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Lineups
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スターティングメンバー |
最終節を前にしてグループEは浦項が前節のセレッソ戦の勝利で勝点12となり1位抜けが決定し、セレッソ・山東・ブリーラムの3チームが勝点5で並ぶ状況。
ACLの順位決定ルールで対象チームの当該成績がまず優先されその次に得失点差と決まっているので、セレッソが勝利すればブリーラムにホーム4-0/アウェイ2-2という結果を残している為に浦項対ブリーラムの結果に問わずセレッソの勝ち抜けが決定。
セレッソ対山東が引分けに終わると、浦項対ブリーラムが引分けの場合セレッソ得失点差の関係でセレッソの勝ち抜け、浦項が勝てばセレッソがホームで山東に1-3で敗れている為に山東が勝ち抜け、ブリーラムが勝てばブリーラムが勝ち抜け。
セレッソ対山東で山東に敗れるとその時点でセレッソの敗退が決定、浦項対ブリーラムで浦項が勝つか引き分けると山東が勝ち抜け、ブリーラムが勝つとブリーラムが勝ち抜け。といろいろな条件はありますが、セレッソは山東に勝てば勝ち抜け決定と3チームの中で自力突破の可能性が唯一あるチームなので有利と言えば有利なのですが、ホームでの対戦時にヴァグネル・ラヴの個人技でやられておりそのアウェイでさらに中国での試合ということでそう簡単な条件ではありません。
勝ち抜けがかかった一戦であり、南野が前節のレッドカードで出場停止、ポポヴィッチが退席処分を受けているのでベンチ入り停止という状況でのセレッソのメンバーはなんと3バック。ホームでの浦項戦の後半途中から山下とカチャルのポジションを左右入れ替えアンカーに入っていた染谷が最終ラインに降りてからは比較的近い形にはなっていましたが、その時間には南野が既に退場し10人になってからのスクランブル状態だったのでほぼぶっつけ本番の布陣です。
3バックは右から山下・染谷・カチャル、WBには右に新井場・左に丸橋、ボランチに山口と扇原、ワントップにフォルラン・右シャドーに柿谷・左シャドーに長谷川が入っており、リーグ戦の前節FC東京戦で失点に繋がるプレーをしてしまった酒本と、布陣変更で杉本がベンチスタートとなっていました。
一方の山東はホームでの対戦時と同様4-4-2の布陣。
これもホーム対戦時同様、ヴァグネル・ラヴとアロイージオの2トップで左SHにはモンティージョが入っている。
■3バックの狙い
マッチアップ |
山東の布陣は4-4-2。前回対戦時の印象としては、中国籍の選手にスピードがある選手はいるものの基本的にはヴァグネル・ラヴとアロイージオの2トップと左SHのモンティージョの3人が攻撃の中心でこの3人のクオリティで何とかしてしまうチームでした。
ヴァグネル・ラヴに関しては距離をつめて守ると体を使って反転してしまうし、距離を開けると自由にさせてしまうという1対1ならほぼどうしようも無いのが現実で、そこに人数をかけたい。そして左SHのモンティージョのところにも守れる選手を置きたい。単純にを満たす形という事もあるでしょう。
あとおそらくもう1つの狙いは3バックでできるミスマッチ。ポポヴィッチはFC東京時代にも対浦和や対広島のミラーとして以外でも時々3バックを使ってた記憶もありますし、一昨年のセレッソ対FC東京のホーム対戦時も試合途中で3バックに変更しています。また大分時代にもやってます。というよりそもそも日本に現浦和のペトロビッチのコーチとしてセットで来てるので3バックという選択肢はポポヴィッチの中にはあるんでしょう。
ミスマッチについては最近の柏戦でも書いたので細かくは書きませんが、単純にシステムを重ねてみてもマッチアップが噛み合ってない場所が結構あるという事です。
セレッソ守備時のマッチアップ |
セレッソの守備 |
後ろに人数を揃えているとはいえ相手には強烈なのがいるのでセレッソとしてはできるだけ押し込まれたく無いのでラインは高めに保ちたいので最終ラインは高めに設定したい。
という事で、セレッソは中盤の4枚は素早くブロックを作って相手ボランチとSBにはプレッシャーをかける、CBは放置という事を徹底していました。
そして、セレッソが最終ラインを上げるならば当然山東は前線の強烈なのに裏のスペースを狙わせますよという事で、後ろからスペースにめがけて長いボールを入れはじめます。
しかしセレッソもおそらくこの試合に向けたトレーニングではこの裏を狙われた時の対応までを重点的にやってたんでしょう。裏のスペースに飛び出すヴァグネル・ラヴとアロイージオに対して山下もしくはカチャルで対応しそこにかならず真ん中の染谷がカバーに入るという形まで徹底できていました。
