- 千葉テレビスカパー
スタジアム | フクダ電子アリーナ | 主審 | 松尾 一 |
入場者数 | 10,948人 | 副審 | 大川 直也、日高 晴樹 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 16.7℃ / 55% | 第4の審判員 | 塚田 健太 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 長谷部 茂利
- 監督
- 大熊 清
試合経過
-
90+2'
-
90'
-
88'
-
75'
- 74'
-
69'
- 64'
- 46*'
-
43'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 9 | 16 | 12 | 14 |
CK | 1 | 4 | 5 | 6 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 10 | 14 | 11 | 13 |
警告/退場 | 0/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督ジェフユナイテッド千葉 長谷部茂利監督
セレッソ大阪 山口選手、ソウザ選手、松田選手、玉田選手
ジェフユナイテッド千葉 井出選手、オナイウ選手、岡本選手
この試合を含めてラスト4試合となる明治安田生命J2リーグ第39節。前節までの3試合連続引き分けで2位との勝ち点差が残り試合数を上回りかなり厳しくなりましたが、ラストチャンスの為にも勝ち点3を積み上げるしかない状態のセレッソは、前節の同じく引き分けでこちらはプレーオフ出場の可能性が完全に消滅したジェフユナイテッド千葉と敵地フクダ電子アリーナで対戦。セレッソは3試合連続引き分け、千葉は7試合連続勝利なしと両チーム共に調子を落としている中での一戦となりましたが、フタを開けてみると千葉にとって6/17の第17節以来今季2度目となる3-0で快勝。セレッソにとっては完敗といえる試合となりました。
■メンバー
セレッソのメンバーは、前節から2人変更。前節がトップチームでのプロ入り初先発だった澤上の1トップは継続ながらも、右のシャドゥが清原から酒本、3バックの左は山下から茂庭に変更となっています。右のシャドゥに関しては監督なりの判断があったんだとは思いますが、山下に関しては前節に痛めた様でこの試合に向けてのトレーニングでは完全に別メニュー調整となっていました。
一方の千葉は前節からは3人入れ替え。システムを4-2-3-1でトップ下に長澤、GKは前節が今季初出場となった岡本が継続、また今季ユースから昇格したCB岡野、高卒2年めの左SB乾、トさらにボランチでアランダとコンビを組むのはベテラン佐藤勇人とベースとなる部分は継続しながらも、右SBに2007年、2008年にはセレッソにも所属し、夏の移籍期間で鳥栖から期限付きで加入した丹羽竜平を、さらに4試合連続得点が無い攻撃陣のテコ入れとして1トップにはオナイウ阿道、右SHにはスピードのある船山を起用してきました。
■セレッソがペースを握った序盤
序盤から30分頃まで、両チームともにサポートの選手のポジションが遠い為1トップに入る選手が孤立し、前線にボールが収まらないという展開でしたが、試合のペースを握っていたのはセレッソでした。横幅を広げられる千葉 |
セレッソも千葉の守備のスタート時の形4-4-2にセットした時に、3バックだけでなくボランチ2枚共が降りてしまって相手の2枚に対して5枚いるというアンバランスな状態になっている事もあったのでビルドアップに苦労している場面もありましたが、そうなっていない状況では高い位置に出ているWBに大きな展開でボールを動かす事でボールを前進させ、そこにソウザとシャドゥが絡んで行く形で千葉を押し込む事に成功する事が出来ていました。
ただ、3分、5分、17分とカウンターを受ける場面もあり、3分の場面はボランチが2枚同時に上がった所でソウザがボールを奪われて、5分は杉本が中盤下がった所でボールを奪われて、17分は田中がオーバーラップした後のこぼれ球に松田がミスキックをしてしまってという自らのミスが原因となったもの。
ミスが起こる原因ももちろんあって、それはシンプルにいえばいつも通り個々の判断で勝手にやってるからなんですけど、ただ、このミスから来るカウンター以外はこの立ち上がりの時間は千葉はほとんどボールを運ぶ事が出来ていません。
