スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 松尾 一 |
入場者数 | 17,790人 | 副審 | 清水 崇之、小椋 剛 |
天候 / 気温 / 湿度 | 雨時々曇 / 18.1℃ / 50% | 第4の審判員 | 中野 卓 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 尹 晶煥
- 監督
- 長谷川 健太
試合経過
-
82'
- 78'
- 75'
-
74'
-
67'
-
54'
- 46*'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 18 | 6 | 16 | 12 |
CK | 3 | 3 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 10 | 4 | 10 | 8 |
警告/退場 | 1/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督FC東京 長谷川健太監督
セレッソ大阪 高木選手、木本選手、マテイ・ヨニッチ選手、山口選手、西本選手
FC東京 チャン・ヒョンス選手
FC東京 富樫選手、丸山選手(FC東京公式)
ミッドウィークのリーグ戦から中2日で迎える明治安田生命J1リーグ第8節。リーグ戦3連勝中、公式戦4連勝中のセレッソ大阪が、リーグ戦4連勝中、公式戦5連勝中のFC東京を本拠地ヤンマースタジアム長居に迎えての一戦は1-0でセレッソ大阪の勝利となった。
■メンバー
前節川崎戦では6人を入れ替えるターンオーバーを行ったセレッソ大阪。今節はその6人が戻るかと思われたが、オスマルが負傷とのことでボランチには、J1リーグ戦では昨季第16節アウェイ仙台戦で途中出場して以来2試合目、先発は初となる西本を起用。リーグ戦でここまで全試合フルタイム出場を続けている山口とコンビを組む。他にもキム・ジンヒョン、ヨニッチ、丸橋、柿谷は連続しての先発。
またベンチには前節に引き続き清武が入っている。
一方のFC東京はここまでターンオーバーをほとんど行っていないやり方をこの試合でも継続。先発メンバーで前節から変わっているのはディエゴ・オリベイラを富樫に代えた1人のみ。
好調の勢いをそのままということなのだろう。
■FC東京のチーム設計
開幕当初は昨季ガンバでもやっていたダイヤモンド型の中盤を使っていたが4-4-2になってチームが固まってきた東京。昨季のガンバ大阪を思い出すとイメージし易いが、長谷川健太監督率いるチームはボールをもって、ボールを動かしながら攻撃を組み立てるという戦い方はしない。
では、どのようにしてチャンスを作るかというと攻守の切り替えのところ。
最も得意としているのは、ボールを奪った勢いをそのまま一気に攻撃につなげる形。それがこの試合が始まる前の段階で3位、そして得点数も1位を記録していながらも、ボール保持率が44.0%で16位というところに表れている。
FC東京のプレッシング |
ただし、セレッソは長いボールを使うこともできる。
なので全てプレッシングというわけではなく、浮いている選手など数が合わない時にはプレッシングにいかず、スッと下がって4-4-2のブロックを作る。
このブロックを作る速さも今季のFC東京の特徴、長谷川健太スタイルとも言える。
FWを走らせるロングカウンター |
セレッソの場合だと低い位置でボールを奪った時はトップにクサビを当ててSHがスプリントするというパターンが多いが、FC東京の場合はもっと直接的。SB裏などのDFラインの背後に2トップが走り、そこにめがけて後ろから直接長いボールを入れてくる。
■ボールを持った時に強みを発揮出来ない両チーム
立ち上がりから徹底して背後への長いボールを狙っていた東京だが、セレッソの守備への切り替えもかなり速いこともあってそう簡単には入れられない。東京は攻守の切り替えが速くブロックを作るのが速い。しかし、これはセレッソにも共通していることだが、この速さをは攻守において布陣をあまり変えないという部分にも要因がある。
その結果、実はボールを持たされるとあまりできることが無い。
