2019年8月7日水曜日

8/3 明治安田生命J1リーグ第21節 VS FC東京 @ 味の素スタジアム

スタジアム味の素スタジアム主審飯田 淳平
入場者数28,721人副審八木 あかね、村井 良輔
天候 / 気温 / 湿度晴 / 28.9℃ / 68%第4の審判員鶴岡 将樹
FC東京FC東京
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 長谷川 健太
 
  • 監督
  • ロティーナ

<監督・選手コメント>

FC東京 長谷川健太監督
セレッソ大阪 ロティーナ監督

FC東京 森重選手、東選手
セレッソ大阪 奥埜選手、清武選手、水沼選手、瀬古選手、柿谷選手

1週間のブレイクを挟んで迎える明治安田生命J1リーグ第21節。敵地味の素スタジアムでの首位FC東京との一戦は、前半セレッソ大阪が試合をコントロールするも後半一気に3失点を喫し0-3の敗戦。
今季最多失点での敗戦となった。

■メンバー

FC東京の先発メンバーは、リーグ戦前節から1人入れ替え。左SBの小川が負傷離脱となったことでガンバ大阪から加入したばかりのオ・ジェソクが起用された。
前々節は川崎に完敗したが、前節清水に勝利したことでそのままのメンバーでということだったのだろう。

一方のセレッソ大阪の先発メンバーはリーグ戦前節と全く同じ11人を起用。ボランチのデサバトは前節途中出場したことからもわかるように既に復帰しているが、木本のプレーにも安定感があるということでそのまま継続して先発が続いている。
ただしベンチメンバーには変更あり。柿谷、ソウザがようやくベンチに復帰。その分、山田、高木はベンチ外となった。

■セレッソの狙い

プレビューで「長谷川監督はおそらく前線からのプレッシングはしてこないだろう」と書いたが、実際に試合が始まるとFC東京は前線からボールを奪いに来ることはほとんどなくリトリートして4-4-2のブロックをつくる戦い方だった。
となると試合のベースになるのはセレッソのボール保持。セレッソはボールを持ちたい、FC東京はボールを持たれてもOKという考え方なので、前半はセレッソが61%の保持率を記録している。
セレッソのボール保持
セレッソのボール保持の形は上の通り。松田が最終ラインに残っての3バックもしくは松田が右ワイドで前に出ての2バック。この試合のFC東京は2トップがCBを追いかけてくるようなことはほとんどしないので、ビルドアップの形としてはCB2枚+ボランチ2枚の2-2でも十分なのだが、最初からガンガン上げるようなことをあまりしなかったのはネガティブトランジションからのカウンターケアの面を考えてのことだろう。
セレッソはこのボール保持で狙っていたのはハーフスペースにボールを入れること。
立ち上がりの3分には瀬古から清武とポジションを入れ替えた丸橋が左ハーフスペースでボールを受け背後のブルーノ・メンデスに(オフサイド)、さらに5分には奥埜が右ハーフスペースでボールを受けている。
3分の形
特に3分の丸橋がハーフスペースでボールを受けたプレーはおそらくセレッソが最もやりたい形。
藤田が最終ラインに下がる3バック化で瀬古を余らせドリブルで前進。そこで大森が食いついたところに丸橋が縦パス。この丸橋に室屋と渡辺が食いついたところで背後という流れだった。ブルーノ・メンデスが速く出てしまったのでオフサイドになったが、実はこの時奥埜もおり、奥埜はオフサイドポジションではなかったので2人の関係がもう少し整理されており、奥埜が背後、ブルーノ・メンデスが中という関係ができていれば絶好機となっていただろう。
SBの裏を狙う
ただ、このハーフスペースを狙う形はそう簡単に東京のディフェンスもやらせなかった。
そもそも4バックはペナ幅を守るぐらいの感覚で狭く、さらに15分ごろからは清武には高萩がかなり速いタイミングで捕まえて来るようになった。
ということでセレッソが次に狙っていたのは大外からの形。大外レーンの丸橋や松田を経由してSB裏にブルーノ・メンデスや奥埜の2トップ、もしくは水沼をはしらせる形。
特によりビルドアップ能力の高い瀬古がいる左サイドからの展開、瀬古に対して大森が食いつき、そこから丸橋に室屋、そして室屋の背後にブルーノ・メンデスという形が目立っていた。
とはいえ、この形でも東京のDFラインのセンターは準備が出来ており、さらに渡辺を引き出したとしてもブルーノ・メンデスも外に出てしまっている。丸橋、松田が深い位置にまで進出できたのは共に1度ずつぐらいしかなく、クロスは東京のDFラインに跳ね返されていた。