それは最初に書いたオナイウが孤立しているからボールを奪ってもオナイウの所で奪われてしまうからでしたが、それはオナイウがというよりもトップ下の長澤が、守備のスタートはオナイウと横並びの4-4-2でセットしながらも、1列目を越えられると一応広がってしまっている中盤のヘルプに入ろうとしてか下がってくるのですが、誰をどこを見ているのかがよくわからない状態になってしまっていたため、結局ボールを奪っても行方不明になっており、ほとんどボールに絡めていなかったからではなかったかと思います。
一方のセレッソも先に書いたように基本的に澤上が孤立しているので、中を使った縦に速い攻撃はほとんどなく、サイドで運ぶ、または相手の出来上がった守備組織に対して杉本やソウザが個人技で何とかしようというものがほとんどでした。
澤上が孤立していたのは、普段1トップのサポート役として中央に入っていったりする動きを繰り返している清原の不在は影響していたでしょう。
代わりに入った酒本もかなりチーム最古参で責任感も強い選手ですからいつものように運動量豊富に動き回りますが、やはり本職はサイドの選手。それも近年はSBですから同じ役割を求めるのは酷です。
23分のチャンスの形 |
これはセレッソの布陣に対して千葉の4-4が広がってしまった決定的な形で、丸橋が前に出て杉本が引き気味にポジションをとった所でボールを受けると、右SBの丹羽は完全に丸橋に引っ張られ、CBの2枚は中央の酒本と澤上についているのでSBとCBの間がぽっかり空くことに。
ここを見逃さず杉本がドリブル突破で船山を振り切ると、岡野が慌ててスライドした所でフリーになった酒本にパス。そして酒本が右足シュートという形でした。
■千葉が盛り返す事に
しかし30分すぎから千葉が徐々に盛り返します。中継のピッチレポートで30分に長谷部監督が長澤にホワイトボードで指示を伝えているという事が伝えられていますが、おそらく中途半端なポジションでほとんど試合に絡めていなかった長澤にポジションの修正を伝えたのでしょう。30分頃以降の千葉 |
この1トップのサポートに入るのがトップ下ではなく両SHとなっているのは、立ち上がりは全く孤立してしまっていたので最初から狙っていたかどうかは不明です。
ただ長澤がアランダと佐藤の近くでボールを受けここで時間を作ることで両SHがオナイウの近くに入る、そして両SBが高い位置を取るという形は、この30分以降明確に見られるようになり、33分には丹羽がこぼれ球を拾った所から佐藤勇人のミドルシュート、36分にはショートパスを繋いで井出が入ってくる形と立て続けにチャンスを作ります。
そしてこの中盤で繋がれると簡単にボールを運ばれズルズル下がってしまうのは、プレビューにも書きましたが、今シーズンの仕様です。これは何度も言われるように守備のスタート位置が決まっていないからで、それは一向に改善されません。
もしかするとこのズルズル下がってしまう事に対して厳しい意見があるかもしれませんが、今の状態で前にでたらそれこそ背後は大変な事になります。序盤ボールホルダーにプレッシャーがかからないから背後を取られるシーンが続いた事で、守備陣も何とかしようとしてリトリートにたどり着いたという流れですからね。
そしてそれが実際にでたのが43分の失点シーン。
おそらく選手間でも何とか高い位置で守備をしようというのがあるんだと思います。
相手をハメていこうと全体を高い位置に置き、相手を捕まえようという姿勢を見せますが、スイッチがはいらないままフリーのアランダからオナイウにボールが出る。
この時にオナイウに対応しようと慌てて藤本が出ますが、ワンタッチで長澤に落とされ、長澤から井手に。井出のシュートはキム・ジンヒョンが何とか触りますがそのままゴールに入ってしまう。
中途半端に上げたときの典型的な形です。
そしてこのまま前半が終了します。
■何もなくなっていく後半
後半開始〜 |
どうも3-4-2-1から4-2-3-1に変えるのを攻撃的な交代だと思っているようなので、ビハインドとなり30分以降はリズムも悪くなっていたので、ハーフタイムに早々とシステムを変えてきたという事でしょう。とはいえまだ45分あるわけですから完全に焦りがうかがえます。
そしてセレッソが4-2-3-1にした事で千葉とはマッチアップが噛み合うことに。
なので、前半立ち上がりのセレッソがペースを握る根拠となっていた相手の横幅を広げる事が出来ていた状態がなくなってしまい、千葉はシンプルにボールサイドにスライドすることができるようになりました。
