2019年3月2日 14時00分: パロマ瑞穂スタジアム
予想スタメン |
この試合が名古屋グランパスの今季ホーム開幕戦となる。
■名古屋グランパス
前半戦は第3節から15試合勝利なしで最下位。後半戦に入ると7連勝。しかし終盤戦は状態の悪かったチームから3つの勝利を挙げたものの3勝1分6敗。と浮き沈みの激しいシーズンを過ごした名古屋。勝ち点41で残留に成功した要因は、対セレッソで1勝1分と負け無しで勝ち点4を奪ったからだと密かに思っている。特に大きかったのが11月にキンチョウスタジアムで行われた第28節での勝ち点3。この試合は名古屋にとっても決して良い内容ではなかったが、対するセレッソも崩壊の真っ只中。後半立ち上がりに奪った相馬のゴールを守りきった。
そんな名古屋は今季に向け、玉田、佐藤寿人、楢崎らベテランの退団はあったもののほとんどの主力はチームに残留。さらに大宮からマテウス、広島から千葉、鳥栖から吉田、東京から米本と各クラブの主力クラスを獲得し昨年以上の戦力を確保することに成功している。
そして迎えた前節開幕戦ではアウェイでの鳥栖戦に0-4で快勝。好スタートを切っている。
その開幕戦での名古屋は4-4-2の布陣を採用。GKはランゲラク。DFには宮原、中谷、丸山、吉田、MFは米本とジョアン・シミッチの2ボランチにガブリエル・シャビエルと前田。2トップにはジョーと赤崎。昨季残留の立役者とも言えるエドゥアルド・ネットは怪我で長期離脱中。またプレシーズンでは主力組に入っていたマテウスは足に違和感とのことでベンチ外となっている。
試合展開としては前半から名古屋がボールを持つという展開になったのだが、その中心にいたのが2月に入ってから獲得した新外国人8番のジョアン・シミッチ。鳥栖が3バックだったこともあるがプレッシャーを受けないポジション取りをするのが非常に上手く、そこから左足で縦パスを入れてくる。スプリントを繰り返したり前線に飛び出す様なプレーはほとんど無いので一見動いていないように見えるが、常にポジション調整を繰り返しており走行距離はチーム2位の11.510kmを記録した。
またさらに縦パスを入れるタイミングも独特。常に顔を上げ身体の向き調整しながらプレーするので、ボールコントロールと視野の確保を同時に行っており、ワンタッチやツータッチの早いタイミングで縦パスを入れることができる。
昨季後半戦の躍進のきっかけとなったのが、エドゥアルド・ネットと丸山からの縦パスだったことからもわかるように風間サッカーでは縦パスがかなり重要となる。
今季は開幕前からエドゥアルド・ネットの長期離脱で不安もあったのだが、この試合で見せたジョアン・シミッチはエドゥアルド・ネットと遜色ないどころか、もしかするとそれ以上とも思えるプレーを披露。J1開幕節に出場した選手246人中、最多となる131本のパスを記録。さらに縦パス49本も最多だった。
ただ名古屋は、特に前半のボールを保持していた中で、そのボール保持からチャンスを作れていたかと言われたら微妙。これはまた鳥栖が3バックだったことも影響しているのだろうが、昨季から同じ傾向にあり、ボールを持って押し込むとシャビエルと前田の2列目も中央に侵入するので渋滞が起こる。「目を合わせ」「止める・蹴る」があれば少しのスペースでも攻略できるというのが風間理論だが、結局スペースがなくなってしまい「止める・蹴る」が発揮できなくなる。
ならばジョーの高さを使ってサイドからクロスとなるもこれも不発。クロスが合うことはほとんど無かった。
なのでチャンスを作っていたのはスペースがある状態で早いタイミングで縦パスが入ってきた時だった。
そして後半63分のジョーのゴールから名古屋が一気に4得点を奪うことになるのだが、後半開始からこのジョーのゴールまでは完全に鳥栖ペースの時間帯。55分のトーレス、59分の高橋秀人と2つの決定機のどちらかでも決まっていたらスコアは別にしても結果は反対だったかもしれない。
しかしここでスコアは動かなかったが鳥栖が攻め込む時間をつくったことで名古屋の攻撃の時にスペースができた。そこで昨季連勝中にもエドゥアルド・ネットともう1人縦パスを打ち込むことができた丸山からジョーへ縦パス一閃。これを風間理論を身に着けて確実に進化したジョーが見事に決めた。
この先制点をきっかけに鳥栖も前に出ざるを得なくなった為、それでできたスペースを使って名古屋がゴールを量産。名古屋はスペースがあれば縦パスによる緩急で擬似カウンターの様な状況を作ることができるので、その強みが活きたといえる。
■プレビュー
名古屋グランパスの先発メンバーだが、前節はジョーと赤崎の2トップにガブリエル・シャビエルと前田の2列目という形だったが、後半赤崎が下がってから得点を重ねるという展開だったので、2トップはジョーとガブリエル・シャビエル、2列目は前田と相馬という組み合わせになりそう。おそらくマテウスもまだ間に合わないだろう。ボランチ以下は前節と同じメンバーが並ぶ形になりそうだ。一方、セレッソ大阪の先発メンバーだが、前節はスペースを埋める3バックで勝利しており今節もスペースを埋める守備は有効であろうことから3バックと予想しているが、フタを開ければ4バックということも十分考えられる。
ロティーナ監督やイバンコーチが名古屋のどこを抑え、どこを狙っていくかによってフォーメーション並びに人選は変わってくる可能性も十分ある。
ただスペースを埋め、背後を狙うということであれば3バックでも、開幕戦と同じ様に右WB舩木という形を取る可能性もある。
開幕戦で見せたジョアン・シミッチのプレーはどこのチームであっても決して無視できるものではなかった。セレッソはここに対してどうするのかはポイントの1つとなるだろう。
FWがボランチの位置から守備をするのか。ボール保持時には米本が前、ジョアン・シミッチが後ろという関係になっていることがほどんとなので、アンカーにぶつけるようにトップ下に選手をおいて担当させるのか。ロティーナ監督がどの様な形をとるのかには注目したい。
そして風間監督とロティーナ監督はある部分で対象的な面を持っている。
ジョーは名古屋に加入しさらに進化している。本人も繰り返し口にしているようにそれに大きな影響を与えたのは風間監督。ブラジル代表のキャリアを持つ選手が風間理論にふれることで成長したのだ。
こういったことからも風間監督は非常に優秀なコーチであるということがわかる。開幕戦であれだけのプレーを見せたジョアン・シミッチも風間理論でさらに成長する可能性もある。
ただし「コーチとして」としたのは基本的に選手個々に近い考え方をしているから。
それはチームの組み立て方も現れており、例えば攻撃であれば受け手と出し手の1対1の関係が10パターンあるというのに近く、3人目もその1対1に加わるという形。これは守備でも基本的には変わらない。なのでどちらかといえば、個の集合体がチームというイメージとなる。
その一方、ロティーナ監督は11人によるチームを1つの単位として捉えている。
チームは選手の集合体ではなく、チームを構成する要素が選手という捉え方。もちろん個を軽視するわけではないが、チームが勝利するためにどの様な戦い方をするのか。そしてそのためにそれぞれの選手はどの様なプレーをしなけれないけないのか。個の力はどの様に発揮すべきなのか。ヨーロッパでは一般的な考え方とも言えるが日本ではそれほど多くない。
なので、おそらくロティーナはこういった作り方をするチームには負けたくないはず。
名古屋の攻撃陣驚異だが隙も大きいので、チームとして戦い勝ち点3を奪い切りたい。
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