2019年3月29日金曜日

明治安田生命J1リーグ 第5節 vs ベガルタ仙台 プレビュー

2019年3月30日 14時00分: ユアテックスタジアム仙台

予想スタメン

国際Aマッチウィークを挟んで2週間ぶりに行われる明治安田生命J1リーグ。第5節は敵地ユアテックスタジアム仙台でベガルタ仙台と対戦する。


■ベガルタ仙台

開幕戦となった浦和戦こそ引き分けたがそこから3連敗を喫し最下位に沈んでいるベガルタ仙台。
厳しい状況の一端となっているのは大きく選手が入れ替わったことだろう。
そもそも昨季から野津田、板倉、中野と主力に期限付きで加入している選手が多かったことから今季は選手の入れ替わりが激しくなることはある程度予想されたことでもあるのだが、彼ら3人に加えチームの象徴的背番号7番を背負いチームを支えてきた奥埜がセレッソに移籍したことは計算外だったのかもしれない。
これらの移籍に対して、長沢(神戸)、兵藤(札幌)という計算できるベテランと、飯尾(長崎)、石原崇兆(松本)というJ2でハードワークを武器にプレーしていたサイドアタッカー。さらにはスペインのレバンテで数年に渡り主力としてプレーしていたシマオ・マテ。神戸から松下を完全移籍で獲得。そしてマリノスから20歳の左利きアタッカー吉尾海夏を期限付きで獲得することで選手層は確保した。しかしどうしてもチームに馴染むのには時間がかかる。特に仙台のサッカーにはポジショナルプレーの概念が必要となるため、慣れていない選手にとってはなおさらである。
また今季はチームを牽引してくれるはずと計算していた椎橋が負傷離脱しているということの影響もあるだろう。

そしてもう1点。仙台の不調は今季開幕からではなく、ラスト8試合が1勝1分6敗に終わった昨季終盤から続いている問題だということも忘れてはいけない。
そんな昨季終盤の結果から今季は変化が求められていた。そして実際に新たなチャレンジを行っているが、まだそれが上手くハマっていないというのが現状なのではないだろうか。

今季の仙台の変化でわかりやすいのは昨季までは左WBが主戦場でセレッソ戦でもアシストを記録した永戸が3バックの左に入っていることだろう。
ここは昨季まで板倉が務めていたポジションで、その板倉がチームを去ったということもあるのかもしれないが、例えば昨季のオスマルだったり札幌の福森など3バックの左に左利きが入ることには大きなメリットがある。それを踏まえての起用だろう。
実際に永戸が3バックの左に入ることでビルドアップの起点やロングボールの砲台になっている場面も多い。
そしてさらにチャレンジと言えるのが、3バックの関係がボール保持時には2CB+SBの様になっていること。つまり平岡と大岩は4バックのCBの様なポジションをとり、永戸は左SBの様に左サイドに開いてオーバーラップを行っているのだ。
その場合永戸の前、左WBに入る関口や石原崇兆は内側のレーンへと移動。そこに左シャドウも絡み、3人が流動的に入れ替わる場面も見られている。

またさらにその応用形としてボランチの1枚が最終ラインに落ちる4バック化もある。
これはミシャシステムでお馴染みの形だが、4-1-5の布陣となり左だけでなく右でも平岡が右SB化しオーバーラップからクロスという形を見せているのだ。

ただ、先に書いたようにこれがハマっているかと言われるとそうでもない。
ボール支配率が昨季の50.5%から今季は41.7%。パス数も昨季の474.2本/試合から401.0/試合。どちらのスタッツも低下しているのだ。
仙台はボール非保持でリトリートすることで相手を自陣に引き込み、ボールを奪うと引き込むことで作った敵陣のスペースを立ち位置の優位性を使いながらパスを繋ぎ疑似カウンターの様な形で攻略するパターンを得意としている。
なのでどうしても相手にボールを持たれる時間がありボール支配率が60%を超えるという形にはならないが、それでもボール前進でパスを多用するためボール支配率は50%以上、パス数もリーグ平均以上の数字は記録する。
今季ここまでマリノス、神戸とボール保持に特化したチームとの対戦があったとはいえ、ボール支配率41.7%(リーグ17位)はあまりにも低い。昨季よりもボールを保持できなくなっているのだ。

