スタジアム | 日産スタジアム | 主審 | 家本 政明 |
入場者数 | 28,304人 | 副審 | 三原 純、勝又 弘樹 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30.6℃ / 60% | 第4の審判員 | 秋澤 昌治 |
メンバー
- 監督
- アンジェ ポステコグルー
- 監督
- ロティーナ
<監督・選手コメント>
横浜F・マリノス アンジェ・ポステコグルー監督セレッソ大阪 ロティーナ監督
横浜F・マリノス 畠中選手、仲川選手
セレッソ大阪 奥埜選手、瀬古選手、清武選手、鈴木選手
台風の影響でかなりのハードスケジュールとなった明治安田生命J1リーグ第23節。セレッソ大阪は敵地日産スタジアムで横浜F・マリノスと対戦し1-2で勝利。今季初めて失点した試合で勝利し、これで連敗は2でストップ。さらにマリノス戦での不敗記録は12試合にまで伸ばした。
■メンバー
横浜F・マリノスは、リーグ戦前節から先発メンバーを4人入れ替え。扇原が前節の退場で出場停止、朴一圭が怪我のため離脱。そして遠藤、大津はミッドウィークの天皇杯でフル出場していることを考慮してか先発メンバーから外れている。代わりに入ったのは杉本、渡辺皓太、マテウス、エリキの4人。杉本はこれがJ1初先発。対セレッソ戦でも、京都時代に控えGKとしてベンチに座っていたことはあるが、実際にピッチで対戦するのは初めてとなる。
そして残りの3人は全てこの夏のマーケットで獲得した新加入選手。渡辺皓太はヴェルディから、マテウスは名古屋から、エリキはパルメイラスから8月に入ってから加入しており、マリノスの選手としては渡辺皓太がミッドウィークの天皇杯に続いて2試合目、エリキ、マテウスは加入後初出場となり、けが人が続出している苦しさが垣間見える。
一方のセレッソ大阪は、リーグ戦前節から先発メンバーを1人のみ入れ替え。デサバトが累積警告で出場停止となり、木本がボランチに入り、瀬古がCBで起用されている。
セレッソにとって厳しいのはミッドウィークの天皇杯とのアウェイ連戦だということ。引き続き先発となっているのがヨニッチ、瀬古、奥埜の3人。途中出場選手も加えると木本、水沼も加わった5人。ベンチ入りしていた選手も加えると、松田、清武、ブルーノ・メンデスと8人の選手がいる。
そもそもミッドウィークから中2日でのアウェイ連戦自体がコンディション的にかなり厳しいのだが、今回はさらに台風の影響を受けている。
翌日の山陽新幹線が終日全線運転見合わせとなったため、チームは水曜日の試合終了後の夜23時ごろに急遽バスで大阪へと出発。そのため大阪についたのは翌日木曜日の朝。そして金曜日に横浜へと移動。そこから土曜日のこの試合を迎えるというかなりのハードスケジュールとなっていたのだ。
ということでこの試合のメンバーで山口に行っていない、バス移動を経験していないのは、キム・ジンヒョン、丸橋、藤田の先発4人と、新加入の鈴木孝司の5人。加入後間もない鈴木孝司がベンチ入りとなったのは、個人としての能力はもちろんだがこの台風によるバス移動の影響も考えてのことだろう。
■4-4-2対4-4-2
この試合で最初の驚きはマリノスが4-4-2だったことだろう。さらにいえば、この試合での4-4-2はSHが中に入ってきて4-2-2-2の様な布陣になることも多かった。
マリノスのビルドアップ時のポジショニング |
マルコス・ジュニオールとエリキの2人はエリキもトップに張るタイプの選手ではないので、2人がハーフスペースでの間受けと前線へという役割を入れ替えながら流動的にポジションを取ってくるのだろうと思わせた。
セレッソの守備 |
ただしこのアプローチも一発でボールを奪いに行く様な形ではなく、前まで寄せて立ち止まる。とにかくCBからボランチへはパスを入れさせないという形である。
2トップはいつもよりも高い位置で守備をしているし、いつもよりも仕事量は増えている。しかし、他のチームの高い位置からのハイプレスで見られるようなボールを奪いに行く守備ではない。なので例えば喜田が最終ラインに落ちても2列目から誰かが捕まえにでるというわけではない。
そしてセレッソの2列目以降の4-4はかなり中央に絞る。
立ち上がりに1度畠中からハーフスペースの間に立つマルコス・ジュニオールへとパスを入れられたが、そこに入れられると一気に絞ってボールを奪いに行く。
そしてそもそもがそこに入れられないぐらい4-4の幅が狭かった。
SBにボールが渡ると |