■東京の狙い

最初に書いたように前線からのプレッシングはほぼ行わなかった東京。
ということでリトリートして守っていたが、そうなるとボールを奪った時に狙うのはより2トップを走らせるロングカウンターとなる。
というか、この強力2トップのロングカウンターがあるからこの試合でリトリートするという決断ができるのだろう。
がしかし、この試合の前半はディエゴ・オリヴェイラと永井の2トップがロングカウンターで走るという場面はほぼなかった。1度だけセットプレーを跳ね返したところからディエゴ・オリヴェイラが走りかけたが丸橋が止めている。

東京がロングカウンターを出来なかった理由としては、もちろんセレッソのネガティブトランジションが速いこと、ボールを奪われるとポジションにつくこともあるが、それよりもセレッソの攻撃のところで書いた松田を最初から高い位置に出させなかったことによる影響も大きかっただろう。
最初から2CBと2ボランチの2-2でネガトラ対応させてもよかったと思うが、松田を残して3-2で準備している時間も多かったのは「東京が狙うオープンな状況は決して作らせない」というロティーナの頑固さを感じさせた。
室屋が前に出ていきやすい
ロングカウンターが繰り出せないので東京もボール保持攻撃がメインとなる。
攻撃の中心となったのは右サイド。ルヴァンカッププレーオフステージファーストレグではあまり前に出ることが出来なかった右SBの室屋だが、この試合では前にいるのは大森。そしてその大森が中央に進出するので室屋が出ていくスペースがあった。
高萩のポジション移動
そして東京のボール保持攻撃でよく見るプレーが高萩のポジション移動。これは中村憲剛などもよくやるプレーで、ボランチの位置から下がってきたり、1つ前に出たりと横だけでなく高さを代えて来るのが特徴的。この試合では右SHのような位置に出てくることが多かった。
そして高萩だが、フォーメーションにもあるようにキックオフ時点ではボランチ2人の立ち位置は左高萩、右橋本という関係になっていた。しかし15分ごろから2人の立ち位置を入れ替え。高萩は右ボランチになっている。
セレッソのボール保持のところで「高萩が早めに清武を捕まえていた」ということを書いたが、これはちょうど高萩が右ボランチに入ったからだった。
ただ、このボランチの左右入れ替えはセレッソのボール保持で清武を捕まえるためなのか、それともボール保持で右サイドでボールを前進させるためなのかは不明。ボール保持での高萩のポジション移動はそれほど効果を挙げることが出来ていなかったからだ。
効果的でなかった理由はセレッソは人を捕まえるよりもスペースを消すことを優先しているから。
中村憲剛が見せるポジション移動でも守備側に突きつけられるのはそのまま付いていくのか受け渡すのかという問題。しかしセレッソはボールを中心に守るのでこのポジション移動だけでは大きな問題にはならなかった。

■変える必要がなかったセレッソと変える必要があった東京

ということで前半は0-0で終了。セレッソに最も得点の匂いを感じたのは11分の木本がワンタッチで背後に出したボールの処理を渡辺が誤りブルーノ・メンデスが奪ってGK林と1対1になったシーンとそのシュートのこぼれ球を奥埜が狙ったシーン。一方の東京は25分にキム・ジンヒョンがビルドアップでミスし自陣ペナルティエリア周辺で橋本にボールを奪われたシーン。とどちらもミス絡み。
ということで前半はどちらも相手の守備の前に攻めあぐねたとも言える内容だった。
しかし、この前半で満足していたというかやりたいことが出来ていたのはセレッソだっただろう。
それはボールを保持出来ていたからとかではない。さらに得点は奪えていないし、そこまでチャンスを作れていたわけでもなかった。
だが、セレッソは試合に勝利するために必要な得点を奪うこと、そしてそれに至るためにチャンスを作ることは改善しなければ行けない点はもちろんあるが前半の戦い方の延長上にあった。
この試合に勝利するために、試合を攻略する戦い方ができていた。なのでセレッソは後半、得点を奪うための修正は必要だが戦い方を変える必要はなかった。

