スタジアム | 山梨中銀スタジアム | 主審 | 西村 雄一 |
入場者数 | 2,957人 | 副審 | 中井 恒、中野 卓 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴れ / 29.4℃ / 47% | 第4の審判員 | 岡 宏道 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 尹 晶煥
- 監督
- 上野 展裕
試合経過
- 120'
- 106'
-
91'
-
90'
- 88'
-
82'
-
80'
- 79'
-
78'
- 61'
- 44'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 17 | 23 | 16 | 16 |
CK | 1 | 4 | 6 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 6 | 15 | 13 | 11 |
警告/退場 | 1/0 | 1/0 | 1/0 | 1/0 |
公式記録(pdf)http://www.jfa.jp/match/emperorscup_2018/schedule_result/pdf/m79.pdf
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督ヴァンフォーレ甲府 上野展裕監督
セレッソ大阪 キム・ジンヒョン選手、山口選手、山下選手、オスマル選手、安藤選手
ヴァンフォーレ甲府 曽根田選手、窪田選手、ビョン・ジュンボン選手、橋爪選手
1ヶ月ぶりに行われた第98回天皇杯全日本サッカー選手権大会4回戦、セレッソ大阪は敵地山梨中銀スタジアムでヴァンフォーレ甲府と対戦し0-1の敗戦。前回大会ディフェンディングチャンピオンとして迎えた今大会は4回戦で敗退することとなった。
■メンバー
トーナメント表上では上に記載されているためホーム扱いとなるこの試合だが、下位カテゴリのチームが開催優先権を持つという一発勝負である天皇杯ならではのルールがあるため、アウェイスタジアムでアウェイユニフォームを着て戦う天皇杯4回戦。セレッソ大阪の先発メンバーは、この試合が1ヶ月以上に渡り続いている12連戦の11試合目ということでリーグ戦前節から全員を入れ替える可能性も高いのではないかと思っていたが、実際に入れ替わったのは7人。CBに山下、左右のWBに酒本と田中裕介、ボランチに秋山、1トップ2シャドゥに山内、水沼、福満が入り、キム・ジンヒョン、木本、オスマル、山口の4人は引き続き先発で起用された。
また杉本やソウザ、清武、丸橋、松田はメンバー外となったが、高木はベンチ入り。丹野、片山、森下、藤本、田中亜土夢、安藤もベンチに入っている。
一方のヴァンフォーレ甲府。リーグ戦では吉田達磨氏を第11節で解任し元山口監督の上野展裕氏が監督に就任するも現在J2で14位。就任直後の5試合で4勝1分と勝ち星を重ねたが、その後ペースダウンしている。ただカップ戦では勝ち上がっており、この天皇杯でも3回戦で清水を下し4回戦に進出。さらにルヴァンカップでも浦和レッズを下しノックアウトステージに進出している。
そしてこの試合の先発メンバーは、リーグ戦前節の愛媛戦からキャプテンマークをつけた窪田だけが引き続き先発で、他の10人を入れ替え。ちなみに天皇は3回戦からは8人が同じメンバーで3人が入れ替わっている。
また布陣は3-4-2-1。阿部翔平はこれまで左SBや左WBで活躍してきた選手だが、この日のポジションは左シャドゥ。今季は出場機会をかなり減らしているが、その中でもサイドではなくセンター気味のポジションで起用されているらしい。
■リンクしていない前線3人と後ろの7人
立ち上がりからセレッソは攻守共にかなり厳しい状態だった。高い位置から守備を始める甲府 |
共に3-4-2-1ということでマッチアップが合っているので、前線の1トップ2シャドゥが高い位置から守備をスタート。最初から激しくボールを奪いに行くということではなくコースを切りながらサイドに誘導し、サイドにボールが出るとWBがWBに対してアプローチに出て、ボールサイドのボランチは相手のボールサイドのボランチを捕まえに行くという形を取ってきた。
これに対してセレッソは4分に山口のところでボールを失いカウンターを受けかけたシーンに象徴されるようにボールの逃しどころを作ることが出来ず、ボールを運ぶ形を全く見つけることができなかった。
そうなった理由の1つが、ボランチの位置で秋山大地がほとんどビルドアップに絡むことができていなかったから。
自分がボールサイドにいる時は流石にサポートに入れるポジションを取っているのだが、ボールサイドではない時のポジショニングが悪くほとんどボールに絡めない。また時々前に出ていく動きを見せるのだが、この日のセレッソの前線はタイプ的にはセカンドストライカーの山内と水沼と福満の3人なのでここに向かってロングボールを蹴りセカンドボールを狙うという様な形もとっておらず、またチームとして山内にクサビを当てるということもできていなかったので、ただ人がいないだけになっていた。
またそういった場合例えばシャドゥが引いてくると相手も付いて行きにくいのでとりあえずのサポートにはなるのだがそんな動きもなし。水沼と福満は下がってしまうと経験の浅い山内が孤立してしまうので、できるだけ山内のサポートができるポジションを取りたいと考えていたのかもしれない。
ただその結果、後ろの5-2(3-4)と前線の1トップ2シャドゥが離れてしまい、前線へのルートは断絶。立ち上がりそうそうの3分に山口が中盤の高い位置に出た時に水沼へパスを出したのを最後に1人で一気にドリブルでボールを運ぶか、山口から対角のパスで前に出たWBにサイドチェンジをしてそこから運ぶかしか後ろの5-2(3-4)と前線の1トップ2シャドゥをつなぐ方法がなくなってしまい、はじめてのシュートが38分というありさまだった。
