- 58' 杉本 健勇
- スカパー
スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 佐藤 隆治 |
入場者数 | 8,714人 | 副審 | 小椋 剛、蒲澤 淳一 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 12.1℃ / 55% | 第4の審判員 | 須谷 雄三 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 木山 隆之
試合経過
-
87'
-
81'
- 80'
- 69'
-
58'
- 57'
-
56'
-
29'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 13 | 19 | 14 | 15 |
CK | 5 | 2 | 6 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 10 | 9 | 13 | 9 |
警告/退場 | 1/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督愛媛FC 木山隆之監督
セレッソ大阪 柿谷選手、山口選手、キム・ジンヒョン選手、酒本選手、藤本選手、杉本選手
愛媛FC 表原選手
セレッソ大阪 田中選手
愛媛FC 阪野選手
前節から中2日でのゲームとなる明治安田生命J2リーグ第40節。キックオフ前の他会場の結果によりセレッソ大阪の自動昇格圏内となる2位以内の可能性が完全に消滅した中で行われた一戦は、相手選手のミスからゴールを決めたセレッソが1-0で勝利となりました。
■メンバー
中2日での開催となりますが、そういった事など一切考慮しないセレッソは前節からシャドゥの酒本を清原に代えただけのほぼ同じメンバー構成。この変更もコンディションというよりも前節の大敗を受けてのものでしょう。そしてベンチメンバーも入れ替え。柿谷が負傷した6/8の17節以来5ヶ月ぶり、田代がトップチームとしては7/20の24節町田戦、U-23も含めると7/23のJ3リーグ第18節以来3ヶ月半ぶりのベンチ入りとなり、前節交代出場した玉田とリカルド・サントスがベンチからも外れています。
一方ここ7試合負け無しの愛媛FCは前節から3人を入れ替え。シャドゥの位置に近藤、右WBに白井、ボランチに小島が入りこの3人は前節いずれもベンチ入りしていた選手。また連続出場を続けている選手の内の2人、左WBの内田と1トップの阪野は前節いずれも60分代に交代しているので、選手層は薄いながらもコンディション面も考慮してのマネージメントを行っているのでしょう。
■愛媛の守備
愛媛の守備 |
最終ラインのボール回しに対して前線の3人がスライドしながら、ブロック内に入ってきたボールに対して激しくアプローチをかけ、プレスバックと合わせてボールを奪おうとする形です。
前線の3人は例えばボランチが最終ラインに落ちた場合は深追いしませんが、バックパスやボールを受けた選手が後ろ向きになっていたりとその状況によっては前線の3人で3バックに対してバチッとハメにいく場面も見られ、その際には中盤以降の後ろもきっちり連動します。
愛媛の守備ブロックがコンパクトで、また守備のスタート地点が高いので全体のブロックも高くなっており、背後にスペースはありますが、ボールホルダーへのアプローチの速さと連動でそれをカバーするという方法です。
セレッソはこれに対して有効なボール循環を行う事はなかなかできませんでしたが、ハイラインである以上1つプレスを外す事ができると後ろにスペースがある。
なので4分には杉本が抜け出しドリブルシュート、7分には清原が抜け出し折り返しを澤上に、9分にも再び杉本が、そしてこれは決定的な形に持っていく事ができましたが、11分には澤上のスルーから清原が抜け出し切り替えしで愛媛DFを振り切りシュートを放っています。
11分の場面はかなりのチャンスでしたが、もはや愛媛の守護神となっている児玉がその反応の速さでセーブしました。
セレッソとしてはスムーズに攻撃できていた訳ではありませんが、水戸戦の様に早い時間に失点した訳ではなく、またそもそもセレッソとしてはやりたいことがあったりする訳でもないので、背後を使った形で愛媛ゴールに迫る場面は作れていたので、水戸戦や千葉戦の様に必要以上に前掛かりになってカオスな状況をつくってしまうことはありませんでした。
■セレッソの守備
セレッソ前線の守備 |
そして最終的には個の力で止めてしまうものの、いつも通りやっぱり簡単にボールを運ばれる場面は何度もありました。