一方の東京は、先にも書いたようにこの試合ではあえてリトリートを選択。それができるのは強力2トップによるロングカウンターがあるからだった。しかし、このロングカウンターは全く出せなかった。なので東京は戦い方を変える必要があった。もちろんこのまま時間が進み運動量が落ちてきた時にチャンスが生まれる可能性はあるが、そうなるとそこまで我慢できるかどうかという問題が出てくる。
長谷川監督は「前半は私自身が選手の手綱を引っ張って、前から行かせないようにした。それで少し選手たちは戸惑ってしまった。だから後半は好きに行っていいと。」と語っているが、これは後半勝負という策ではなかっただろう。できれば前半の戦い方で勝負したかったはずだ。ができなかった。なので後半に変える必要があった。もちろん前半の戦い方がうまくいかなかったとしても変えればいいという考えはあったと思うが。
ちなみに質問者は「飲水タイム」からと言っているが「飲水タイム」はあまり関係ないと思う。

■東京の変化

ということで後半開始から戦い方を変える。
後半はセレッソのキックオフから始まるが、セレッソがボランチ、SB、CBとボールを動かすがそこにすべて東京はアプローチをかけてきた。
慎重に戦った前半に対して後半はいわば「死なばもろとも」的にアグレッシブに入った。

そしてこの東京のアプローチに対してセレッソはキム・ジンヒョンに戻し、東京が前に出た分空いた後ろを使うようにミドルレンジのキックを使ってマイボールを続ける(おそらく長谷川監督はこういうのが嫌だから前半は自重させたのだろう)。
しかしセレッソはここから敵陣でボールを失うと、そこから東京がボールを前進。そしてその流れから東のクロスを永井が頭で合わせ47分に東京が先制する。
この失点は、東のクロスに対してキム・ジンヒョンが前に出たのに触れなかったこと、そしてキム・ジンヒョンが前に出たのは瀬古のスライドが遅れてヨニッチと瀬古の間が広がってしまったことが直接的な原因なのだが、チームとしては相手の戦い方の変化に対応できなかったという失点である。
そしてそれは第14節の鹿島戦、第18節の広島戦についで3度目。この試合は鹿島戦の様にハッキリと前半試合を支配したわけではなかったし、広島戦の様にもっとわかりやすく先制したわけでも無い。
しかし、いずれも前半に封じ込めたことで相手が死なばもろとも的にアグレッシブに戦い方を変えたところからやられてしまっている失点である。
そしてこの2戦を見ているからこそ長谷川監督は前半の戦い方がうまくいかなかったとしても変えればいいという考えは最初からあったと思うし、実際に変えてきたのだと思う。
そしてセレッソは前回のFC東京と戦い勝利した第13節からの8試合で3失点しかしていなかったのだが、その3失点の内訳は鹿島戦の2失点と広島戦の1失点。つまり全て同じ展開である。

■オープンな展開が

戦い方を変え、それがハマり先制した東京はさらにアグレッシブに。セレッソもボールを奪いに行くようになったので徐々にオープンになっていく。つまりセレッソがコントロール出来なくなっていく。
56分〜
そしてビハインドのセレッソは56分に奥埜に代えて柿谷を投入する。ちなみに前半途中で入れ替えた高萩と橋本のポジションは元に戻っていた。

ここからしばらくはセレッソのボール保持が最も機能していた時間帯だった。
その要因の1つは前半にかけていた背後を狙う動きを柿谷が繰り返したこと。投入される時にハッキリと指示をうけていたのだろう。
そしてもう1つは東京がボールを取りに来るから。
以前から書いているが、実はセレッソとしては相手がボールを取りに来てくれたほうがやりやすい。前半にビルドアップのミスからピンチとなったが、あの場面も単なるミス。ボールを逃がすポジション取りは出来ていた。
そして後半は東京がボールを取りに来るのでスペースができ、そこをうまく使ってボールを運ぶことが出来ている。
そして65分には前半から狙っていたペナルティエリア内のハーフスペースに松田が侵入してクロスを入れている。(クロスはGKとDFの間を狙ってほしかった)
前半でここを突けたのはアディショナルタイムの清武の1回だけだった。

