いよいよ2022年シーズンの開幕まで1週間。
今季もプレシーズンはほぼ無観客での取り組みとなったが、開幕に向けて今季のチームをまとめてみよう。
■IN・OUT
IN
山下達也(柏レイソル)
真木晃平(SC相模原)
ジェアン・パトリッキ(CDサンタクララ)
鈴木徳真(徳島ヴォルティス)
清水圭介(京都サンガF.C.)
中原輝(モンテディオ山形)
山中亮輔(浦和レッズ)
毎熊晟矢(V・ファーレン長崎)
上門知樹(ファジアーノ岡山)
岡澤昴星(セレッソ大阪U-18)
期限付き
ブルーノ・メンデス(デポルティーボ・マルドナード)
復帰
舩木翔(SC相模原)
2種登録選手
北野颯太
石渡ネルソン
春名竜聖
OUT
松田力(愛媛FC)
瀬古歩夢(グラスホッパー・クラブチューリッヒ)
松井謙弥(ブラウブリッツ秋田)
田平起也(いわてグルージャ盛岡)
秋山大地(南葛SC)
高木俊幸(ジェフユネイテッド千葉)
山根永遠(ザスパクサツ群馬)
庄司朋乃也(ツエーゲン金沢)
豊川雄太(京都サンガF.C.)
藤田直之(サガン鳥栖)
森下怜哉(愛媛FC)
小池裕太(横浜F・マリノス)
永石拓海(アビスパ福岡)
大久保嘉人(引退)
期限付き
吉馴空矢(FC大阪)
新井直人(徳島ヴォルティス)
藤尾翔太(徳島ヴォルティス)
茂木秀(水戸ホーリーホック)
坂元達裕(KVオーステンデ)
チアゴ(名古屋グランパス)
西川潤(サガン鳥栖)
松本凪生(ヴァンフォーレ甲府)
復帰
松原颯汰(ジェフユナイテッド千葉)
INが12人、OUTが23人。多くの入れ替わりが起こっている。
OUTがINの倍近い人数になっているのはかつてU23でプレーしていていた選手や、大熊清氏が強化担当だった時期に長期契約を結んでいたため契約は残っているもののトップチームでは構想外となっていた選手が多かったからで、人数としては大きな変化はない。
また様々なメディアで今季のチーム編成についてはネガティブな報道も多く出ているが、それはある意味当然だろう。
絶対的な存在でありチームの中心だった坂元と瀬古に加え、大久保と藤田という頼りになり計算できる選手、そして松田力や高木、豊川、小池という貴重なバックアッパーがチームを離れたが、加入した選手で本当の意味でJ1で実績があるのは山中ぐらい。次いで一昨シーズンまでセレッソでプレーしていたブルーノ・メンデスと昨季途中から徳島でポジションを掴んだ鈴木がいるが、そのほかの加入選手はJ1初挑戦となる選手がほとんどだからだ。
昨季J2で存在感を発揮していた中原、毎熊、上門にももちろん3年前の坂元の様に一気にブレイクする可能性もあるが、なかなかそれを開幕前から計算に入れることはできないだろう。
なので逆に言えば今季のセレッソは新加入選手がどれだけブレイクすることができるか。彼らがブレイクし他のチームからも注目されるような存在になれるかどうかにかかっているとも言える。
■ポジション別チーム編成
GK
キム・ジンヒョン、清水圭介、ダン・バン・ラム、真木晃平、春名竜聖
今季もキム・ジンヒョンが中心であることには変わりなくセカンドGKを清水とダン・バン・ラムが争う形になる。
清水は京都でプレーしていた昨季も京都のセカンドGKだったが、シーズン終盤に正GKだった若原が怪我で離脱したことを受けて最後の8試合は先発出場。十分計算できる。
右SB
松田陸、毎熊晟矢、(進藤亮佑)
絶対的な存在である松田に新加入の毎熊が挑む形。松田も毎熊もオーバーラップからのクロスという特徴はあるが、松田はロティーナとの2年間を経てそれ以上にプレーの幅を身につけてた。毎熊がポジションを掴むにはここを身につけることができるかどうかだろう。毎熊には高さという絶対的なアドバンテージがあるのでここを掴むことができれば面白い存在になる。
また、松田はロティーナ時代に発揮していたカウンターケアでの存在感が薄れつつあるのが気になるところではあるが、これは個人の問題というよりもチームの監督の問題である。
左SB
丸橋祐介、山中亮輔、舩木翔
ここは丸橋と山中のガチンコ勝負。どちらも左足のキックという武器を持っている選手ではあるが特徴は若干異なるのでチームが選択する戦い方にもよるだろう。大外レーンでの上下動ということであればスピードと身体能力に勝る丸橋に、内側レーンでのプレーもということであれば横浜FM時代にその役割を担っていた山中にアドバンテージがあるか。
3人目として名前を上げた舩木は練習試合でも控え組のCHやCBをやっていた様に少し厳しい状態からのスタートとなる。
とはいえ2019年には開幕スタメンを掴み、当時のロティーナ監督からは丸橋からポジションを奪うのでは無いかと期待されていた選手。3人の中でも斜めに入れるパスは最も上手いのでここからの巻き返しに期待したい。
CB
西尾隆矢、進藤亮佑、山下達也、鳥海晃司、(マテイ・ヨニッチ?)