4-2-2-2の様なポジショニングに |
入ってきても時間とスペースがなくなるだけなので、時間とスペースを得るために外側でボールを受けビルドアップの出口になろうという狙いなのだろう。おそらくこの辺りは選手の判断に任されているんだと思う。
そしてマリノスのSBが外側に開いたポジションを取るようになると、今度はSHが中央に入ってくるようになった。おそらくマリノスにはSBとSHは同じレーンに立たないという約束事があるのだろう。
こうしてビルドアップの時は4-2-2-2の様な立ち位置を取ることが増えていったのだが、4-4-2の中央圧縮で守るセレッソにはほぼ効果が無かった。ただでさえ圧縮している中央にただただ人が増えただけだからだ。
なので前線4人がボールを受けるにはブロックの外に下がってきてという形になり、ボールは保持しているがブロックの中には入っていけないという状態になっていた。
その結果マリノスは前半8本のシュートを放っているがボックス内で放ったシュートはわずか1本。7本はブロックの外側から放ったミドルシュートだった。一方のセレッソは前半のシュート数は6本だがその半分の3本はボックス内から放っている。
サイドチェンジから大外にSH、内側にSBが入ってくる形 |
例えばマリノスが左サイドでボールを持っている時に、逆サイドの右SH仲川が大外のレーンに開いていると、先程のSHとSBが同じレーンに立たないという約束事からSBは内側に入ってくる。19分の広瀬が放ったミドルシュートがまさにこの形で、結局はミドルシュートなのだがその中ではまだ可能性のあるシュートだった。
■清武を捕まえられないマリノス
しかしこのマリノスのサイドチェンジからの形は諸刃の剣でもあった。このサイドチェンジを活かすにはマリノスはSBやSHから一発で逆サイドに持ってくるか、ボランチを経由して逆サイドに持ってくるかのどちらかとなる。一旦CBに戻して逆サイドだとセレッソの4-4-2のブロックのスライドが間に合うからである。
しかしセレッソはこのサイドチェンジを警戒して、ボールサイドのSHやSBは距離を詰めるし、ボランチには2トップ、特に奥埜が必ずプレスバックしてくる。
ということでセレッソはマリノスがサイドチェンジを狙う形から中盤でボールを奪う回数が増えていく。
清武を起点にしたボール前進 |
10分の清武からブルーノ・メンデス、11分のヨニッチから丸橋へと出したボールもこの形のバリエーションの1つ。
そして12分には藤田のサイドチェンジから最後は清武のクロスに奥埜が飛び込みセレッソが先制する。
この場面の奥埜は清武が上げたときにはオフサイドポジションではないが、もし手前で頭を出した水沼が触っていたとすればオフサイド。
水沼の頭にボールが触れたかどうかは映像で見る限り微妙な感じだったのだが、触っていなかったというジャッジだったのだろう。
そしてその後も清武を起点にマリノス陣内に攻め込むセレッソ。40分には清武のから早いタイミングのクロスをブルーノ・メンデスが頭で合わせるという決定機を作ったが、杉本がセーブ。
前半は0-1でセレッソが折り返す。
セレッソはこの試合でも前半を無失点で折り返し、今季ここまでの23試合で前半の失点はまだわずか1である。
■マリノスの修正とセレッソの振る舞いと
0-1とリードして折り返すことができたセレッソ。前半の戦い方を見る限りセレッソは変える必要は無かった。しかし一方のマリノスは前線4枚はボールロストを繰り返しマテウスは宇宙開発を繰り返す。
新加入選手は全く機能しておらず、何かを変える必要があったのでハーフタイムで選手交代をしてくるかなとも思った。しかしポステゴグルーの選択はメンバー交代なしだった。
50分〜 |
どうやら木本にはコンディションの問題があったようだ。
なにかを変える必要がありながらメンバー交代をしなかったマリノスは戦い方を変えてきた。
SHを大外レーンに固定 |
それまでSBが開くと自動的に内側に入っていたSHが、まずはSBのポジションに関わらず原則外に開いたポジションを取るようになった。
これにより機能するようになったのが左サイド。セレッソは中を閉めるのでマテウスの周りにはスペースがある。ここでフリーでボールを受けることができるようになり、ここから突破をしかけたり早いタイミングでクロスを入れたりするようになる。
そして後ろから出てくるティーラトンはマテウスのプレーを見て上がる場所、ポジションを選択する。