それはこれまでも何度も書いていますがファーストディフェンスがハッキリしないからですが、わかりやすい所でいえば前線3人の関係。どこから始まるのかが曖昧なので3人がバラバラ。イメージがあって上手くいく事が0という訳ではありませんが、無理せず何度か動かしている内にバラバラになる状態がすぐにできるので、例えば高い位置にいるようでもボールホルダーに対して全く制限をかけられていない状態になっている事も何度も見られます。
ボランチをあける事に |
その結果相手のボランチがフリーになってしまう。これがいつものズルズル下がってしまうパターンにつながってしまう訳です。
そしてよくこのブログのコメントでもいただきますが、ソウザが喰いつきグセがあるという部分。セレッソの守備で置きているのは喰いつきグセとかといった個人の資質の部分よりももっと構造的な話で、結局1列目の守備が機能していないからボランチがフリーになる。
このままだとズルズル下がる事になるのでどこかで止めにいきたい。だから前に出るという選択をしているのでしょう。
ただ、残念なことに最初の1列目の守備と同じで、どこから行くかが個人の判断まかせ。
なので上手くいく事もありますが、上手くいかないことも当然ながら多く、穴を空けてしまう事につながっています。
で、その結果最終的に後ろの選手はできるだけもっとも危険な後ろのスペースをケアする事になりズルズル下がるという構図です。
ボランチを動かさないためにはボランチの前の守備を整備するしかありません。
これは攻撃の時の事を考えると当たり前にやっている事で、最終ラインにギャップを作るためにバイタルエリア、そしてバイタルエリアを使うためにボランチを動かす、ボランチを動かすために2トップ脇のスペースや2トップ裏のスペースにボールを運ぶ。それと同じ構造です。
話しをこの試合に戻しますが、セレッソはこの日も千葉戦同様にボランチをフリーにしてしまっている事が多く、小島からかなりの縦パスを出されてしまっていました。
最終ラインやボランチの所の個人の守備力で何とか対応はしていましたが、決してチームの守備が機能しているという訳ではありませんでした。
■山村を最終ラインに置いた3バック
29分〜 |
山村を入れたので4バックに変更するかと思われましたが、山村はそのまま茂庭の務めていた3バックの左に入ります。本職のCBとして庄司をベンチ入りさせていましたが、トップチームの出場経験はまだなく起用する考えは無いようです。
左サイドのビルドアップが改善 |
山村が普段ボランチで起用しているように足下の技術にも優れ、またパスも出せる選手。
それまでの時間帯でセレッソは杉本が引いてくる事で左サイドに基点を作ってボールを運ぼうとしていましたが、ミラーゲームでマッチアップがハッキリしている分愛媛の選手も問題なくスライドしてカバー出来ていたためアプローチも早く、詰まってしまうと一か八かで前に出ていくしか選択肢が無かったのでこの左サイドがパス回しの基点にはなっていませんでした。
しかしそこに山村が加わることでやり直しのパスや角度の変化をつけるパスが出せるようになったのでボールの循環もスムーズに。
そして34分にはこの試合で初めてボールを動かしてスペースを作り、清原がミドルシュートを放つ場面をつくるなど愛媛がブロックを下げて守らざるを得ない状況を作る事ができるようになって行きます。
基本的に守備では簡単にボールを運ばれる事が多いので相手ボールになると押し込まれる形になってしまう事もありますが、前半の終盤は一か八かではない攻撃で相手を押し込める事ができるようになっています。
■後半の展開
後半開始〜 |
ただ杉本は1トップとしてCBと勝負し続けるというよりも、下がったりサイドに出たりしてボールを受けたがるのでまた少し構造が代わってしまいますが、セレッソの攻撃は決まりごとが無いのでそれほど大きな変化はありません。
後半最初のチャンスを作ったのは愛媛。
先程も書いたようにセレッソの守備は人の問題ではなく組織の問題なので、杉本と澤上の守備のポジションが入れ替わっても特に変化がなく簡単に1列目の裏にボールを入れられて押し込まれると、49分に林堂から盾に入れたボールを下がりながら処理した藤本がなんとかカットするも、そのこぼれ球が左サイドでフリーになっていた浦田に渡りボレーシュート。
浦田のシュートは少し焦ってしまったのかタイミングが早く浮いてしまいましたがかなり危険な場面でした。
そしてその後も押し込まれる時間が続くことに。
ギリギリの場面で個人が何とか無理をして対処していましたが、余裕のないギリギリの状態が続いていました。もしこういう状況の時にこぼれ球が相手に転がったりするともう対処できないんですよね。
ただ54分のCKからのセレッソがカウンターを仕掛けた場面は大きなチャンスでしたが、田中の折り返しは杉本に渡る直前でカットされてしまいました。
