セレッソ大阪 | 0 | 0 | 前半 | 1 | 2 | 浦和レッズ |
0 | 後半 | 1 | ||||
延長前半 | ||||||
延長後半 | ||||||
PK戦 |
フォーメーション |
セレッソ大阪 | 浦和レッズ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
選手名 | 番号 | 位置 | シュート | シュート | 位置 | 番号 | 選手名 |
キム ジンヒョン | 21 | GK | 0 | 0 | GK | 18 | 加藤 順大 |
藤本 康太 | 4 | DF | 0 | 0 | DF | 46 | 森脇 良太 |
丸橋 祐介 | 14 | DF | 0 | 0 | DF | 4 | 那須 大亮 |
酒本 憲幸 | 17 | DF | 0 | 1 | DF | 5 | 槙野 智章 |
山下 達也 | 23 | DF | 0 | 0 | MF | 14 | 平川 忠亮 |
扇原 貴宏 | 2 | MF | 0 | 1 | MF | 22 | 阿部 勇樹 |
山口 螢 | 6 | MF | 0 | 0 | MF | 13 | 鈴木 啓太 |
枝村 匠馬 | 16 | MF | 0 | 2 | MF | 7 | 梅崎 司 |
シンプリシオ | 30 | MF | 2 | 1 | MF | 8 | 柏木 陽介 |
柿谷 曜一朗 | 8 | FW | 2 | 1 | MF | 10 | マルシオ リシャルデス |
エジノ | 9 | FW | 4 | 4 | FW | 30 | 興梠 慎三 |
武田 洋平 | 1 | GK | GK | 1 | 山岸 範宏 | ||
茂庭 照幸 | 3 | DF | 1 | DF | 6 | 山田 暢久 | |
新井場 徹 | 7 | DF | 0 | DF | 2 | 坪井 慶介 | |
楠神 順平 | 10 | MF | 0 | 1 | MF | 3 | 宇賀神 友弥 |
横山 知伸 | 18 | MF | 0 | MF | 29 | 矢島 慎也 | |
南野 拓実 | 13 | FW | 2 | MF | 11 | 関口 訓充 | |
杉本 健勇 | 20 | FW | FW | 19 | 阪野 豊史 |
10 | シュート | 12 |
---|---|---|
11 | GK | 7 |
4 | CK | 4 |
8 | 直接FK | 14 |
2 | 間接FK | 5 |
2 | オフサイド | 5 |
0 | PK | 0 |
セレッソ大阪 | 浦和レッズ | |
---|---|---|
得点 | 興梠(9') 興梠(56') | |
山口→南野(59') 枝村→楠神(59') 丸橋→新井場(85') | 交代 | 平川→宇賀神(70') 柏木→矢島(77') 鈴木→山田暢久(85') |
警告 | ||
退場 |
セレッソのメンバーは中断前の最終戦だった名古屋戦とベンチも含めて全く同じ。
週前半の練習を何日か休んでいた杉本も木曜日にフッキしベンチ入りとなっている。
一方の浦和は原口が金曜日の練習中にトラブルを起こしたことでベンチ外となり、シャドーの位置にはマルシオリシャルデスが入っている。
■ペトロビッチの4-1-5おさらい
これまで何度も広島や浦和と戦っているので過去にも何度も書いていますが、この試合はペトロビッチのやり方にまんまとハメられた事がポイントなので改めて書きます。
マッチアップ |
なのでセレッソの4-4-2とのマッチアップは図の様になります。
最前線に5人 |
4-1-5の真ん中の1 |
この選手の前にはボランチの2枚がいますが、最終ラインの所で4対5の数的不利になっているので、そのままの状態だとボランチが捕まえに行くのもちょっと難しい。って事は誰もマッチアップしていないフリーの状態になりやすい状況になっています。
後ろのトライアングル |
後ろで時間を作る間に |
1つめは両アウトサイドが前に出る時間を作る事。
守る時は5バックで自陣で人数をかけるので両アウトサイドは最終ラインと同じ高さのかなり低い位置に下がってきています。それが攻撃になると5トップの両サイドとなるのでそこまで上がっていく時間を作らないといけません。この時間を後ろでゆっくりボールをつなぐ事で作っています。
2つめはボールを保持する事でアップダウンの回数を減らす事。
1つめで書いたように守備の時は後ろで人数をかけ、また両サイドはかなり低い位置まで下がってきます。このアップダウンはかなりハードなのでその回数自体を減らさないととてもじゃないけど体力的に持ちません。なので後ろでゆっくりボールを繋ぎボール保持率を上げる事で相手の攻撃回数を減らしアップダウンの数を減らしています。
3つめは相手を引き出す事。
ここまでで書いたように相手の最終ライン4人に対して前に5人並べるのでその局面だけ見れば数的有利を作りますが、後ろの3人ないしはGKを含めた4人で相手の2トップを外したとしても実際はその前にも中盤の4人がいるので守る事は可能です。
