2022年2月21日月曜日

2/19 明治安田生命J1リーグ第1節 VS. 横浜F・マリノス @ 日産スタジアム


スタジアム日産スタジアム主審山本 雄大
入場者数13,737人副審野村 修、坂本 晋悟
天候 / 気温 / 湿度曇 / 9℃ / 43%第4の審判員桜井 大介
VAR岡部 拓人
AVAR山内 宏志

横浜F・マリノス横浜FM

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • 監督
  • ケヴィン マスカット
 
  • 監督
  • 小菊 昭雄

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「20000人以下」)での試合開催


<監督コメント>

横浜F・マリノス:ケヴィン・マスカット監督

セレッソ大阪:小菊昭雄監督


<選手コメント>

横浜F・マリノス:アンデルソン・ロペス、仲川輝人

セレッソ大阪:清武弘嗣、進藤亮佑


2022年シーズン開幕戦となる明治安田生命J1リーグ第1節、セレッソ大阪は敵地日産スタジアムで横浜F・マリノスと対戦し2-2の引き分け。昨季途中に就任した小菊監督にとって初めての引き分けとなり勝ち点1を分け合う結果となった。


■メンバー

横浜F・マリノスのスターティングメンバーは事前の報道にあったものにほぼ近い内容。チアゴ・マルチンスが抜けたCBには岩田智輝が起用され、畠中槙之輔は昨季とおなじように左CBでの出場。CHには喜田拓也と渡辺皓太が入り、右WGにはエウベルではなく水沼宏太を起用された。また左SBにはセレッソから移籍した小池裕太ではなく本職は右SBの小池龍太を起用。ということで新加入の小池裕太やエドゥアルド、藤田譲瑠チマ、アンデルソン・ロペス、西村拓真はベンチスタートで、スタートには昨季もプレーしていた選手が並ぶ形となった。


セレッソ大阪のスターティングメンバーは予想通りの11人。こちらは新加入選手でスターティングメンバーとなったのは2年ぶりの復帰となるブルーノ・メンデスだけで、その他は昨季もプレーしていた10人。右CBには進藤亮佑が入り西尾隆矢が左CB、CHは奥埜博亮と原川力、SHは右に清武弘嗣、左に乾貴士となる。

ベンチに関してはこちらも新しい選手が並ぶ。GK清水圭介をはじめ、山中亮輔、鈴木徳真、中原輝に加え2種登録選手の北野颯太くんが新加入組。加えて鳥海晃司、為田大貴がベンチ入りし、新加入組では毎熊晟矢、上門知樹はベンチ外となった。


■ボールは持たれてもOK

昨季までの主力が移籍して開幕を迎えた両チーム。ただどちらも監督は昨季の後半戦からと継続。また両チーム共にスターティングメンバーも昨季までプレーした選手がずらりと並ぶ形になっていたので戦い方としてはどちらも大きく変化するということはなかった。

なので試合は序盤から横浜FMがボールを保持するという展開に。


それに対してセレッソもCBや降りてきたCHに対して2トップや3人目を加えてのプレッシングを行うこともあまりなく、基本的にはミドルゾーンで4-4-2のブロックをセットするという形をとっていた。

とはいえ全く行かないというわけではもちろんない。


7分には畠中から小池龍太へのパスが出たところで清武がアプローチをかけてボールを畠中、高岳へと戻させ、高岳から岩田に出たところで乾がアプローチをかけるという形でビルドアップを阻害している。

これは2CBと降りた喜田に対して2トップ+3人目の乾でプレスをかけるという形で、そのきっかけを作った(スイッチを入れた)のは清武のアプローチからだった。

ただ、これをあまり頻繁にはやらないというのがこの試合でのセレッソのやり方。ガンガン行けば当然スペースを空けるリスクも高まるし、そうなれば横浜FMはどんどんスピードアップする。セレッソとしては最も避けたいのはこのスピードアップされること。ということで、スピードアップできない、ゆっくりとボールを動かす展開であればボールを持たれてもOKという考え方だったと思われる。


■ロングボールとSHのサポート

横浜FMにボールを持たせる形を選択したことで時間的には短かったが、セレッソのボール保持、ボールを奪った後のセレッソの狙いは比較的はっきりしていた。

セレッソが狙ったのはロングボールを使って2トップを走らせる形。これは横浜FMが敵陣に人数をかけるので2バック気味になることと、昨季まで広大な自陣のスペースを爆発的なスピードでカバーしていたチアゴ・マルチンスがいなくなったこと。そして加藤もメンデスもスペースでボールを受けることを比較的得意としているからだろう。


