スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 中村 太 |
入場者数 | 14,225人 | 副審 | 西橋 勲、竹田 和雄 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 18.4℃ / 43% | 第4の審判員 | 日比野 真 |
メンバー
- 監督
- ロティーナ
- 監督
- 浮嶋 敏
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 ロティーナ監督湘南ベルマーレ 浮嶋敏監督
セレッソ大阪 奥埜選手、鈴木孝司選手、藤田選手、キム・ジンヒョン選手
湘南ベルマーレ 鈴木冬一選手
湘南ベルマーレ 鈴木冬一選手、齊藤選手、富居選手、古林選手(湘南ベルマーレ公式)
2019年の明治安田生命J1リーグもいよいよ終盤となる第31節。セレッソ大阪が本拠地ヤンマースタジアム長居に湘南ベルマーレを迎えての一戦は1-0でセレッソ大阪が勝利した。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは前節から1人入れ替え。前節交代出場で大きな負傷から復帰した丸橋が舩木に代わり先発復帰。その他の10名はそのまま継続となった。ベンチメンバーは前節負傷からベンチに復帰したデサバトが今節はベンチ外。代わりにU-23で出場を重ねている西本がベンチ入り。圍、瀬古、片山、舩木、田中亜土夢、高木とその他のメンバーには特段変化は無い。
一方の湘南ベルマーレの先発メンバーだが、こちらは前節から5人を入れ替え。浮嶋監督就任後は大敗続きの連敗中ということもあり選手をかなり入れ替えながら戦っているのだが、今節外れたのは山崎、菊地、杉岡、山根、秋元。代わって入ったのは山田直輝、齊藤未月、古林、鈴木冬一、富居の5人で富居はこれがJ1デビュー戦、山田直輝は今季3試合目の先発となり、前節から引き続き先発となった指宿もこれが今季4試合目の先発となる。
ベンチには秋元、山根、梅崎、山﨑が入っており、杉岡はベンチ外となっていた。
ここまで湘南ではカップ戦のみの出場でこの試合がJ1デビュー戦となる富居だが、元々シュートストップには定評があり、レギュラーとしてプレーしていた群馬時代の2015年にはここヤンマースタジアム長居の試合でセレッソが先制するも小林竜樹が2点を奪い1-2、キム・ジンヒョンが怪我で離脱する中でのアウェイ正田醤油スタジアムでの試合でも吉濱、江坂のゴールで2-0とセレッソに対してダブルを達成しており、自身が出場しているセレッソ戦では負けた事が無い。
■強烈なプレッシングを仕掛けてくる湘南
5連敗中、8試合勝利なし、16位とかなり厳しい状況に追い込まれている湘南は、立ち上がりから思い切って高い位置からプレッシングを仕掛けてきた。それに対するセレッソもプレスを回避してボールを運ぼうとしていたが、開始1分になろうかというところでボールを奪われたところから鈴木冬一のクロスを木本が被ってしまい指宿がGKと1対1に。ここは指宿のシュートがヒットせずキム・ジンヒョンがらくらくとセーブすることになるのだが、湘南が開始早々にプレッシングからチャンスを作ったことでさらに勢いを増してくることとなる。
湘南のプレッシング |
そしてここでソウザや藤田が落ちる動きを見せたとしても齊藤未月、金子のボランチが徹底してついていく。
そしてボールサイドのSHにあたる水沼にはWBの鈴木冬一が、GKを使って丸橋に展開したとしても逆サイドのSB古林が1つポジションをジャンプさせて出てくる。さらにこの時水沼が内側の齊藤未月、金子の裏へと入っていっても鈴木冬一はついていく。という形でとにかく前から人を捕まえに来た。(これが逆サイド、指宿が木本にアプローチをかけた時は両サイドの関係が入れ替わるだけで同じ)
これによりとにかくセレッソから時間を奪い、そこで奪い切れば最高、もしくは縦パスを蹴らせその縦パスに対して思い切ってアタックするというのが湘南の狙いである。
3分にセレッソが湘南のアプローチよりも速くボールを動かし柿谷がボックス内でボールを受けたように、この形はアプローチのスピードが少しでも遅れたりすると一気にボールを運ばれる可能性もあるようにリスクもあるのだが、そこを強度を運動量でカバーしようというやり方である。
これにより試合序盤は湘南がペースを握っていた。