57分〜 |
続く57分に愛媛は近藤に代えて表原を投入。そのままのポジションです。
酒本が入り、表原が入るまでの間にセレッソは右サイドから個人の即興による崩しで酒本が抜け出しシュートまで持っていきますが、林堂が何とかカバーした事で枠に飛ばすことが出来ませんでした。
そしてこの試合を通じて唯一のゴールが決まったのはこの直後。
愛媛は最終ラインのボール回しの際にボランチから藤田が降りて4バック化するという形を持っているのですが、58分も普段通り藤田が降りて最終ラインのボール回しに加わると、茂木からボールを受ける途中のバックステップを踏んだ時になんと転倒。それを杉本が拾ってゴールに流し込みゴール。セレッソがラッキーな形で、愛媛にとってはこれ以上無いぐらいアンラッキーな形でゴールが決まりました。
失点をしてしまった事でここから愛媛は前がかりになります。
その中心だったのが直前に投入された表原。ヴィッセル神戸U-18時代から定評があった切れ味鋭いドリブルで積極的に仕掛けてきますが、愛媛の攻撃はバリエーションが少ないので個人で対応できるものがほとんど。例えばドリブルで1対1で抜くことができればチャンスなんでしょうけど、個人の能力で勝負するなら押し込まれながらもセレッソもなんとか対応できるという状態です。
69分〜 |
セレッソの守備が構造上どうしても下がってしまうので押し込まれる場面が続きますが、前が借りになっている分後ろにはスペースがある。という事でカウンターのチャンスが作れるようになり、73分には杉本が決定的なシュートを放ちますが枠を外してしまいます。
この場面も含めてやはり中2日という事もあってか澤上もそうでしたが杉本もいつもよりもキレが少し無かったですね。この場面で杉本は1つタッチが多くなり足下にボールが入ってしまいました。
そしてその直後の74分。今度は愛媛が、右サイドからのクロスに対して左WBの内田までもが中で合わせるというかなり思い切った攻撃でこの試合最大のチャンスを作りますが、田中が捨て身のカバーでシュートをブロック。おそらく前節の失点の責任も感じていたんでしょうけど、このシュートブロックはかなり気持ちのこもった壮絶なプレーでした。
81分〜 |
愛媛の交代は、藤は右WBのポジションに入り、右WBだった白井が左WBに、そして左WB内田が3バックの左に入るという形。セレッソでも田中が行っており、また松本山雅や札幌などでもやっていますが3バックのサイドの選手が攻撃に参加する事は攻撃の厚みを作る方法として代表的なものです。愛媛としてはここに内田を入れる事で何とかという狙いだったのでしょう。
一方柿谷が入ったのはそのまま左シャドゥでした。
ただこの愛媛の狙いは、この3バックの左とマッチアップするのが本来SBの酒本という事でそれほどの効果をあげる事は出来ませんでした。
酒本のシャドゥは普段どういう狙いなのかがあまり良くわかりませんが、この試合では結果的に守備面でメリットがありました。相手の形を見て酒本がここに入ったわけではなく、たまたま酒本がいるところに内田が動いてきただけなんですけどね(笑)。
相変わらずズルズル下がるので盤石とはいえませんでしたが、おそらく愛媛は攻撃のバリエーションをふやそうと目論んだであろう最後の交代もそれほどのメリットをうみだせず、単調な攻撃を続けるばかりだったので、アディショナルタイムにはカウンターからソウザが抜け出し1対1となるもGK児玉にブロックされノーゴール。
そのまま試合終了となり1-0でセレッソの勝利に終わりました。
■その他
内容としては基本的にそれほど改善された訳でもなく、ラッキーなゴールでしたが久々に勝利することができました。5ヶ月ぶりの復帰となった柿谷ですが、おそらくこの試合は10分間と決めていたのでしょう。特に何かをした訳でもありませんでしたが、復帰出来た事は良かったと言えます。
次はもう少し長い時間使う事になるでしょう。もう順位もほぼ決まっているのでおそらく試合展開に関係なく。
ただ、この試合では茂庭のトラブルもあり、また前半からおそらく藤本もあまりコンディションがよくなさそうだったのであわや使えない所でしたけど(苦笑)。
今シーズンのセレッソはセカンドチームも含めると選手の人数はかなり多いですが、これまで使い捨ての様に選手を入れ替える事しかしてこなかったので、チームにフィットしている選手、戦力として計算できる選手の層は決して厚いわけではありません。
なので柿谷が使えるかどうかはかなり大きいでしょうから何とか本当の意味での復帰に向けてのプログラムを歩み始める事ができたのはポジティブな要素と言ってもいいでしょう。
またもう1つ。この試合でセレッソの選手として初めて本格的にディフェンダーでプレーした山村ですが、ポジティブな要素も見られたので茂庭、山下の状態によっては継続する可能性もあります。