この形で特徴的だったのが乾・清武の両SHのポジショニング。この両SHは、どちらか、もしくは両方が幅をとるというポジショニングはとらず両方が中央に入ってくる形になっていた。これはSHがセカンドボールの回収や2トップのサポートという役割を担っていたからで、もちろんロングボールを使って2トップだけ、もしくは2トップ+SHでカウンターが完結するならそれでもOKなのだが、それに固執してカウンターだけになってしまうと攻撃は単調になり守る時間ばかりが増えてしまう。なのでカウンターで何としてでもフィニッシュまで持ち込むのということではなく、ロングボールを使って陣地を挽回できればボールを持てる清武や乾のところでボールを収め、敵陣でボールを持つ時間を作りたい、そこから厚みを持った攻撃を仕掛けたいということだったのではないかと思われる。

なので2トップやSHのところでボールが収まれば、両サイドのスペースにはSBが出ていくし、CHも出ていくという形をとっていた。


しかしそういった形をとっているので、8分の乾から原川へのパスを仲川にインターセプトされカウンターを受けた場面のように敵陣でボールを失った時にはかなり危ない場面を作られる。

自陣から少しずつ相手を押し込むわけでもなく、それぞれの選手が定まったポジションをとっているわけでもないので、中盤でボールを失うと一気にこちらのポジションが乱れている状態でカウンターを受けてしまうからだ。

ただしこのあたりはゲームプランとトレードオフ的なところ。監督のゲームプランがカウンターのリスクよりも厚みのある攻撃をしたいというところに主眼を置いているので、当然起こり得る場面ではある。

しかしこういった場面は少ない人数でもなんとか守りたい、そして悪いボールの失い方をしないという仕組みではない部分でなんとかカバーするしかない。


そのため11分にも丸橋のボールロストからカウンターを受け最後はマルコス・ジュニオールに戻るシュートを打たれる場面もあったが、キム・ジンヒョンがセーブ。そして基本的には横浜FMがボールを持つという展開になっていたが、セレッソもロングボールで2トップを走らせてSHがサポートに入る形や、2トップが走る分中盤でも横浜FMのDFラインの前でSHが内側に入って前向きでボールを持つ形を作ることもできていたので、展開としては五分五分。23分には丸橋がサイドの低い位置でボールを受けた時に横浜FMの選手が誰もアプローチに行けなかったので簡単にボールを運びタイミングを見計ってのクロスに加藤が合わせゴールネットを揺らす場面も作ったが、残念ながら加藤はオフサイドだった。


■ボールの運び方を変えた横浜FM

そんなボール保持率こそ違うものの互角の展開だった様相が少し変わってきたのが25分を過ぎた頃から。

このあたりから横浜FMはボールの運び方を変えてきた。


それまではCHが降りるなどして後ろの人数は変えることはあるものの、ビルドアップでは2トップがあまりアプローチに来ないことから比較的シンプルにセレッソ陣内にボールを入れていた横浜FMだったが、それではボールは持てるがセレッソのブロックは崩せないということで、ブロックを動かしにかかってきた。

そこで横浜FMが狙ったのは2トップ脇。対4-4-2では定番の場所だが、2CB-2CHの2-2という立ち位置ならばここにCHの1人がずれてくる。またはCHが1人降りた3-1という立ち位置ならば開いたCBがドリブルで持ち出す。もしくはSBが内側に入ってくる。ここを狙うのに横浜FMには複数のバリエーションがある。

これに対してセレッソは少し手を焼いていた。

まずここをフリーにしてしまうと、一発でCBの背後や逆サイドの背後を狙われる可能性が出てくる。さっきの丸橋ではないがフリーであれば十分狙える。

となると、セレッソのやり方だと最初に考えられるのは2トップが根性でスライドすること。加藤もメンデスも真面目に守備をするタイプである。しかしこの試合ではボールを奪った時に2トップは背後へスプリントする回数がかなり多いので、それも含めて全部やるというのはなかなか難しい。

となるとSHが絞って前に出るかとなるが、横浜FMは必ず大外要員を置いているのでSHはどうしてもそちらに引っ張られることも増える。図では横浜FMの左サイド/セレッソの右サイドで書いたが横浜FMは左右両方で狙っており、この大外のポジショニングは特に水沼がセレッソにとってはかなりいやらしかった。

2トップが行けない、SHが行けないとなると、CHが出て行かざるを得なくなる。しかし横浜FMにとってはCHが動いてくれるのは狙い通り。

こうなるとCHとCBの間にギャップができるし、SHとCHの間、CHとCHの間にスペースが生まれるので、ブロックの中に縦パスを刺せるようになるからだ。


ということでこの辺りからセレッソにとってはちょっと難しい状況になっていく。

セレッソの守備ブロックはスライドの意識も戻る意識も高いので完全に崩されるまでには至らず何とか守っていたが、こうなると守れたとしても守備ブロックは下がらざるを得ず必然的にSHも低い位置に下がらざるを得なくなるので、SHが2トップのサポートに出ていくことを考えるとこれが続くと難しくなるなあという展開になっていた。