そこで後ろの3人でボールを繋ぐ事で、フリーになったCBやボランチがボールを運ぶ事で、そして両SBに変化した3バックの両サイドがオーバーラップしていく事で中盤の4人を前に引き出す。そしてその引き出されて空いたスペースに1トップ2シャドーの中の誰かが下がってきて、そこにボールを入れる。
この時に引いてくる選手と逆に裏に抜ける選手とが相互に動く事で相手のブロックをずらし、また5人のポジショニングを徹底する事でワンタッチのフリックを多用し、フリーの選手を作る事で、最終ラインで5対4の数的有利を活かす事ができるようになっています。
サイドチェンジ |
この時、基本的に相手の人数が1人多いので基本的には余ってしまう事は仕方ないです。ですが、サイドチェンジなどの長い距離のパスであればパスが届くまでに時間がかかるのである程度は対応できそうなものなのになかなか対応できない事の方が多い。 そうなってしまう理由は、サイドチェンジの時に一番外側の1つ手前の選手(主にシャドー)が斜めに中に入ってくる動きをしているからなんです。このフリーランニングによって相手の一番外の選手(主にボールと逆サイドのSB)が引っ張られる事になり、一番外側の選手がボールを受けやすい状況を作っています。
余談ですが、セレッソのキャンプを宮崎に見に行ったついでにスグ近くでやってる広島の練習も見に行ったのですが、ちょうどその時にこの「後ろから前の1トップ2シャドーにボールを入れる」「そこからサイドに展開する」「サイドからクロスを上げる」という一連の流れの練習をかなりの時間を使ってやっていました。
■セレッソの4-1-5対策
4-4-2で守る |
今シーズンはこのやり方で守備が安定しているので特別な方法では無くいつものやり方で守りますと。
クルピは攻撃の事を優先的に考える監督なので、攻撃を活かすためにもいつもと違うやり方ではなく同じやり方でやろうということなんでしょう。対策とは書きましたがここについては特別な事はあまりありませんでした。
ボールサイドに寄せる |
という事で一番大外は捨てて最終ラインの4人はボールサイドによる。
4-4のスライド |
前線のサイドでハメる守備 |
4-1-5では無い他のチームに対してもこの方法をとるので特別な対策というほどの事ではありませんが、後ろからゆっくりボールを動かしてミスマッチを活かして攻撃してくるやり方に対して2トップが最終ラインの真ん中の2人を捕まえてサイドの低い位置にボールを追い込んで、そこで逆サイドを捨てて一気にボールサイドに寄って奪いきってしまう狙いは持っていました。
■セレッソが狙っていた展開とは?
ここで両チームの狙いを整理してみます。
浦和は4-1-5で前線のミスマッチを活かして攻めて来ます。
それに対してセレッソは4-4-2のブロックのスライドで守ります。
という事は浦和の攻撃はセレッソの4-4の中盤の4をいかにして引き出すかという事がポイントになります。
逆に言えばセレッソはその中盤の4を引き出されなければ最終ラインの局面では4対5にはなっていますが、5人に対して8人で守れるのでそんなに大きな問題にはなりません。
となれば、次に考えるのは「どうすれば中盤の4が引き出されないか」です。
浦和は中盤の4を引き出す為に後ろでゆっくりボールを繋ぎます。これは誘っているのです。
この誘いに釣られてしまうとその空いたスペースにボールを入れて5対4の状況を作られてしまうので、この誘いに乗ってしまってはいけません。
昨シーズンだったかにFC東京が浦和とやった時にこのボール回しを放置した事がありましたが、ここを放置されると浦和は攻めるきっかけが無くなってしまうので、試合内容はお互いボールは持つけどほとんど攻めないという寂しいものでしたが、浦和にほとんど何もさせないという意味では成功といっても良い内容でした。
ただリードされてしまうとそういう訳には行きません。放置するとうしろでゆっくりやってしまうので誘いだとわかってたとしてもどうしても行かないといけません。
そして逆にいえばリードしてしまうと、浦和は後ろでゆっくりまわしてるわけには行かないので、行かなくてもずれてないブロックに向かって攻めて来るしか無くなります。
という事で重要なのは先制点。
そして先制する為の方法が前線のサイドでハメてそこからのショートカウンター。
前線でハメるショートカウンターで先制し、あとはしっかりブロックを作ってムリに攻めてくる浦和からボールを奪ってカウンター。
この試合でセレッソが狙っていたのはそんな展開だったと思われます。
■ピッチ上で起こった事
ハメに行った所を苦し紛れのボールを収められる |
セレッソは立ち上がりから前線のサイドでハメに行くプレーを見せます。
しかし、ここでサイドでハメて槙野が苦し紛れのボールを前に蹴り出す状況に追い込むんですが、このボールを興梠が収めてしまいます。
ここで収められると全く計算が狂って来るんですよね。そしてこの立ち上がりのプレーをみてボールが収まる事もあるぞって事を理解した浦和のシャドーが興梠にボールが入りそうになった時に落としたボールを受けられるポジションを積極的にとる様になります。
そして前半7分。