ただ山村にはスピード不足というハッキリとした弱点があります。
チームとしてそれを踏まえた形をつくる事ができるなら山村の最終ラインは十分アリだと思いますが、おそらくそんな事はできないでしょうから、そこは少し不安要素でもあります。
この日の愛媛はそこを効果的に使う事が出来ませんでしたが、狙ってくるチームも出てくるでしょうからね。そしてそうなったらまた使い捨てるように山村をベンチに回して単純に人を入れ替える選択をする未来が見えるだけに…
あと記者会見の謎コメントの1つである下がってしまう事については本文中で書いたつもりですが、もう1つの謎コメントであるこぼれ球について。
これも匂いとかよくわからないものではなくハッキリとした理由があります。
こぼれ球の反応が遅れるかどうかは選手が準備出来ている状態に持っていけているかどうかです。
オーバータスクの状態で色々な事をしないといけない、本文中にも少し書きましたがギリギリの状態でプレーさせているから判断がどうしても遅れてしまう。
なのでここを改善するにも、個々の役割をハッキリさせる事しかありません。
やらなければいけないことをハッキリさせ選手の状態をクリアにすることが対応のスピードが上がる事に繋がります。
ここを改善するために何かをやらなければいけないのは選手ではなく監督です。
J3 鹿児島ユナイテッドFCサポーターの方が、スタジアムが理由でJ2ライセンスが交付されなかった事を受け、新スタジアム建設の為の署名活動を行っておられます。下記からオンライン署名ができますのでよろしければお願いします。 署名ページ:https://kufcsupporterscommunity.blogspot.jp/p/blog-page_93.html 鹿児島ユナイテッド公式 サポーターによる署名活動ご協力のお願い http://www.kufc.co.jp/information/11845/ |
分析ありがとうございます。
返信削除プレスのスイッチオンが入らないことで、ズルズル下がるケースは解消されていませんが、
杉本が追って行ったから、相手選手のミスによって生じたチャンスをモノにできたんだとポジティブに考えてます。
追わなかったら、スリップどころかバックステップでもなかったかもなぁ、と。
POに向けてどう過ごすか、が非常に重要な局面ですが、監督は抽象的なことばかり言うので、期待していません。
山村は3バックでなら、大きな心配はないと思っていますが、柿谷と玉田を同時に使って欲しいと思っています。
柿谷にはゴールに近いところにいてもらって、玉田が降りてきて、捌くという形は、自然にできるだろうな、と。
でも、監督は、その選択肢を持っていないようなので残念ですが...。
先日は昇格を望まない感じのコメントをしましたが、本当は心底願っています。
コメントありがとうございます。
削除柿谷と玉田の併用ですが、問題は守備の役割分担をどうするかですね。
現在のシステムだと1枚はサイドの守備をしなくちゃいけないですから、スタートポジションがサイドになってしまう事もあります。
また2トップで前線に並べるなら、今度はゴールキックとかロングボールのターゲットが前線にいなくなります。例えば4バックにして両SHに杉本と清原という組合せにすると杉本がその役割も担う事になるのでしょうが、サイドで押し込まれてしまうとそれも厳しい。
なのでもしこの2人を併用するなら、チームの戦い方のコンセプトを固め約束事を徹底する必要があるのですが、監督にはその能力が無い。
寂しい結論ですが、現実的にはそんな所でしょう。
あと昇格に関しては、もちろんわかってますよ(笑)。
お疲れ様です。
返信削除選手個々の試合内での適応能力とか前半を終わってのスカウティングデータの受け渡しとかセレッソはあまり深く無いのでしょうか?
少なくとも個人の状況判断や適応能力は低そうな気がします。
キーパーが前目のポジションを取ってるから狙えとかあってもよさげでしたし。
山村をセンターバックで使うなら足の速くカバーに行ける選手が必須でしょうけどそうなると本職でない田中か怪我の山下しかいないですね。山下は13,14年とカバーリングでかなりいい仕事してましたし。
柿谷についてはまだまだな感じですね。扇原が移籍して出し手がいないなかどこまでやれるかは未知数ですし、そうなると尚のこと山村を同時に使いたいところ。
とりあえずあと2試合は戦術…は無理なのでコンディション調整に努めてもらいたいです。
コメントありがとうございます。
削除その辺も監督の考え方次第でしょうね。
実際にプレーをするのは選手だという言葉がありますが、実際のプレーに向けて準備をするのが監督ですから…