ヨーロッパでは最近日本代表が戦ったウクライナの様に、代表チームですら素早い守備ブロックの形成とボール保持の形を両立させているチームも見られるようになってきたが、FC東京やセレッソに限らず残念ながらJリーグではまだそこに達することが出来ていないのが現状だ。
セレッソはボールをもった時にトップにクサビを入れたり、長いボールを入れてのセカンドボールという形があるので、ボールを持つ時間が少ない割には敵陣まで攻め込むことも多かったのだが、最終的には個々のアイデアによる形になっているので、狭く閉められた東京の守備ブロックの前にシュートまで持っていくことが出来ない。
一方東京はブロックの外ではボールを持てるのでピッチを3分割した時の真ん中、ミドルサードまではボールを運べるがそこから出しどころがないという状況が続く。東京の前半のプレーエリアでミドルゾーンが51%となっていたのは攻めあぐねていることを表すものだ。
そんな両チームの状況。平たく言えば前半はかなり単調な試合となっていた。
そんな中でも両チームがゴール前に迫る形をつくっていたのがサイドからのクロス。
共に4-4-2のブロックを作り中央は閉めて守るのでサイドからが中心となる。
10分のセレッソのチャンス |
また他にセレッソは長いボールを使ってセカンドボールを拾うという形があるので、4-4を下げやすくサイドチェンジに持っていける回数はセレッソの方が多かった。
25分の東京のチャンス |
セレッソは絞った逆サイドのオープンスペースにボールを展開された時に、そこのボールホルダーにSBが出る時とSHが出る時がある。
この使い分けはボールの位置やSHのポジショニングなどでSBとSHの2人の関係で臨機応変に決めているのだと思われるが、比較的SBが出ていこうとすることが多い。
FC東京はおそらくそれを狙っていて、この場面ではSBが出たところにインサイドから東が飛び出し、そこに水沼がついていけなかったからこそ起こった場面だった。
ただ、前半に関してはここで1度やられたこともあってか、その後このギャップが生まれることは無かった。
■膠着した状況を動かすのは
膠着状態だった前半45分間。とはいえ両チームの戦い方を考えれば十分予想できるところ。なのでもちろん両チームの指揮官もこうなることは想定内。後半のどこかで勝負をかけるという考えは持っていたはずだ。後半開始〜 |
おそらく長谷川監督は試合前からどこかでディエゴ・オリベイラを投入しようとは考えていたと思うが、当初の予定ではもうちょっと富樫で引っ張るつもりだったんじゃないだろうか。
しかし膠着している状態の中、前節6人をターンオーバーしたセレッソの方がコンディションが良い選手が多い。そしてベンチには清武もいる。
そんな条件を踏まえて先手を打ってきたのだろう。個人的には実に長谷川監督らしい決断だと感じた。
ディエゴ・オリベイラはプレー自体は雑な部分もあるが、速いだけでなく強さも強引さも兼ね備えている。先発した富樫も前半からスピードを活かして裏を徹底する東京の戦術を全うしていたが、この戦術にフィットしているのは前節まで全試合先発しているディエゴ・オリベイラ。セレッソのディフェンスラインにかかる圧力はかなり上がる。
後半開始早々にファールになったものの早速フィジカルの強さをみせ、48分にはゴール前に飛び込んであわやの形。さらに54分のヨニッチが受けたイエローカードもまさにディエゴ・オリベイラが入ったからこそだった。
■4-4は広げなかったセレッソ
ディエゴ・オリベイラが投入されたことで、2トップを走らせる戦術をさらに強めてきた東京。そしてディエゴ・オリベイラの強さを活かして東京がセレッソを押し込むシーンも増やしていった。
後半はそんな東京ペースにも見える展開となっていたが、セレッソが崩れることは無かった。
その要因になっていたのは、最終ラインと中盤の4-4を広げなかったこと。
東京はどんどん前にボールを入れてくるのでどうしても布陣が間延びしやすくなり、実際にトップの2と中盤の4は間延びしてしまったことで押し込まれる時間は長くなったのだが、ボランチの2枚はもちろんSHも含めて中盤の4人はしっかりと帰陣。そのため間延びすること無く4-4を維持できていたので大きく崩されることはなかった。
前節SHをターンオーバーできたことの効果が現れたのかもしれない。
