ジュビロ磐田:なし
セレッソ大阪:扇原(37') 倉田(49') 扇原(63') 播戸(90'+1)
フォーメーション |
■ジュビロ磐田
GK:1 川口能活
DF:5 駒野友一 50 古賀正紘 33 藤田義明 20 山本脩斗
MF:22 小林裕紀 6 那須大亮 11 西紀寛 25 山崎亮平
FW:18 前田遼一 17 金園英学
SUB:21 八田直樹 13 イ ガンジン 3 岡田隆 28 船谷圭祐 23 山本康裕 8 ジウシーニョ 19 荒田智之
交代:山本(脩)→山本(康)(58') 西→ジウシーニョ(65') 金園→荒田(78')
■セレッソ大阪
GK:21 キム ジンヒョン
DF:3 茂庭照幸 14 丸橋祐介 17 酒本憲幸 22 上本大海
MF:2 扇原貴宏 9 ファビオ ロペス 10 マルチネス 13 清武弘嗣 23 倉田秋
FW:15 小松塁
SUB:1 松井謙弥 4 藤本康太 32 尾亦弘友希 5 中後雅喜 7 大竹洋平 11 播戸竜二 31 杉本健勇
交代:小松→杉本(63') 清武→播戸(82') 倉田→大竹(89')
ACLショックとケガ人で厳しい状況の中アウェーでのジュビロ磐田戦。
マルチネスに続いて清武と上本がいよいよ復帰しサスペンション明けの倉田、謹慎期間を終えた扇原も戻って来た。
トレーニングでは藤本をCBの前に置いた形などもやっていたようだけどスタメンは結局いつもの形でトップには小松。
一方の磐田は加賀がサスペンションでロドリゴソウト、山田がベンチ外。なのでCBに古賀、左右のSHは西と山崎という組み合せでサブにはジウシーニョ。
■セレッソのボールポゼション
セレッソのポゼッション |
ここ数試合苦労してきた相手と同じ4-4-2の磐田に対して立ち上がりからセレッソはボールを持てる。
その理由はボランチのポジショニング。
これまでも何度か書いているけど、ボールを持っている時のセレッソのボランチのポジションは他のチームと比べてかなり深い。そしてその代わりに両SBが高いポジションを取る。
ボランチが低く、SBが高いポジションを取る事で相手のMFがボランチにチェックに行くことが難しくなり相手2トップがボランチを見る事になる。ただここまではマルチネス不在の試合でも出来ていた。
で、その形でさらにマルチネスは元々左SBの丸橋がいたサイドのスペースへ流れてボールを受ける。
マルチネスが不在だった時に出来ていなかったこの形は実はセレッソにとって非常に大きい。
移動したマルチネスに対してSHの西が行くと丸橋を空けてしまう。
2トップの片方である金園が1人で行くと真ん中にスペースを与えてしまいそこでCBがボールを受けれるし、またセレッソの場合はシャドーもそこに下りてくる。
全体にずれてくるとマルチネスの左足で逆サイドの酒本まで飛ばされる。
マルチネスが得意とするこのポジショニングは「誰がチェックに行くのか」という相手に問題を突きつける。
結局磐田は低い位置のボランチにはあまりプレッシャーに行かず後ろの4-4のブロックを優先したので、セレッソは立ち上がりから後ろでボールを落ち着ける事ができた。
マルチネスを助ける上本のポジショニング |
また後ろでボールを落ち着ける中で上手さを見せたのは上本のポジショニング。
マルチネスが中央でボールを受けた時は上本はサイドに開いたポジションでフリーになっている。
なのでマルチネスにプレスが来たとしても上本が預け所になり、さらにそこにもプレスが来てもそこからGKに戻すことでもう一度やり直すという選択肢ができていた。
この辺りはやっとメンバーが戻ってきたなという感じ。
あとボランチでコンビを組んでいた扇原もマルチネスが中央でボールを受けた時に時折右に開く様なポジションを取る事で地味に助けていたりもしていた。
後ろでボールを落ちつく事ができるとそこからはシャドーがポジションを崩せるし、そのシャドーとSBを使ってボールを運ぶ事ができていた。
■プレッシングの復活
セレッソのプレッシング |
この日の特筆すべきもう1つは高い位置からのプレッシングが復活したこと。
攻守は連動しているので当然なんだけど、ここ最近のセレッソは後ろでボールを落ち着けることが出来ないから同時にボールを失った後の高い位置でのプレッシングが出来ていなかった。
甲府戦でも書いたけど、メンタル的な部分もあってなんだろうけど、良い時は出来ていたであろう場面でもプレッシングが出来ていなかった。
それがついにできるようになった。
そのポイントとなるプレーを見せていたのが扇原。