前から行った所をGKに戻し、そこにもエジノがプレッシャーをかけにいったので加藤は苦し紛れのボールを蹴ります。
このボールは興梠ではなくマークについていた山下が触ったんですが、このボールを拾ったのはというか拾える位置にポジションを取る事ができていたのは興梠が落としたボールを受けようとしていたマルシオでした。
セレッソのFWと中盤の4人は前から捕まえに行った所だったんで、マルシオを誰も捕まえられていませんでした。
そして再びマルシオからのスルーパスで抜け出した興梠に渡り先制されてしまいます。
取りに行った所で空けたスペースに入ってくる |
マルシオは原口よりも個人での突破力はありませんが幅広く動きます。
って事でセレッソがボールを取りにいく事でできたスペースに自分が入ったり、わざと味方選手に近づいたりしながらどんどんセレッソのブロックを動かしにかかります。
エジノを下げての守備 |
しかし今度はここで槙野が上がってきてマルシオがブロックの外に出だりなどセレッソの右サイドで人数をかけてフリーを作る様になってきます。
CBのボール運び |
この時間帯に山口がクルピに何度も確認を取っている場面がみられていますが、最後の局面ではなんとか守っているもののセレッソの守備は完全に混乱状態に陥っていました。
比較的前に出てくるので裏を狙う |
ただ、高い位置を取るという事は最終ラインの裏にスペースを作る事にもなります。
そこでセレッソは扇原から最終ラインの裏に走る柿谷や枝村、山口へのロングボールを狙っていきます。
ブロックを下げて守る |
がしかし、ここで先ほどの失点が起こります。
こうなると、浦和は先制してしまえばリスクを負う必要は無いよねって事で5-4のブロックを低い位置で作って守る様になり、裏のスペースを消されてしまいます。この後もチャンスとあらばという事で柿谷などが何度か裏のスペースを狙う場面はありましたが、先制した事でむやみに最終ラインの裏にスペースを空けなくなった浦和に対してはそのタイミングがよりシビアになり、オフサイドにかかってしまう事が増える様になってしまいます。
また後半になると、HTのクルピは相当激しく言ったんだろうなあという事を想像させるように、シンプリシオが鈴木に対して積極的にチェックに行く前半立ち上がりと同じ様な形で始めますが、56分にその前に出た所をカウンターでつかれてしまい0-2に。
その後、狙い通りにいかない展開で5トップの影響をモロに受けてしまっていた山口と枝村を楠神と南野に代え、個の力や局面でのコンビネーションで何度か決定期を作りますが、それ以上に浦和にも決定期をつくられてしまうという状況に。
チャンスの数的に考えると、このまま打ち合いを挑んでも先に追加点を奪われる可能性が高く、ホームの1stレグで0-3にされると終わってしまうという事で、セレッソは3人目の交代として丸橋に代えて新井場を投入。
そしてそのまま試合終了となり、1stレグはホームで0-2の敗戦となりました。
■2ndレグに向けて
1stレグが0-2なので6/30に行われるアウェイでのセカンドレグは2点差以上の勝利(2-0で延長3-1で勝ち抜け)が必要となりました。
4-1-5に対して2点ビハインドの状態からのスタートとなります。
4-1-5対策としては、同じ日にビッグアーチで広島に2-1で勝利した柏がやった様な、3バックにしてマッチアップを合わしてしまい、真ん中の1をダブルボランチの1人が必ず見るという方法があります。
柏の4-1-5対策 |
がしかし、クルピはきっとこの柏がやった様な方法は取らないんじゃないかと思っています。
となるとセレッソが狙うのはこの試合でもやったサイドでハメるプレスの徹底とその切り替えのスピードをあげる事。
イメージとしては3-1で勝利した2011年アウェイでの広島戦と、4-1で勝利した2012年ナビスコカップ予選アウェイでの浦和戦の再現です。
広島戦
2011/7/10 Jリーグ第3節 VSサンフレッチェ広島 @広島ビッグアーチ
浦和戦(動画がみつかりませんでした)
2012/4/18 ヤマザキナビスコカップAグループ第3節 VS浦和レッズ @埼玉スタジアム2002
http://analyzingcerezo.blogspot.jp/2012/04/418-a3vs2002.html
どちらの試合も前線からプレッシャーをかけてショートカウンター。トランジション勝負で勝った試合です。
特別な方法を取らないなら勝負のポイントはここしかありません。
相手が5-4-1から4-1-5になる前にプレッシャーをかけてボールを奪う。
4-1-5から5-4-1になる前に攻撃を仕掛ける。
ハメた時の苦し紛れに出てくるボールはファールでも良いので絶対切る。
ここの準備をこの1週間で徹底しどれだけ実行できるか。
そこが2ndレグで2点差以上で勝利する為の最低限のポイントになるのではないでしょうか。
正直、ビハインドから始める事になるのでかなり厳しい状況ではありますが、2点以上取るだけのポテンシャルはあるチームです。
ここまでくればやるべき事はハッキリしています。それをこの1週間で徹底し、やりきる事ができれば結果を掴む事ができるはずです。