ディフェンスリーダーの瀬古歩夢がチーム始動直後に移籍したことで、ここまでのファーストチョイスは西尾と進藤、鳥海は少し出遅れている。
また瀬古の移籍により補強に動いていることを明言しており、一昨年までプレーしていたヨニッチの復帰が噂されている。
ヨニッチが復帰すれば、どのタイミングで入国できるかにもよるが、ヨニッチと西尾という組み合わせになる可能性が高そうだ。
もちろんヨニッチが戻って来れば頼もしいが、気になるのがヨニッチ、西尾、進藤、山下と右CBが本職の選手ばかりになってしまっているところ。
できれば左足でのプレーを苦にしないCBがほしい。
CH
奥埜博亮、原川力、喜田陽、鈴木徳真、中島元彦、岡澤昴星
負傷や体調不良で奥埜、原川、喜田という昨季プレーした選手がなかなかプレシーズンでプレーできなかったのがこのCH。
その中でも徳島から加入した鈴木が存在感を発揮し、昨季はサイドでプレーしていた中島もまずまずのプレーを見せていた様子である。
奥埜と原川は既に復帰している様なので彼らが開幕に間に合うのか、そして鈴木や中島にチャンスがあるのかというところだろう。
実績ある選手の調整が遅れているのは不安ではあるが、もし間に合わなかったとしても一気にポジションを掴んでしまうだけのポテンシャルは鈴木にはある。
右SH
中原輝、清武弘嗣、ジェアン・パトリッキ、新井晴樹
絶対的な存在だった坂元が抜けた右SHは今季最も注目が集まるポジションだろう。
期待がかかるのは坂元と同じ山形から加入した中原。同じポジション、同じ利き足ながらも、大外レーンで1対1で縦にも勝負できた坂元に対して中原は味方を使ったコンビネーションからカットインしていくプレーが多いのでそのあたりの特徴をどのようにチームに組み込むかになる。
またプレシーズンのトレーニングマッチでは清武も右サイドでプレーしている様子。ただ清武が右サイドに入った場合は大外レーンを右SBが担当することになるので、ビルドアップの立ち位置やボールの運び方を変えなければならなくなる。ここをどうするのかが監督を含めたコーチングスタッフの手腕にかかってくるだろう。
そして日本代表の守田が所属し、FC東京から田川が移籍したサンタクララから加入するジェアン・パトリッキは本職が右サイドとのことだが、いつ来日できるか。
左SH
乾貴士、清武弘嗣、新井晴樹、為田大貴、ジェアン・パトリッキ、中島元彦
今のところ左SHのファーストチョイスとなっているのは乾。昨季終盤に手術した負傷も癒えコンディションも良いとの情報も出ている。
もちろん乾が加入するまでここでプレーしていた清武も問題なくプレーできるだろうが、乾と清武を共存させるために選択したのは清武のポジションを動かす形をとっているようだ。
また昨季途中に枚方から加入した新井もチーム始動からプレーできているこのプレシーズンはサブ組ながらも存在感を発揮しているようで、今季楽しみな存在になりそうである。
その一方で昨季は負傷で出遅れた為田は今季も出遅れている様子。他の選手とは異なるリズムでプレーする為田は不確定要素を作れる面白い存在なので早めにコンディションを上げてきてほしいところ。
FW
加藤陸次樹、山田寛人、上門知樹、ブルーノ・メンデス、清武弘嗣、アダム・タガート
昨季も小菊監督就任以降2トップのファーストチョイスとなっていたのが加藤と山田。現状はその2人にまだコンディションが上がっていない上門とブルーノ・メンデスが挑むという形になっている。
またさらに昨季チャレンジしたものの最後まで定まらなかった乾と清武の共存を考えて清武のFW起用にもトライしている様子も伺える。
