2019年11月5日火曜日

11/2 明治安田生命J1リーグ第30節 VS 松本山雅FC @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審西村 雄一
入場者数15,696人副審八木 あかね、五十嵐 泰之
天候 / 気温 / 湿度晴 / 20℃ / 31%第4の審判員中野 卓
セレッソ大阪C大阪
 
松本山雅FC松本
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • 反町 康治

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 ロティーナ監督
松本山雅FC 反町康治監督

セレッソ大阪 ソウザ選手、松田選手、鈴木孝司選手
松本山雅FC 永井選手

明治安田生命第30節、本拠地ヤンマースタジアム長居でのセレッソ大阪対松本山雅FCの一戦は、ソウザのゴールでセレッソが先制するも後半に追いつかれ1-1の引き分け。これで今季の勝ち点を50に伸ばしたもののもったいない試合となった。

■メンバー

セレッソ大阪の先発メンバーは前節から1人入れ替え。代わったのは負傷離脱となったブルーノ・メンデスから移籍後リーグ戦では初先発となる鈴木孝司。先発復帰かとの情報もあった丸橋はベンチスタートとなり、さらに片山、デサバトもベンチに復帰。ということでU-23からトップチームに帯同しベンチ入りかとも言われた中島、藤尾くんの2人はベンチ外となった。

一方の松本山雅FCの先発メンバーは前節から2人入れ替え。前節負傷交代となったセルジーニョはやはり間に合わなかったが、町田も負傷があったのかベンチ外。ということで2トップの一角には中美が入りインサイドハーフにはパウリーニョが起用された。
そしてベンチには千葉から移籍し8/31の大分戦以来2度目のベンチ入りとなる山本真希、そしてこちらも大分戦以来のベンチ入りとなる高崎が入っている。

■誰がどこまで来るか→どう運ぶか

立ち上がりは松本が前線からプレッシングをしかけてきたことでセレッソ陣内でのプレーが多くなっていたが、この時間帯はセレッソが松本のプレッシングに苦しんだというよりも誰がどこまで来るのかを確認していた時間帯だった。

セレッソは4-4-2、松本は3-1-4-2(もしくは5-3-2)。ということでサイドの枚数が異なるため、松本がプレッシングに行くにはサイドでの枚数をどう調整するかがポイントとなる。

松本のプレッシング
そこで松本がとってきたやり方はインサイドハーフの2人がSBにアプローチをかける形。2トップでCB2枚に対してアプローチをかけサイドにボールが出たときにSBに対してインサイドハーフがスライドし前に出てくる形。
これを確認したセレッソは10分ごろから
1)2CBと2ボランチの4人で、ボランチがCBの間に落ちる3-1や左右に落ちる左右非対称の3-1、さらに落ちない2-2など様々な形で2トップの制限をずらす。
2)3バック化した時には開いた2トップの間を通して残ったボランチに縦パスを入れたり、2トップ脇でボランチがボールを受けたりすることでインサイドハーフを中に絞らせてからSBにボールを出すという形で松本の中盤3人のスライドが間に合わない状況を作る。
という手順で時間とスペースを与えられたSBを基点にボールを前進させていく。

するとその後も 松本は何度も2トップからのプレッシングという形にチャレンジはするものの、セレッソのビルドアップに対して前からハメることができず、5-3-2でセットするような時間帯が増えていた。

松本の中盤が3枚なのでサイドチェンジでスライドさせるというのが定石だが、松本の最終ラインは5人なので4バックとは異なり大外に1人置いていくことができる。
なのでシンプルにサイドチェンジを飛ばすだけで逆サイドから簡単に攻め込むということはできないのだが、セレッソがそこで使うのが奥行き。
立ち上がりから10分間の様子見、そしてそこから見せたビルドアップにより松本はあまり前に出てこれなくなったので手前のスペースを使うことができる。
それがまさに活きたのが23分の先制点だった。
セレッソ先制点の起点となった舩木からの縦パス
この場面で基点となったのは舩木から鈴木孝司へと入れた縦パス。
松田からCBを経由するゆっくりとしたサイドチェンジで木本から舩木にボールが渡るのだが、先程書いたビルドアップの形同様に木本がボールを持った時に藤田が2トップ脇にポジションを取ったことでパウリーニョが少し藤田に引っ張られ舩木には時間とスペースが与えられる。
そこで岩上が後ろから出ていくのだが、その瞬間に柿谷が岩上の背後に。そしてその柿谷に対して飯田が(ファールからの流れだったので松本の3バックの立ち位置が若干入れ替わっていた)出ていく。
しかし舩木が出したのは柿谷のさらに後ろ、飯田の背後に飛び出した鈴木孝司。
この動きにより松本の5バックは実質4枚もしくは3枚+1ぐらいの状態になってしまい。ここからサイドチェンジで松田に出た時には高橋は間に合わず、松田からワンタッチでクロス。
そこにソウザが後ろから飛び込んでヘディングで叩き込んだ。
左右に完全に振られて、ソウザに対応することになったのは藤田息吹。対応が完全に遅れていた。

