2019年11月29日金曜日

明治安田生命J1リーグ 第33節 vs 清水エスパルス プレビュー

2019年11月30日 14時00分:ヤンマースタジアム長居

予想スタメン

2019年の明治安田生命J1リーグもいよいよホーム最終戦。第33節は本拠地ヤンマースタジアム長居で清水エスパルスと対戦する。


■前回の対戦

前回の対戦は4月20日の第8節。敵地IAIスタジアム日本平での試合は0-1で清水エスパルスに敗れている。
前回対戦時の先発メンバー
前回の布陣は清水が4-4-2、セレッソが3-4-2-1。清水の監督はまだヤン・ヨンソンで北川もまだ清水にいた。
当時の状況としてはセレッソが徐々にポジショナルプレーを理解し始めたころ。この清水戦の後の大分戦で1-1の引き分けとなり、その次の松本戦から4-4-2に変更し勝ち始めている。
この清水戦も含めた8節までで5敗しているが、清水戦以降の24試合で6敗という数字が当時の状況を物語っている。

この試合は清水の4-4-2でのハイプレスに対してセレッソは3-4-2-1の立ち位置でボールを運ぶことができるかというのが最初のテーマ。それに対しては丸橋・松田のWBを使ってSBを動かし、SB裏に清武・柿谷のシャドウが走るという形でまずまずの立ち上がりだった。
すると清水はボール非保持は4-4-2でセットすることを選択。セレッソはこの4-4-2ブロックに対しては2トップ脇のスペースを上手く使えず、思うようにボールは運べなくなっていった。

しかし後半に入るとセレッソはそれを修正。ビルドアップでボランチの位置を左にずらすことで清水の右SH金子を動かし丸橋・清武を自由にさせることに成功し、アタッキングサードまでボールを運ぶことが出来るようになり、確実に試合をコントロールしていた。

しかし当時の、そして今もだが、最大の課題はコントロールした状態で得点を奪うこと。
セレッソは必要以上に人数をかけずロジカルにボールを運ぶことが出来ているのだが、その分スクランブル的な状況にはならない。なのでどうしても得点力という部分では課題がでてしまう。

そしてこの試合では試合をコントロールは出来ているもののゴールを奪うことができず、さらに六反のフィードからエウシーニョが走るカウンターを受けた場面でキム・ジンヒョンに痛恨のミス。
折返しを北川に決められ失点。最後は4-4-2にしてオープン上等、スクランブルを作ろうとするもゴールは遠く0-1での敗戦となった。

■現在の清水エスパルス

現在の清水は勝ち点36で15位。勝ち点差は4あり1試合で入れ替わることはないが、なんとプレーオフ圏の16位湘南のすぐ上にいる。
清水は篠田監督が9月の月間優秀監督賞を受賞したように、名古屋に3-2、湘南に6-0と連勝し9月29日の第27節終了時点で勝ち点35に到達。順位も10位としこれで序盤の残留争いからは完全に抜け出したかと思われた。
しかし直後の第28節から浦和、広島、磐田、仙台と4連敗。勝ち点35での足踏みが続き順位は下降。前節の大分戦でようやく勝ち点1を獲得し36としたが5試合勝利なしというチーム状況である。

清水が勝てなくなった要因の1つはけが人が続出したことだろう。特に痛かったのがへナト・アウグストの離脱。中盤で対人の強さを武器に堅実なプレーができるヘナト・アウグストはチームの核であったが浦和戦から欠場。さらに六平や河井も怪我、ドウグラスもコンディション不良の時期があったりとなかなか思い通りのメンバーを揃えられなかったという部分もある。

しかしもちろん怪我人以外の要素もある。
清水は4-2-3-1の布陣で1トップにドウグラス、トップ下にドゥトラ(京都・鹿島にいたあのドゥトラ)や河井、両サイドにシャドウストライカー的な金子とカットイン型の西澤を起用しているように基本的にはボール非保持型のチーム。スペースがある時の前線のタレントは強烈である。
ただし、SBにエウシーニョと松原を起用しSHが内側に入った外をSBが出ていくという形を作ろうとしているようにボール保持でも何とかしようという姿勢が伺える。
だがビルドアップが不安定。特に2CBと2ボランチの関係がよくなく、相手にセットされるとなかなか相手の1列目の守備の裏側にボールを運ぶことが出来ない。相手が1トップなら問題ないが対2トップの場合はビルドアップでノッキングを起こすことが多い。