67分〜 |
ヤン坊マー坊の同時起用は残念ながらならなかった。
この日J1での出場としては2試合目、先発は初となった西本は、東京の速いプレッシャーの前につなぎの部分ではミスもあったが、全体的にはよくやっていたといえる。
この東京相手にこれだけ出来たので、今後も十分トップチームの戦力として計算できる。
現状では少しトップチームの選手が多いのでチャンスが巡ってくることは少ないかもしれないが、今後もチャンスを与えて欲しいところだ。
ただし、この交代後も展開は変わらず。東京が攻め込む時間は長いがセレッソの4-4のブロックが立ちはだかっていた。
そんな状態だったが74分、突然ゲームが動いた。
キム・ジンヒョンからのゴールキックをヤン・ドンヒョン、杉本、丸山が競り合ったところでボールはディフェンスラインの背後に流れる。しかしこのボールをチャン・ヒョンスと林がお見合いしてしまい、そこに走り込んだ高木がボールをかっさらう事に成功。林を抜いて無人のゴールに流し込んだ。
この場面は完全にお見合いとなっているのでシンプルに林とチャン・ヒョンスのミス。彼らにとっては悔やまれるプレーだろう。
しかしここに走ってきた高木は偶然ではない。ロングボールをヘディングでスラした背後に水沼、高木のSHが走り込むプレーは前半からセレッソは両サイドで何度も行っており、実はこれで何度かカウンターに持ち込むことにも成功している狙っていたプレーだった。だからこそ高木はこのミスを見逃さず得点につなげることができたのだ。
82分〜 |
サイドからのクロスは入れられるので太田を、さらにビハインドとなったことで守備には不安があるが仕掛けることが出来る久保をということなのだろう。
久保に関しては一度鋭いドリブルで才能の片鱗をみせたが、アドバンテージを作るまでには至らず。なので実際にここから東京はクロスをどんどん入れてくるようになる。(左の太田よりも右の室屋の方が目立っていたが)
そして82分にセレッソは高木に代えて清武を投入。
この日は4-4が機能していたこともあって5バックではなく4バックを継続していた。
前々節の湘南戦の時に書いた、サイドで一旦戻された時にフリーになりやすいという部分はこの試合でも出ており、東京は終盤に立て続けにクロスを放り込む状態になるがセレッソもしっかりと4-4で跳ね返し続ける。
逆にセレッソは、88分に清武の動きを上手くつかった杉本が放ったシュートや、90+3分にはFKからのトリックプレーで清武が放ったシュートなど、いずれも林が素晴らしいセーブをみせ決めることはできなかったが決定機を作っていた。後半はかなり押し込まれていた印象もあるかもしれないが、後半のシュート数・枠内シュート数共に実はセレッソの方が多かった。
試合は1-0のまま終了。
上位対決はセレッソ大阪が1-0でFC東京に勝利に終わることとなった。
■その他
かなり堅いゲームとなったが、しっかりと勝ちきったのは評価できる部分だろう。これまでに前例が無いほどの過密日程で、何人か連続で出場しているものの、ターンオーバーができる様になったのもポジティブな点だろう。
ここからグループ突破がかかったACL広州恒大戦、アウェイでの大阪ダービーとまだまだ厳しいスケジュールが続くが、このままの勢いを保っていきたいところだ。
毎試合詳細なレビュー楽しみに読ませて頂いております。
返信削除好調同士のゲームということで開始前から膠着する展開になると思ってましたが
やはり固い展開になりましたね。
事故のような得点ではありましたが大阪ダービー前にクリーンシートを達成できたことは大きな収穫に思えます。
序盤から中々パフォーマンスが上がらなかったDF陣の復調はいい材料ですが
昨季中盤あたりから猛威を振るった水沼再度の攻撃力が今季は影をひそめているのが懸念です。
一部では花粉症の影響で水沼のコンディションがあがらないと話に上がっていますが
伊監督的に最後までピッチに残すのは柿谷より水沼なところが少し頑固に見えてしまいます。
福満も好調をキープしていますし田中亜や高木を右に回して左サイドに柿谷丸橋を据えてみるのも一つの方法かなと考えてしまいます。
タイトな日程の中休みがない山口も心配ではありますが今一番セレッソとして結果が出ていないのは水沼のところと思っていますがどう感じていますか?