ということで前半はセレッソがコントロールしていた。
ただ、完全に思い通りになっていたという訳ではない。
というのも攻撃でDFラインの背後はあまり使えておらずその結果時折松本のプレッシングにひっかかる場面もあったからだ。
使っていた奥行きは自陣側であり、最終ラインの裏にある深さはほとんど使えていなかった。

またもう1つは時折カウンターを受ける場面があったこと。ボランチを下げる3バック化を行っている影響で松田が前に出ていくことも多くなっていたので、ボールを奪われた時に2CBと2ボランチの4枚で対応しなければいけない場面が増えていた。そんな中でソウザもボール保持で前に出て入れ替わってしまうとカウンターで一気にボールを運ばれてしまう場面となっていた。

■松本の修正

1-0で折り返した後半、松本はプレッシングの方法を修正してきた。
松本は自陣深くでボールを奪ったとしても、ボール保持攻撃ではなにかアクシデントが起こらないセレッソの4-4-2の前にボール保持攻撃ではチャンスを作れそうになかった。
なのでチャンスを作るにはカウンター。その中で自分達でできることといえばプレッシングからのショートカウンターだから当然だろう。松本もJ1残留のためにはかなり切羽詰まった状況にいる。
松本の修正
変化したのはインサイドハーフとWBの役割。インサイドハーフはボランチを捕まえ、SBへのアプローチにWBが出る場面が増えた。
なのでボランチの1枚が最終ラインに落ちたときにもインサイドハーフがついていき、そこからSBにボールが出た時にも一気に距離を詰めることができるようになったのだ。
先に書いたが前半のセレッソは攻撃で使っている奥行きは自陣側がほとんど。最終ラインの裏で深さを作ることが出来ていなかった。なので自陣側のスペースを消すための方法としては理にかなっている。

しかしこの松本の修正に対してセレッソがなにかを変えるというのはあまりしなかった。
おそらくその要因はセレッソが既に1点リードしていること。そして松本が前から来たとしてもそれを外すこともある程度は出来ていた。なので試合のテンポを上げないということも考えて、変えるということをしなかったのだろう。
おそらくこの状況が0-0や0-1だったら丸橋や高木の投入はもっと早かったと思う。

しかし62分、松田がボールを奪われたところから永井、杉本と渡り同点ゴールを決められてしまう。
当初セレッソの左サイドでプレッシングをかけハメにきたものの逆サイドへと展開したようにプレス回避には成功したのだが、逃した先で再び捕まってしまった。
松田がボールを受けたときには十分時間があり、さらに藤田が横からサポートに来ていたので松田としてはそこから左SHの柿谷へというイメージだったと思われるがひっかかってしまったので松田としてはどうしても自分のミスだと悔やんでしまう場面だろう。

■深さを狙う

72分〜
同点に追いつかれてしまったことでこのままでOKという訳にはいかなくなったセレッソはまず失点直後の65分に舩木に代えて丸橋を投入。さらに71分には水沼に代えて高木を投入。奥埜が右SHへ移動し高木はFWに入る。
そして直後の72分に松本は中美に代えて安東を投入。杉本がFWへと移動し安東は左のインサイドハーフに入る。

まず舩木のプレーだが、先制点の起点となった縦パスは舩木のストロングポイントが発揮された場面だった。この様なパスに関しては丸橋よりも精度が高く上手い。ワンタッチ、ツータッチ、手前、奥と様々なバリエーションで出すことが出来る。そして守備でもかなり成長していることが伺える。
しかしポジショニングやキックの判断などはまだまだ丸橋のほうが上。現段階では経験の差が大きいのだろう。ただしここは舩木がこれから少しづつ成長していく部分なのでしょうがない。

