2017年2月11日土曜日

セレッソ大阪 2017シーズンの展望 その2

セレッソ大阪 2017シーズンの展望第2回は、ここまでのプレシーズンマッチから見えたチームの戦い方についてまとめたいと思います。
この内容は2/10時点。開幕に向けてもう少し時間がありますので、ここからどのように進化、または変化していくのかにも注目したいところです。


■サガン鳥栖時代の尹晶煥サッカー

尹晶煥が監督としてのキャリアを始めたのは2011年のサガン鳥栖。このブログを始めたのがちょうど同じ2011年で、そして翌2012年からはJ1でしたので、尹晶煥監督率いるサガン鳥栖対セレッソ大阪の試合は全てまとめています。
ですからまず当時のサガン鳥栖のサッカーを振り返ってみましょう。

フォーメーションは4-4-2。よく書かれていたのが豊田をワントップにした4-2-3-1でしたが、トップ下になる池田圭は中盤というよりも豊田の回りを動き回るセカンドストライカーでしたので、実際のところはほぼ4-4-2。このブログでもスタメン表なんかでは4-2-3-1にしていた事もありますが、実際のマッチアップ図では4-4-2にしていたりもしました。

当時のサガン鳥栖のサッカーで特徴的だったのがロングボールを多用していたこと。
当時のJリーグではあそこまでロングボールを多用するチームはありませんでしたからかなり特殊だったと思います。
そのロングボールをもう少し掘り下げると、起点となっていたのはSBがメイン。そしてターゲットである豊田をサイドに流れさせCBとではなくSBとマッチアップさせるようにし、2トップを組むセカンドトップの池田圭も同サイドに流れる。
特徴的だったのはこの2トップを同時にサイドに流れさせる形だったのではないでしょうか。
その為セレッソでは例えば丸橋のサイドにロングボールを入れてきた時には左ボランチの扇原を豊田と競らせ、丸橋はセカンドボール回収役とする形で対策を取るようになっていき、そのやり方がハマったのは2013年のホームでの試合。
この試合ではトップ下のシンプリシオが累積警告で出場停止となっていたのですが、そこで採用したのはボランチの山口をトップ下へと1つ上げてダブルボランチを扇原と横山と高さのある選手にする布陣。これでSBを狙ったロングボールを扇原と横山で対応させたことで鳥栖のロングボール攻撃が不発におわりセレッソが4-1でセレッソと快勝しています。

守備に関しては4-4-2でブロックを作る方法。
鳥栖といえばハードワークという印象があるので高い位置から追いかけていた風に捉えられる事もありますが、セットした場合はハーフウェイ辺りからきっちりとブロックを組んでおり、タックルラインも高くありません。
ハードワークの印象があるのは入ってきたボールに対して激しくプレッシャーをかけに行く迎撃型の守備方法と、2列目中央の選手が前に出てくること、そしてSHがそのカバーをしていたこと、またロングボールを多用するということはボールを失う回数も多い為守備機会も多い、さらにロングボールを使う2トップを同サイドに流した形のバリエーションとしてSHを2トップと逆サイドに2人とも揃えるという手法もあり、その時にセカンドストライカーの池田がSHとしての仕事もしていたからでしょう。

ちなみにサガン鳥栖に対しては、昨シーズンの天皇杯、2014年の2試合、2013年の天皇杯及びアウェイと直近は5連敗を喫しているのでやられた印象が強いですが、それまでは2012年の開幕戦で引き分けただけでナビスコカップも含めて4連勝。尹晶煥率いるサガン鳥栖との通算成績は4勝1分3敗でした。

■プレシーズンで見えたセレッソでやろうとしていること

ここまでのプレシーズンを見る限り、流石にサガン鳥栖で行っていたロングボールを多用するスタイルはやらない模様。メンバー構成をみると当然といえば当然なのですが、別の形にトライしている事がうかがえます。