ただ、この頃はまだボールを奪った後のボール保持で相手のプレスを外しながらロングボールを蹴る時間を作ることができる場面もあった。

そして39分に奥埜がボールを奪ったところからメンデス、再び奥埜、原川と繋いで内側に入っていた乾がボールを受けると個人技でカウンターケアにきた喜田、渡辺をかわし、さらにカバーにきた水沼もダブルタッチで突破。そしてスルーパスから最後は加藤がシュートを放つという場面を作り出す。

このシュートは岩田のブロックにあってCKとなったが、そのCKから進藤が合わせてゴール。40分にセレッソが先制に成功する。

ボールを持つ時間は少なかったものの、この試合のセレッソはロングボールで裏返すという形を使うことはできていたのでCKは何本も獲得していた。このCKが前半3本目のCKだった。

そしてシュートはまさに進藤の技あり。横浜FMのCKの守備はゾーン+高さのある3人にマンマークという形で、西尾には岩田、メンデスには渡辺、進藤には喜田がついていた。喜田は170cm、進藤は183cmと当然高さには差があるのだが、ゾーンの外だといい形でヘディングさせなければ何とかなるという考え方である。この場面ではゾーンの外側で進藤とマッチアップした喜田が進藤に良い形ではヘディングさせなかったので横浜FMとしては決して悪くない守備だったが、進藤のヘディングでのシュート技術が上回ったというゴールだった。


■キム・ジンヒョンのPKセーブ

後半に入るとビハインドの横浜FMがやはり圧力を上げる。立ち上がりの数プレーこそハーフタイムでフレッシュになった2トップが頑張ってスライドしていたが、やはり展開としては前半の終盤の押し込まれた形が増えてくる。それに加えて横浜FMはセレッソがボールを奪った後に幅や立ち位置を意識してボールを動かすという形はあまりなく、トップに当てて中央で内側に入ったSHやCHが前向きにセカンドボールを受けるというという形がメインになっていることをおそらくハーフタイムで共有し、そこに対してカウンタープレスをかけてくるようになった。

その結果、セレッソはボールを奪ってもなかなか敵陣にまで運べず、ボールを奪い返されて二次攻撃、三次攻撃を受けるという展開に。

52分に西尾がPKを与えてしまった場面でも完全に押し込まれて少し対応が遅れていた。


しかしこのPKをなんとキム・ジンヒョンがセーブ。

キム・ジンヒョンはセレッソの歴史上最高のGKで、Jリーグを代表するGKだが、PKは本当に苦手。おそらく最後にリーグ戦でPKをストップしたのは10年前、2012年J1第28節キンチョウスタジアム(当時)でのサガン鳥栖戦にまで遡るのではないかと思う。(公式戦以外でもこれ以降にPKストップしたのは2013年にマンチェスター・ユナイテッドとの親善試合で香川真司のPKをストップしたぐらいか)

もしかしたらキム・ジンヒョンがPKをストップしたところを初めて見たという方も多いかもしれない。


■立て続けの失点

PKという絶体絶命のピンチは凌いだもののセレッソにとっては厳しい時間帯であることには変わりはない。

押し込まれる時間が続いたことでFWの1枚も戻って守備に加勢するようになるが、そうなるとさらに奪ったボールを運べなくなる。

セレッソにとっては何か手を打ちたいという状態だった。


66分に横浜FMが水沼とレオ・セアラに代えてエウベルとアンデルソン・ロペスを投入。すぐにセレッソも69分にブルーノ・メンデスと乾に代えて中原輝と為田大貴を投入。セレッソは清武がトップ下に入り中原が右SH、為田が左SHの4-2-3-1へと布陣を変える。

得点が欲しい横浜FMは前線の圧力を高める交代。修正したいセレッソはタスクが多いSHとFWを代えた。

入ってすぐの為田のプレーを見ると前線からプレッシャーをかけに走っていたので、前から守備をしてほしいというベンチからのリクエストもあったか。


しかし直後の69分、為田が松原にアプローチをかけるも松原に入れ替わられたところからアンデルソン・ロペスにボールが入ると左利きのアンデルソン・ロペスの左足を切るように西尾が追い込むが右足で入れたクロスにファーサイドでフリーだった仲川が合わせてゴール。