とは言え清武をストライカーとして起用するのは考えにくいので、実際に清武がここに入った場合は4-2-3-1のトップ下という役割になるのだが、どうしても清武がトップ下に入ると下がってボールを受けることが増えてしまうので、下がりすぎないためにも、そして裏を狙ってもらうためにもあえてFWとしているのだろう。
乾との共存を考えると清武をFWで起用し、右サイドには中原やジェアン・パトリッキという本職のサイドプレーヤーを配置するのが最もスムーズなのだろうが、そうなるとFWが実質1人になるのでそこをどう考えるか。
新加入の上門は一昨シーズンまでは2列目で起用されることが多かったが、セレッソでは昨季岡山でプレーしていたFWとしての起用となりそう。高さはないが攻守において運動量があるし背後を狙え、さらにシュートは本当にすごいので期待したい。
ちなみにサポコンで「上門のシュートはブレ球ではなくナックルボール」と紹介していたが、野球の「ナックルボール」はサッカーでいう無回転のブレ球のことである。
■予想布陣
予想布陣A |
予想布陣B |
■戦い方について
練習試合などの動画を見る限り戦い方のベース自体は昨季からそこまで大きな変化はなさそうである。
ただクラブが言う「攻撃的」や「ワクワク」はどうやら縦への速さやチャレンジするパスの頻度のことを言っている様なので、試合のテンポは速くなっていくのではないかと思われる。
ただそうなるとトランジションの機会も増え同時にカウンターを受けるリスクも増える。
おそらく小菊監督はリスク管理よりもアグレッシブさを重視するのではないかと考えている。
これはおそらく文化の違いなんだと思うが、ロティーナ監督だけでなく、浦和のリカルド・ロドリゲス監督やFC東京の監督に就任したアルベル監督の一般的には「攻撃的」だと言われている監督も戦い方を細かく分析すればチーム設計の中にリスク管理を必ず組み込んでいる。
それに対して日本人監督はプラス部分を重視して多少のリスクには目を瞑る傾向があり、小菊監督も昨季の戦い方を見ている限りどちらかといえば後者だからだ。
そして仕組みや設計でリスク管理の部分を調整しないとなると最もシンプルな対策は「人選」となるが、これも最初からガッツリ取り入れるということはないだろう・
となると、重要になってくるのは選手間での調整や選択。
具体的に言えばボールの失い方や、流動的に動いたときの選手同士の距離などで、これで特にネガティブトランジションをどれだけカバーできるかが重要になってくると思われる。
中盤には清武、乾、原川など経験ある選手も多いので彼らが中心になってどれだけチームのやりたいこと、やろうとしていることをサポートできるか、つなぐことができるかに期待したい。
そしてこれは昨季のシーズンレビューで書いたゲームモデルの繋がりの部分と同じ話しでもあるので、中心選手の経験と若い選手のブレイクが今シーズンの躍進には欠かせないだろう。
お疲れ様です。いよいよ開幕ですね。
返信削除J2からの個人昇格組は去年同様J2と同じレベルの活躍は難しいと見ているので去年のレギュラー組に期待です。
山下は左CBをしていたこともありましたが、あの時は扇原がいて、山下の左に落ちることが出来ていたのもあったので、出来れば左利きのボランチかセンターバックをどこかで補強して欲しいです。
清武も代表デビューは右サイドでしたが、あの時とはプレースタイルも変わっているので右サイドの固定が誰になるのかは今年の鍵ですね。