前線でボールを失った時に中央にいる扇原が前に出て相手ボランチを捕まえにかかっていた。
この試合に向けたトレーニングは見ていないのでわからないんだけど、多分ここは相当徹底したんじゃないかと思う。
なぜなら元々このポジションに入る選手は今までこのような動きはほとんど見せていなかったから。今まではプレッシングの時も5番(守備寄りのボランチでこの試合では扇原)の選手の役割はCBの前でのカバーリングが主で前に行くのは8番の選手(攻撃寄りのボランチでこの試合ではマルチネス)だったから。
だけどポゼッションで書いたようにマルチネスは左サイドに流れている事が多い。なのでマルチネスがボランチを押さえに行くには距離がある分時間がかかる。
なので早めにサイドに展開されてカウンターを受ける場面が増えてしまう。そうなるとカウンターを恐れて前からのプレッシングに行きにくくなる。
プレッシングができなくなったのはこういった流れがあったんだと思う。そしてマルチネス不在の時に8番に入っていた扇原がマルチネスの様に自分が元いた場所を空けてサイドに流れるといった事ができなかった事にも少しは影響してたかとも思う。
それが5番のポジションにいる扇原が相手ボランチを押さえる、その間にサイドに流れていたマルチネスが中央に戻りカバーリングポジションを取る。という形にすることにより、時間も短縮され動きがシンプルになり高い位置からのプレッシングが可能となった。
また同時にというか実はこっちの狙いが本命だったんじゃ無いかと思ってるんだけど、セレッソは左サイドから人数を攻撃を組み立てることの多いので、そこでボールを失っても人数をかけてる分速いプレッシングができる。って事でボールを失っても磐田の右SB駒野を自由にさせなかった。
先制点もこの形からで中央で小松と扇原で那須からボールを奪いショートカウンターから最後に扇原が決めた。
相手の攻撃を遅らせる |
ちなみに左サイドでプレッシングができずに簡単に逆に展開された場合でも扇原がそこにチェックに行くことで相手の攻撃を遅らせ、プレッシングではなく陣形を整える時間(マルチネスが中央に戻り両SBとシャドーが下がる時間)を作ることができていた。
ブロックを作って守るセレッソ |
そして相手の攻撃を遅らせてしまえばセレッソはきっちりブロックを作って守る。
落ちている場面で時折あやふやなポジショニングになってたりもしたけど相手の攻撃が遅くなれば人数をかけてしっかり守っていた。
■磐田の攻撃
磐田は攻撃が組み立てられないので前田が下がってボールを受ける |
磐田はサイドアタックが攻撃の中心。
だけど上に書いたようになかなかサイドのスペースを使えず、さらにそこに駒野を絡める事が出来ない。
なので元々扇原がいた場所に前田が引いてボールを受けようとしてくるんだけど、結局攻撃は遅れさせられるし、速く攻めても前田がゴール前に間に合わないので前半は攻撃の形をあまりつくれていなかった。
58分磐田のメンバーチェンジ |
後半58分にSBとSHがあまり活きていないということで左SB山本(脩)をボランチの山本(康)に代えて那須を左SBへ。
那須はボランチの選手なだけあって山本(脩)よりも中に入ったりなど動くエリアが大きい分前半よりはマシにはなったけど、後半立ち上がりに清武のパスから相手に当たってこぼれたボールを倉田が決めて2-0。
さらに左サイドの崩しから扇原が2点目を決め3-0。
終了間際には交代で入った大竹のドリブルからのこぼれ球を播戸が決めて4-0と完勝となった。
■その他
快勝の要因はもちろん、ACLの敗戦以来出来ていなかった、「ボランチでボールを落ち着ける」「高い位置からのプレッシング」のどちらもが出来た事。
途中でも書いたようにサッカーは攻守が連動しているのでどっちかだけができるって事は無いんだけど、どっちも出来た事で守備も安定したし攻撃にも変化を付ける事が出来た。
まあやっとセレッソのサッカーが見れた。
例の事件で2試合の謹慎あけで2点取った扇原もマルチネスも清武も戻ってきたし。
あと、本文中にも書いたけど5番のポジションの選手の使い方を代えた事は結構重要なのではないかと。
※時々書いている5番とか8番ってのはポジションの事です。
5番は守備寄りのボランチ、8番は攻撃寄りのボランチ、ブラジル人のクルピが指揮してるチームなので当然といえば当然なんですが、このブラジル流が割と当てはまるので。
またここ最近少し苦労している磐田だけど、ホントにクロスのみって感じだった。
せっかく前田がいるのでもうちょっと上手く使えば良いのにと思いました。