横浜FMが同点に追いつく。

この場面は仲川に最も近い位置に松田がいたが捕まえられていなかったということで松田のミスのようにも見えるが、松田の対応としては非常に難しい。おそらく松田は仲川のポジションを把握できていなかったんだろうが、その前にCB2枚ともがサイドに引っ張られているので最初に仲川を意識して、そこをマークしてしまえばゴール前中央を完全に開けてしまうからだ。

そうなった時に松田の外側を見るのは誰なのか。例えば1つ前の中原とも考えられるが為田が追いかけたことでスピードアップした中で始まった横浜FMの攻撃なのでここまで戻るのは難しいだろう。

強いていうならば、松田に対して逆サイドに仲川がいることをコーチングできていれば、松田はゴール前を横切るクロスのコースを消すことができるポジショニングはとれたのではないかというところか。


そしてさらに78分には押し込まれた展開から西尾のクリアを拾ったアンデルソン・ロペスが放ったシュートがブロックに入った進藤に当たってコースが変わりゴール。横浜FMが逆転に成功する。

西尾のクリアが短くなったこともあるが、同点ゴールの松田のポジショニングも合わせて、前半から押し込まれる展開が続いていたのに修正できなかったところが最大の問題か。

中原と為田が入って前線から追いかけたりする回数は増えたが、それが試合のテンポを早める原因にもなって、この直前にはカウンターの打ち合いみたいな展開にもなっていた。

セレッソがそれをやりたかったのならしょうがないが、個人的には得策ではなかったと思う。


■2点目もセットプレー


セレッソは80分に加藤と丸橋に代えて北野颯太くんと山中亮輔を投入、さらに83分に奥埜に代えて鈴木徳真を投入。

一方の横浜FMも82分に仲川に代えて西村拓真、87分にマルコス・ジュニオールに代えて藤田譲瑠チマを投入。渡辺がトップ下に移動する。


逆転されたセレッソはオープン覚悟で攻め込み、横浜FMは落ち着いてカウンターを狙おうという図式になるが、まず89分に横浜FMはビルドアップのミスから清武にボールを奪われセレッソがCKを獲得。原川の蹴るインスイングのボールはニアでストーン役となっているアンデルソン・ロペスに跳ね返される。

しかしその直後にセレッソが再びCKを獲得すると、再び原川のインスイングのボールが今度はストーンを超えてニアに入ってきた清武に。清武が頭で合わせてセレッソが同点に追いつく。

清武はドイツに移籍してからセットプレーからのアシストを量産したことから優秀なキッカーとして認識されるようになったが、ドイツに渡る前のセレッソでプレーしていたときは、あまりセットプレーのキッカーをやっていなかった。

そして当時も何度か中で合わせる形でヘディングのゴールも決めている。

中継での試合後のフラッシュインタビューで本人も話していたが、ヘディングで合わせることは実は苦手ではなく、ジャンプ力もあるのでどちらかというと得意なプレーなのである。


そして試合終了間際に痛恨の失点となった横浜FMだが、選手を入れ替え試合をクローズしようとする終盤でビルドアップのミスからピンチ、そしてCKを与えてしまうというのは痛かった。直後のCKは跳ね返したが、失点したのは続くCKである。

そして横浜FMは昨季もセットプレーから12失点。2位のチームで失点数も3番目に少ないチームだったのだが、横浜FMよりもセットプレーからの失点が多かったのは降格した横浜FC、仙台、徳島、そして残留争いをしていた清水、FC東京という5チームのみだった。

全体的に高さがないチームなので難しい部分ではあるが、そうであれば試合終盤にはもう少し上手くマネージメントしたいところではなかったか。


試合はこのまま終了。2-2の引き分けに終わった。


■その他

前半の半分を過ぎた頃から意図した形ではない劣勢となりながらも結果は同点。

目標としてはもっと上を目指していると思うが、相手は強豪の横浜FMであり、この試合でやろうとしていたことや今のチーム力を考えると勝ち点1をもぎ取ったという結果は良かったと思う。


ここから新戦力も適合し選手間での調整も進んでいくとは思うが、当然ながら他のチームも進んでいく。

その中でどれだけ速くスムーズに進めることができるか。また戦い方を調整しフィットさせていくことができるか。

ここからの小菊監督の手腕に期待したい。


1 件のコメント :

  1. お疲れ様です。
    2CF脇の形など、相手が打ってきた手に対して引き出しがあまり無いのは小菊さんの特徴ですね。そう簡単にはいかないかもしれませんが…。
    横浜の整備されたカウンターに付け焼き刃のカウンターで挑んで撃沈されたチームも多いので正直内容としてはあまり希望が持てるようなものではなかったですが、勝ち点1はもぎ取れて何よりです。
    流石に今季は補強に関しても監督の意向が反映されているものであろうし、早期に結果が出ないようなら厳しい評価をせざるを得ないですね。

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