指宿は高さという武器があるが、吉田達磨氏の下で酒井宏樹、工藤壮人、武富孝介、仙石廉らと共に黄金世代と呼ばれた柏ユース時代も4-3-3のCFは工藤壮人、自身は左WGでプレーしていたようにCBを背負ってプレーするのはあまり得意ではない。しかし、この試合でのハイプレスショートカウンターという戦い方では動くスペースがある分、前節よりも存在感を発揮できていた。また古林、鈴木冬一の両WBも前に出てくることができていた。
ただ湘南にとって惜しまれるのはこの時間帯でもそこまでチャンスを作れていたわけではなかったこと。古林は最終的にこの試合14本ものクロスを入れるのだが成功したのはわずか1本。セットプレーでもセレッソが3本目から木本が指宿にマンツーでつく形に変えたことで、十分対応できるようになっていった。
■プレスをはがせるようになるセレッソ
ということで前半の半分、25分の少し手前あたりからセレッソが湘南のプレスを剥がしボールを運び始める。WB裏を使うセレッソ |
これにより30分以降は湘南にファールが増えていき、湘南の布陣は徐々に間延びすることに。そうなるとセレッソはアタッキングサードまでボールを運ぶことができるようになる。
すると必然的に湘南はボールを奪い返す位置が低くなり、奪ったとしても敵陣までボールを運ぶ回数は減少。また運べたとしてもサイドからとなっていたのでセレッソの横圧縮で制限をかけられることになる。これが先程紹介した古林のクロス14本の内成功は1本のみという数字にもつながっていた。
前半は0-0で折り返すことになるが、後半最初のプレーでセレッソと湘南の状況が前半の終盤と代わっていない、むしろ後半の立ち上がりはセレッソの優位で試合が進むだろうことがハッキリする。キックオフからの流れで松田が入れた縦パスを鈴木孝司が胸でトラップし前線でボールを収めたからだ。
湘南としてはこのパスを収められ起点を作られると引いて守るしかなくなりかなり厳しくなる。
そしてここからセレッソが5分間湘南を押し込み続け、50分に丸橋が縦に抜け出して上げたクロスを奥埜がヘディングで合わせてゴール。セレッソが先制に成功する。
湘南は完全に押し込まれて、さらに左右に振られてという時間が続いた中だった。
そしてこの丸橋の縦への持ち出しは舩木ではなかなかできないプレー。これは舩木よりも丸橋がという意味ではなく、柿谷が中に入ることでSBの前を空ける形になっているセレッソの左サイドの構成は丸橋の特徴に合わせられた形になっているということがわかるプレーだった。
■オープンな展開に持っていこうとする湘南
52分〜 |
押し込まれている中だと背負ってプレーするのが得意では無い指宿よりも動きの幅で起点を作れる山﨑をという判断なのだろう。というかおそらく両チームの戦い方や関係性を考えた上で試合展開的にも予め想定していた交代なのだろう。それぐらいこの試合中盤という時間帯にして失点から交代が早かった。
ここからリスク承知で前がかりになる湘南。チーム状況を考えるとそれしかない。
対するセレッソはブロックを作って守りながらカウンターを発動。湘南が前がかりになるので湘南のボランチ周りにはスペースができ、柿谷、水沼、そしてソウザが起点となり2トップや柿谷、水沼を走らせる。この時間帯はチャンスだっただけに追加点を奪っておきたいところだった。
そんな中で特に目立った場面ではなく一瞬の動きだったが、52分33秒あたりのプレーはセレッソのブロックの考え方がよく分かるプレーだった。金子が右サイド(セレッソの左サイド)で前を向き大外に古林がいる状況でのプレーだが、湘南が使いたいのはCBとSBの間。ボールを持っている金子が顔を上げた瞬間にに丸橋はCBとの間をケアするために一旦内側に絞る。なので金子は外の古林に出したワンツーで自分がSBとCBの間に侵入しようとするのだが、金子から古林のパスに対して内側から丸橋が出ていき、金子には藤田がついていき対応。これでボールを奪い返した。
丸橋と藤田の対応はもちろん、金子がボールを持って顔を上げた瞬間の丸橋の動きは素晴らしかった。
ただ、少し反省すべき点は、湘南がテンポを上げてオープンな展開に持ち込もうとしていることにセレッソも乗っかってしまったことだろう。
まず59分にはキム・ジンヒョンがセーブしたが鈴木冬一からのクロスに松田天馬がダイビングヘッドで合わせる場面を作っている。
前節のようにミスが起こったりすることもあるのでセレッソも追加点がほしかった。なのでチャンスを作りやすいボールが行ったり来たりして全体が間延びするオープンな展開に乗っかってしまったのだろう。
カオスな状況を嫌いストラクチャーの状況を作り試合をコントロールしながら論理的にチャンスを作ろうとするのがセレッソの戦い方である。しかしストラクチャーで整理された局面よりもカオスの混沌とした局面のほうが当然ながらチャンスが作りやすい。なのでついつい乗ってしまうことがある。