一応メリットとしてはおそらく個人の能力としてはナンバーワンのソウザを前に出すことができましたが、ソウザは元がボランチの選手でそこから自由に動くので結局澤上の孤立問題は解決していません。
ただ、前節のように個々は何とかしようとどんどん前がかりになりますが、前節の様に個人で押し切る事はできず、また守備の問題もシステムの問題ではないので改善されず、結局はソウザの個人技爆発待ちという展開になります。
69分〜 |
セレッソは澤上があまりボールを受けられていなかったのでリカルド・サントスに代えたんだと思いますが、個人の問題ではないので変化はありません。
また千葉はリードしておりセレッソが早々と前がかりになっていたので飛び出せる佐藤勇人よりもよりバランスの取れる富澤という選択だったのでしょう。
74分〜 |
しかしその投入直後のプレーで船山からのクロスをオナイウが胸トラップして豪快なボレーでネットに突き刺しゴール。75分に千葉が2-0とリードを広げます。
オナイウのゴールも素晴らしいものでしたが回りにカバーがいない状態で中央でオナイウと1対1の状況になっていた田中は身体を当てられず。まあ今シーズンからCBで起用されるようになった田中に全体的にこういう守り方をしていない中でというのは酷だったかもしれませんね。
そして船山も完全にフリーでクロスを上げていますから自由に好きなところにボールを出せる状態になっていたため最初にオナイウとの距離を近づけておくという判断も難しかったのでしょう。
その後もソウザの個人技を中心に選手個々では奮闘を続けますが、実際には空回りという状態に。
88分〜 |
92分〜 |
3-0と千葉の完勝に終わりました。
■その他
前節も2ゴールを奪ったとは言えカオスな状態で結果は引き分け、それに対して適切な処置もできないままで、さらに焦るようなシステム変更、そして選手個々もなんとかしなきゃと奮闘することでよりグチャグチャになってしまい完敗。今のチーム状況というかここまでの38試合で積み上げてきたものの無さを実感させられる試合でした。
最終ラインの選手たちがリトリートを選択することもある意味積み上げてきたものと言えますが、どちらかといえばそれは応急処置的なものですからね。
時々コメントでプロの選手たちなので選手間で何とかならないものかというご意見をいただく事もありますが、もちろん何とかなる事もあるでしょうけど、何とかならないことの方が多いでしょうね。選手間の調整を繰り返す状態は、いわば設計図がない状態。そして最終決定を下す人もいない状態で、それがずっと続いているわけですから。
前節にカオスな状況に陥っていた事でチームとしてはギリギリの所なんだという事を感じさせましたが、今節完敗を喫した事で選手はもはやどうして良いのかわからない状態になってしまう、もしかしたら既になっているのではないかという事が心配されます。
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いつも的確な分析楽しみにしています。選手がどうして良いのか判らなくなっているとのコメント激しく同意。良い職人がいてやる気があっても設計図がダメなら良い家は絶対に建築出来ないのだと思います。たった数年前はざるではあったが、ワクワクする攻撃サッカーしていたのに。。。
返信削除コメントありがとうございます。
削除そうですね。今シーズンはちょっと選手がかわいそうな感が…
分析ありがとうございました。
返信削除以前はどんな形でもいいから昇格したいと思っていましたが、
ここ数週間は、来年もJ2で「セレッソのサッカー」を実現して、昇格したい、と思います。
「チームとしてのサッカー」を見たいです。
コメントありがとうございます。
削除おっしゃられているお気持ちはわかりますが、個人的には昇格して欲しいです(笑)
とにかくちゃんとしたサッカーをみたいですね。
見事に去年の11月のごとくチームがバラバラになってました
返信削除にも関わらず、見ごたえのない試合を分析して読みごたえのある記事にしてくれて感謝します
開幕前からモチベーションダダ下がりっぱなしでしょうが是非今年も最後までお願いします。
今連載中で読んでるユースのサッカー漫画で
「個人戦術」=フィールド上で思考して最善手を探り試合状況に応じて自分のプレーを変えていく力
ということに触れてました
セレッソの選手は11年当時のFC東京の選手に比べてこの個人戦術がかなり劣っているのでしょうか?