しかし5-4-1でセットできないカウンターからだとそれが上手く行かず、スペースを得たアロイージオが山下との1対1で巧みにボールを運ぶと後ろから上がってきた30番とのワンツーで裏に抜け出す。山下は懸命にタックルするもアロイージオのコース取りが上手く軸足ごと払ってしまってPK。
山下の対応というよりも人数は揃ってながらも30番のモンティージョを完全に浮かせてしまっていた事が簡単にワンツーで抜けだされた原因で与えたPKをヴァグネル・ラヴに決められて失点。山東が先制します。
PKを取られたシーン |
これはこの試合だけでなく、今シーズンはこのようにボランチがそのポジションの左右に関係なくカバーや相手を捕まえる為に逆サイドにまで出て行くシーンが見られます。
しかし実はこれ去年までならほとんど見られないシーンでした。なぜならフリーで広大なスペースを持ったカウンターとかじゃなければこの様なカバーリングをクルピは絶対にさせなかったんですよね。
もしこの様なシーンが去年までの紅白戦であれば扇原が山下のヘルプにいった時点で「タカ!タカは左ボランチやぞ!そこまで追っかけたら真ん中をどうするんや!」って絶対にクルピに言われてたでしょう。
クルピ監督は守備のやり方について、それでうまくいくなら選手がやりたい方法を柔軟に採用してくれる監督でしたが、このボランチの左右についてはかなり厳格でした。扇原は自分よりも山口の方が前線に大きく飛び出す事が多い分、この様な状況で行ってしまう事も多くよく怒られていました。
クルピのやり方だと、ここは右ボランチの山口が戻れてて山口がヘルプに行くならOKなんです。けどこの時の様に山口が間に合ってなかったとしても扇原が行くのはダメ、アロイージオに対しては山下と新井場で対応して扇原は真ん中でスペースを埋めるというのが正解、また新井場がもし間に合ってなかったとしても山下で対応して染谷が山下のカバー扇原は真ん中が正解なんですよね。扇原自身はスペースもあるし何とかしないといけないという事で行ってるんですがそれで怒られるし、クルピも手取り足取り教える様な事はほとんどしないので最初の頃はよくふくれてた事を思い出しました(笑)。
単純に扇原の動きだけでは、クルピのやり方と今のやり方とどっちが正解というのはないのですが、ただ今回に限って言えば染谷と新井場の動きも合わせると結果的に扇原はクルピ流でやった方が良かったですね。今のやり方だと扇原が行って新井場が間に合ってるなら染谷がモンティージョのスペースに出て行かなきゃいけませんでした。
■ミスマッチの効果
セレッソ攻撃時のマッチアップ |
山東の監督はクーカ。ブラジル人です。ヨーロッパの監督ならこの相手の布陣をみてスグにマッチアップを合わせる対応をとってきたかもしれません。けどブラジル人はあんまりそんな事はしないってのはセレッソサポーターなら知ってるはず。いわゆるミシャシステムに対して人数を合わせたのは昨シーズンからでしたしね(笑)。
セレッソ攻撃の形 |
まずセレッソの前線1トップ2シャドーに関しては最終ラインの4人、左右のシャドーはSBが絞って対応する事になります。
となるとミスマッチが起こってくるのは両サイド。
シャドーが下がるとボランチとWBとで相手のボランチとSHに対して3対2の状況を作れるし、WBが最前線にまで飛び出せばシャドーとWBとで相手SBに対して2対1の状況をつくれる。
そしてさらにそこまでを何とか捕まえたとしても3バックの両サイドが前にでてくるともう枚数は完全に合わなくなります。
という事でカチャルがフリーなのでどんどん上がってくるというシーンが前半から何度も見られる様になっていました。状況的に言えば広島で上がってくる塩谷はなかなか捕まえにくいという感じに近いですね。
フリーで上がってくるカチャルに対しては山東のこのままのやり方だと2トップのどっちか1枚が対応しないといけないんだけど、ヴァグネル・ラヴもアロイージオもほとんど守備しませんし、中盤の例えばボランチが行けばセレッソのボランチも空いてくる。
ヴァグネル・ラヴは先制して気がゆるんでるのかもっとボールに触りたがってモンティージョとポジションを入れ替わって中盤にいてる事も多かったんですが、中盤でもほとんど守備をしないのでどんどんスペースができていました。
丸橋からのクロスをフォルランが頭であわす形や、簡単に扇原がフリーになれる扇原からの裏一発や、山東は4バックでこのミスマッチに対してほぼノープランで守ってるのでどうしても大外が空いたりするので、セレッソのこのシステムに対する完成度は決して高くはなかったものの徐々にチャンスを作れる様になっていました。
柿谷がサイドに開き過ぎているのでもう少し中でプレーをしたらもっと右サイドのミスマッチを活かして厚みをつけれたんでしょうけどね。
同点ゴールのシーン |