このあたりの考え方、カオスを全く否定するというわけではなくどういうバランスを取るのかも含めて今後の課題の1つだろう。
75分〜 |
それに対してセレッソも75分に鈴木孝司に代えて高木を投入。背後にはスペースがあるのでスピードのある高木という選択肢である。この交代は前節もあったように高木のこのチームでの役割は背後である。
79分〜 |
87分〜 |
終盤はバタバタした展開となったが、セレッソ大阪が1-0と今季14回目のクリーンシートで勝利した。
■その他
前半の半分まではハイプレスを仕掛けた湘南、半分から後半の半分まではセレッソ、後半の半分以降はオープンな展開をしかけた湘南とお互いがペースを握り合う試合となったが、その中でペースを握っている時間帯に確実に得点を奪ったセレッソが勝利した。そういう意味では現在のチーム力、チーム状況が現れた試合だったといえるだろう。
ただ本文中に書いたカオスとストラクチャーに対する考え方、これはこの試合だけでなくここまでの、良い悪いというよりもどう考えるのかという意味でこれからの課題だろう。
湘南にとっては試合の入りも上手く行ったことで久々にやりたいことができた試合だっただけに悔やまれる敗戦となった。
最終節にアウェイで松本との直接対決が待っているのでそれまでに勝ち点を積むことができるか。
東京、広島と上位陣との対戦が続くが、J1残留には最終節の直接対決はもちろんこの2試合が重要になりそうだ。
「オープンな展開に乗っかってしまった」とあってそれはそうだと思いますが、
返信削除山雅戦で付き合わずに我慢して我慢しきれなくて失点した記憶が選手にあって、
今回はある程度ロングキックを混ぜるやり方にしたのではないでしょうか。
「チャンスが作りやすいから」は贔屓目にすぎるように思えます。
セレッソは論理的にチャンスを作りに行くサッカーというのはわかりますけど、
このゲームでは湘南が無理筋に近いやり方でそれなりチャンスを作れていたのもあり、
ロティーナのやり方が理解できていない人には迂遠なロジックに見えたでしょうね。
まぁ、それこそ柿谷が前半の2つのチャンスを決めてれば別の評価になったと思いますが。
コメントありがとうございます。
削除ごめんなさい、オープンな展開はチャンスを作りやすいからというのが贔屓目というのは正直よくわかりませんでした。ロングキックを混ぜることとオープンな展開もまた違いますし。
基本アタッカーはスペースが有るオープンな展開の方がプレーしやすいと思いますが…
いつもお疲れ様です。
返信削除オープンな展開にしてしまうことについては、やはり今シーズン通した課題としてオーガナイズしたまま攻めて得点に繋がる機会が少なく、やり方を貫きたい選手と、リスクを冒してオープンで戦う選手とのギャップが生まれてるのでは無いでしょうか?特にソウザなんかは終盤になって同点以下だとドリブルで持ち込もうとする場面がやたら増えるイメージがありますし。逆転勝ちが無いことと、大量得点の試合が少ないことを考えても1-0をより確実に守るのか、戦術面を整備するのかは2年目の課題のようにも思います。
あと高木俊についてなのですが、彼本来ドリブラーなので、下がって前を向いて受けたいのかな?と思うような時があります。
裏へ走る場面てまだメンデスや鈴木のほうが狙っている気がしますし…。
コメントありがとうございます。
削除そうですね。オーガナイズでチャンスを作りきれないところから来る問題はあると思います。
ここはおっしゃられるように今後の課題ですね。
メンデスがファーストチョイスになっているのはスペースを狙うからですが、高木もよくスペースに出ていってると思いますよ。
いつも拝見させていただいております。
返信削除今では私の楽しみの1つです。
ジンヒョンの活躍には感謝。
高木の役割は攻撃より前からの守備の割合が高いように感じます。
もちろんどこかで引っかけてショートカウンターが決まればもうけですね。
コメントありがとうございます。
削除前線からの守備というのはどういう形のことでしょう?
もちろん切り替えは重要ですが、元々あまりハイプレス的なことはしないし、終盤リードしている状況であればなおさらだと思います。
どこかで引っ掛けられたらもちろんいいですが、1人で突っ走られるのはリスクが大きすぎますし。
ソウザがいつものソウザでなく黒子に徹してたので、
返信削除来季の残留を確信しました。
知らんけど(笑)
コメントありがとうございます。
削除ソウザも少しづつフィットしてきた感はありますね。
時々怖いところもありますが(笑)