がしかし、セレッソもビハインドなのでボールを失った時に前から取りに行くため試合はオープンになっている。ということは東京も前半よりも比較的かんたんにボールを運ぶことができるようになっていた。
66分〜
そして66分、セレッソは藤田に代えてソウザ、東京は大森に代えて三田を投入。

するとその直後に木本が三田を倒して与えたFKから森重に合わされ68分に東京が追加点。
試合を決める大きな2失点目となった。

2点目を奪ったことで東京は再びプレスを止めロングカウンター狙いに。
86分〜
76分にセレッソは木本に代えてデサバト、東京は永井に代えてジャエルを投入。
さらに86分には東京が東に代えてナ・サンホを投入。

ここからは東京の守備ブロックをセレッソが攻めきれず、さらにアディショナルタイムにはディエゴ・オリヴェイラに追加点を奪われ3-0となり試合終了。
今季最多失点での敗戦となった。

■その他

この試合もそうだったように、ほぼ全ての試合で試合をコントロールできるようにはなっている。
しかしそこから相手が変化してきた時に後手を踏んでしまうというのが今の課題だろう。
前回のFC東京戦からこの試合までの9試合で5勝2分2敗だがそのうちの勝ち点を落とした試合で仙台戦の引き分けを除く1分2敗は同じパターンである。
そうなってしまう要因の1つには慎重な戦い方をしているからというのもあるかとは思うが、ここは乗り越えないといけない壁だろう。
もちろん半分以上の試合で勝っているので必要以上に悲観することはないと思うが、とはいえこういう前半を過ごした試合は普通に勝てるようにならないといけない。

後、久々の出場となった柿谷とソウザ。
柿谷は背後への飛び出しも含めなかなか良かったと思う。
現状のセレッソのボール保持攻撃で足りない1つは背後。このプレーがコンスタントにできるなら今後の出場機会は増えるのではないかと思う。
また湘南の山崎凌吾を狙ってるとの報道もでていたが、もしこれがロティーナのリクエストなら今の湘南でやっている前線でのポストプレーやターゲットとしてというよりも、徳島時代によくやっていた裏への飛び出しを求めているんじゃないかと思う。

そしてソウザだが、離脱前に比べるとボール保持時のポジショニングは我慢している感じは見られた。
ただチームとして清武が外から中へと入ってくるというやり方を取っているため、どうしてもソウザの行きたいスペースと被ってしまう。もしこのまま続けるならもう少し整理することは必要だろう。

■新ルール

あと最後にこの試合から新ルールが導入されることになったが、注目度の高かったFKの壁やゴールキックなどはFC東京がそこまでプレッシャーをかけてくることが少なかったので目立たなかった。
そして交代選手は境界線の最も近い地点から外に出ることになった部分も、両チームの交代選手全員がベンチ側のハーフウェイライン付近から出ていた。
またコイントスで勝ったチームはキックオフを選択できるようになったが、コイントスに勝った清武はこれまで同様自陣を選択したので変わらなかった。
そんな中であったのはこの試合で2度あったドロップボールについて。
これまでドロップボールは「何人の競技者でもドロップボールに参加 できる(ゴールキーパーを含む)。主審は 誰がドロップボールに参加してよいか、ま た、ドロップボールの結果につて指示でき ない。」となっており、ドロップボールは相手側に返すみたいな暗黙の了解があったが、今回からは「主審は、 ボールが最後に競技者、外的要因または審 判員(第 9 条 1 項に示される)に触れた位置 で、最後にボールに触れたチームの競技者 の1人にボールをドロップする。」となった。
このルールに則り2度のドロップボールはどちらもセレッソ側へとドロップされ、そのままプレーを続けたがその際にスタジアムでは2度ともブーイングが起こっていた。
こういったブーイングは今後もしばらくは起こり得るので、もう少し周知徹底する必要がありそうだなと感じた。




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