ボランチ脇のスペース |
ただ、甲府にしてもこのサイドを起点として攻め込むことはできているのだが、セレッソの特に3バックに対して最終局面の1対1で全く勝てないので決定的な場面を作るまでには至らず、さらにミス絡みでビッグチャンスを得てもキム・ジンヒョンが全てストップ。
セレッソが全くシュートまで持っていけなかったということは先程書いたが、攻撃できているはずの甲府も33分に放った窪田の無理目のミドルが3本目のシュート。ゴールは遠いという状態だった。
■セレッソの個の力アタック
DFラインの背後を狙う |
「中盤で全く組み立てられないなら低い位置からやるしかないか」という感じである。
この後、31分には酒本から水沼、37分にはオスマルから福満、38分には酒本から斜めの動きで左サイドに出た水沼と同じパターンで攻める。
セレッソ初めてのシュートとなった38分の場面は大きなチャンスだったが、福満のシュートはポスト直撃。惜しくもゴールにはならなかった。
ただ、この攻撃もボールの出し手と受け手の距離が長い分、そんなにコンスタントにできる攻撃ではない。
それを踏まえると、さらに中盤が攻撃で全く機能していない中、低い位置からのロングボール一本でこれだけチャンスを作ったというのは逆にちょっと凄い(もしくは甲府の守備はどうなってるのか)とも言えるが、セレッソとしては個の力を差を活かしてここで得点を決めておきたいところだった。
■トレードオフ
後半に入ると前半に実際対戦した手応えや、おそらくハームタイムの指示もあってセレッソは木本とオスマルが甲府のシャドウに対して前に出て潰しに行く場面も見られるようになり、また攻撃でも、相変わらず中盤での組み立ては皆無だが、山口が相手がアプローチに出てこない3バックのラインにまで下がって対角の長いボールを入れる形も見せるようになる。61分〜 |
この辺りの時間帯から甲府の前線のアプローチが弱くなってきていたことを考えての交代だったのだろうか。
甲府の前線のアプローチが弱くなってきたことでセレッソがボールを持つ時間は前半よりも長くなってきたものの攻撃の質は改善されないまま。特に敵陣に入ると秋山大地は追い越すというか前に出る動きをさらに多用するのだがほとんど効果は無かった。
そしてセレッソがボールを持つ時間が長くなると、必然的に甲府の守備ブロックが下がっていく。となるとDFラインの背後のスペースはなくなる。
となると、前半から最も可能性のあったDFラインから背後へのロングボール自体が出せなくなる。ただその分、甲府陣内でファールを受ける回数が少しずつ増え、セットプレーの機会が増えた。
普段ならセットプレーが得意なセレッソにとってこのトレードオフは悪い話では無いのだが、この日は左右のレギュラーキッカーが不在。残念ながらメリットになりえなかった。
80分〜 |
セレッソにとっては攻撃が停滞しているので何かを起こさないといけないという交代だろう。一方の甲府は代わりに入った湯澤が右WBのレギュラー。中央は厳しいがサイドはまだ時間があるのでクロスで勝負したいと考えたのだろうか。
90分〜 |
延長戦に突入する。
■アクシデントが影響した延長戦
91分〜 |
流石に延長に入ると試合はオープンに。個々の能力ではあきらかにセレッソが上回っているのでセレッソとしてはどちらも間延びしたオープンな状態はそれほど嫌ではない。ということは甲府にとって嫌なので、甲府は守備の時に完全にブロックを落として守り、攻撃は崩すというよりもシンプルに敵陣でスローインを取れればOKという形になる。
そんな中、延長前半アディショナルタイムの105+1分の太田が抜け出しかけたプレーに対応した山下が両足をつってしまうことに。このまま延長前半は終了するが、山下はCBの位置でプレーできない状態になる。
106分〜 |
延長後半開始から1プレーを終えたところで甲府は太田に代えて曽根田を投入。
1プレー待ったのはセレッソの布陣を確認したかったからだろう。
交代で入った曽根田はシーズン後半戦に入って一気に存在感を増しポジションを掴んだ、現在売り出し中の選手だ。
この後半は山下がほとんどプレーできない状態なのでやはり押し込まれる時間が増え、攻撃では高木と安藤の両シャドゥに何ができるかという展開。
セットプレーや片山のロングスローに可能性を見出したいところ。
しかしなかなか厳しくこのままPK戦に突入するかと思われた120分、甲府のCKから片山がクリアするも山口と交錯して短くなり、さらにセカンドボール争いも一歩遅れたところでこぼれ球が道渕に渡りシュート。このシュートは山口が反応するもそのボールが木本に当たり目の前にこぼれた曽根田が反応してゴール。甲府が試合終了間際に得点を挙げた。
その後アディショナルタイムの2分間はセレッソが前がかりになるも何も起こせず試合終了。
延長戦の末、0-1でヴァンフォーレ甲府に敗れた。
■その他
延長に入り山下がほぼ動けないというアクシデントが起こった中でもギリギリまで粘ったものの、最後はさらにクリアボールのところでアクシデントが起こって失点というアンラッキーが重なったものだったが、試合内容自体も、とても褒められたものではなかった。連戦中に急遽代えたシステムに順応させるためにリーグ戦でメンバーを完全に固定した分、そこに入れなかった選手が多く出場していたこの試合は彼らにとってもかなり難しい試合だったとは思うが、前半から可能性があったのはDFラインからの長いボールというかなり難易度の高いものだけ。しかもそんな中で作ったビッグチャンスも決められなかったのだから、いくら個の力ではかなり上回っていたとはいえこういう結末になっても仕方が無い。
ディフェンディングチャンピオンとしてここで敗退となってしまうことはかなり残念だが、久々の先発となった中でも特に水沼や福満はリーグ戦でももっとやってもらわないといけない選手なので、この試合を踏まえてリーグ戦での奮闘に期待したい。
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