スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 木村 博之 |
入場者数 | 27,571人 | 副審 | 塚越 由貴、権田 智久 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 29.9℃ / 74% | 第4の審判員 | 先立 圭吾 |
メンバー
- 監督
- ロティーナ
- 監督
- 金 明輝
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 ロティーナ監督サガン鳥栖 金明輝監督
セレッソ大阪 奥埜選手、ブルーノ・メンデス選手、水沼選手
サガン鳥栖 豊田選手、フェルナンド・トーレス選手(Jリーグ公式)
キックオフ時点では気温30℃を超える中行われた明治安田生命J1リーグ第22節、ヤンマースタジアム長居でのセレッソ大阪対サガン鳥栖の一戦は、ほとんどの時間帯で試合をコントロールしながらも不運もあり88分以降に2失点を喫し逆転負け。ホームでは第7節以来となる敗戦となった。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは、リーグ戦前節から1人入れ替え。瀬古がベンチスタートとなりCBには前節ボランチで先発した木本。そしてボランチにはデサバトが第16節以来の先発復帰となった。デサバトは途中出場でのプレー内容も上々だったのでどこかで先発復帰があるだろうと予想できたが、それが今節となった。また前節に引き続き柿谷、ソウザはベンチに入っている。
一方のサガン鳥栖の先発メンバーだが、前節は4-3-3を採用し今節も同じフォーメーションとなるかと思われたが、4-4-2に戻すことを選択。そして前節からは金崎、福田、原、大久保の4人が外れ、2トップはフェルナンド・トーレスとこの夏に鹿島から加入した金森。SHは右にアン・ヨンウ左にクエンカ、ボランチには原川と松岡が起用され、最終ラインは左から三丸、高橋秀人、パク・ジョンス、小林、GKは高丘となっている。
外れた金崎はベンチ外となり福田と原はベンチスタート。また大久保は清水に移籍したため、控えGKにはこちらも新加入の石川が入っている。
また金崎がベンチ外となったことで、ベンチには大体大から来季の加入が発表されている特別指定選手の林選手が入っている。
■ハイプレスをしかける鳥栖
予想通り鳥栖は試合開始から2トップをきっかけにハイプレスを仕掛けてきた。それに対するセレッソは立ち上がりこそいくつかビルドアップにミスが出たが、全体的にはハイプレスを外して前線にボールを運ぶようになる。
セレッソの3バック化 |
そしてさらにセレッソには同じ3バック化でも藤田が最終ライン落ちる形もある。
こうなると捕まえる選手自体が変わる。
例えばこの試合でもアン・ヨンウよりもクエンカが高い位置から守備をしようとする場面が多かったのはおそらく丸橋は最初から前に出ていくけど松田は後ろに残ることもあるからで、しかしそこから松田が前に出ると人が変わる。
先制点につながるCKを獲得した場面 |
立ち位置を決め、相手がこう出てきたらここが空くというのがチームとして共有することが出来ているというのがハッキリとわかるシーンだった。
そしてこのCKからトーレスがヘディングでクリアしたところを奥埜が豪快にダイレクトボレーで合わせゴール。
19分にセレッソが先制する。
普段であれば奥埜は松田と共に相手のカウンターをケアするためにハーフウェイライン付近に残ることが多いのだが、この場面では戻ってこようとしたところでデサバトが「自分が残るから奥埜は前にいていい」と伝えたことでたまたま前に残っていた。
■ボール保持率は若干鳥栖が上回る
先に書いたような形でセレッソは鳥栖のプレスをかいくぐりボールを運ぶこともでき、さらに15分ごろから鳥栖はプレスの頻度も少なくしてきたことで、チャンスをいくつも作るなど試合をコントロールできていたのだが、前半のボール保持率では若干鳥栖が上回ることとなった。鳥栖のボール保持の形 |
鳥栖も以前の様にかんたんにロングボールを入れてくるというスタイルではないので自陣からボールをつなごうとする。
そのためセレッソは普段よりは前から守備をする場面もが多かったものの、やはり基本は4-4-2のブロックを自陣で作る。
このセレッソのブロックにたいして鳥栖はなかなかブロックの中にはボールを入れられず、原川が最終ラインに下がってCB2人との3人でボールを持っている時間が長かった。
そしてどうしても中にはボールを入れられないので、セレッソが捨てている大外レーンからボールを運ぼうという形がメイン。鳥栖の両サイドは少しデザインが異なっており、右サイドはSHアン・ヨンウがサイドに大きく開く。一方の左サイドではSHのクエンカはどんどん中に入り、その外側を三丸が上がっていってクロスというパターンが多かったが、このクロスからは鳥栖がチャンスを作る場面はほとんど無かった。
ただもちろん全くチャンスが無かったわけではないが、チャンスになっていたのは、セレッソのビルドアップのミスからと、金森が前線でボールを奪ってのショートカウンターというところか。
4分の鳥栖の攻撃 |