ただこの2人のプレーには1ヶ所大きな違いがある。
丸橋は自分から前に出ることができる。ペナルティエリアの脇のスペースまで出ていくことができる。
しかし舩木にはこれができない。
相手を完全に押し込んでしまえば前に出ていくことができるのだが、そうなっていない状態では自分自身で先行して前に出ていくということが出来ない。なのでペナルティエリアの脇まで出ていくことがなかなか出来ないのだ。

2人の出来る出来ないを分けているのはスピードの差だろう。
丸橋にはチームトップクラスのスピードがある。なので出ていった時にもしボールを奪われ自分の後ろのスペースで「よーいどん」になったとしても十分対応出来るという自信がある。だから出て行くことが出来る。
しかし舩木には丸橋ほどのスピードが無い。そしておそらく自分にスピードが無いことを自覚している。なので「よーいどん」の状況に持ち込まれたく無いのだろう。だから相手を押し込んだ状態にしない限り出ていくことが出来ないのだ。
次節からは丸橋が先発復帰となる可能性が高いだろう。しかし舩木には丸橋には無い武器があることは確か。今後、舩木の武器を活かそうと起用していくことを考えるなら、丸橋バージョンの戦い方に単純に当てはめるのではなく、舩木バージョンとして周囲の役割を含めてもう少し調整する必要があるんじゃないかと思う。

そしてもう1人投入された高木。トップで起用された(これまでもトップで起用されてきた)ことからもわかるように、高木に求められているのは背後への飛び出し。深さを作るプレーだろう。なので水沼と交代させ、背後に飛び出す動きが出来る奥埜を右で残した。
プレビューでも書いたが松本の守備ブロックは縦の圧縮度がかなり高い。なのでソウザや柿谷がよりよいプレーを見せるには、つまり得点をあげるにはその守備ブロックを広げることが求められる。
前半は相手のプレスをやめさせ、自陣側のスペースを使うことでブロックを広げることが出来ていたが、先にも書いたようにDFラインの裏、深さは作ることがあまり出来なかった。
その結果松本のブロックを縦に広げることができず、ビルドアップのときにキム・ジンヒョンから柿谷や奥埜、水沼へ直接という1つ奥へ入れるパスはほとんどなかった。
そして後半、松本はプレスのやり方を変え、セレッソが自陣側のスペースを使おうとするやり方を消してきた。
リードしていればそれでものらりくらりと試合を進めていけばよかったのだが、同点に追いつかれたことでそうはいかなくなった。なので高木だったのだ。

ここからしばらくは松本も勢いを持って攻め込もうとしていたが、丸橋が少し低い位置にポジションをとってDFラインの背後に長いボールを入れたり、トップやSHがサイドの奥のスペースで深さを作ったりしながら徐々にセレッソが押し込む形に持ち込む。
86分〜
78分にセレッソは鈴木孝司に代えて田中亜土夢を、松本は岩上に代えて田中隼磨を投入。
さらに86分には松本が杉本に代えて阪野を投入。

何度もゴール前にボールを入れる場面を作るが追加点は奪えず1-1で試合終了。
引き分けに終わった。

■その他

前半からすべて上手くいっていた訳ではないが、勝ち点3を奪える試合ではあったのでちょっともったいない試合だった。
ただ決して上手くいっていた訳ではないので、そう考えると1-1かなという試合でもあった。

今やっているU-17ワールドカップでは、来季からの加入が内定している西川くんが活躍しているが、彼の活躍の要因となっているのは間違いなく来季から湘南に加入が決まっている若月くんの背後を狙うプレー。若月くんが背後を狙うことで深さを作り相手の陣形を広げることで、西川くんがプレーできるスペースが生まれている。

この試合は、「深さ・奥行き」というのはサッカーにとって大切だなということを改めて感じさせる試合だった。
ただ・・・やっぱり勝てた試合だったとは思うけど(笑)



1 件のコメント :

  1. 失点の場面ですけど、60分~75分あたりで運動量が落ちたり、
    判断力が緩んだりで連動が不安定になる時間帯が(セレッソに限らず)ありますよね。
    ロティーナの指向するサッカーが間違ってるとは思いませんけど、
    90分どんなコンディションでも続けるのではなく、
    危ない時間帯には少しシンプルにプレーとかの柔軟性があれば、
    ああいう失点は防げたのではないかなぁ、なんて思うのですが。

    そういえば、メンデスの負傷で鈴木が先発になりましたけど、
    澤上ってずっとU23でプレーしてますよね。
    Akiさんからみて彼のどの辺がトップでプレーするのに足りてないと思われます?

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