2018年8月11日 13時00分:札幌ドーム
予想スタメン |
真夏の12連戦もいよいよ8試合目となる明治安田生命J1リーグ 第21節。セレッソ大阪は敵地札幌ドームで北海道コンサドーレ札幌との対戦となる。
■前回の対戦
前回の対戦は3月2日の第2節。本拠地キンチョウスタジアムで行われた一戦はセレッソが2点先行するも追いつかれ、さらに追加点で突き放すも追いつかれるという形で3-3の引き分けに終わっている。今季からミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任しミシャシステムに取り組んでいる北海道コンサドーレ札幌。開幕戦ではコンパクトな布陣で縦に速い攻撃を見せる広島相手に1-0で敗れたもののミシャシステムが浸透しはじめていることを感じさせていた。
そして迎えたこの試合。前半はセレッソはミシャシステムに対して尹晶煥が取る代表的なやり方。ハイプレスからのショートカウンター、攻守の切り替えのスピードでペースを握る。
杉本が奪った先制点はク・ソンユンのミスキックからだったがSHが素早い切り替えでWBの裏を付く形。そして2点めとなった高木のゴールは敵陣でボールを奪ってからのショートカウンターだった。
しかし後半に入ると徐々にミシャシステム特有の前後分断にセレッソの守備がまんまとハマっていく。後半から交代で入った兵藤が4-1-5ではなく3-2-5の形で組み立てるビルドアップがかなり効いていた。
そして62分にチャナティップの初ゴールで1点を返すと試合はオープンになっていく。それを防ぐためにセレッソが5バックにしようと山村を投入したタイミングでセットプレーが流れたところから深井に決められ2-2の同点に追いつかれる。
しかしその3分後にカウンターから柿谷が決めて再びセレッソがリード。これで試合は決まったかと思われたがオープンになった状態は変わらず79分に進藤が決めて3-3の同点。
尹晶煥対ミシャはハイスコアゲームになることが多いのだがまさにそんな試合だった。
■現在の北海道コンサドーレ札幌
前回のセレッソ戦も含め開幕から3試合勝利なしという形で始まった今季の北海道コンサドーレ札幌だったが、前回対戦時にもすっかりミシャシステムが浸透していることを感じさせたようにその後は快進撃。前半戦はセレッソと3位争いを繰り広げており、再開後はセレッソが勝ちがなく順位を下げている中で現在も台風の影響で1試合消化が少ないながらも4位と上位を保っている。ミシャシステムのベーシックな部分はこれまで何度もこのブログで書いてきたので割愛するが、今季はこれまでのミシャシステムから変わっている部分も多く見られる。
その1つがビルドアップの形。
これまでミシャシステムと言えば4-1-5。ビルドアップの中心となっているのはCBの2枚と中盤の1の選手だったのだが、今季の札幌は3バックのままで3-2-5の形でビルドアップを行っている場面もかなり多く、さらにチーム内で最もパス数が多いのが3バックの左に入る福森となっているのだ。
その結果これまで攻撃時の4-1-5から守備時の3-4-3または5-4-1に変化する時間が短縮され、守備への対応がスムーズになっている。
そしてもう1つの変化がパスの質。
今季の前半戦第17節終了時点での1試合平均パス数が503.1本でリーグ10位。同期間のセレッソがリーグ9位の508,0本だったので実はセレッソよりも少ない。
ミシャシステムといえばパスの多さが特徴的で、これまで広島でも浦和でも常にリーグ1位、2位の本数を記録していたのだが、今季の札幌はかなり少ない。
またこのパスを方向別にみると特徴的なのが前方パス数。1試合あたりの前方パス数169.4本はリーグ17位でしかない。
この少ない前方パス数で攻撃の組み立てが可能となっているのは、縦パスの距離が長いから。札幌ではこれまでのミシャサッカーでほとんど見られなかったロングボールという選択肢が加わっている。
これは前節の柏戦でも顕著に見られ、柏のハイプレスに対して札幌は躊躇なくボスロイドへのロングボールでそのプレッシングを回避していた。
また現在の札幌で特徴的なのがドリブルだろう。
ミシャシステムといえばパスの印象が強いが今季前半戦の札幌はリーグ4位となる1試合平均13.5回のドリブルを記録しているのだ。
そしてこのドリブルで主役となっているのが駒井と三好。この2人だけでチームの半分近いドリブル数を記録している。