これが仙台が取り組む新たなチャレンジのハマっていないと感じさせる部分。
今季の仙台はボール保持で形を変えるため守備陣形を整えるのに時間が必要となる。トランジションの速さは昨季通り高い水準をキープしているように見えるが、守備陣形を整えるのに時間が必要となる分守備ブロック全体の位置が低くなり、ボールを奪っても前線が孤立してしまっている場面が多い。
前線に長沢という高さを加えロングボールという新たな武器は手にしたが、孤立状態だとセカンドボール争いでも後手を踏んでしまう。その結果ロングボールもボールを失う回数が増えるデメリットの方が目立ってしまっている。

さらにもう1つが右サイドからの攻撃だろう。
仙台は4バック化することにより左サイドはサイドアタッカーのCBとインサイドでもプレーできるWB、さらにはシャドウとそれぞれの役割が上手く整理されている。
しかし右サイドではCBが本職の平岡がサイドに出て、サイドプレーヤーの蜂須賀が中に入るため役割と選手がちぐはぐな状態になっている。さらには右シャドウの石原直樹はできるだけゴールに近い位置でプレーさせたいという思いもある。
その結果右サイドはスムーズさに欠け、敵陣に侵入したとしても可能性の低いクロスで終わってしまうことが多いように感じた。

やりたいことはわかるのだがちぐはぐというのが仙台の現状ではないだろうか。

■プレビュー

ベガルタ仙台の先発メンバーだが、石原直樹が怪我で別メニュー、さらに湘南戦で途中出場からチームに勢いをもたらした吉尾が初先発との情報がある。さらに渡邉監督は選手の入れ替えを示唆するような発言もあるため、前線はジャーメインの1トップにハモン・ロペス、吉尾の1トップ2シャドウが濃厚か。さらに高卒新人の照山が練習で3バックの右に入ったとの報道もある。

一方のセレッソ大阪の先発メンバーだが、前節途中交代となったデサバトはまだ全体練習に復帰していないとの報道。古巣対決となる奥埜がボランチで先発する可能性が高そうだ。
一方、その他の組み合わせは前節からの継続路線が濃厚だが2週間の戦術トレーニングを経てまた変化をつける可能性も十分ある。

このブログでもここまでのリーグ戦4試合、カップ戦2試合の中でロティーナ監督の考え方、例えばボール保持、非保持の話しだったりビルドアップの部分について書いてきたが、根本的には自分たちで試合をコントロールすることが戦い方の中心にあることが伺える。
これまでのセレッソが持っていた考え方とは根本的に異なるのですぐにはピンとこないかもしれないが、今季取り組んでいるボール保持やボール非保持時の組織的な守備陣形もその手段の1つ。
どれだけセレッソが攻めることができたとしても、どちらのチームにも十分なスペースがあり両チームのゴール前へとボールが行き来するようなオープンな状況となることをよしとせず、試合をクローズさせながら自分たちがいかに相手ゴールに迫るかという考え方のもとでチームとしての戦い方が組み立てられている。
オープンな攻め合いは勝利する確率が上がるのかもしれないが、同時に負ける確率も増え勝敗がどちらに転ぶかわからない、つまりコントロールを失っていると捉えているのだ。
この考え方をより深く理解することができれば、ロティーナがやろうとしていることもより深く見えてくるのではないかと考えている。

これを踏まえてこの試合のポイントになるだろう部分は、まずはセレッソがボールを持つ展開に持っていけるかどうかだろう。
そしてもう1つがボール非保持時に仙台の左サイド、セレッソの右サイドにフタをして仙台の攻撃を右サイド、セレッソの左サイドに誘導すること。
この2つができれば試合をコントロールできる状況にもっていくことができる可能性が高い。

コントロールできる状況に持っていくことができれば後はフィニッシュ。
前節の浦和戦ではフィニッシュには不満が残ったものの、大外レーンを使いながらその内側のハーフスペースを突く形をいくつか見せることができていた。
今節もその形を継続、ブラッシュアップすることができれば勝ち点3はついてくるだろう。

かつては苦手にしていた仙台だが、ここのところの相性はかなり良い。
内容が上向いていることは間違いないので、それを確固たるものにするためにも結果が欲しい一戦だ。


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