山口がインターセプトして柿谷にパス、柿谷にはSBがついていかないとそこで人数が足りなくなるので一緒について行くんですがそこで、山口が前に出て柿谷がフォルランに出した時点で局面は3対3。
そこに後ろから柿谷が飛び出すと完全に数的有利になっていて山口からのスルーパスを長谷川がスルーで柿谷がGKと1対1になり、それを落ち着いて決め46分にセレッソが同点に追いつきました。
オリジナルポジションでは柿谷を見てるのは左SBでSBがついていけないところまでいけばそもそもミスマッチが起こってるので簡単にフリーになれるというところですね。
そしてさらにその2分後、山口が相手ボランチと入れ替わり飛び出して行くと簡単に数的有利の状況に。
山口からフォルラン、丸橋とつなぎ、丸橋のクロスをフォルランが落ち着いて決めて48分にセレッソが逆転します。
山口が入れ替わった所から一気に最前線に飛び出しているのでプルアウェイの動きでペナルティアーク辺りに入ってくるフォルランは全く誰も見れていませんでした。
後半の立ち上がり、おそらく山東はヴァグネル・ラヴを前線に戻し、マークは前半よりももっとしっかり相手を捕まえようとしてきたんでしょうけど、ミスマッチからポジションチェンジをされると全くついていけないという状況になっていました。
53分〜 |
前に人数をかけれるようにしてきます。
57分〜 |
そして57分、山東はさらに右サイドの13番チャン・ウェンチャオに代えてスピードがあるFW登録の21番リュウ・ビンビンをそのまま右サイドにいれます。
ただ、やっぱり山東はヴァグネル・ラヴもアロイージオも守備をしないから中盤は実質3人で守ってるんですよね。まあほぼぶっつけ本番の3バックなんで仕方がないんですが、こういう時間でもうちょっとボールを繋いで相手をいなしながら空いているスペースを狙うという広島的な攻撃をしたい所でしたがなかなかそうは上手く行きませんでした。
なので前掛かりになった山東の圧力の前にセレッソの5-4-1のブロックが下がっていく事になります。
ただ、広島だったり去年の甲府だったり何度もセレッソもそれで苦しめられているので知っているとは思いますが、引いた5-4-1のブロックは相当強固でスペースをキッチリ消せればそう簡単にはやられないんですよね。あとやっぱりヴァグネル・ラヴは司令塔気取りかしらないですけど、中盤でボールに触りたがってくれるのも非常に助かっていました。
どう考えても背負ってゴリゴリヤラれたほうが嫌なんですけどね。
ただ、この5-4-1で引いて守る形。
これは守備はかなり強固なんですが、そこから攻撃に持っていくのがかなり大変なんですよ。システムを4-1-5に代えたり後ろからリスクを負ってでもパスを繋ぐって形で何年もやってる広島が今年から3-4-3になって前線からプレッシャーをかけに行ったりしてるぐらいなんで、昨日今日始めたセレッソには当然その仕組みは備わってないのでどうしても押し込まれる事になってしまいました。
79分〜 |
75分、山東は少し前に足を痛めていたアロイージオに代えて17番のウー・シンハンをそのまま左サイドに。
79分、セレッソはフォルランに代えて杉本をそのまま1トップの位置に。
と交代を重ね、さらにその直後に相手のクロスボールをキャッチにいったキムジンヒョンが山下と交錯して首から落ちるというかなり危険なアクシデントがありましたが、おそらくキムジンヒョンの意思でプレー続行。
アディショナルタイム |
アディショナルタイムにはセレッソが93分に柿谷に代えて永井、95分に長谷川に代えて酒本を投入し押し込まれながらもそのまま逃げ切り成功。
2-1で逆転勝利。グループリーグを勝ち抜けが決まりました。
■その他
久しぶりの勝利、逆転で勝利する事ができました。
博打的な3バックでお世辞にも完成度が高いとは言えない形でしたが、また3-4-2-1でミスマッチを作る事で選手個々の能力の高さが山東のやり方・現状にもハマりました。
これまで何度か書きましたが、今年の戦力でグループリーグ敗退では完全に失敗だったのでなんとかグループを抜ける事ができて正直ホッとしました(笑)。
試合終了後に救急車で搬送され心配されたキムジンヒョンも無事みんなと帰国できましたし。
ただ2位抜けなので次はアジアチャンピオンの広州恒代が相手です。
リッピ率いる広州は浦和ともやってますのでこの試合の様な付け焼き刃ではさすがに厳しい可能性が高い。
ホームでの1stレグが5/6なのでそれまでほとんど時間はありませんが、それまでにどれだけのチームにできるかですね。選手の能力的には全く負けてるつもりはないですが正直不安もありますね(笑)。
実はまだ隠してるのがあるって感じで、ポポヴィッチがもう1回ぐらい変身をのこしてないかなあ(笑)。
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