほとんど良い形でボールを持つことができず、ボール保持からの東京の武器である久保からのスルーパスという形はほとんどなし。また室屋が右サイドの深い位置でボールを持つという場面もほぼ作らせていない。

後半に入ると、49分にディエゴ・オリヴェイラの突破からクロスという東京が狙う形を出させてしまう場面もあったが、基本的には単発。
時間の経過とともにセレッソの2トップが守備に行ききれない場面も出てきたため長いボールを蹴られる回数は増えたが、そんな時に聞いていたのがあえて2人プリメイロボランチを並べているボランチ。
SBがCBの背後、ボランチがCBの前と役割分担がしっかりできていたのでセカンドボールでも優位に立っていた。
プレビューでセレッソと東京はボールの奪い方が異なり、セレッソはインターセプト、東京はタックルということを書いたが、この試合ではインターセプトはもちろんタックルでもセレッソが上回ったのはこの2人のボランチによるものだ。

59分にようやく久保が右サイドで起点となり、外側を上がってきた室屋がクロスという右サイド2人のコンビネーションを見せるが、試合を通じて室屋と久保のコンビでチャンスを作ったのはこの1回だけだった。

■クロスからの先制点

ここまで書いてきたように試合自体はセレッソが完全にコントロールしていた。
しかし東京もCB2人とGKの最後のところでやらせていないのでまだ0-0。特にこの3人はかなり堅い。
74分〜
ということで東京は66分に高萩に代えてアルトゥール・シルバを投入。さらに74分に永井に代えてナ・サンホを投入。久保はトップ下に移動しナ・サンホは右SHへ。つまり4-2-3-1のような形になる。
永井はプレースタイル的にも90分プレーすることは難しいしそもそも求められていない。なので後半途中から永井を下げて久保をトップ下に移動させるというのは東京のパターンの1つである。

しかしその4分後、セレッソがようやく歓喜の場面を迎える。
ボール保持から藤田のサイドチェンジで松田にボールが渡るとそこからクロス。このボールにブルーノ・メンデスは森重の前に飛び込み頭でねじ込んだ。何度も何度も繰り返し入れていたクロスからのゴール。
森重は前に入られるとは思ってなかったのか対応が軽くなってしまったが、そこを見逃さなかったブルーノ・メンデスの動き出しは見事だった。
90+1分〜
この失点を受けて東京は渡辺に代えて矢島を投入。矢島は2トップの一角に入り久保は再び右SHに、左SHにはナサンホ、さらに東がボランチにさがり、橋本がCBに入る形に変更。

セレッソも85分に清武から田中亜土夢、89分にはブルーノ・メンデスに代えて高木、さらに90+1分には水沼に代わって片山をそれぞれそのままのポジションに投入する。

6分というあまりにも長いアディショナルタイムの中で90+6分にさしかかったところで林のゴールキックからディエゴ・オリヴェイラに抜け出されるという決定的なピンチを迎えるが、この試合唯一と言っても良い決定機をキム・ジンヒョンがセーブ。
そのまま試合終了となり1-0、セレッソ大阪の勝利で終わった。

■その他

相手のサッカーを踏まえた上でやりたいことや特徴を出させず、試合をコントロールして勝利するというロティーナサッカーの真骨頂とも言える勝利だった。
ここまで無敗の東京にほぼ何もさせなかった。

チームを個が11人いるという捉え方ではなく、11人全体を1つのグループとして捉えること。
そして攻めるとか守もるではなく、ボールを持っていない時も持っている時も、そのボールの位置によって決められたそれぞれのポジショニングを徹底することで試合をコントロールすること。この考え方で組み立てられているので、面白いし刺激的なサッカーだった。




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