まずはロングボールを使わずにどのようにしてボールを運ぶかというところから。
4-4-2でのビルドアップ
布陣は4-4-2ですから仮に相手も4-4-2とするとセットした状態では図のような状況となっています。
ビルドアップのスタート時点でCBが考えているのはいかにいい形でSBにボールを渡すか。
CBから一発やCBからボランチへというパスが無いこともありませんし、相手の2トップが2CBに対してアプローチをかけてきた時にはボランチの1枚が最終ラインに落ちて3バック化をする事もありますが原則的に2CBと2ボランチはそのままのポジション。攻撃のスタート地点になっているのはSBの様です。
そしてここでSBが前に誰もいない状態でボールを受ける事ができれば素早いドリブルでボールを前進させる。例えば一旦SBに出したボールをもう一度戻して素早くサイドチェンジした時に相手の中盤のスライドが付いてきていないとSBが縦にボールを運ぶ。これが最もシンプルなボールの前進方法です。とはいえそう簡単にSBの前が空いていることはありえませんが。
SBからのクサビ
そこで、おそらく最も狙っていると思われるのは、SBから2トップに向けて斜めにクサビのパスを入れる形。簡単に言えばこれが攻撃のスイッチで、最終ラインでのボール回しはこのクサビを狙うための準備期間、このボールに対してSHが2トップに寄るか、それとも背後を狙うか。2トップの2人はそれぞれどのように動くかにバリエーションがあるようです。
また特徴的なのがさらに2点。このクサビが入った時にボールサイドのボランチは一気に前に出ていく事と、そしてボールと逆サイドのSHはサイドに開くポジションを取る事が多い事です。
ですからボランチの1枚は一気にボックス近くまで飛び出す場面もありますし、またこのクサビのパスから逆サイドのSHに展開という形もありそうです。
ただ、現時点ではこの形もまだ限定的にしか見られません。
SBがボールを入れるタイミングを逸してしまったり、入れようとしても2トップが準備できていなかったりという場面がほとんど。
まずはこの形がどこまでできるようになるかがポイントになってくるのではないでしょうか。
SBがかなり重要な役割を担いそうです。

セレッソのシャドゥ的な動き
ただこの形が機能するようになれば、この形が1つあることでそこからバリエーションも生まれます。
その1つが横浜FC戦のニュース映像などでも流れていた立ち上がり9分の清武から杉本、柿谷とボールが渡ったチャンスシーン。この時は「相手が」という部分もありましたが、機能するようになるとCBはSBへのボールを出そうとしているので相手のSHは速くアプローチに行くために最初から少し外寄りのSBに近いポジションを取ろうとしてしまう事が起こりえます。
しかしこれは罠にもなりえる状況。相手のSHが外寄りのポジションを取ると言うことはボランチとの距離が広がりCBからSHへ一気に入るパスルートが出来てしまうという事です。
この状況で抜群に上手いのが清武。というか内田篤人が香川・乾・清武らを指して「セレッソから出てくる選手はこの動きが皆んな身についている」と語っていた事もある、いわゆるセレッソのシャドゥらしいプレーの1つで、相手のSBがついていけない場所についていけないタイミングでスッと降りてボールを受けて前を向く事ができる。この状況になると慌てて寄せても1人目はドリブルで外す事ができるし、相手の陣形がズレたらパスも出せるので一気にチャンスを作る事が出来ます。
なので相手のSHはSBにボールが出るとわかっていても守備のスタート地点は絞ったポジションから始める事が必要で、ボールが出てからサイドに出ていくという事を繰り返さないといけません。
そうなると今度はあえて丸橋を相手のSHの守備のスタートポジションに近づけて、その外側に清武が降りてきたり、また丸橋と清武のポジションを入れ替えたり、そして色々やっておきながら結局SBから逆サイドに張っているSHへのサイドチェンジという事も可能です。
このいわゆるセレッソのシャドゥの動きはおそらく福満あたりも身につける事ができそうなので、是非掴んで欲しいところ。
また、尹晶煥監督が舩木に対して「丸橋祐介の次に使える」と語るほど舩木に可能性を感じているのはこの辺の丸橋にやらせようとしているプレーができる素材だと考えているのではないでしょうか。
鳥栖時代からボールを運ぶ形は変化が見られますが、SBが起点という意味では共通点もあります。

またもう1つはこの形をすることでボールを失う回数も増えるかもしれません。がしかしその反面ボールを失う形をある程度固定化できるかもしれません。
ここはまだまだできていない部分でしたが、昨シーズンの山口の様にボールを失う形が決まっていればそこでの守備の切り替えの形もある程度決める事ができます。
そこを詰める事ができれば、守備への切り替えのスピードも速くなり、カウンターを受ける場面を減らせるかもしれません。

そしてセットした守備に関しては基本的なコンセプトは鳥栖時代とあまり変わらない様子。
4-4-2でセットしたところから守備を行う事になりそうです。
ただ鳥栖時代もその傾向がありましたが、最終ラインの4人に関してはポジショニングが細かいのですが中盤の4枚については結構「頑張れ的」な傾向も強い。
4-4-2でセットした守備
例えば、4-4-2だと相手はまず2トップ脇のスペースを狙ってくる事が多いのですが、ここに関してはボランチが頑張って出ていく。頑張れないとフリーになるので全体が下がってしまう事も増える。また頑張って出ていっても今度はその穴をSHが頑張ってカバーしないといけない。
SHが絞った時にSBの前を使われてSBがそこに出ていくと次はその裏、その結果CBが引っ張り出されるという場面も現段階では見られます。
鳥栖時代もずらして剥がしてくる広島相手にはかなり分が悪かったように、頑張るだけではどうしようも無い場面をどのように対応するのか、例えばもっと頑張れるようにするのでも良いのですが、どちらにしてもどのように整備していくのかにも注目したいところです。


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