鳥栖の左サイド、セレッソの右サイドでひし形を作り頂点となる金森のポストプレーでワンタッチで間に飛び込んで来た。最終的にはデサバトが原川を倒してイエローカードを受けることになるのだが、ワンタッチがそこまでの流れは良かった。
ただ、この場面で興味深かったのはこの流れについてではなく入っていったのがボランチの原川だということ。
もし同じ状況であってもセレッソの場合はここにボランチが入っていくことはおそらくしない(特にこの時間帯だとしない)ので両チームの考え方の違いがわかるシーンだったと思う。
こうして前半は1-0のセレッソリードで折り返し。
セレッソは試合をコントロールできていたし、リードもしていたので良い前半だったと思う。
ちなみにこれでここまでのリーグ戦22試合で前半の失点は広島戦の連携ミスからサロモンソンに奪われた1点のみ。前半の戦い方はかなりの精度まで高めることが出来ている。
■変わらず試合をコントロールするセレッソ
後半に入ってもセレッソが試合をコントロールしている状況は変わらず。49分にはブルーノ・メンデスが抜け出しシュートと、さらに前に出てくる鳥栖の背後を狙うプレーも増えていた。
その後も56分に丸橋からのクロスのこぼれ球を奥埜がダイレクトで狙う場面や、その直後のCKでヨニッチが合わせるなどセレッソが何度もチャンスを作っていた。
60分〜 |
するとその直後の61分に最初の疑惑のジャッジ。
ブルーノ・メンデスが大好物のスペースに走りロングカウンターでペナルティエリア内に侵入するとパク・ジョンスに倒されるもノーファールの判定。
パク・ジョンスはボールにチャレンジすることが全く出来ていないのだが、ノーファールというセレッソにとって厳しい判定となった。
ただし、セレッソにとってちょっと気になるのはこの辺りからセレッソのセットプレーの後にオープンになりかける場面が見られ始めたこと。
4-4-2のブロックをセットできれば悪魔の左足を持つチアゴ・アウベスも完全に防ぐことができていたのだが、オープンな状況となると身体の強さもあり非常にやっかいな選手。
またトーレスもオープンな状況であれば持ち前の身体能力の高さを発揮することができ、セレッソにとっては十分脅威になりえる。
なんとかファールで止めることはできていたが、ちょっと気になる部分でもあった。
■2度目のミスと失点
82分〜 |
セレッソも79分に奥埜に代えて柿谷を投入。
すると直後の80分にブルーノ・メンデスがチャンスを迎えるも高丘がセーブ。
さらに鳥栖は87分に松岡に代え豊田を投入。金森がボランチに入るスクランブル状態になる。
そして2度目の疑惑のジャッジが87分。
柿谷のスルーパスにブルーノ・メンデスが抜け出し、高丘の手がブルーノ・メンデスの足にかかるもまたもやノーファールの判定。61分の場面は見るのが少しむずかしい、ファールを取らない可能性もある場面だったが、この87分の場面は明らかなファールだ。
試合後にはTwitterで #Jリーグジャッジリプレイで取り上げて というハッシュタグがたくさん見られたが、この2つめの場面は取り上げるまでもない明らかなファールである。しかし審判員はそれを見ることが出来なかった、単なる審判のミスである。
するとその直後のシュートで獲得した鳥栖のCKから。
チアゴ・アウベスが3本目のCKを林選手が飛び込みゴール。88分に鳥栖が同点に追いつく。
Twitterでも書いたが、この同点ゴールはもうどうしようも無いものだった。
2017年にソウザがCKからアシストを量産したのと同じで、あれだけのスピードボールをピンポイントで合わされると守備側はどうしようも無い。もう事故みたいなもんである。
ただこの試合で難しかったのは、ここまで何度も2点目を取るチャンスもあった。そしてPKらしき場面もあった。もう勝利が目前だった。そんな中で生まれた同点ゴールだったことだろう。
セレッソは必要以上に前がかりになり試合はオープンに。
その結果生まれたのが90+5分のカウンターからの豊田のゴール。
試合はそのまま終了となり1-2でサガン鳥栖に逆転負けを喫した。
■その他
試合の運び方としてはほぼ完璧だった。鳥栖は3人交代させたのにセレッソは1人だけとか、交代選手が得点に絡んだとかいろいろあるが、それは結果論に過ぎない。
敗因としては、2点目を取れなかったこと、そしてそれには審判のミスが絡んでいること、そして同点ゴール後の振る舞いというところだろう。
勝ち点3を失うことになったので審判のミスをアンラッキーでは済ますことはなかなか出来ないが、チームとしては戦い方を大きく変える必要は無いと思う。
ただ、フィニッシュの部分はもちろん、同点ゴール後の振る舞いはチームとして考えるべき点だろう。
あと審判にもミスはあるのでしょうがないが、結果にダイレクトに結びついてしまうようなミスはもう勘弁してほしい。
今回も興味深く拝読致しました。
返信削除焦りからか失点したあとの振る舞いがおかしくなるのは気になってました。「なぜオープンな展開に付き合う!」とか「なぜ繋がずドカンと蹴る!」とか忸怩たる思いを抱えて身悶えしながら観戦しております。
ビルドアップも向上してますし、組織的守備の堅牢さも維持できているので自分たちを信じてゲームをコントロールし続けて欲しいです。
「あとはシュート決めるだけ」問題は新加入の鈴木選手が解決してくれることを願ってます。