駒井はサイドアタッカーなのでドリブルが多いのはまだわかりやすいが、三好はシャドゥ。そこまでドリブルでというポジションではない。そんな中でもこれだけのドリブル数を記録しているのはカウンターの時にボールを運ぶ役割を担っているから。
札幌の試合を見ていると自陣で奪ったボールを受けた三好がドリブルで一気に敵陣に運ぶ場面をよく見る。そしてこのプレーで気がつくのが、三好は5-4-1で守っているときも中央に近いレーンに移動するタイミングがかなり速いことだろう。
ただ、この中央に近いレーンに移動するタイミングが速いのは、5-4-1の時にあまりサイドのスペースに入っていないからでもある。左シャドゥのチャナティップは左WB菅の前にきちんとポジションをとるが、三好は結構中央近くをフラフラとしている場面も目立つ。
さらに目につくのが福森と進藤の両CBが前に出た時の仕組みだ。
広島でも浦和でもミシャシステムといえば槙野や森脇の3バックの両サイドがSBして前線に出る形は見られた。
なので当然札幌でもその形はあるのだが、札幌ではSBしたCBが前に出た時にWBの選手が内側に移動する形が見られるようになっている。
その結果、これまでのミシャシステムではSBした選手がオーバーラップした時のカバーリング、ボールを奪われた時に大きな問題を抱えていたのだがこれがかなり改善されている。
ここまで札幌の変化を中心に書いたが、札幌の現在のチーム状態はそれほど良くない。
中断前の第14節からの6試合(第18節は台風で延期)の成績は1勝2分3敗。前々節にアディショナルタイムの劇的ゴールで勝利した長崎線以外は勝てておらず、前節も苦しんでいる柏に敗れている。
■プレビュー
北海道コンサドーレ札幌の先発メンバーだが、ペトロヴィッチ監督と言えばメンバー固定。なので前節から1週間空くこの試合ではいつもの先発メンバーと変わりないだろう。ただチームの中心である左CBの福森が左足を痛め別メニューとなっているとの情報もある。福森が外れてもバックアッパーとしては石川はいるが、札幌にとっては大きな痛手だろう。
一方のセレッソ大阪だが、この試合が12連戦の8試合目という状況になっているもののミッドウィークのスルガ銀行チャンピオンシップでは先発11人全員を入れ替えた。なので先発メンバーは前々節の11人がベースになってくるだろう。
そして、前々節はコンディションの問題でベンチ外となった柿谷と山村もすでに復帰しており、彼らが先発メンバーに入る可能性も十分ある。
そしてもう1つがミッドウィークのスルガ銀行チャンピオンシップで試した3バック/5バック。
ミスマッチ系の札幌との対戦なのでここで使う可能性もあるだろう。
ただこの試合は空調が効いているので今日本で最も良いコンディションでサッカーができる札幌ドームでの試合。となるといつもの4-4-2でプレッシングをかけても面白そうだ。
ということで4-4-2で挑むならば、やはりプレッシングがポイントとなってくるだろう。
ボスロイドとヨニッチのエアバトル、そしてセカンドボール争いは試合の流れを大きく左右する。
そしてゲームコンディションの良さからいえば札幌も高い位置から守備をしたいと考えるのだろうが、札幌はボスロイドを前線で起用しているためなかなかそれを長い時間続けることができていない。となると5-4-1をいかに攻略するのかという部分も大きなポイントとなる。
ここで期待したいのが両SH。5-4-1で守る場合SHがインサイドに入られるとボランチ周りにスペースが生まれることが非常に多い。そうなると札幌は最終ラインにギャップを作ってしまうことも多いので、清武のスルーパスから柿谷や杉本というのは大きなチャンスになるはずだ。
またボールを持つことができれば三好とマッチアップする場所も大きな可能性がある。
先程三好は中央近くのレーンに移動するのがかなり速くカウンターの起点としてかなり効果的なプレーを見せていると書いたが、それは守備でサイドのスペースを埋めきれていないからでもある。ちょうどセレッソでここに入るのは丸橋とソウザ。セレッソのストロングポイントの1つでもある。
ここまで厳しい戦いが続いており、札幌ドームは最も苦手な会場の1つでもある。
しかし勝ち点3を奪うチャンスはかなりあるのではないだろうか。
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