当時東京にいた椋原などが今うちに在籍しているから個人的にそうは思わないのですが・・・
自分はろくな地図もナビも持たせずジャングルで目的地まで行けと無茶を言ってる
今の監督がダメだと思っているのですが、ネット上では選手を非難する声も少なくありません。
話を去年に移すと、同時期にバラバラサッカーになったのは監督が思い描く戦術やポジショニングを
選手に落とし込めないのが原因だと分析されてましたが、これは選手達の戦術理解が低すぎる故だったのでしょうか?
今年の総括は監督が身体能力と気合至上主義でダメだったの一言で済んでしまいますから
その総括代わりに、下部組織を含めて今のセレッソの個人戦術や戦術理解度がいかほどのものなのか
を深めに分析してもらえないでしょうか、ピッチ以外のことにも及ぶ大変面倒くさいテーマですが(笑)
もしセレッソがフロントや育成を含めて全体でこれらの面を軽視していたら
仮に、億が一、来年トゥヘルみたいな戦術家の名監督が来てくれたとしても
チームが上向きになるまで1シーズンまるまるかかって結果が出なくて
3年連続でチームがバラバラになるってこともありえるわけなんですよねえ。
コメントありがとうございます。
削除まずいうと、2011年のFC東京は崩壊寸前、かなりギリギリの所にまで追い込まれていました。
今季開幕直後のセレッソよりも勝ち点を取れてなかったですからね。
僕もシーズンを通してFC東京を見ていたわけではないのですが、どこかの試合後に羽生が号泣していた事を覚えています。
ただ、逆にいうとそのタイミングが早かったのが結果的に良かったのかもしれませんね。
もちろんいくら早くてもダメになる可能性はあったでしょうが、戦術兵器ルーカスもいましたし、結果的には上手く行ったという事なのでしょう。
ただあくまでこれは結果的でしかないんですけどね。
また個人戦術については書かれている事で間違いではないと思います。
ただサッカーは正解が1つではありません。
なのでAにとっての正解とBにとっての正解が違う可能性があるということですね。
なのでいくら個人戦術の高い選手が複数いたとしてもその正解をすり合わせる存在である監督は必要なんです。
あと、去年の話しは、選手たちの戦術理解度の問題もあるでしょうが、ここは人間対人間ですからそんなにシンプルな問題でもないですね。合う、合わないもありますし。
1点目の失点の時に最終ラインに5人がそろっていましたが、藤本が食いついて空けたスペースを田中と茂庭が絞って埋めておらず、そのスペースを使われて丸橋も一瞬足を止めていたため、カバーに入れていませんでした。
返信削除監督が設計図を作っていないため、最終ラインにかかる負担は大きいでしょうが、空いたスペースを埋める動きは、ジュニアの時から体に染み込ませることができていないままプロになっているのが日本のサッカーの現状で、とうていヨーロッパのサッカーに追いつくことはできないと愕然としてしまいます。
コメントありがとうございます。
削除1点目の失点場面は縦パスを出したアランダを含め、あの縦パスを入れられる前の場面で全てフリー、何の制限もかかっていなかった事が大きいと思います。
アランダは受け手にとって最も良いタイミングを選んで出すことが出来ており、船山と井出もそれを確認する余裕がありましたから。
また今年もプレーオフですね。
返信削除どうしても去年との比較で話してしまいますが、去年は深い戦術がないなりに相手の弱点を突くような布陣、戦い方で理にかなったものでしたが今年はそんな面もなくただただ日が過ぎていくだけな感じですね。
これではプレーオフも期待できません。
外国人監督だとどうしても選手個人、日本人、日本サッカーの特性含め理解した上で組み立てようと思うと1年では難しい部分もあり、伸び代でもあるかと思うのでアウトゥオリ解任は勿体無いなーと去年の今頃も思ってました。
まして後任にこんな監督が来るならなおのこと切るべきではなかったと。ま、結果論ですが。
今の大熊監督には伸び代もないし続ける意味がわからないですけどね。
山下がケガで長引くようなら厳しいですね。せっかく柿谷が戻ってきそうなのに。
コメントありがとうございます。
削除監督が成功するかどうかは、やりたいこと、やらせたいことを選手たちに実践させることができるかどうかという部分が大きく、アウトゥオリはそれが出来てなかったという状態でした。
なので個人的には解任はしょうがないと思っています。出来ていなかったわけですから。
ただ、今年はそもそもやりたいこと、やらせたいことがボヤッとしてる状態ですからね。良いか悪いかのスタート地点にも立てていません・・・