そしてボール非保持では基本的に前から捕まえに行きたいチームなので自らスペースを作ってしまうことが多く、簡単にズラされてしまうことも多い。それも相まってクロス対応にも問題を抱えており、27節の湘南戦で6-0の大量得点で快勝がありながらも失点数はリーグワーストの67。セレッソのなんと2.8倍の失点数で、8失点が1回、5失点が1回、4失点が4回、3失点が3回と大量失点も多い。
直近5試合でも9失点(セレッソは3失点)している。

あと忘れてはいけないのがセットプレー。清水にはドウグラス、金子、西澤らの精度の高いキックを持っている選手が揃っており、また二見にはロングスローもある。実際にセットプレーからの得点も多いので注意が必要である。

■プレビュー

セレッソ大阪の先発メンバーだが、木本がコンディション不良との情報があり、瀬古がJ1リーグ戦では第25節の川崎戦以来となる先発となりそうだ。そして最大の注目ポイントが前節途中出場で復帰した清武が先発入りなるかというところ。清武が先発復帰となれば、前節の清武投入後の形、柿谷のFW起用の可能性が出てくる。

一方清水エスパルスの先発メンバーだが、前節は怪我で外れていた河井が復帰しそう。また六平もチームに戻っている。ただ前節怪我から復帰したへナト・アウグストのコンディションは十分ではなさそうでへナト・アウグストが無理ということであれば、ボランチは竹内と六平、河井はトップ下での起用となるだろう。

今節も試合のポイントはビルドアップだ。
ビルドアップで清水の1列目の背後にボールを運ぶことができれば、エウシーニョの背後に清武・柿谷、松原の背後に水沼・奥埜で起点を作ることが出来る。セレッソは焦る事なくこの形を繰り返し、チャンスを確実にものにしたい。
非保持ではいつもの4-4-2が有効だ。サイドに誘導してそこで圧縮。両SHともに内側に仕事をしたいタイプなので圧縮し彼らのスペースを消したい。
また前を向いたときのドウグラスは強烈だが、ヨニッチ・瀬古の2人でしっかりと対応したい。

そして最後に、この試合を前に藤本康太の引退と丹野研太と大山武蔵の契約満了が発表された。
大山武蔵は病気がありチャンスがあまりなかったのが非常に残念だが、まだ将来の可能性は十分ある選手なので今後の活躍に期待したい。

そして藤本康太と丹野研太。
藤本康太は2005年に加入し15年間セレッソのユニフォームをまとい続けた。
身長177cmながら194cmのハーフナー・マイクにも競り勝つ、というかハーフナー・マイクの上でヘディングするという抜群の身体能力が最大の魅力だった。近年は怪我が続き、J3熊本戦では頭蓋骨骨折、脳挫傷というとんでもない怪我まで負ってしまった。
丹野研太も藤本康太と同じ2005年に加入。2007年はV・ファーレン長崎への期限付き移籍、2011年途中に大分トリニータへの移籍はあったが2014年にセレッソに復帰。絶対的な守護神キム・ジンヒョンがいるなか難しいセカンドキーパーという役割を全うし、キム・ジンヒョン不在時には抜群の反応でチームを救った。
そして丹野研太を獲得するためにFCみやぎバルセロナユースに視察にいったセレッソのスカウトが同じチームでプレーする香川真司を発見し他のチームに先駆けてオファー、セレッソ加入に結びつけたという逸話は有名である。

ただし、彼らの本当の功績はこういったことだけではない。
チームの調子が良い時期はもちろん難しい時期も、レギュラーであってもレギュラーでなくても、前面に出てくることは少なかったがチームを支え続けた。
決して目立つ選手でも、他のチームのサポーターから名前が上がるような選手ではなかったかもしれないが、昨季チームを離れた酒本憲幸と共に彼らこそがセレッソ大阪の一部であり、彼らがいたからこそ今のセレッソ大阪があるといえる選手だったと思う。

チームを離れることが決定したそんな藤本、丹野、そして大山のためにも最後のホームゲームは是非とも勝利したい。


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