スペースの無いところでのプレーや、短い時間でのプレー選択には難があるマテウスだが、突破力やキック力はある。外に固定してあげることで短所が目立ちにくくなったのだ。
これで後半立ち上がりからマリノスはチャンスを作り始める。
ただし、ここからセレッソにもチャンスが無いわけではなかった。
前半同様に清武のところをマリノスはカバー出来ていなかったからだ。
しかし、セレッソは先制していること、そしてマリノスの後半の修正により深くまでボールを運ばれるようになったことでよりカウンター狙いという戦い方になる。
ただこのカウンター狙いは五分五分の形だった。
もしこのカウンターで追加点を奪えていたら、セレッソはもっと楽に試合を運べるようになっていただろう。しかしカウンターで一発を狙うことで試合のリズムが上がった。つまりオープンになった。
前回対戦時にも書いたが、オープンな展開は打ち合い上等であるマリノスの土俵。
セレッソの土俵はリズムを落として試合をコントロールすることである。
しかし、セレッソはカウンターを狙った。
攻め込まれ、カウンターのスペースがあることで、つい目の前の餌に食いついてしまった。
その結果生まれたのが68分のマルコス・ジュニオールの同点ゴール。
セレッソはカウンター気味にボールを運びブルーノ・メンデスがチアゴ・マルティンスと勝負した。
ここで抜けていればカウンターの大チャンス。決定機だっただろう。
しかしチアゴ・マルティンスがボールを奪い前線に縦パス。
カウンターのカウンターを受ける形となり、エリキのスルーパスからマルコス・ジュニオールが抜け出し技アリのシュート。キム・ジンヒョンはノーチャンスだった。
■1度練習した後の2度目のFK
74分〜 |
直後の74分、マリノスは仲川に代えて遠藤を投入する。
この両チームの交代の間にはセレッソのFKがあった。
左サイドで奥埜が得たFKはソウザがニアに速いボールを蹴り込みそこに奥埜が飛び込むも合わなかった。
そして遠藤の投入直後に再び同じ様な位置でセレッソがFKを得る。
すると前回と全く同じ様なボール、同じ様な飛び込み方から今度は奥埜がうまく合わせてゴール。
直前に練習したばかりの形で76分にセレッソが追加点を奪い1-2と再びリードを得る。
1度目に合わなかったのもソウザのキックと奥埜の飛び出しのタイミングが合わなかったからでマリノスが弾き返したわけではなかった。そして2度目もマリノスは同じ対応を繰り返していた。
今季のセレッソでこの形のFKはあまり見ないのでおそらく対マリノスのセットプレー守備でこの試合に向けて準備してきた形なのだろう。
■逃げ切り成功
84分〜 |
ここからはセレッソが守りながらカウンターで運んで時間を使い逃げ切ろうという采配。
同点に追いつかれるまでと異なるのは、カウンターで人数をかけないこと、そして上がってきた選手を使って時間を使うことと戦い方が定まっていたから。
また強度の高い片山をSHに入れることで丸橋の外側を任せることも、丸橋が外に出された後はCBの間を埋めることもできていた。
そしてそのまま逃げ切り成功。
終盤は今季のセレッソでは珍しくプレーが切れると何人もの選手が足を伸ばすシーンが見られるというかなり厳しい戦いだったが、1-2で勝利。
連敗を2で止め、マリノス戦の負けなし記録を12にまで伸ばした。
■その他
相手が修正した後半は少しむずかしい展開にもなったが、いつもどおり前半は見事な戦いぶりだった。布陣はいつもと少し変わっていたがマリノスのプレー原則は変わっていない。そこをうまく突いた戦い方だったと思う。ロティーナはこういう戦い方が本当に上手い。
試合後のスタッツで当たっキングサイドが紹介されていたが、左サイドが69%という普段では考えられない数値が出ているのは狙ってやったものだろう。
前回の対戦も今回の対戦もマリノスが自滅したという向きもあるようだが、チームがそう考えてくれるならこちらとしては本当に助かる。(チームがそう考えることはありえないだろうが)
あと、移籍後初出場となったマテウスだが、セレッソサポーターにすると何だかマテウスとはやたら対戦している印象があると思う。
なのでSoccer DBさんで調べてみると
Soccer DB マテウス 対戦相手別記録
実際にマテウスが最も対戦しているのがセレッソでこれまで6試合に出場。
そして結果は1分5敗、得点0、レッドカード1枚。
マテウスはいつもから回っている記憶があったのだがデータを見てもそうなっていた。
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